介護老人保健施設(老健)は在宅復帰・在宅療養支援を担う施設と位置づけられており、入所から退所までの流れそのものを評価する加算・費用の定めが厚く置かれています。本記事では、平成12年厚生省告示第21号 別表2(介護保健施設サービス)に定めのある入退所・外泊まわりの項目のうち、当社の加算データベースに収載している11件だけを扱います。11件とは、初期加算(Ⅰ)(Ⅱ)・入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)・入退所前連携加算(Ⅰ)(Ⅱ)・退所時情報提供加算(Ⅰ)(Ⅱ)・試行的退所時指導加算・外泊時費用・外泊時在宅サービス利用費用(試行的退所)です。これ以外の項目(リハビリテーション系・医療系・ターミナル系など)は本記事の範囲外です。
各項目について、①告示の定め(根拠となる注の番号つき)、②告示の定めと貴施設の記入欄を左右に並べた対照表、③算定回数・期間の上限、④運営指導で確認されうる書類、⑤よくある論点、の順で整理します。本記事は要件の断定判定を行うものではなく、告示の文言と貴施設の実態を突き合わせるための整理です。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
老健の入所から退所までを時系列で並べる|11件の配置マップ
11件は「入所の前」「入所してから30日」「入所中(外泊・試行的退所)」「退所の前後」の4つの場面に並びます。まず全体を1枚の表で押さえてください。単位数はいずれも当社データベース収載の告示根拠つきの値です。この表の使い方は、入所者ごとに「いまどの場面にいるか」を左端の列で特定し、その場面に置かれている項目の対照表(本文の各節)へ進む、という順番です。場面をまたいで動く項目(入退所前連携加算(Ⅰ)は入所時と退所時の両方)には、その旨を明記しています。
| 場面(時期) | 項目 | 単位数(告示根拠つきDB値) | 回数・期間の上限 |
|---|---|---|---|
| 入所予定日前30日以内 | 入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)(訪問時期の選択肢の一方) | (Ⅰ)450単位/(Ⅱ)480単位 | 入所中1回を限度 |
| 入所予定日前30日以内〜入所後30日以内 | 入退所前連携加算(Ⅰ)の入所側の基準(イ) | —((Ⅰ)600単位の構成要素) | 入所者1人につき1回を限度 |
| 入所日から起算して30日以内 | 初期加算(Ⅰ) | 1日につき60単位(入所した日から起算して30日以内の期間) | 1日につき(入所日から起算して30日以内) |
| 入所日から起算して30日以内 | 初期加算(Ⅱ) | 1日につき30単位(入所した日から起算して30日以内の期間) | 1日につき(入所日から起算して30日以内) |
| 入所後7日以内 | 入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)(訪問時期の選択肢のもう一方) | (Ⅰ)450単位/(Ⅱ)480単位 | 入所中1回を限度 |
| 入所中(居宅への外泊) | 外泊時費用 | 所定単位数に代えて1日につき362単位 | 1月に6日を限度 |
| 入所中(試行的な退所・施設が居宅サービスを提供) | 外泊時在宅サービス利用費用(試行的退所) | 所定単位数に代えて1日につき800単位 | 1月に6日を限度 |
| 試行的な退所時 | 試行的退所時指導加算(退所時等支援加算) | 400単位 | 1月に1回を限度(最初の試行的退所を行った月から3月の間) |
| 退所に先立って | 入退所前連携加算(Ⅰ) | 600単位 | 入所者1人につき1回を限度 |
| 退所に先立って | 入退所前連携加算(Ⅱ) | 400単位 | 入所者1人につき1回を限度 |
| 退所して居宅・他の社会福祉施設等へ | 退所時情報提供加算(Ⅰ) | 500単位 | 入所者1人につき1回に限り算定 |
| 退所して医療機関に入院 | 退所時情報提供加算(Ⅱ) | 250単位 | 入所者1人につき1回に限り算定 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
この表から読み取れる老健の構造上の特徴は2つあります。第一に、入所の「前」に動く項目が2つあること(入所前後訪問指導加算の入所予定日前30日以内の訪問、入退所前連携加算(Ⅰ)の入所前連携)。第二に、基本報酬を「置き換える」費用が2つあること(外泊時費用362単位・外泊時在宅サービス利用費用800単位。いずれも「所定単位数に代えて」という構造で、加算ではありません)。この2点は、後述のとおり特養の入退所系の定めには同じ形がありません。
請求前に日付の突き合わせだけで確かめられる12点
11件の要件の多くは「日付と日付の間隔」でできています。中身の質の確認に入る前に、まず日付だけで機械的に確かめられる点検項目を挙げます。請求ソフトの画面と台帳を並べて、月次の請求前に1周してください。
| # | 点検する間隔・日付 | 告示の定めている数字 | 突き合わせる書類 |
|---|---|---|---|
| 1 | 初期加算(Ⅰ):入院日から退院日までの日数 | 30日以内(急性期一般病棟への入院後30日以内の退院) | 診療情報提供書等 |
| 2 | 初期加算(Ⅰ)(Ⅱ):入所日から算定最終日までの日数 | 入所日から起算して30日以内 | 入退所台帳・請求明細 |
| 3 | 入所前後訪問指導加算:訪問日と入所(予定)日の間隔 | 入所予定日前30日以内、または入所後7日以内 | 訪問記録・入退所台帳 |
| 4 | 入所前後訪問指導加算:当該入所期間中の算定回数 | 入所中1回を限度 | 請求履歴 |
| 5 | 外泊時費用:当月の362単位の日数 | 1月に6日を限度 | 外泊の記録・請求明細 |
| 6 | 外泊時費用:外泊の初日・最終日が362単位に入っていないか | 「外泊の初日及び最終日は、算定できない」 | 外泊の記録(外泊日・帰所日) |
| 7 | 外泊時在宅サービス利用費用:当月の800単位の日数 | 1月に6日を限度(初日・最終日は算定しない旨の定め) | 試行的退所の記録・請求明細 |
| 8 | 外泊時費用と外泊時在宅サービス利用費用の同一日の重なり | 注15を算定する場合、その日について注14は適用されない | 請求明細(日別) |
| 9 | 試行的退所時指導加算:算定月と最初の試行的退所の月の間隔 | 最初に試行的な退所を行った月から3月の間・1月に1回 | 試行的退所の台帳 |
| 10 | 入退所前連携加算(Ⅰ):入所時連携の日と入所(予定)日の間隔 | 入所予定日前30日以内、または入所後30日以内 | 連携記録・入退所台帳 |
| 11 | 入退所前連携加算(Ⅰ)(Ⅱ):退所時の在所日数 | 入所期間が1月を超えること | 入退所台帳 |
| 12 | 退所時情報提供加算(Ⅰ)(Ⅱ):当該入所者への算定回数 | 入所者1人につき1回 | 請求履歴 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
ここで挙げた数字はいずれも本文の各節で根拠となる注の番号とともに再掲します。日付の点検で疑問が出た箇所(たとえば再入所時の30日の数え方)は、留意事項通知の原文と保険者(指定権者)への確認に回してください。
特養の同名・類似の加算と取り違えない|定めの分かれ方4点
特養(介護老人福祉施設)にも「初期加算」「退所時情報提供加算」など名称の重なる加算があり、検索でも施設内の引き継ぎ資料でも混同が起きやすいところです。本記事では特養側の単位数・要件そのものには踏み込みません(特養の入所から退所までの9件は別記事で扱っています)が、「同じ名前でも定めが違う」という事実だけは、取り違え防止のためにここで指摘しておきます。
| 観点 | 老健(本記事の11件)の定め | 取り違えの注意点 |
|---|---|---|
| 根拠となる告示の表 | 11件すべて平成12年厚生省告示第21号 別表2(介護保健施設サービス) | 特養の加算は同じ告示でも別の表に定めが置かれており、条文は別物です。注番号・文言を老健の資料から引くこと |
| 初期加算の区分 | 令和6年度改定で(Ⅰ)(Ⅱ)の2区分。(Ⅰ)1日60単位には入所元(急性期一般病棟からの30日以内の退院)と空床情報の共有という(Ⅱ)にない要件がある | 特養側は本記事の扱う(Ⅰ)(Ⅱ)の区分構造とは定めが異なります。「初期加算」と一語で呼ぶと、どちらの要件の話か分からなくなります |
| 退所時情報提供加算の区分 | (Ⅰ)500単位=居宅・他の社会福祉施設等向け、(Ⅱ)250単位=医療機関に入院する場合、の2区分 | 特養側とは区分の構造が異なります。退所先の種別で号が変わるのは老健の(Ⅰ)(Ⅱ)の話であることを、施設内の手順書に明記しておくと混同を防げます |
| 老健側にだけある仕組み | 入所前後訪問指導加算(入所の前後に居宅を訪問)・試行的退所時指導加算・外泊時在宅サービス利用費用(試行的退所・1日800単位の置き換え)・入退所前連携加算の入所側基準(イ) | 「在宅復帰施設」としての老健に固有の枠組みです。特養の退所前後の訪問相談援助の定めとは、訪問の時期・目的・条文が異なります |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
初期加算(Ⅰ)(Ⅱ)|60単位と30単位を分ける2つの上乗せ要件
初期加算は、入所した日から起算して30日以内の期間を評価する加算で、令和6年度改定(令和6年6月1日施行)で(Ⅰ)(Ⅱ)の2区分になりました(令和8年厚生労働省告示第87号では本項目に改正はありません)。(Ⅱ)は1日30単位で、入所元や体制の上乗せ要件は置かれていません。(Ⅰ)は1日60単位で、対象者要件(急性期一般病棟からの30日以内の退院)と体制要件(空床情報の共有)の両方が求められます。根拠は告示別表2 ハ 注1・注2です。
初期加算(Ⅰ)の突き合わせ欄|入所元・入院期間・空床情報の共有方法
| 告示の定め(別表2 ハ 注1) | 貴施設の記入欄 |
|---|---|
| 入所前の入院先が「急性期医療を担う医療機関の一般病棟」であること | 当該入所者の入院元:( )病棟種別:( ) |
| 急性期医療を担う医療機関の一般病棟への入院後30日以内に退院し、介護老人保健施設に入所した者であること | 入院日:( 年 月 日)退院日:( 年 月 日)入院日数:( 日) |
| 算定期間は入所日から起算して30日以内 | 入所日:( 年 月 日)30日目の日付:( 年 月 日) |
| 空床情報について、イ「地域医療情報連携ネットワーク等を通じ、地域の医療機関に定期的に共有していること」またはロ「当該介護老人保健施設のウェブサイトに定期的に公表するとともに、急性期医療を担う複数の医療機関の入退院支援部門に対し、定期的に当該情報を共有していること」のいずれかに適合すること | イ・ロのどちらで適合しているか:( )共有・公表の頻度:( )直近の共有・更新日:( 年 月 日) |
| 「初期加算(Ⅱ)を算定している場合は、算定しない」旨の定め | 同一期間に(Ⅱ)を請求していないかの確認日:( 年 月 日)確認者:( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
初期加算(Ⅱ)の突き合わせ欄|上乗せ要件のない30単位
| 告示の定め(別表2 ハ 注2) | 貴施設の記入欄 |
|---|---|
| 「入所した日から起算して30日以内の期間については、初期加算(Ⅱ)として、1日につき所定単位数を加算する」 | 入所日:( 年 月 日)算定開始日:( 年 月 日) |
| 算定期間は入所日から起算して30日以内 | 算定した日数:( 日)30日を超えて請求した日がないかの確認:(済・未) |
| 「ただし、初期加算(Ⅰ)を算定している場合は、算定しない」 | 同一期間に(Ⅰ)を請求していないかの確認日:( 年 月 日) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
初期加算(Ⅰ)(Ⅱ)の期間の上限・書類・論点
回数・期間の上限:(Ⅰ)(Ⅱ)とも1日につき、入所日から起算して30日以内の期間が対象です。(Ⅰ)と(Ⅱ)は相互に「算定している場合は、算定しない」という関係にあり、同一期間に両方を重ねる形は告示の定めにありません。
運営指導で確認されうる書類:
- 空床情報の共有・公表の記録(送信記録、ウェブサイト更新履歴等)——(Ⅰ)の体制要件の裏づけ
- 入所者の入院元・入院期間が分かる書類(診療情報提供書等)——(Ⅰ)の対象者要件の裏づけ
- 入所日が分かる書類——(Ⅰ)(Ⅱ)共通の起算の裏づけ
よくある論点:(Ⅰ)の空床情報の共有について、告示は「定期的に」とだけ定めており、頻度の数値の定めはありません。何をもって「定期的」とするかは保険者(指定権者)により運用が異なりうる部分です。また、(Ⅱ)の30日の起算日の取扱い(再入所の場合等)は留意事項通知に定めがあるため、原文でのご確認をおすすめします。貴施設の保険者への照会結果を書き残す欄:(照会日: 年 月 日/照会先: /回答の要旨: )
入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)|訪問の時期が2つの窓に限られる450単位・480単位
入所前後訪問指導加算は、入所期間が1月を超えると見込まれる者について、入所予定日前30日以内または入所後7日以内に、退所後生活する居宅(本人の同意を得た場合は退所後に入所する他の社会福祉施設等)を訪問し、退所を目的とした施設サービス計画の策定と診療方針の決定を行った場合に、入所中1回を限度として算定する定めです(別表2 ヘ 注)。(Ⅰ)は450単位。(Ⅱ)は480単位で、(Ⅰ)の内容に加えて「生活機能の具体的な改善目標を定めるとともに、退所後の生活に係る支援計画を策定した場合」という上乗せの定めがあります。告示は算定対象の基本報酬区分について「イ(1)及びロ(1)については」(介護保健施設サービス費(Ⅰ)・ユニット型介護保健施設サービス費(Ⅰ))と定めています。
入所前後訪問指導加算(Ⅰ)の突き合わせ欄|訪問の窓と実施内容
| 告示の定め(別表2 ヘ 注(1)) | 貴施設の記入欄 |
|---|---|
| 算定対象の基本報酬区分:介護保健施設サービス費(Ⅰ)、ユニット型介護保健施設サービス費(Ⅰ) | 貴施設が算定している基本報酬区分:( ) |
| 入所期間が1月を超えると見込まれる者であること | 見込み入所期間の判断の記録の所在:( ) |
| 訪問の時期:入所予定日前30日以内、または入所後7日以内 | 訪問日:( 年 月 日)入所(予定)日:( 年 月 日)どちらの窓か:(前30日以内・後7日以内) |
| 訪問先:退所後生活する居宅(退所後に他の社会福祉施設等に入所する場合は、本人の同意を得て当該施設等) | 訪問先:( )施設等の場合の同意取得日:( 年 月 日) |
| 実施内容:退所を目的とした施設サービス計画の策定及び診療方針の決定 | 計画策定日:( 年 月 日)診療方針の決定に係る診療録記載日:( 年 月 日) |
| 算定回数:入所中1回 | 当該入所期間中の算定履歴:(有・無) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
入所前後訪問指導加算(Ⅱ)の突き合わせ欄|改善目標と退所後支援計画の上乗せ
| 告示の定め(別表2 ヘ 注(2)) | 貴施設の記入欄 |
|---|---|
| (Ⅰ)と同じ対象者・訪問時期・訪問先の定め(入所期間1月超の見込み/入所予定日前30日以内または入所後7日以内) | (Ⅰ)の表の各欄を先に埋める:(済・未) |
| 「退所を目的とした施設サービス計画の策定及び診療方針の決定にあたり、生活機能の具体的な改善目標を定める」こと | 改善目標が記載された施設サービス計画の該当箇所:( ) |
| 「退所後の生活に係る支援計画を策定した場合」であること | 退所後の生活に係る支援計画の文書名・作成日:( / 年 月 日) |
| 入所前後訪問指導加算(Ⅰ)を算定している場合は算定しない旨の定め | (Ⅰ)との重複請求がないかの確認日:( 年 月 日) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
入所前後訪問指導加算の回数の上限・書類・論点
回数の上限:(Ⅰ)(Ⅱ)とも入所中1回を限度です。(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定はできない構造(相互に「算定している場合は算定しない」)です。
運営指導で確認されうる書類:
- 訪問記録(訪問日・訪問先・実施内容)
- 施設サービス計画書——(Ⅱ)は生活機能の具体的な改善目標の記載があるもの
- 診療方針の決定に関する診療録記載
- (Ⅱ)はさらに、退所後の生活に係る支援計画
よくある論点:第一に、訪問の時期が「入所予定日前30日以内」または「入所後7日以内」に限定されており、入所後8日目以降の訪問は告示の定める時期から外れます。訪問日と入所日の間隔は請求前に日付で突き合わせる項目です。第二に、この訪問は在宅復帰・在宅療養支援等指標のC項目(入所前後訪問指導)と同じ行為が評価対象になっているため、加算の訪問記録と指標の集計の整合が問われます。第三に、(Ⅰ)と(Ⅱ)の差は30単位ですが、(Ⅱ)は「生活機能の具体的な改善目標」と「退所後の生活に係る支援計画」が文書として残っているかが確認の対象になります。口頭の説明や計画への抽象的な記載で足りるかどうかは、保険者(指定権者)にご確認ください。照会結果の記入欄:(照会日: /回答の要旨: )
外泊時費用と外泊時在宅サービス利用費用|「所定単位数に代えて」の2項目
この2つは加算ではありません。基本報酬の所定単位数を置き換えて算定する費用です。外泊時費用(別表2 イ 注14)は、入所者に居宅における外泊を認めた場合に、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき362単位。外泊時在宅サービス利用費用(別表2 イ 注15)は、届出を行った施設が、退所が見込まれる入所者を居宅において試行的に退所させ、施設自身が居宅サービスを提供する場合に、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき800単位です。いずれも初日・最終日は対象外で、同じ日に両方を重ねない定めがあります。
外泊時費用の突き合わせ欄|1月6日・初日と最終日
| 告示の定め(別表2 イ 注14) | 貴施設の記入欄 |
|---|---|
| 「入所者に対して居宅における外泊を認めた場合は、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき362単位を算定する」 | 外泊日:( 月 日〜 月 日)当月の算定日数の累計:( 日/6日) |
| 「ただし、外泊の初日及び最終日は、算定できない」 | 初日・最終日を362単位の対象から外したかの確認:(済・未)初日・最終日の請求区分:( ) |
| 外泊時在宅サービス利用費用(注15・800単位)を算定する場合は、その日について注14は適用されない | 同一日に注15の請求がないかの確認:(済・未) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
実在の公表指摘:福岡市福祉局高齢社会部事業者指導課「介護報酬算定に当たっての留意事項(誤りやすい算定例)【施設系・居住系・短期入所等】」(令和7年3月14日改訂)には、「外泊時費用を、当該ベッドを短期入所に利用していたにもかかわらず算定していた」という誤りの例が挙げられています。同資料では、外泊時費用は入所者の入院又は外泊期間中に当該ベッドを短期入所に利用しない場合に算定できるものと説明されています。外泊時費用を算定した日について、当該入所者の空床を短期入所に利用していないかを、ベッド管理表・短期入所の利用記録と突き合わせて確認する運用が対応の型になります。空床型短期入所を実施している施設では特に月次の点検対象です。確認の観点・様式は保険者(自治体)により異なるため、自施設の保険者の取扱いをご確認ください。
外泊時在宅サービス利用費用の突き合わせ欄|施設が提供する居宅サービス
| 告示の定め(別表2 イ 注15) | 貴施設の記入欄 |
|---|---|
| 電子情報処理組織を使用する方法により都道府県知事に届出を行った介護老人保健施設であること | 届出の受理日:( 年 月 日)届出書の控えの保管場所:( ) |
| 対象者:入所者であって退所が見込まれる者 | 退所見込みの判断の記録の所在:( ) |
| 「その居宅において試行的に退所させ、介護老人保健施設が居宅サービスを提供すること」 | 提供した居宅サービスの種類:( )提供日・提供者の記録の所在:( ) |
| 算定日数は1月に6日を限度 | 当月の算定日数の累計:( 日/6日) |
| 試行的な退所に係る初日及び最終日は算定しない旨の定め | 初日・最終日を800単位の対象から外したかの確認:(済・未) |
| 注14(外泊時費用362単位)を算定する場合は算定しない旨の定め | 同一日に注14の請求がないかの確認:(済・未) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
よくある論点:この費用は施設自身が居宅サービスを提供することが告示の文言であり、他事業所のサービス利用のみでは告示の文言を満たしません。誰が(どの職種が)どのサービスを居宅で提供したかを記録に残す設計が前提になります。また「所定単位数に代えて」算定する構造のため、置き換え後の日の請求区分の設定はソフト上の入力誤りが起きやすい箇所です。運用の細部は届出先にご確認ください。
試行的退所時指導加算|最初の試行的退所の月から3月という数え方
試行的退所時指導加算は400単位で、退所時等支援等加算のうち退所時等支援加算に位置づけられています(別表2 ト 注1)。退所が見込まれる入所期間が1月を超える入所者を居宅において試行的に退所させる場合に、その試行的な退所時に本人および家族等へ退所後の療養上の指導を行ったとき、入所中最初に試行的な退所を行った月から3月の間に限り、1人につき1月に1回を限度として算定する定めです。前節の外泊時在宅サービス利用費用(1日800単位の置き換え)とは別項目で、両者は在宅復帰に向けた試行的退所を「基本報酬の置き換え」と「加算」の2面から扱う構造になっています。
試行的退所時指導加算の突き合わせ欄|指導の相手と3月の起算
| 告示の定め(別表2 ト 注1) | 貴施設の記入欄 |
|---|---|
| 退所が見込まれる入所期間が1月を超える入所者であること | 見込み入所期間の判断の記録の所在:( ) |
| 居宅において試行的に退所させ、試行的な退所時に本人及びその家族等に対して退所後の療養上の指導を行うこと | 試行的退所の日:( 年 月 日)指導の相手(本人・家族等の別):( )指導内容の記録の所在:( ) |
| 算定期間:入所中最初に試行的な退所を行った月から3月 | 最初の試行的退所の月:( 年 月)3月目にあたる月:( 年 月) |
| 算定回数:1月に1回 | 当月の算定履歴:(有・無) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
運営指導で確認されうる書類:試行的退所の記録/退所後の療養上の指導の記録/施設サービス計画書。
よくある論点:「最初に試行的な退所を行った月から3月」という期間制限があるため、試行的退所を長期間繰り返しても算定の対象になる月数は限られます。最初の試行的退所がいつだったかを台帳で追える形にしておくことが、月をまたぐ運用での確認の起点になります。期間の数え方の細部は保険者(指定権者)にご確認ください。
なお、この加算は令和6年度改定(令和6年6月1日施行)で「退所時等支援等加算」として再編された束のなかの「退所時等支援加算」に位置づけられています。改定前の資料や施設内の古い手順書では加算の呼び名・整理が現行の告示と一致しないことがあるため、施設内の様式に載っている名称が現行の別表2 トの項目名と一致しているかを、年度替わりの見直し時に一度確かめておくと、請求ソフトの項目選択の取り違えを防げます。
入退所前連携加算(Ⅰ)(Ⅱ)|600単位と400単位を分ける入所側の連携(イ)
入退所前連携加算は、退所後のケアマネジメントへの橋渡しを評価する加算です(別表2 ト 注4)。告示は基準を入所側(イ)と退所側(ロ)に分けており、(Ⅰ)600単位は「イ・ロの両方」、(Ⅱ)400単位は「ロのみ」に適合する場合の定めです。イは、入所予定日前30日以内または入所後30日以内に、退所後に利用を希望する指定居宅介護支援事業者と連携し、本人の同意を得て退所後の居宅サービスまたは地域密着型サービスの利用方針を定めること。ロは、入所期間が1月を超える入所者が退所して居宅でサービスを利用する場合に、退所に先立って当該事業者へ診療状況を示す文書を添えて必要な情報を提供し、かつ連携して利用調整を行うことです。いずれも入所者1人につき1回を限度、(Ⅰ)を算定している場合は(Ⅱ)を算定しない定めです。
入退所前連携加算(Ⅰ)の突き合わせ欄|イとロの両方を埋める
| 告示の定め(別表2 ト 注4 イ・ロ) | 貴施設の記入欄 |
|---|---|
| 【イ】入所予定日前30日以内または入所後30日以内に、退所後に利用を希望する指定居宅介護支援事業者と連携すること | 連携日:( 年 月 日)入所(予定)日:( 年 月 日)連携先事業者名:( ) |
| 【イ】本人の同意を得て、退所後の居宅サービス又は地域密着型サービスの利用方針を定めること | 同意取得日:( 年 月 日)利用方針の記録の所在:( ) |
| 【ロ】退所時の入所期間が1月を超えていること | 入所日:( 年 月 日)退所日:( 年 月 日) |
| 【ロ】診療状況を示す文書を添えて、居宅サービス又は地域密着型サービスに必要な情報を提供すること | 情報提供日:( 年 月 日)添付した診療状況文書の名称:( ) |
| 【ロ】指定居宅介護支援事業者と連携して退所後のサービス利用に関する調整を行うこと | 調整の経過記録の所在:( ) |
| 算定回数:入所者1人につき1回 | 当該入所期間中の算定履歴:(有・無) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
入退所前連携加算(Ⅱ)の突き合わせ欄|ロのみの400単位
| 告示の定め(別表2 ト 注4 ロ) | 貴施設の記入欄 |
|---|---|
| 退所時の入所期間が1月を超えていること | 入所日:( 年 月 日)退所日:( 年 月 日) |
| 利用を希望する指定居宅介護支援事業者に対し、本人の同意を得て診療状況を示す文書を添えて必要な情報を提供すること | 同意取得日:( 年 月 日)情報提供日:( 年 月 日)文書名:( ) |
| 当該事業者と連携して退所後の居宅サービス又は地域密着型サービスの利用に関する調整を行うこと | 調整の相手方・日付・内容の記録の所在:( ) |
| 入退所前連携加算(Ⅰ)を算定している場合は算定しない旨の定め | (Ⅰ)との重複請求がないかの確認日:( 年 月 日) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
入退所前連携加算の書類と、日付が命運を分ける2つの論点
運営指導で確認されうる書類:居宅介護支援事業者との連携記録(入所時・退所時)/退所後のサービス利用方針の記録/診療状況を示す文書の写し/本人の同意の記録。
よくある論点:第一に、(Ⅰ)は入所時(イ)と退所時(ロ)の両方の対応が求められる構造で、入所時の連携の裏づけが残っていない場合、告示上はロのみの(Ⅱ)の定めに対応する形になります。入所時連携の期限が「入所後30日以内」である点も日付で確認する箇所です。第二に、ロには「診療状況を示す文書を添えて」という定めがあり、情報提供が口頭や連絡票のみでは告示の文言を満たしません。何という文書を添えたかを記録に残す運用が前提です。個別の取扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。照会欄:(照会日: /回答の要旨: )
退所時情報提供加算(Ⅰ)(Ⅱ)|退所先の種別で号が変わる500単位・250単位
退所時情報提供加算は、退所先への情報の引き継ぎを評価する加算で、退所先が居宅・他の社会福祉施設等なら(Ⅰ)500単位(別表2 ト 注2)、医療機関への入院なら(Ⅱ)250単位(同 注3)と、退所先の種別で適用される号が書き分けられています。いずれも本人の同意を得た情報提供と紹介が要素で、入所者1人につき1回に限る定めです。条文の表現も、(Ⅰ)は「診療状況、心身の状況、生活歴等」、(Ⅱ)は「心身の状況、生活歴等」と異なります。
退所時情報提供加算(Ⅰ)の突き合わせ欄|居宅・他の社会福祉施設等への引き継ぎ
| 告示の定め(別表2 ト 注2) | 貴施設の記入欄 |
|---|---|
| 入所者が退所し、その居宅において療養を継続する場合(退所後に他の社会福祉施設等に入所する場合も同様に算定する定めがある) | 退所先の種別:(居宅・他の社会福祉施設等)名称:( ) |
| 情報提供先:退所後の主治の医師(他の社会福祉施設等に入所する場合は当該施設等) | 提供先:( ) |
| 本人の同意を得ること | 同意取得日:( 年 月 日)同意の記録の所在:( ) |
| 提供する情報:診療状況、心身の状況、生活歴等 | 提供文書の名称・作成日:( / 年 月 日)控えの保管場所:( ) |
| 算定回数:入所者1人につき1回 | 当該入所者への算定履歴:(有・無) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
退所時情報提供加算(Ⅱ)の突き合わせ欄|入院先の医療機関への引き継ぎ
| 告示の定め(別表2 ト 注3) | 貴施設の記入欄 |
|---|---|
| 退所先が医療機関(入院)であること | 入院先医療機関名:( )入院日:( 年 月 日) |
| 情報提供先:入院する医療機関 | 提供先の部署・宛名:( ) |
| 本人の同意を得ること | 同意取得日:( 年 月 日) |
| 提供する情報:心身の状況、生活歴等 | 提供文書の名称・作成日:( / 年 月 日) |
| 算定回数:入所者1人につき1回 | 当該入所者への算定履歴:(有・無) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
退所時情報提供加算で長野県が公表している老健の実在指摘
長野県健康福祉部地域福祉課福祉監査担当「令和6年度運営指導結果の概要(介護老人保健施設)」には、退所時情報提供加算について、「入所者が退所し介護老人福祉施設に入所した場合に算定していた」事例が公表されています。同資料では、当該加算は入所者が退所後に居宅でなく他の社会福祉施設等に入所する場合も算定できるが、他の社会福祉施設には介護保険施設は含まれないと説明されています。つまり「退所先が施設だから(Ⅰ)」と機械的に扱うのではなく、退所先の施設種別が告示のいう「他の社会福祉施設等」の範囲に入るかを、算定前に確認する運用が対応の型です。退所先が分かる記録と情報提供文書の写しの保管が挙げられています。加算の解釈・確認方法は保険者(自治体)により運用が異なるため、指定権者の資料をご確認ください。
運営指導で確認されうる書類:(Ⅰ)=情報提供書(診療情報提供書等)の写し/本人の同意の記録。(Ⅱ)=情報提供書の写し/本人の同意の記録/入院先医療機関が分かる書類。(Ⅰ)500単位と(Ⅱ)250単位は単位数の差が大きいため、退所先の記録がどちらの号の話かを決める起点になります。
11件を一括で点検する書類の棚卸し表|保管場所の記入欄つき
ここまで各項目で挙げた書類を1枚にまとめます。運営指導の当日に「どこにあるか」を即答できるよう、保管場所と最終確認日の欄を設けています。なお、介護保健施設サービス費(Ⅳ)またはユニット型(Ⅳ)を算定している場合の各加算の取扱い(別表2 イ 注22)は、届出先にご確認ください。
| 項目 | 裏づけになる書類 | 保管場所(記入欄) | 最終確認日 |
|---|---|---|---|
| 初期加算(Ⅰ) | 空床情報の共有・公表の記録(送信記録、ウェブサイト更新履歴等)、入院元・入院期間が分かる書類(診療情報提供書等) | ( ) | ( ) |
| 初期加算(Ⅱ) | 入所日が分かる書類 | ( ) | ( ) |
| 入所前後訪問指導加算(Ⅰ) | 訪問記録(訪問日・訪問先・実施内容)、施設サービス計画書、診療方針の決定に関する診療録記載 | ( ) | ( ) |
| 入所前後訪問指導加算(Ⅱ) | 訪問記録、施設サービス計画書(生活機能の改善目標の記載があるもの)、退所後の生活に係る支援計画 | ( ) | ( ) |
| 外泊時費用 | 外泊の記録(外泊日・帰所日)、施設サービス計画書、ベッド管理表(空床状況) | ( ) | ( ) |
| 外泊時在宅サービス利用費用(試行的退所) | 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書、試行的退所の記録、施設が提供した居宅サービスの記録 | ( ) | ( ) |
| 試行的退所時指導加算 | 試行的退所の記録、退所後の療養上の指導の記録、施設サービス計画書 | ( ) | ( ) |
| 入退所前連携加算(Ⅰ) | 居宅介護支援事業者との連携記録(入所時・退所時)、退所後のサービス利用方針の記録、診療状況を示す文書の写し、本人の同意の記録 | ( ) | ( ) |
| 入退所前連携加算(Ⅱ) | 居宅介護支援事業者への情報提供記録、診療状況を示す文書の写し、利用調整の記録 | ( ) | ( ) |
| 退所時情報提供加算(Ⅰ) | 情報提供書(診療情報提供書等)の写し、本人の同意の記録、退所先が分かる記録 | ( ) | ( ) |
| 退所時情報提供加算(Ⅱ) | 情報提供書の写し、本人の同意の記録、入院先医療機関が分かる書類 | ( ) | ( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
なお、介護保険法に基づく届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。本記事の記入欄は自施設内の点検用であり、届出そのものの代行を目的とするものではありません。
重ねて算定しない組み合わせの整理|告示に定めのある排他関係6組
11件のあいだには、告示自身が「算定している場合は算定しない」等と定めている排他関係がいくつもあります。請求ソフトによってはこの排他を自動で止めない設定になっていることがあるため、組み合わせを一覧にしておきます。あわせて、介護保健施設サービス費(Ⅳ)またはユニット型(Ⅳ)を算定している場合の取扱い(別表2 イ 注22)が関わる項目があることも、当社データベースには収載しています(適用の範囲は届出先にご確認ください)。
| 組み合わせ | 告示の定めの向き | 根拠 |
|---|---|---|
| 初期加算(Ⅰ) と 初期加算(Ⅱ) | 相互に、他方を算定している場合は算定しない | 別表2 ハ 注1・注2 |
| 入所前後訪問指導加算(Ⅰ) と 同(Ⅱ) | 相互に、他方を算定している場合は算定しない | 別表2 ヘ 注 |
| 入退所前連携加算(Ⅰ) と 同(Ⅱ) | (Ⅰ)を算定している場合は(Ⅱ)を算定しない | 別表2 ト 注4 |
| 外泊時費用(注14) と 外泊時在宅サービス利用費用(注15) | 注15を算定する場合、その日について注14は算定しない | 別表2 イ 注15ただし書 |
| 外泊時費用 と 外泊の初日・最終日 | 「外泊の初日及び最終日は、算定できない」 | 別表2 イ 注14ただし書 |
| 外泊時在宅サービス利用費用 と 試行的退所の初日・最終日 | 試行的な退所に係る初日及び最終日は算定しない | 別表2 イ 注15ただし書 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
この表の6組はいずれも告示の文言に明示のあるものだけです。ここに載っていない組み合わせ(たとえば本記事の範囲外の加算との関係)に排他の定めがないという意味ではありませんので、新しい加算の算定を始めるときは、その加算の注のただし書きを原文で確かめてください。
実在の公表指摘と11件の突き合わせ|引用できたのは2件
当社が収集している自治体の公表指摘(出典つき353件)のうち、本記事の11件を名指しで扱っているものは次の2件でした。それ以外の9項目(初期加算(Ⅰ)(Ⅱ)・入所前後訪問指導加算(Ⅰ)(Ⅱ)・入退所前連携加算(Ⅰ)(Ⅱ)・試行的退所時指導加算・外泊時在宅サービス利用費用・退所時情報提供加算(Ⅰ))については、老健の当該加算を名指しした公表指摘は当社の収集範囲では見つかりませんでした。「指摘が公表されていない」ことは「確認されない」ことを意味しませんので、各項目の対照表の欄は同じ水準で埋めておくことをおすすめします。
| 本記事の項目 | 公表されている指摘(原文の要旨) | 出典 |
|---|---|---|
| 外泊時費用 | 「外泊時費用を、当該ベッドを短期入所に利用していたにもかかわらず算定していた」 | 福岡市福祉局高齢社会部事業者指導課「介護報酬算定に当たっての留意事項(誤りやすい算定例)【施設系・居住系・短期入所等】」令和7年3月14日改訂 |
| 退所時情報提供加算 | 「入所者が退所し介護老人福祉施設に入所した場合に算定していた」(他の社会福祉施設には介護保険施設は含まれないと説明) | 長野県健康福祉部地域福祉課福祉監査担当「令和6年度運営指導結果の概要(介護老人保健施設)」 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
よくある質問|老健の入退所・外泊まわりの11件
Q. 初期加算の(Ⅰ)と(Ⅱ)を同じ入所者に重ねて請求する形はありますか?
告示には「初期加算(Ⅰ)を算定している場合は、算定しない」((Ⅱ)側・別表2 ハ 注2)、初期加算(Ⅱ)を算定している場合は(Ⅰ)を算定しない旨(同 注1)の定めが双方向に置かれており、同一期間に両方を重ねる形は告示の定めにありません。どちらの区分で請求しているかを月次で確認する欄を、本文の対照表に設けています。
Q. 入所前後訪問指導加算の訪問は、入所してから2週間後でも対象になりますか?
告示が定める訪問の時期は「入所予定日前30日以内」または「入所後7日以内」の2つの窓であり、入所後8日目以降の訪問は告示の定める時期から外れます。個別の事情がある場合の取扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。
Q. 外泊時費用の362単位は、基本報酬に上乗せして請求するのですか?
いいえ、上乗せではありません。告示は「所定単位数に代えて1日につき362単位を算定する」と定めており、基本報酬の置き換えです。また「外泊の初日及び最終日は、算定できない」というただし書きがあり、初日・最終日は通常の基本報酬側の扱いになります。外泊時在宅サービス利用費用(800単位)も同じ「置き換え」構造です。
Q. 試行的退所の日の請求(800単位)と試行的退所時指導加算(400単位)は同じものですか?
別の項目です。前者は基本報酬を置き換える費用(別表2 イ 注15・届出を行った施設が居宅サービスを提供する場合・1月に6日を限度)、後者は退所時の療養上の指導を評価する加算(別表2 ト 注1・1月に1回・最初の試行的退所の月から3月の間)です。同じ「試行的退所」という場面を2つの面から扱う構造なので、記録もそれぞれの要件に対応させて残します。
Q. 入退所前連携加算で(Ⅰ)の600単位と(Ⅱ)の400単位は何で分かれますか?
入所側の基準(イ)を満たしているかどうかです。(Ⅰ)は入所予定日前30日以内または入所後30日以内の居宅介護支援事業者との連携(イ)と、退所時の情報提供・調整(ロ)の両方、(Ⅱ)はロのみに適合する場合の定めです。入所時の連携の記録が残っているかが分かれ目になります。
Q. 退所先が特養など介護保険施設の場合、退所時情報提供加算(Ⅰ)の「他の社会福祉施設等」にあたりますか?
長野県の公表資料では、他の社会福祉施設には介護保険施設は含まれないと説明されており、介護老人福祉施設に入所した場合に算定していた事例が指摘として公表されています。退所先の施設種別ごとの取扱いは、保険者(指定権者)にご確認ください。
Q. 11件のうち、都道府県知事への届出が告示の文言に明記されているのはどれですか?
本記事の11件のなかでは、外泊時在宅サービス利用費用(試行的退所)に「電子情報処理組織を使用する方法により都道府県知事に届出を行った介護老人保健施設」という定めがあります。他の項目の届出の要否・様式は、指定権者の手引きでご確認ください。なお届出書類の作成・提出代行を外部に依頼する場合の依頼先は、本文に記載のとおり社会保険労務士です。
Q. 外泊中のベッドを短期入所に使った場合、外泊時費用はどうなりますか?
福岡市の公表資料(誤りやすい算定例)では、外泊時費用は入所者の入院又は外泊期間中に当該ベッドを短期入所に利用しない場合に算定できるものと説明されており、「当該ベッドを短期入所に利用していたにもかかわらず算定していた」事例が誤りの例として挙げられています。空床型短期入所を実施している施設では、外泊時費用の算定日とベッド管理表・短期入所の利用記録の突き合わせを月次の点検に組み込むのが対応の型です。取扱いの細部は保険者(自治体)にご確認ください。
Q. 入所前後訪問指導加算のイの訪問と、入退所前連携加算のイの連携は同じ行為ですか?
別の行為です。入所前後訪問指導加算は退所後生活する居宅等を職員が訪問して施設サービス計画の策定・診療方針の決定を行うもの(窓は入所予定日前30日以内または入所後7日以内)、入退所前連携加算のイは指定居宅介護支援事業者と連携して退所後のサービス利用方針を定めるもの(窓は入所予定日前30日以内または入所後30日以内)です。期限の日数も相手も異なるため、同じ「入所前後の動き」として1つの記録にまとめると、どちらの要件の裏づけか判別できなくなります。記録は加算ごとに対応づけて残してください。
Q. 令和8年度の告示改正で、この11件は変わりましたか?
当社データベースの照合では、令和8年厚生労働省告示第87号において本記事の11件に改正はありません(初期加算(Ⅰ)(Ⅱ)・退所時情報提供加算(Ⅰ)(Ⅱ)の区分化、退所時等支援等加算の再編はいずれも令和6年度改定・令和6年6月1日施行によるものです)。最新の改定情報は厚生労働省の告示・通知の原文でご確認ください。
本記事が依拠した告示・公表資料の一覧
本記事の単位数・要件はすべて、当社の加算データベース(一次資料の該当条文を直接確認して構造化したもの・2026年7月23日照合)から引いています。依拠した一次資料は次のとおりです。
- 平成12年厚生省告示第21号 別表2(介護保健施設サービス)——イ 注14・注15、ハ 注1・注2、ヘ 注、ト 注1〜注4
- 令和8年厚生労働省告示第87号(本記事の11件については改正なしであることの確認)
- 福岡市福祉局高齢社会部事業者指導課「介護報酬算定に当たっての留意事項(誤りやすい算定例)【施設系・居住系・短期入所等】」令和7年3月14日改訂
- 長野県健康福祉部地域福祉課福祉監査担当「令和6年度運営指導結果の概要(介護老人保健施設)」
出典:厚生労働省ウェブサイトほか上記の各公表資料/本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省および各自治体の公式見解ではありません。留意事項通知(老企第40号等)の細部は本記事の照合範囲外のため、期間の起算・再入所の取扱いなど運用の細目は必ず原文および保険者(指定権者)にご確認ください。
出典
出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)/公共データ利用規約(第1.0版)
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。各自治体の公表資料についても同様に当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
