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訪問看護ステーションの事業計画書テンプレート|10項目の記入欄見本と悪い例・良い例

訪問看護ステーションの事業計画書は、ステーションを開く前や年度の初めに「どの地域の、どんな方に、どの保険で、何人の体制で、どう運営し、お金をどう回すか」をまとめる経営の書類です。名前が似ている訪問看護計画書は、利用者お一人おひとりについて療養上の目標と看護の内容を定めるケアの計画であり、主治の医師に提出し、利用者やご家族に説明するものです。この記事が扱うのは前者の、ステーションという事業そのものの計画です。

事業計画書には、介護保険・医療保険の法令で決まった様式がありません。指定の申請の手引きで事業計画の提出を求める指定権者(都道府県・指定都市等)もあれば、金融機関や出資者が独自の様式を用意していることもあります。そのためこの記事では、どの様式に移しても使えるように、項目ごとに「記入欄の見本(空欄つきの表)」と「悪い例→良い例」を並べました。人員・設備・運営の要件は、手元で原文を確かめた医療保険側の基準省令(指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準・平成12年厚生省令第80号)の条文だけを引いています。

収支計画と資金計画の欄では、金額・単価・利益率の数字を一切書いていません。数字は地域・規模・時期で大きく変わり、記事の数字を写すと根拠のない計画になるためです。代わりに、欄の名前、書き方、数字の根拠をどこから取るかを示しています。開業できるかどうか、融資が通るかどうか、どれだけ収益が出るかは、指定権者の手引き、金融機関、税理士などの専門家にご確認ください。

事業計画書と訪問看護計画書の違い|目的・読む人・根拠の比較(12項目)

検索で「訪問看護 計画書」と調べると、ケアの計画である訪問看護計画書の情報が多く出てきます。開業準備や年度計画で必要なのは事業計画書のほうです。2つを取り違えると、手引きが求める書類と違うものを用意してしまうため、最初に役割の違いを1枚の表で確かめておきます。

2つの書類の役割の違い(12項目)

項目 事業計画書(この記事) 訪問看護計画書(ケアの計画)
何についての計画か ステーションという事業の目的・地域・体制・お金の流れ 利用者お一人の療養上の目標と、そのための看護の内容
作る単位 ステーションごと(法人で複数ある場合は事業所ごとに分ける) 利用者ごと
作る人 開設者・法人の代表者・管理者(予定者を含む) 看護師等(基準省令第17条は准看護師を除くと定めています)
主に読む人 指定権者の担当者、金融機関、出資者、法人の役員、職員 利用者・ご家族、主治の医師、介護支援専門員
法令上の根拠 介護保険・医療保険の基準に「事業計画書」という書類の定めは見当たりません。手引きや金融機関が求める場合があります 基準省令第17条(医療保険側)。介護保険側にも同様の定めがあります
様式 決まった様式はありません。提出先の様式があればそれに従います 提出先や運用で様式が示されていることがあります
作る時期 開設の準備段階、年度の初め、事業の拡大や移転を考えるとき 訪問看護の開始時と、状態や指示が変わったとき
中心になる中身 需要の見込み、人員、設備、運営の体制、収支、資金、リスク 療養上の目標、具体的な看護の内容、評価
数字の扱い 利用者数の見込み、職員数、収入・支出の見込み(根拠を添える) 訪問の頻度、観察する数値(血圧・体重など)
説明・同意 利用者への説明・同意は求められていません 主要な事項を利用者又はご家族に説明します(第17条第2項)
見直しのきっかけ 実績と見込みのずれ、人員の変化、制度の改定 利用者の状態・主治の医師の指示の変化
保管 法人の文書として保管(期間は法人の規程で定めます) 基準省令第30条第2項で、完結の日から二年間の保存が定められています(医療保険側)

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

事業計画書を求められる場面と確かめること(6場面)

同じ事業計画書でも、誰に出すかで重く見られる欄が変わります。下の表で、出す相手ごとに確かめることを整理し、右端に貴事業所で確かめた内容と日付を書き込んでください。

場面 出す相手 重く見られやすい欄 確かめること 貴事業所の確認(記入欄)
介護保険の指定の申請 指定権者(都道府県・指定都市等) 人員・設備・運営の体制 手引きに事業計画書の提出があるか/指定の様式があるか/事前の相談が要るか (確認日  /担当課   )
医療保険の取扱い 地方厚生局(又は地方厚生支局) 人員・運営の体制 介護保険の指定との関係、必要な手続と時期 (確認日  /窓口   )
融資の相談 金融機関 収支計画・資金計画・返済の見込み 指定の様式の有無、求められる添付資料、相談の時期 (確認日  /担当者   )
出資・社内決裁 出資者・法人の役員会 需要の見込み・収支・リスク 決裁の基準、報告の頻度 (    )
職員への共有 管理者・看護職員・事務職員 目的・理念、運営の体制、採用の計画 どこまでの数字を共有するか (    )
年度の見直し 法人内部 実績と見込みのずれ、次年度の重点 見直しの時期と、誰が承認するか (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

手引きで事業計画書の提出が求められていない場合でも、運営規程・勤務形態一覧表・平面図など、指定の申請で出す書類と事業計画書の中身は重なります。事業計画書を先に作っておくと、それらの書類を同じ前提で書けるため、書類どうしの食い違いを防ぎやすくなります。

事業計画書の全体構成|10項目の目次テンプレートと基準省令との対応

事業計画書は、上から順に読むと「なぜ(目的)→どこで誰に(需要)→何を(サービス)→誰が(人員)→どこで(設備)→どう回すか(運営)→お金は(収支・資金)→何が起きたら(リスク)」とつながる並びにすると、読む人が迷いません。下の目次は、そのまま見出しとして使える形にしています。

目次テンプレート(10項目)

番号 見出し 書く中身 数字の根拠の取り方 貴事業所の分量・担当(記入欄)
1 事業の概要 法人名、ステーションの名称、所在地、開設予定日、管理者予定者 登記・賃貸借契約・内定の書類 (  頁/担当  )
2 事業の目的・運営の方針 何のために開くか、誰のどんな困りごとに応えるか 法人の理念、地域で聞き取った声 (  頁/担当  )
3 地域の需要と競合の状況 実施地域、高齢者や医療的ケアが要る方の状況、紹介元になる機関 市町村の介護保険事業計画、地域包括ケアの資料、聞き取りの記録 (  頁/担当  )
4 提供するサービス 介護保険・医療保険の別、対象とする方、提供の範囲 手引き・基準・主治の医師や病院への聞き取り (  頁/担当  )
5 人員の計画 職種・員数・常勤と非常勤の別・採用の時期 基準省令の定め、内定者の勤務条件 (  頁/担当  )
6 設備・備品 事務室の広さ・区画、相談の場所、備品、車両 平面図、見積書 (  頁/担当  )
7 運営の体制 営業日・営業時間、緊急時の連絡、主治の医師との連携、記録、研修 運営規程の案、勤務表の案 (  頁/担当  )
8 収支計画 利用者数の見込み、収入・支出の欄、月別の推移 報酬の告示・算定の資料、見積書、給与規程 (  頁/担当  )
9 資金計画 開業までに要るお金と、入金までの間を支えるお金の出どころ 見積書、自己資金の残高、金融機関との相談記録 (  頁/担当  )
10 リスクと対策・見直し 想定する困りごと、起きたときの対応、見直しの時期 業務継続計画、過去の実績 (  頁/担当  )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

基準省令の条文と事業計画書の項目の対応(16条)

医療保険側の基準省令(平成12年厚生省令第80号)は、第1章 基本方針、第2章 人員、第3章 設備、第4章 運営の順に定めています。事業計画書の項目をこの条文に対応させておくと、指定の申請の書類や運営規程と食い違いにくくなります。下の表の「条文の要点」は、当社が法令等データベースの全文で確かめた内容です。介護保険側の指定基準にも同様の人員・設備・運営の定めがありますので、介護保険の利用者を受ける場合は、指定権者の手引きで該当する定めをご確認ください。

条 見出し 条文の要点(医療保険側) 事業計画書で書く項目 貴事業所の計画(記入欄)
第1条 基本方針 可能な限り居宅で、能力に応じ自立した日常生活を営めるよう療養生活を支援し、心身の機能の維持回復を目指す 事業の目的・運営の方針 (    )
第2条 看護師等の員数 看護職員の勤務延時間数を常勤の勤務すべき時間数で除した数が二・五以上。うち一名は常勤。理学療法士等は実情に応じた適当数 人員の計画 (    )
第3条 管理者 専らその職務に従事する常勤の管理者を置く(管理上支障がない場合の兼務の定めあり)。保健師、助産師又は看護師(やむを得ない理由がある場合の定めあり) 人員の計画(管理者) (    )
第4条 設備 運営に必要な広さの専用の事務室と、提供に必要な設備・備品等。他の事業所を兼ねる場合は専用の区画で足りる 設備・備品 (    )
第5条 内容及び手続の説明及び同意 運営規程の概要、勤務の体制などの重要事項を記した文書を交付して説明し、同意を得る 運営の体制(契約の流れ) (    )
第5条の4・第5条の5 誘引・誘導の禁止 経済上の利益の提供による誘引、紹介の対価としての金品の提供、特定の医師・事業者への誘導の対償の収受を禁じる 運営の体制(営業・連携の方針) (    )
第7条 提供困難時の対応 通常の事業の実施地域等を勘案し、提供が困難な場合は主治の医師へ連絡し、他の事業者を紹介する等 地域の需要(実施地域)・運営の体制 (    )
第16条 主治の医師との関係 開始に際し主治の医師の指示を文書で受ける。計画書・報告書を主治の医師に提出する 運営の体制(医療機関との連携) (    )
第19条 緊急時等の対応 提供中の病状の急変等の際、速やかに主治の医師へ連絡し指示を求め、必要に応じ臨時応急の手当を行う 運営の体制(緊急時) (    )
第21条 運営規程 目的・方針、職種・員数・職務、営業日・営業時間、内容・利用料等、実施地域、緊急時等の対応方法、虐待の防止のための措置、その他の8項目を定める 運営の体制(運営規程の案) (    )
第22条 勤務体制の確保等 ステーションごとに勤務の体制を定め、当該ステーションの看護師等で提供し、研修の機会を確保する 人員の計画・運営の体制(研修) (    )
第22条の2 業務継続計画の策定等 感染症・非常災害の発生時の業務継続計画を策定し、周知・研修・訓練を定期的に行い、定期的に見直す リスクと対策 (    )
第24条 掲示 重要事項をステーションの見やすい場所に掲示し、原則としてウェブサイトにも掲載する 運営の体制(情報の公開) (    )
第28条 事故発生時の対応等 保険者・家族等への連絡、賠償すべき事故の速やかな損害賠償、安全管理のための体制の確保 リスクと対策(保険の加入) (    )
第29条 会計の区分 ステーションごとに経理を区分し、訪問看護の事業の会計とその他の事業の会計を区分する 収支計画(会計の単位) (    )
第30条 記録の整備 従業者・設備・備品・会計の諸記録を整備する。訪問看護記録書等を完結の日から二年間保存する 運営の体制(記録と保管) (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

事業の目的・理念と地域の需要|記入欄の見本と調べる先の一覧

目的と需要の欄は、読む人が最初に目を通し、計画全体を信じてよいかを決める欄です。ここが「地域に貢献したい」のような一般論だけだと、後ろの利用者数の見込みや人員の計画に根拠がつながりません。誰の、どんな困りごとに、どの範囲で応えるかを、調べた資料の名前とともに書きます。

事業の目的・運営の方針の記入欄(8欄)

欄 書き方 記入例の書き出し 貴事業所の記入欄
開設の目的 誰のどんな困りごとに応えるかを1〜2文で書く 当ステーションは、実施地域で退院後に自宅での療養を始める方と、そのご家族の不安を減らすことを目的とします。 (    )
運営の方針 基準省令第1条の基本方針を、自社の言葉で具体化する 可能な限りご自宅で、その方の力に応じた生活を続けられるよう、主治の医師の指示のもとで療養生活を支えます。 (    )
重点を置く対象 力を入れる方の状態を2〜3つに絞る 退院直後の方、医療的な処置が続く方、ご自宅での看取りを望む方を重点とします。 (    )
大切にする姿勢 職員が判断に迷ったときの拠り所になる言葉にする ご本人の言葉を記録に残し、ご家族の休息にも目を配ります。 (    )
連携の方針 主治の医師・病院・介護支援専門員との関わり方を書く 訪問看護計画書と報告書を主治の医師に届け、変化があればその日のうちに連絡します。 (    )
質の評価 基準省令第14条第2項(質の評価と改善)をどう行うかを書く 年に一度、利用者・ご家族と連携先から意見をいただき、運営に反映します。 (    )
職員の育成 第22条第3項(研修の機会)をどう確保するかを書く 年間の研修計画を立て、新しく入った看護職員には同行訪問の期間を設けます。 (    )
3年後の姿 規模ではなく、地域で果たしたい役割を書く 実施地域の病院と居宅介護支援事業所から、退院前の相談を受けられる関係をつくります。 (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

目的・理念の悪い例→良い例(6組)

欄 悪い例 何が足りないか 良い例(そのまま使える形)
開設の目的 「地域医療に貢献する」 誰の困りごとかが書かれていない 退院してご自宅に戻る方が、最初の1か月を不安なく過ごせるよう、退院前から病院と打ち合わせて訪問を始めます。
運営の方針 「利用者様第一で質の高いサービスを提供する」 何をもって質が高いとするかがない 主治の医師の指示書に沿った看護を行い、訪問ごとの観察の結果を記録書に残し、月ごとに報告書で主治の医師にお伝えします。
重点を置く対象 「すべての方に対応します」 人員や研修の計画とつながらない 重点は、在宅酸素や吸引など医療的な処置が続く方と、ご自宅での看取りを望む方とし、その看護に慣れた職員の採用と研修を優先します。
大切にする姿勢 「笑顔と思いやり」 職員が判断に使えない 迷ったときは、ご本人がどう言っていたかを記録で確かめ、ご本人の言葉に近い選択をします。
連携の方針 「多職種と連携する」 誰と、いつ、何で連携するかがない 介護支援専門員には訪問の翌営業日までに変化を伝え、担当者会議には管理者か担当の看護職員が出席します。
3年後の姿 「地域で一番のステーションになる」 比べる基準がなく、確かめられない 3年後には、実施地域の病院の退院支援の担当者から、退院前の打ち合わせに呼ばれる関係になっていることを目指します。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

地域の需要の調べ方|何を・どこで調べ、どう書くか(12項目)

需要の欄では、数字そのものより「どの資料の、いつ時点の数字か」を書いておくことが大切です。数字は資料の更新で変わるため、事業計画書には資料名・時点・確かめた日を残し、本文には見込みの考え方を書きます。下の表は調べる先の一覧で、数値は入れていません。

調べること 主な調べる先 事業計画書への書き方 貴事業所で確かめた資料・時点(記入欄)
実施地域の高齢者の人数と今後の見通し 市町村の介護保険事業計画(計画期間ごとに作られます) 資料名と計画期間を書き、見通しの傾向を文で書く (資料名  /時点  )
要介護・要支援の認定を受けている方の状況 市町村の介護保険事業計画、介護保険事業状況の報告 どの要介護度の方が多いかを書き、重点の対象とつなげる (    )
在宅医療・訪問看護の提供の状況 都道府県の医療計画(在宅医療の項)、地域包括ケアの資料 資料が示す課題を引き、自社が応える部分を書く (    )
地域の困りごと 地域包括支援センター、地域ケア会議の資料 聞き取った日・相手の職種と、聞いた内容を要約する (    )
病院からの退院の状況 実施地域の病院の地域連携・退院支援の担当者への聞き取り 聞き取った日・病院の数と、退院前の相談の流れを書く (    )
主治の医師になる診療所の状況 在宅医療を行う診療所への聞き取り、医師会の資料 連携を見込める診療所の数と、聞き取った要望を書く (    )
介護支援専門員の声 居宅介護支援事業所への聞き取り 訪問看護を頼みにくい理由として挙がったことを書く (    )
既にある訪問看護ステーション 介護サービス情報の公表の仕組み、指定権者の事業所一覧 数と所在の偏り、営業時間や対象の違いを事実として書く(他社の評価は書かない) (    )
実施地域の広さと移動 地図、道路事情、公共交通、冬季の状況 1件あたりの移動時間の見込みと、その根拠を書く (    )
小児・精神科など特定の分野の状況 都道府県の医療計画、障害福祉計画、関係機関への聞き取り 重点の対象に含める場合だけ、その根拠を書く (    )
職員の採用のしやすさ ハローワークの求人の状況、看護協会の資料、近隣の採用の聞き取り 採用の時期の見込みと、採れなかったときの対策を書く (    )
制度の改定の予定 報酬の改定に関する公表資料、指定権者の集団指導の資料 計画期間中に改定がある場合、見直しの時期を書く (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

実施地域は、基準省令第7条と第21条の運営規程の項目にも出てくる「通常の事業の実施地域」と同じ範囲で考えます。需要を調べた範囲と運営規程の実施地域がずれていると、利用者数の見込みの根拠が崩れます。運営規程の実施地域は、客観的に範囲が分かる書き方にしておきます。東京都が公表している運営指導の主な指摘事項(訪問看護)には、通常の事業の実施地域が客観的に特定できない規定になっている等の例が挙げられています。

需要の欄の悪い例→良い例(5組)

場面 悪い例 何が足りないか 良い例(そのまま使える形)
高齢化の書き方 「高齢化が進んでおり、需要は十分にある」 資料名・時点がなく、「十分」の根拠がない 市町村の介護保険事業計画(計画期間:  )によると、実施地域の高齢者は今後も増える見通しとされています。当ステーションはこのうち、医療的な処置が続く方を重点とします。
聞き取りの書き方 「ケアマネから訪問看護が足りないと聞いた」 誰から、いつ、何人に聞いたかがない  年 月に実施地域の居宅介護支援事業所( か所)の介護支援専門員に聞き取り、夕方以降の訪問と退院直後の受け入れに困っているという声が多く挙がりました。
既存の事業所の書き方 「近隣のステーションは対応が悪い」 他の事業所の評価を書いている 実施地域には訪問看護ステーションが か所あり、所在は地域の北側に偏っています(指定権者の事業所一覧、 年 月時点)。当ステーションは南側に拠点を置きます。
実施地域の書き方 「市内全域とその周辺」 「周辺」の範囲が分からない 通常の事業の実施地域は、 市( 地区を除く)及び 町とします。運営規程と重要事項説明書にも同じ範囲を記載します。
利用者数の見込み 「開設半年で利用者が十分に集まる見込み」 見込みの考え方がない 紹介元として見込む病院 か所・居宅介護支援事業所 か所からの月あたりの相談件数を、聞き取りの結果をもとに控えめに置き、月ごとの見込みを収支計画の表に記載しています。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

提供するサービス・人員・設備|基準省令の定めと記入欄

この3つの欄は、指定の申請の書類と最も重なるところです。事業計画書に書いた人員や設備が、勤務形態一覧表や平面図と食い違っていると、どちらが正しいのかを問われます。事業計画書の数字は、申請の書類と同じ前提で書きます。

提供するサービスの記入欄(介護保険・医療保険の別)(9欄)

訪問看護は、利用者の状態や主治の医師の指示などによって、介護保険から提供する場合と医療保険から提供する場合があります。どちらの保険で提供するかの取扱いは制度で定められており、利用者ごとに確かめが要ります。事業計画書では、両方を受けるのか、それぞれ何に重点を置くのかを書き、利用者数の見込みも保険の別に分けておくと、収支計画とのつながりが分かりやすくなります。医療保険側の手続について、基準省令第5条の2は、厚生労働大臣又は地方厚生局長若しくは地方厚生支局長に対する申請・届出等の手続を適正に行うことを定めています。

欄 介護保険で提供する部分 医療保険で提供する部分 貴事業所の計画(記入欄)
受けるかどうか 指定を受けて提供するか 医療保険の利用者を受けるか (介護: /医療: )
重点を置く利用者 要介護・要支援の認定を受けた方のうち、重点とする状態 主治の医師の指示のもと医療保険で訪問する方のうち、重点とする状態 (    )
介護予防の訪問看護 要支援の方への提供を行うか ― (    )
理学療法士等による訪問 行うか、行う場合の体制 行うか、行う場合の体制 (    )
緊急時の訪問 体制を取るか(加算の届出は別途検討) 体制を取るか(届出は別途検討) (    )
看取り期の支援 行うか、行う場合の体制 行うか、行う場合の体制 (    )
手続の窓口 指定権者(都道府県・指定都市等) 地方厚生局(又は地方厚生支局) (担当課  /確認日  )
利用者数の見込み 月ごとの見込み(収支計画の表と同じ数) 月ごとの見込み(収支計画の表と同じ数) (収支計画の表に記載)
保険外のサービス 行うか、行う場合の内容と料金表の有無 行うか、行う場合の内容と料金表の有無 (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

加算の届出を計画に入れる場合は、届出の要件と時期を指定権者・地方厚生局の資料で確かめたうえで、収支計画には「届出をした場合」と「しない場合」を分けて置いておくと、要件を満たせなかったときにも計画が崩れにくくなります。なお、介護保険法に基づく届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。

人員の計画の記入欄|基準の定めと貴事業所の計画(10欄)

人員の欄は「基準の定め」と「貴事業所の計画」を並べて書くと、読む人が満たしているかどうかを自分で確かめられます。基準の定めの列は、医療保険側の基準省令第2条・第3条の原文から引いています。介護保険の指定基準でも同様の人員の定めがありますので、指定権者の手引きでご確認ください。

欄 基準の定め(医療保険側・基準省令) 書き方 貴事業所の計画(記入欄)
看護職員の員数 勤務延時間数を、常勤の看護職員が勤務すべき時間数で除して得た数が二・五以上(第2条第1項第1号) 開設時と、計画期間の各時点での常勤換算の見込みを書く (開設時  /半年後  /1年後  )
常勤の看護職員 看護職員のうち一名は常勤(第2条第2項) 常勤の看護職員の人数と氏名(予定)を書く (  名)
常勤が勤務すべき時間数 常勤換算の分母になる時間数 就業規則で定める所定の時間数を書く (週  時間)
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 実情に応じた適当数(第2条第1項第2号) 置くかどうか、置く場合の人数と勤務形態を書く (    )
管理者 専らその職務に従事する常勤の管理者(第3条第1項)。保健師、助産師又は看護師(第3条第2項) 管理者予定者の資格・経験・兼務の有無を書く (資格  /兼務  )
管理者の知識・技能 適切な指定訪問看護を行うために必要な知識及び技能を有する者(第3条第3項) これまでの経験と、受ける予定の研修を書く (    )
事務職員 基準省令に員数の定めは見当たりません 請求・記録の管理を誰が担うかを書く (    )
勤務の体制 ステーションごとに勤務の体制を定める(第22条第1項) 月ごとの勤務表を作る担当と時期を書く (    )
提供する職員 当該ステーションの看護師等によって提供する(第22条第2項) 雇用の形と、他事業所との兼務の扱いを書く (    )
研修の機会 看護師等の資質の向上のため研修の機会を確保する(第22条第3項) 年間の研修の計画(内部・外部)を書く (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

東京都が公表している運営指導の主な指摘事項(訪問看護)には、看護職員を常勤換算2.5人以上確保していない、管理者が常勤でない、月ごとの勤務表を作成していない、職員の雇用の事実・勤務時間が不明確、といった例が挙げられています。事業計画書の段階で、常勤換算の見込みを月ごとに置き、勤務表と雇用の書類を誰がいつ整えるかまで書いておくと、開設後の運営とつながります。

採用の計画の記入欄(月別)

開設時に基準の員数を満たすことと、利用者の増え方に合わせて職員を増やすことは、別々に計画します。下の表は月ごとに空欄を置いた見本です。利用者数の見込みの欄は、収支計画の表と同じ数を入れてください。

時点 利用者数の見込み(収支計画と同じ数) 常勤の看護職員 非常勤の看護職員(常勤換算) 理学療法士等 常勤換算の合計(看護職員) 採用の動き
開設の3か月前 ― ( 名) (  ) ( 名) (  ) (求人の開始・面接)
開設の1か月前 ― ( 名) (  ) ( 名) (  ) (内定・研修の準備)
開設月 ( 名) ( 名) (  ) ( 名) (  ) (   )
3か月目 ( 名) ( 名) (  ) ( 名) (  ) (   )
6か月目 ( 名) ( 名) (  ) ( 名) (  ) (   )
9か月目 ( 名) ( 名) (  ) ( 名) (  ) (   )
12か月目 ( 名) ( 名) (  ) ( 名) (  ) (   )
2年目の終わり ( 名) ( 名) (  ) ( 名) (  ) (   )
3年目の終わり ( 名) ( 名) (  ) ( 名) (  ) (   )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

設備・備品の記入欄(10欄)

基準省令第4条は、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室を設けるほか、指定訪問看護の提供に必要な設備及び備品等を備えることを定めています。他の事業の事業所を兼ねる場合は、必要な広さの専用の区画を設けることで足りるとされています。具体的な広さや配置の考え方は指定権者の手引きに示されていることが多いため、手引きで確かめた内容を右端に書いてください。

欄 書き方 根拠の書類 貴事業所の計画(記入欄)
事務室 専用か、他事業所と兼ねて専用の区画とするか 平面図、賃貸借契約書 (専用/区画)
相談の場所 利用者・ご家族と話す場所の確保と、話が外に漏れない工夫 平面図 (    )
書類の保管 鍵のかかる書庫、保管の担当 平面図、備品の一覧 (    )
手指の衛生の設備 手洗いの場所、消毒の備品 平面図、備品の一覧 (    )
衛生材料・物品の保管 保管の場所と、在庫を確かめる担当 備品の一覧 (    )
訪問に持ち出す物品 訪問かばんの中身、点検の頻度 備品の一覧 (    )
移動の手段 車・自転車などの台数、駐車の場所 見積書・リース契約の案 (  台)
通信の手段 職員が持つ電話、緊急時に連絡を受ける端末 契約の案 (  台)
記録・請求の仕組み 記録の方法(紙・電子)と請求の方法 見積書 (    )
掲示とウェブサイト 重要事項を掲示する場所、ウェブサイトへの掲載(第24条) 平面図、ウェブサイトの案 (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

サービス・人員・設備の悪い例→良い例(6組)

欄 悪い例 何が足りないか 良い例(そのまま使える形)
提供するサービス 「訪問看護全般」 保険の別も重点もない 介護保険・医療保険の両方の利用者を受けます。重点は、退院直後の方と医療的な処置が続く方とし、利用者数の見込みは保険の別に分けて収支計画に記載します。
看護職員の員数 「看護師を数名採用予定」 常勤換算の見込みがない 開設時は常勤の看護師 名と非常勤の看護師 名(常勤換算 )で、看護職員の常勤換算の合計は とします。常勤が勤務すべき時間数は就業規則で週 時間と定めます。
管理者 「代表が管理者を兼ねる」 資格・常勤・兼務の扱いが書かれていない 管理者は看護師の (予定)が常勤で務めます。兼務の予定はありません。兼務を検討する場合は、管理上の支障の有無を指定権者に確かめてから決めます。
理学療法士等 「リハビリも対応可能」 人数・体制・看護職員との関わりがない 理学療法士を非常勤で 名置く予定です。理学療法士等が訪問する利用者についても、看護職員が状態を確かめる体制を取り、その方法は指定権者の資料で確かめたうえで運営規程に記載します。
事務室 「事務所あり」 専用か、広さ・区画の考え方がない 同じ建物の居宅介護支援事業所と兼ねるため、専用の区画を設けます。区画の範囲は平面図に示し、手引きで確かめた広さの考え方を添えます。
移動の手段 「車で訪問」 台数・駐車・利用者数とのつながりがない 開設時は車 台・自転車 台とし、利用者数の見込みが 名を超える時点で1台増やします。訪問先での駐車の場所は、契約の前にご家族と確かめます。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

理学療法士等による訪問について、愛知県が公表している主な指摘事項には、作業療法士による訪問看護を利用している方について、定期的に看護職員の訪問による評価を行うことに留意する旨が示されています。理学療法士等を置く計画にする場合は、看護職員の訪問をどう組み込むかまで人員の計画に入れておきます。

運営の体制|24時間の連絡・緊急時・記録・研修の考え方

運営の体制の欄は、運営規程の案と同じ中身を、事業計画書の読み手向けに説明する欄です。基準省令第21条が運営規程に定める8項目(事業の目的及び運営の方針/従業者の職種、員数及び職務の内容/営業日及び営業時間/指定訪問看護の内容及び利用料その他の費用の額/通常の事業の実施地域/緊急時等における対応方法/虐待の防止のための措置に関する事項/その他運営に関する重要事項)を骨組みにすると、運営規程と事業計画書が食い違いにくくなります。

24時間の連絡や緊急時の訪問をどうするかは、事業計画書の中で最も判断が要る欄です。基準省令第19条は、看護師等が提供中に利用者の病状の急変等が生じた場合に、速やかに主治の医師へ連絡して指示を求め、必要に応じて臨時応急の手当を行う等の措置を講じることを定めています。営業時間の外の連絡をどう受けるか、誰が電話を持つか、その職員の休みをどう確保するかは、人員の計画と収支計画の両方に関わります。体制を取る・取らない・いつから取るかを決め、その理由を書いておきます。

運営の体制の記入欄(14欄)

欄 関係する条(医療保険側) 書き方 貴事業所の計画(記入欄)
営業日・営業時間 第21条第3号 曜日・時間と、祝日・年末年始の扱い (    )
営業時間外の連絡 第21条第6号、第19条 連絡を受ける体制を取るか、取る場合の電話の持ち方と交代の仕方 (    )
緊急時の訪問 第21条第6号、第19条 訪問の判断を誰がするか、主治の医師への連絡の順番 (    )
緊急時の訪問をする職員の休み 第22条第1項 翌日の勤務の調整、待機の回数の上限 (    )
主治の医師との連携 第16条 指示書を受ける流れ、計画書・報告書の提出の方法 (    )
契約と説明 第5条 重要事項説明書を誰がどこで説明するか (    )
受け入れの判断 第6条、第7条 受けられないときに主治の医師へ連絡し、他の事業者を紹介する流れ (    )
記録と保管 第30条 記録の方法、保管の場所、保存の期間(医療保険側は完結の日から二年間。介護保険側は条例等で確認) (    )
研修 第22条第3項 年間の研修計画と、新しく入った職員の同行の期間 (    )
業務継続計画 第22条の2 感染症・災害それぞれの計画、研修・訓練の時期、見直しの時期 (    )
虐待の防止 第21条第7号 運営規程に書く措置の内容、担当者 (    )
苦情・事故 第27条、第28条 受付の窓口、記録、保険の加入、安全管理の体制 (    )
秘密保持 第25条 在職中・退職後の秘密保持の取り決め、個人情報の同意の取り方 (    )
会計の区分 第29条 ステーションごとの経理の区分、他の事業との会計の区分 (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

公表されている指摘事例から見る運営の体制の書き漏れ(10件)

開設後の運営指導で指摘されやすい点は、事業計画書の段階で手当てしておくと防ぎやすくなります。下の表は、当社が確認した自治体の公表資料のうち、訪問看護に関するものを、事業計画書のどの欄で手当てするかに並べ直したものです。

公表資料 資料に挙げられている例 事業計画書で手当てする欄 貴事業所の手当て(記入欄)
東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) 看護職員を常勤換算2.5人以上確保していない 人員の計画(月ごとの常勤換算の見込み) (    )
東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) 管理者が常勤でない 人員の計画(管理者の勤務形態) (    )
東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) 月ごとの勤務表を作成していない 運営の体制(勤務表を作る担当と時期) (    )
東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) 職員の雇用の事実・勤務時間が不明確 人員の計画(雇用の書類・就業規則の整備) (    )
東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) 運営規程に利用料等が規定されていない 運営の体制(運営規程の案) (    )
東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) 通常の実施地域内で交通費を徴収していた 提供するサービス(その他の費用の考え方) (    )
愛知県「主な指摘事項(令和7年度版)」 交通費の算定の起点が「事業所から」になっている(運営規程・重要事項説明書を改めるよう示されている) 運営の体制(運営規程・重要事項説明書の案) (    )
東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) 業務継続計画(BCP)の策定・研修訓練を実施していない リスクと対策(業務継続計画) (    )
東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) 虐待防止の体制(委員会・指針・研修・担当者)が未整備 運営の体制(虐待の防止) (    )
東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) 守秘義務の取り決め・個人情報同意が不十分 運営の体制(秘密保持) (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

運営の体制の悪い例→良い例(6組)

欄 悪い例 何が足りないか 良い例(そのまま使える形)
営業時間外の連絡 「24時間365日対応」 誰がどう受けるか、職員の休みが書かれていない 営業時間外は、看護職員が交代で連絡用の電話を持ちます。待機は1人あたり月 回までとし、待機の翌日は午前の訪問を入れないよう勤務表で調整します。体制を取り始める時期は、看護職員が 名になった時点とします。
緊急時の訪問 「緊急時は臨機応変に対応」 判断の順番がない 連絡を受けた職員は、まずご本人・ご家族から状態を聞き取り、主治の医師へ連絡して指示を求めます。訪問するかどうかは、指示と状態をもとに受けた職員が判断し、迷うときは管理者に相談します。
主治の医師との連携 「医師と密に連携」 何を、いつ、どの方法で届けるかがない 訪問の開始前に指示書を文書で受け、訪問看護計画書と報告書は毎月、主治の医師に提出します。状態の変化は、その日のうちに電話で伝え、記録書に連絡の時刻と内容を残します。
研修 「研修を充実させる」 内容・時期・対象がない 年間の研修計画を年度の初めに作り、感染症・災害の業務継続計画、虐待の防止、個人情報の取扱いを含めます。新しく入った看護職員は、最初の 週間を同行訪問の期間とします。
記録と保管 「記録は適切に保管」 保存の期間と場所がない 訪問看護記録書・指示書・計画書・報告書は、鍵のかかる書庫(電子の場合は権限を絞った保存先)で保管します。保存の期間は、医療保険側の基準(完結の日から二年間)と、介護保険側の条例等で確かめた期間の長いほうに合わせます。
会計の区分 「法人で一括して経理」 ステーションごとの区分がない 経理はステーションごとに区分し、法人が行う他の事業とは会計を分けます。共通でかかる費用は、按分の考え方を決めて毎年同じ方法で配分します。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

収支計画・資金計画の欄の作り方|金額を入れる前に決める欄と根拠

収支計画は、事業計画書の中で金融機関や出資者が最も時間をかけて読む欄です。ここでは金額・単価・利益率の数字は書かず、どんな欄を置き、それぞれの数字をどこから取り、どう説明するかだけを示します。数字は、報酬の告示や算定の資料、見積書、給与規程など、手元の資料から自社で置いてください。見込みの置き方が妥当かどうかは、金融機関や税理士などの専門家にご確認ください。

収支計画の数字は、すべて「利用者数の見込み」から始まります。利用者数の見込みが需要の欄の聞き取りとつながっていないと、収入の欄も人員の欄も根拠を失います。まず利用者数の見込みの表を作り、そこから収入、人員、支出の順に組み立てます。

利用者数と訪問の見込みの記入欄(月別)

時点 新規の利用者 終了した利用者 月末の利用者(介護保険) 月末の利用者(医療保険) 月の訪問回数の見込み 見込みの根拠
開設月 ( 名) ( 名) ( 名) ( 名) ( 回) (紹介元・聞き取りの結果)
2か月目 ( 名) ( 名) ( 名) ( 名) ( 回) (   )
3か月目 ( 名) ( 名) ( 名) ( 名) ( 回) (   )
4か月目 ( 名) ( 名) ( 名) ( 名) ( 回) (   )
5か月目 ( 名) ( 名) ( 名) ( 名) ( 回) (   )
6か月目 ( 名) ( 名) ( 名) ( 名) ( 回) (   )
9か月目 ( 名) ( 名) ( 名) ( 名) ( 回) (   )
12か月目 ( 名) ( 名) ( 名) ( 名) ( 回) (   )
2年目(月平均) ( 名) ( 名) ( 名) ( 名) ( 回) (   )
3年目(月平均) ( 名) ( 名) ( 名) ( 名) ( 回) (   )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

「終了した利用者」の欄を置いておくことが大切です。入院・施設への入所・看取りなどで利用が終わる方は一定の割合でいるため、新規の利用者だけを積み上げると見込みが実態より大きくなります。終了の見込みは、聞き取りや法人の他の事業所の実績など、根拠のある数で置きます。

収支計画の欄の一覧|欄の名前・書き方・根拠の取り方(16欄)

区分 欄の名前 書き方 根拠の取り方 貴事業所の根拠資料(記入欄)
収入 介護保険の収入 利用者数×訪問回数×報酬の見込みで、月別に置く 報酬の告示・算定の資料。加算は届出をする予定のものだけを分けて置く (    )
収入 医療保険の収入 利用者数×訪問回数×療養費の見込みで、月別に置く 訪問看護療養費の告示・算定の資料 (    )
収入 利用者の負担分 保険の収入と分けて置くか、合わせて置くかを決めて書く 負担の割合の考え方は制度の資料で確かめる (    )
収入 保険外の収入 行う場合だけ、内容と見込みを分けて書く 料金表の案 (    )
収入 その他の収入 補助金・助成金を見込む場合は、採択前提にしない置き方にする 公募要領(採択されない場合の計画も別に置く) (    )
支出 人件費 人員の計画の表と同じ人数で、職種・勤務形態ごとに置く 給与規程・内定者の労働条件 (    )
支出 法定福利費 人件費と別の欄にする 社会保険・労働保険の料率の資料 (    )
支出 待機・時間外の手当 営業時間外の連絡体制を取る場合に置く 給与規程・待機の回数の見込み (    )
支出 地代家賃 事務室・駐車場を分けて置く 賃貸借契約の案 (    )
支出 車両の費用 リース・燃料・保険・駐車を分けて置く 見積書 (    )
支出 通信・記録・請求の仕組み 電話・端末・ソフトの費用を置く 見積書 (    )
支出 衛生材料・消耗品 利用者数に合わせて増える費用として置く 見積書・購入の予定 (    )
支出 研修・採用の費用 研修の計画と採用の計画に合わせて置く 研修の案内・求人の見積 (    )
支出 保険料 賠償責任の保険など、事故の対応に備える保険(第28条第2項) 見積書 (    )
支出 本部の費用の按分 法人で共通の費用を配分する場合、按分の考え方を書く 会計の区分の方針(第29条) (    )
結果 月ごとの収支と累計 月ごとの差と、開設からの累計を置く 上の欄の合計 (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

資金計画の欄の一覧(11欄)

資金計画は「開業までに要るお金」と「開業してから収入が入るまでの間を支えるお金」に分けて考えます。介護保険・医療保険の収入は、サービスを提供した月より後に入金される仕組みのため、開設してしばらくは支出が先に出ていきます。いつ、どれだけ手元のお金が減るかを月別の表で見えるようにしておくと、金融機関との相談がしやすくなります。入金の時期の詳しい流れは、請求先の資料でご確認ください。

区分 欄の名前 書き方 根拠の書類 貴事業所の記入欄
開業前の支出 物件の取得・内装 敷金・礼金・仲介・内装を分けて置く 賃貸借契約の案・見積書 (    )
開業前の支出 備品・車両 備品の一覧と同じ品目で置く 見積書 (    )
開業前の支出 開業前の人件費・採用費 開設前に雇う職員の給与と研修の期間を置く 採用の計画・内定者の労働条件 (    )
開業前の支出 法人の設立・手続の費用 専門家に依頼する場合の報酬を含めて置く 見積書 (    )
運転資金 入金までの期間の支出 開設月から入金が安定するまでの月ごとの支出を置く 収支計画の表 (    )
運転資金 予備の資金 利用者の増え方が見込みより遅いときの備えを置く 収支計画の控えめな場合の表 (    )
出どころ 自己資金 出資・手元の資金の額と、その裏づけ 預金の残高の書類 (    )
出どころ 借入 借入先・返済の期間と開始の時期(金融機関と相談した内容) 金融機関との相談の記録 (    )
出どころ 補助金・助成金 採択前提にしない。入金の時期が後になることも書く 公募要領 (    )
返済 月ごとの返済額と返済後の手元資金 収支計画の月ごとの差から返済できるかを示す 収支計画の表・返済の予定表 (    )
見直し 手元の資金が下回ったら動く線 手元の資金がいくらを下回ったら、誰に相談し何を見直すかを書く 法人の決裁の規程 (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

収支計画・資金計画の悪い例→良い例(7組)

欄 悪い例 何が足りないか 良い例(そのまま使える形)
利用者数の見込み 「毎月5名ずつ増える」 根拠と終了の見込みがない 新規の利用者は、聞き取りで相談を見込めた紹介元からの件数を控えめに置き、終了の利用者も月ごとに置いています。根拠は需要の欄の聞き取りの記録です。
収入の見込み 「平均単価×訪問回数」 保険の別と、加算の扱いが分からない 介護保険と医療保険を分け、それぞれ報酬の告示と算定の資料から置いています。加算は届出を予定しているものだけを別の行に置き、届出をしない場合の収支も並べています。
人件費 「人件費は売上の一定割合」 人員の計画とつながらない 人件費は人員の計画の表と同じ人数・勤務形態で積み上げ、給与規程と内定者の労働条件から置いています。法定福利費と待機の手当は別の欄に分けています。
開設直後の資金 「初月から黒字化」 入金の時期を考えていない 保険の収入はサービスを提供した月より後に入るため、開設月から入金が安定する月までの支出を運転資金として置いています。月ごとの手元資金の推移は資金計画の表に示しています。
補助金 「補助金で設備費をまかなう」 採択されない場合が考えられていない 補助金は申請を予定していますが、資金計画は採択されない場合で組んでいます。採択された場合は、借入の一部を繰り上げて返済する予定です。
控えめな場合 「計画どおりに進む」 見込みが外れたときの表がない 利用者の増え方が見込みの半分の速さだった場合の収支と資金の推移も別表で示し、その場合に見直す支出の順番を書いています。
見直しの線 (記載なし) いつ動くかが決まっていない 手元の資金が資金計画で定めた線を下回った月は、翌月までに管理者と法人の代表者で支出と採用の計画を見直し、金融機関に相談します。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

リスクと対策・見直しの手順|想定する困りごと12件と年間の見直し表

リスクの欄は「起きるかもしれないこと」を並べるだけでなく、起きたことにいつ気づくか(目印)と気づいたら何をするか(対策)を組にして書きます。目印が書かれていると、読む人は計画が外れたときにも立て直せる計画だと判断しやすくなります。

想定する困りごとと対策の記入欄(12件)

想定する困りごと 気づく目印 対策の例 関係する欄 貴事業所の対策(記入欄)
看護職員が退職し、常勤換算が下がる 退職の申し出、月ごとの常勤換算の確認 採用の動きを前倒しする。基準の員数を下回るおそれがあるときは指定権者に相談する 人員の計画 (    )
管理者が長く休む 休みの申し出 代わりに管理を担う職員を前もって決め、指定権者への手続の要否を確かめる 人員の計画 (    )
利用者の増え方が見込みより遅い 月ごとの新規の利用者が見込みを下回る 紹介元への訪問の計画を見直し、支出の見直しの順番に沿って動く 収支計画 (    )
利用者が急に増え、職員が足りない 受け入れを断る件数が増える 受け入れの判断の基準を決め、断るときは第7条の流れで主治の医師へ連絡し他の事業者を紹介する 運営の体制 (    )
営業時間外の連絡が重なり、職員が疲れる 待機の回数、待機の翌日の休みの取得の状況 待機の回数の上限を守り、上限を超える月は体制を見直す 運営の体制・人件費 (    )
感染症の流行で訪問できる職員が減る 職員の体調不良の報告 業務継続計画(感染症)に沿って、優先して訪問する方を決める リスクと対策(第22条の2) (    )
災害で訪問できない 気象の警報、道路の通行止め 業務継続計画(災害)に沿って安否を確かめる順番を決める リスクと対策(第22条の2) (    )
訪問中の事故 事故の報告 連絡・記録・賠償の流れを決め、保険に加入する(第28条) 運営の体制・保険料 (    )
個人情報の漏えい 端末・書類の紛失の報告 持ち出しの台帳、端末の鍵、紛失時の連絡の順番を決める 運営の体制(秘密保持) (    )
請求の誤り・返戻 返戻・査定の通知 請求の前に記録と照らし合わせる担当を決める 運営の体制(記録) (    )
制度の改定で収入の見込みが変わる 改定の公表 改定が公表された時点で収支計画を引き直す 収支計画 (    )
手元の資金が減る 資金計画で定めた線を下回る 見直しの線に沿って、管理者と法人の代表者で計画を見直し、金融機関に相談する 資金計画 (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

年間の見直し表(記入欄)

事業計画書は作って終わりではなく、実績と並べて見直すことで役に立ちます。下の表は、見直しの時期と見る数字・担当を書き込む見本です。時期は法人の決算や年度の区切りに合わせて決めてください。

時期 見る数字・書類 見直すこと 担当 実施した日(記入欄)
毎月 利用者数・訪問回数・常勤換算・手元の資金 見込みとのずれ、採用の動き (  ) (  )
3か月ごと 収支の累計、紹介元ごとの相談件数 紹介元への訪問の計画、支出の見直し (  ) (  )
半年ごと 研修・訓練の実施の記録、苦情・事故の記録 研修の計画、運営の体制 (  ) (  )
年度の終わり 1年分の実績、利用者・ご家族と連携先の意見 次年度の事業計画、質の評価と改善(第14条第2項) (  ) (  )
業務継続計画の見直しの時期 訓練の結果、職員・利用者の変化 業務継続計画の変更(第22条の2第3項) (  ) (  )
制度の改定の公表時 改定の資料 収支計画・運営規程・重要事項説明書 (  ) (  )
人員・営業時間・実施地域を変えるとき 運営規程、勤務形態一覧表 指定権者・地方厚生局への手続の要否 (  ) (  )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

運営規程の内容を変えるときは、指定権者や地方厚生局への手続が要るかどうかを、それぞれの手引き・資料でご確認ください。事業計画書と運営規程・重要事項説明書・掲示の内容は、変えるたびに同じ日にそろえておくと、書類どうしの食い違いを防げます。

よくある質問

訪問看護ステーションの事業計画書と訪問看護計画書は同じものですか。

別の書類です。事業計画書は、ステーションという事業の目的・地域の需要・人員・設備・運営の体制・収支・資金・リスクをまとめる経営の書類です。訪問看護計画書は、利用者お一人ごとに療養上の目標と具体的な看護の内容を定めるケアの計画で、医療保険側の基準省令では第17条に作成の定めがあります。

事業計画書には決まった様式がありますか。

当社が確認した医療保険側の基準省令には、事業計画書という書類の定めは見当たりません。指定の申請の手引きで事業計画の提出や様式を示している指定権者や、独自の様式を用意している金融機関もあるため、出す相手の様式があればそれに従い、無ければこの記事の10項目の目次を使って作ることをおすすめします。

人員の欄には何を根拠に書けばよいですか。

医療保険側の基準省令第2条は、看護職員の勤務延時間数を常勤の看護職員が勤務すべき時間数で除して得た数が二・五以上となる員数とし、うち一名は常勤と定めています。第3条は常勤の管理者を置くことを定めています。介護保険の指定基準でも同様の人員の定めがありますので、指定権者の手引きでご確認のうえ、基準の定めと貴事業所の計画を並べて書いてください。

収支計画の金額はどうやって決めればよいですか。

収入は利用者数の見込みと訪問回数に、報酬の告示や算定の資料から置いた見込みを掛けて、介護保険と医療保険を分けて置きます。支出は人員の計画・見積書・給与規程から積み上げます。見込みの置き方が妥当かどうか、融資の相談に足りるかどうかは、金融機関や税理士などの専門家にご確認ください。

事業計画書はいつ見直せばよいですか。

毎月、利用者数・訪問回数・常勤換算・手元の資金を見込みと比べ、ずれが続くときに見直します。あわせて年度の終わり、制度の改定が公表されたとき、人員・営業時間・実施地域を変えるときも見直しの時期です。運営規程を変える場合は、指定権者や地方厚生局への手続の要否をそれぞれの資料でご確認ください。

事業計画書で決めた運営の体制は、開設後は一人ひとりの利用者のケアの計画である訪問看護計画書と、日々の記録に引き継がれていきます。訪問看護計画書の書き方、機能強化型の訪問看護ステーションの考え方、緊急時の訪問に関わる加算の要件、業務継続計画の書き方は、それぞれ別の記事で扱っていますので、あわせてご覧ください。

出典

出典:各自治体が公表している運営指導・集団指導の資料/公共データ利用規約(第1.0版)

本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

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介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

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