介護の現場で「これ、毎回困るな」「もっとこうしたら楽なのに」と感じたことを、1枚の紙や画面に短く書いて集める用紙を、本記事では気づきシートと呼びます。業務改善というと、大きな計画や提案書を思い浮かべがちですが、その手前には必ず、現場の職員が日々の介助や記録の中で感じている小さな引っかかりがあります。気づきシートは、その引っかかりを消えないうちに書き留め、集め、話し合いの材料にするための道具です。
ところが実際には「書いてと言われても何を書けばよいかわからない」「書いたけれど返事がない」「愚痴の紙になってしまった」という声もよく聞かれます。原因の多くは、欄の意味がそろっていないこと、書いた後の流れが決まっていないことにあります。本記事では、気づきシートの欄ごとの書き方と完成文、記録・申し送り・移乗・入浴・食事・送迎・夜勤・物品・情報共有などの場面別の記入例、ありがちな一行の書き直し、集めたシートの分類・優先度付け・会議での扱い方、そして印刷して使える空欄の様式を、表を中心に整理しました。
集めた気づきを具体的な改善策に育てる段階は、当社の記事「業務改善提案書の例文と書き方」で、他の事業所の取り組みの例は「介護の業務改善事例68件」で扱っています。本記事はその手前の、現場の気づきを1枚に書く→集める→業務改善につなげるところに絞っています。記入例に出てくる時刻・回数・出来事はすべて架空です。数字は書き方の例であり、目安や基準ではありません。
気づきシートの欄|12欄の書き方と完成文・記入欄の対照表
気づきシートの欄は、少なすぎると「何が起きたのか」が伝わらず、多すぎると書くのが面倒になって集まらなくなります。下の表は、現場で書きやすく、あとから読む人が判断しやすい欄を12に整理したものです。全部を必須にする必要はありません。「気づいたこと」「なぜそう思ったか」「どうしたらよいか」の3欄を中心に置き、残りは選んで使ってください。右端の列は、貴事業所での決めを書き込む欄です。
| 欄 | 書くこと | 完成文の例 | 貴事業所の決め(記入欄) |
|---|---|---|---|
| 記入日・時刻 | 気づいた日と、おおよその時刻。書いた日と違うときは気づいた日を優先 | 11月5日(水)7:40ごろ(夜勤明けの申し送り前) | |
| 記入者 | 名前を書くか、職種だけにするかを事業所で決める | 介護職員(日勤)/無記名を選択 | |
| 場面(業務の区分) | どの業務の途中で気づいたか。区分を選ぶ形にすると集計しやすい | 申し送り(夜勤→日勤) | |
| 場所 | フロア・部屋の種類・車内・利用者宅など。利用者が特定される書き方は避ける | 2階 東側の汚物処理室前 | |
| 関わった人 | 職種と人数。利用者は「利用者1名」のように書き、氏名は書かない | 介護職員2名・看護職員1名・利用者1名 | |
| 気づいたこと(事実) | 見たこと・起きたことを、回数・時間・量をそえて書く。感想はここに入れない | 申し送りが7:30開始の予定だったが、7:52に始まり、8:15まで続いた。夜勤者2名とも8:00の退勤予定を過ぎた | |
| どのくらい起きているか | 今回だけか、繰り返しか。自分が見た範囲で書く | 自分が夜勤明けの日(今月4回)のうち3回、8:00を過ぎた | |
| なぜそう思ったか(理由・影響) | 困ったこと、危ないと思ったこと、利用者への影響を書く | 日勤者が朝食の配膳に入るのが遅れ、配膳を待つ利用者が食堂で10分以上座ったままだった | |
| どうしたらよいか(案) | 思いついた案。案がなければ「案なし」でよい | 申し送りを「変化のあった人だけ口頭、それ以外は記録を読む」に分けてはどうか | |
| 優先度(書いた人の見立て) | 高・中・低から選ぶ。決めるのは受け付けた側なので、見立てとして書く | 中(毎回起きるが、危険は少ない) | |
| 共有したい相手 | この気づきを誰に知ってほしいか | フロアリーダー・夜勤担当の職員全員 | |
| 受付欄(受け付けた側が書く) | 受付日・受付者・区分・優先度・返事の日と内容 | 11月6日受付(リーダー)/区分:情報共有/優先度:中/11月12日の会議で検討 |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
欄を書くときによくある迷いと、決め方の例
欄の意味が職員ごとにばらつくと、集めたときに比べられません。次の迷いは、導入の初めによく出てきます。決めたことは様式の裏面や記入例と一緒に掲示しておくと、迷いが減ります。
| よくある迷い | 決め方の例 | 貴事業所の決め(記入欄) |
|---|---|---|
| 気づいたのが数日前で、日付があいまい | 「11月第1週ごろ」のように幅で書いてよいとする。思い出せないことを理由に書くのをやめない | |
| 名前を書くと出しにくい | 記名と無記名を選べるようにする。返事を個別に受け取りたい人だけ記名する形にする | |
| 「気づいたこと」と「なぜそう思ったか」が混ざる | 前者は見たこと・数えたこと、後者は自分の考えと決める。記入例を並べて掲示する | |
| 案が思いつかないと出してはいけない気がする | 案の欄は空欄でよいと様式に明記する。案を考えるのは集めた後の仕事と位置づける | |
| 同じことを前にも書いた | 何度でも出してよいとする。同じ気づきが何枚も出ること自体が、優先度を決める材料になる | |
| 他の職員のやり方への不満に見える | 人ではなく、手順・物・時間・場所のどこで困ったかを書くと決める | |
| 利用者の様子を書いてよいか迷う | 氏名・居室番号は書かず「利用者1名」「車いすの方」などにとどめる。個別の様子はケース記録に書く | |
| ヒヤリとした出来事だった | ヒヤリハット報告書・事故報告書の対象になるかを先に確かめ、そちらを優先する。気づきシートには「仕組みの気づき」だけを書く | |
| 優先度の高・中・低がわからない | 「利用者の安全に関わる」「毎日起きる」「時間がかかる」の3つの目安を様式に載せる | |
| 書く時間がない | 1枚3行でもよいとする。記録システムやスマートフォンから書ける窓口を用意する事業所もある |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
気づきシートと、ヒヤリハット報告書・事故報告書・業務改善提案書との違い
気づきシートを始めると、ほかの用紙との境目で迷う職員が出てきます。とくにヒヤリハット報告書・事故報告書は、事業所の規程や保険者の事故報告の取り扱いに沿って書くもので、気づきシートで代わりにすることはできません。下の表は、4つの用紙の役割を並べたものです。境目の決め方は事業所によって異なるので、右端の列に貴事業所の決めを書き込んでください。
| 項目 | 気づきシート | ヒヤリハット報告書 | 事故報告書 | 業務改善提案書 | 貴事業所の決め(記入欄) |
|---|---|---|---|---|---|
| 何を書くか | 業務のやりにくさ・むだ・不安・「こうしたら」の思いつき | 事故には至らなかったが、事故になりそうだった出来事 | サービス提供中に起きた事故の状況と対応 | 気づきをもとに、原因と具体的な改善策をまとめたもの | |
| 誰が書くか | 職員の誰でも | その場にいた職員 | その場にいた職員・管理者 | 提案する職員・係・委員会 | |
| いつ書くか | 気づいたとき。締め切りはない | 出来事の後、事業所の決めた期限まで | 事故の後、事業所の規程と保険者の取り扱いに沿って | 気づきを集めて検討した後 | |
| 書く量 | 3行から1枚 | 様式に沿って1枚 | 様式に沿って(保険者の様式を使う場合もある) | 1〜2枚。現状の数字・試し方まで | |
| 集めた後の行き先 | リーダー・係が分類し、会議で扱う | 事故防止の委員会などで分析する | 管理者が確認し、必要に応じて保険者・家族へ報告する | 会議・委員会で判断し、試行する | |
| 名前の扱い | 無記名を認める事業所が多い | 事業所の決めによる | 記録者を残す | 提案者を残すことが多い | |
| 迷ったとき | 安全に関わる出来事なら、先に右の2つを確かめる | 事故かヒヤリかの振り分けは事業所の基準で | 報告の範囲は保険者の事故報告要領を確認 | 気づきが1枚だけでも提案にしてよい |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
場面別の記入例|記録・申し送り・移乗・入浴・食事・送迎・夜勤・物品・情報共有の48例と1枚の完成例3枚
ここからが記入例の本体です。各行は、気づきシートの中心となる「気づいたこと(事実)」「なぜそう思ったか」「どうしたらよいか(案)」「優先度の見立て」をそのまま書き写せる形にしています。時刻や回数は架空の例なので、貴事業所で見たこと・数えたことに置き換えてください。1行ごとに、違う場面の違う気づきを入れています。
記録・申し送り・情報共有の記入例(8例)
| 場面 | 気づいたこと(事実) | なぜそう思ったか | どうしたらよいか(案) | 優先度の見立て |
|---|---|---|---|---|
| ケース記録の入力 | 日勤の終わり(16:30〜17:00)に記録をまとめて入力する職員が多く、今週は記録用の端末2台の前で3回、順番待ちになった | 待っている間に退勤時刻を過ぎ、記録が翌日に回った日が1回あった | 介助の合間にその場で短く入力できるよう、携帯できる端末を1台増やすか、入力の時間帯をずらす | 中 |
| 記録の書き方 | 同じ利用者の同じ日の排泄記録が、職員によって「多量」「普通」「++」と3通りの書き方になっていた | 次の勤務者が量の変化を比べられず、看護職員に聞き返す場面が2回あった | 量の書き方を3段階に決め、見本の写真か図を記録室に貼る | 中 |
| 夜勤→日勤の申し送り | 申し送りで全員の様子を順に読み上げており、7:30開始が8:10終了と40分かかった。変化のなかった利用者の分が半分以上だった | 夜勤者の退勤が遅れ、日勤者の朝の介助への入りも遅れる | 変化のあった人だけ口頭で伝え、それ以外は記録を読むことにする | 中 |
| 申し送りの抜け | 午前中に看護職員から「昼食後の服薬を1包減らす」と口頭で聞いたが、午後の担当者には伝わっておらず、14:00に私が気づいて伝えた | 服薬に関わることが口頭だけで伝わると、間違いにつながりかねない | 薬の変更は口頭に加えて申し送り簿の赤字欄に書く、と決める | 高 |
| 連絡帳(通所) | 連絡帳に家族からの質問が書かれていたが、返事の担当が決まっておらず、今月2件が翌回の利用日まで返事なしになっていた | 家族が同じ質問を電話でかけ直してきた | 連絡帳の質問は送迎担当が朝に拾い、相談員に回す流れにする | 中 |
| 電話の伝言 | 不在の職員あての電話をメモ用紙に書いて机に置いたが、その職員が翌日まで気づかなかったことが今週2回あった | 折り返しが遅れ、相手から再度の電話があった | 伝言はホワイトボードの個人欄に書き、読んだら消す | 低 |
| 会議の決定事項 | 先月の会議で決めた「おむつ交換の時刻の変更」を、夜勤専従の職員2名が知らなかった | 会議に出ていない職員に決まったことが届く仕組みがない | 会議の決定事項を1枚にまとめ、出勤時に読んだら印をつける表を作る | 中 |
| 記録の二重書き | バイタルを紙のチェック表に書いた後、同じ数字を記録システムにも入力している。1回の入浴前測定で、10名分を2回書いている | 写し間違いが起きる余地があり、時間もかかる | 紙をやめて直接入力できるか、端末の置き場所とあわせて相談したい | 中 |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
移乗・入浴・排泄・食事の記入例(8例)
| 場面 | 気づいたこと(事実) | なぜそう思ったか | どうしたらよいか(案) | 優先度の見立て |
|---|---|---|---|---|
| ベッドから車いすへの移乗 | 朝の離床介助(7:00〜8:00)で、体の大きい利用者1名の移乗を1人で行っており、今週は腰に痛みを感じた日が2日あった | 職員の腰痛が続くと休みにつながる。利用者にとっても1人介助は不安定 | この時間帯だけ2人で行うか、移乗の福祉用具が使えるか検討してほしい | 高 |
| 移乗用具の置き場所 | スライディングボードが1枚しかなく、使いたいときに別のフロアに取りに行くことが1日に3〜4回あった | 取りに行く間に用具を使わず抱えて移乗してしまう職員がいる | フロアごとに1枚ずつ置き、置き場所を決める | 中 |
| 入浴の準備 | 入浴日の9:00から、着替え・タオル・保湿剤を利用者ごとに居室へ取りに行っており、10名分の準備に約30分かかった | 準備中は浴室の見守りが1名になる | 前日の夕方に利用者ごとの入浴セットを袋にまとめておく | 中 |
| 浴室の温度 | 冬場の朝一番の入浴で、脱衣所の温度計が16℃だった。浴室との差が大きいと感じた | 入浴前後の体調の変化が心配 | 最初の入浴の30分前に脱衣所の暖房を入れる係を決める | 高 |
| 排泄介助の物品 | 夕方の排泄介助(17:00〜18:00)で、パッドとおしり拭きを汚物処理室まで取りに戻ることが1回の巡回で2〜3回あった | 取りに戻る間、トイレ内の利用者を待たせることになる | 各トイレに1日分の物品を置く棚を付ける | 中 |
| 排泄の時刻 | 決まった時刻のトイレ誘導で、誘導しても出ない利用者が多い時間帯がある。15:00の誘導では8名中6名が「出ない」だった | 誘導の手間がかかるうえ、利用者も何度も立ち上がることになる | 排泄の記録を1週間並べて、誘導の時刻を人ごとに見直してはどうか | 中 |
| 食事の配膳 | 昼食の配膳で、食形態(常食・きざみ・ミキサー)の札がトレーの下に隠れ、配る前に確認し直すことが今日だけで4回あった | 配り間違いはむせなどにつながるおそれがある | 食形態の札をトレーの手前の見える位置に立てる形にする | 高 |
| 食事介助の人数 | 昼食時(12:00〜12:40)に食事介助の必要な利用者が5名いるが、介助に入れる職員が2名で、最後の方の食事が12:30から始まった | 待っている間に食事が冷め、食べる量が減っているように見える | 配膳の順番を介助の要る方から先にするか、休憩の時間をずらして介助の手を増やす | 中 |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
送迎・夜勤・物品・環境の記入例(8例)
| 場面 | 気づいたこと(事実) | なぜそう思ったか | どうしたらよいか(案) | 優先度の見立て |
|---|---|---|---|---|
| 送迎の順番(通所) | 朝の送迎で、同じ地区の利用者2名が別々の車の便になっており、1台がその地区を2回通っていた | 到着が遅れ、9:30開始の体操に間に合わない利用者がいた | 送迎表を作るときに地図で地区ごとに並べて確認する | 中 |
| 送迎時の連絡 | 欠席の連絡が朝8:00以降に事務所へ入ったとき、すでに出発した運転手へ伝わらず、空振りで迎えに行ったことが今月2回あった | ほかの利用者の到着も遅れた | 出発後の欠席連絡は事務所から運転手の携帯電話に必ず連絡する、と決める | 中 |
| 夜勤の巡回 | 夜間の巡回を2時間ごとに全室で行っているが、熟睡している利用者の部屋のドアを開ける音で起きてしまう方が今週2名いた | 眠りを妨げると、翌日の日中に眠くなる様子が見られた | 巡回の方法を人ごとに決め、記録に残す。見守り機器が使えるかも相談したい | 中 |
| 夜勤の休憩 | 夜勤で2時から3時の休憩が予定どおり取れたのは、今月の私の夜勤6回のうち2回だった | 休憩が取れないと明け方に集中が落ちる | 休憩中に呼ばれたときの代わりの対応を、もう1名の夜勤者と決めておく | 高 |
| 物品の在庫 | 手袋のMサイズが金曜の夕方に切れ、土日はLサイズで対応した。発注は担当者1名だけが知っている | 担当者が休むと切れる | 棚に「残り2箱で発注」の札を付け、誰でも発注票に書けるようにする | 中 |
| 物品の置き場所 | 体温計の置き場所が決まっておらず、朝の測定前に探す時間が毎回5分ほどあった | 探している間に測定の時間がずれる | 体温計の定位置を決め、置き場所にテープで印を付ける | 低 |
| 環境(照明) | 夜間のトイレへの通り道の照明が1か所切れたままで、3日たっても交換されていない | 暗いところを歩く利用者がいて、つまずきが心配 | 電球の交換の担当と連絡先を決め、事務所のボードに書く | 高 |
| 環境(動線) | 食堂の車いす置き場が出入口の前にあり、食事の前後に車いすを3〜4台動かさないと通れない | 移動のたびに車いすを動かす手間がかかり、通る利用者とぶつかりそうになった | 車いす置き場を壁側に移し、床に印を付ける | 中 |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
訪問介護・訪問看護・居宅介護支援の記入例(8例)
| 場面 | 気づいたこと(事実) | なぜそう思ったか | どうしたらよいか(案) | 優先度の見立て |
|---|---|---|---|---|
| 訪問介護の移動 | 午前の訪問3件のうち、2件目から3件目の移動に25分かかり、予定の訪問時刻に3回連続で5分ほど遅れた | 利用者が玄関で待っていたことがあった | 訪問の順番を入れ替えられないか、サービス提供責任者に相談したい | 中 |
| 訪問介護の鍵の受け渡し | 鍵を預かっている利用者宅の鍵を、事務所のどこに戻すかが決まっておらず、翌日の担当者が探したことがあった | 鍵の所在がわからなくなるのは不安が大きい | 鍵の保管箱と持ち出し記録の表を作る | 高 |
| 訪問介護の手順書 | 担当が交代した利用者宅で、手順書に「掃除」とだけ書いてあり、どこをどの順で行うかを前の担当者に電話で聞いた | 聞けないときは、利用者の希望と違うやり方になってしまう | 手順書に「場所・順番・使う道具・本人の希望」を書く欄を足す | 中 |
| 訪問看護の記録 | 訪問先で記録を書く時間が取れず、事務所に戻ってから3〜4件分をまとめて書く日が週に2日あった | 時間がたつと、観察した値の書き違いが起きやすい | 訪問先で数値だけはその場で入力する形にできないか | 中 |
| 訪問看護の物品 | 訪問かばんの中身が看護師ごとに違い、ある訪問で予備の手袋が無く、利用者宅のものを借りた | 利用者宅の物を使うのは避けたい | かばんの中身の一覧を作り、出発前に確かめる | 中 |
| 居宅介護支援の電話対応 | 担当者が訪問中に入った問い合わせで、事務所の職員が利用者の状況を把握しておらず、折り返しまで半日かかったことが今週3回あった | 急ぎの相談だったときに対応が遅れる | 担当者の不在時に答えられる範囲と、急ぎのときの連絡方法を決める | 中 |
| 居宅介護支援の書類の締め | 月末の5日間に、給付管理の確認とモニタリングの記録が重なり、担当者3名とも残業になった | 月末に毎月同じことが起きている | モニタリングの記録を月の前半に寄せられる利用者がいないか、一覧で見直す | 中 |
| 居宅介護支援の情報共有 | サービス事業所からFAXで届いた報告書が、担当者の机に届くまで2日かかったことがあった | 報告の中に早めに対応したい内容が含まれていた | FAXの受信は朝夕の2回、担当者ごとの箱に振り分ける係を決める | 中 |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
職員の立場別の記入例|新人・パート・夜勤専従・リーダー・看護職員(8例)
同じ現場でも、立場によって気づくことは違います。新人の「わからなかった」は、手順や教え方の穴を教えてくれます。立場ごとの気づきが集まるよう、記入例も立場別に用意しておくと書きやすくなります。
| 書いた人の立場 | 気づいたこと(事実) | なぜそう思ったか | どうしたらよいか(案) | 優先度の見立て |
|---|---|---|---|---|
| 入職1か月の新人 | おむつ交換の手順を3人の先輩から教わったが、パッドの当て方が3通りあり、どれが正しいか分からなかった | 人によって言うことが違うと、自分のやり方に自信が持てない | 事業所としての手順を1つに決め、写真つきで残してほしい | 中 |
| 入職3か月の職員 | 記録システムの「特記事項」の欄に何を書けばよいかを、今月だけで3回先輩に聞いた | 聞くたびに先輩の手を止めてしまう | 欄ごとに書く内容の見本を1枚にまとめ、端末の横に置く | 低 |
| パート職員(午前のみ) | 午後に決まった変更が、翌日の午前に出勤したときに伝わっていないことが今月2回あった | 午前だけの職員は、午後の申し送りに出られない | 翌日の朝に見る申し送り簿に、前日午後の変更を書く欄を作る | 中 |
| 夜勤専従の職員 | 日中に始まった新しい介助の方法を、夜勤に入って初めて知ることがある。今月は2件あった | 夜間は相談できる職員が少なく、新しい方法をその場で覚えるのは不安 | 新しい介助の方法は、始める前に夜勤者にも見本を見せる時間を取る | 高 |
| フロアリーダー | シフトの交代の依頼が、口頭・メモ・電話でばらばらに届き、今月は1件、交代の記録が残っていなかった | 誰が出勤するのか分からなくなるおそれがある | 交代の依頼は1つの用紙(または1つの連絡手段)に決める | 高 |
| サービス提供責任者 | ヘルパーからの報告が電話・メッセージ・紙で届き、1日の終わりに3つを見比べてまとめている | 見落としが起きそうで、まとめる時間もかかる | 報告の手段を1つに決め、急ぎのときだけ電話にする | 中 |
| 看護職員 | 介護職員から受ける「様子がいつもと違う」という連絡に、体温や食事量などの数字が入っていないことが多く、毎回聞き返している | 聞き返す間に時間がたつ | 看護職員へ連絡するときに伝える項目を、カードにして配る | 中 |
| 生活相談員 | 利用の問い合わせを受けたとき、空き状況を確かめるのに、紙の予定表と記録システムの2つを見ている | 答えるまでに時間がかかり、相手を待たせる | 空き状況を1か所で見られるようにしたい | 低 |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
職員の負担・教育・会議に関する記入例(8例)
| 場面 | 気づいたこと(事実) | なぜそう思ったか | どうしたらよいか(案) | 優先度の見立て |
|---|---|---|---|---|
| 研修の時間 | 事業所内の研修が17:30開始で、日勤の職員の多くが記録を終えてから参加するため、今月の研修は10名中4名が途中からの参加だった | 途中からだと内容がつながらない | 研修を15分の短い回に分け、昼の時間帯にも同じ回を開く | 中 |
| 研修の内容 | 研修で聞いた介助の方法を、翌週に実際に使った職員が少ないように見えた | 聞いただけで、現場で試す時間がない | 研修の後に、現場で1回一緒にやってみる時間を予定に入れる | 低 |
| 会議の進め方 | 月1回の会議が予定の60分を超え、今月は90分かかった。報告事項の読み上げに40分使っていた | 話し合いたい議題までたどりつかない | 報告事項は事前に紙で配り、会議では話し合う議題だけを扱う | 中 |
| 休み希望の出し方 | 休み希望の締め切りが毎月の20日だが、締め切り後に希望を出す職員が毎月2〜3名いて、作り直しになっている | シフトを作る人の負担が大きい | 締め切りの3日前に声をかける、または希望を書く表を休憩室に貼る | 低 |
| 休憩の場所 | 休憩室が利用者の居室の近くにあり、休憩中にナースコールの音が聞こえて休めない、と話す職員が複数いた | 休憩中に呼ばれることも多く、休憩の意味が薄れている | 休憩中に対応する職員を決め、休憩する職員は呼ばない | 中 |
| ナースコールの対応 | 同じ利用者のナースコールが夜間に1時間で5回あった日があり、対応のたびに別の職員の手が止まった | コールの理由が毎回違うのか、同じなのかを記録していない | コールの時刻と理由を1週間書いて、看護職員・ケアマネジャーと話し合う材料にする | 中 |
| 書類の置き場所 | マニュアルのファイルが事務所の奥の棚にあり、現場で見たいときに取りに行けない | 新人が手順を確かめずに介助してしまうことがある | よく使う手順だけを各フロアに置く | 低 |
| 気づきシートそのもの | 気づきシートの箱が事務所の中にあり、夜勤者や訪問のヘルパーが出しにくい | 出せる人が限られると、気づきが偏る | 箱を休憩室にも置くか、端末からも出せるようにする | 低 |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
1枚の完成例|欄を全部埋めた気づきシート3枚
最後に、欄を全部埋めた気づきシートを3枚並べます。上の場面別の記入例を、1枚の用紙にするとこうなる、という見本です。受付欄は、受け付けたリーダーや係が書き込む部分です。
| 欄 | 完成例1|申し送りの時間 | 完成例2|夕方の排泄介助の物品 | 完成例3|訪問介護の手順書 |
|---|---|---|---|
| 記入日・時刻 | 11月5日(水)8:20 | 11月7日(金)18:10 | 11月10日(月)16:00 |
| 記入者 | 介護職員(夜勤)・無記名 | 介護職員(日勤)・記名 | 訪問介護員・記名 |
| 場面 | 申し送り(夜勤→日勤) | 排泄介助(夕方の巡回) | 訪問介護(担当交代後の初回訪問) |
| 場所 | 2階 スタッフステーション | 2階 東側のトイレ3か所 | 利用者宅 |
| 関わった人 | 夜勤者2名・日勤者4名 | 介護職員2名・利用者6名 | 訪問介護員1名・利用者1名 |
| 気づいたこと(事実) | 7:30開始の申し送りが8:10に終わった。全員の様子を順に読み上げ、変化のなかった方の分が半分以上だった | 17:00〜18:00の巡回で、パッドとおしり拭きを汚物処理室まで取りに戻ったのが3回あった | 手順書の掃除の欄が「掃除」の2文字だけで、場所と順番が分からず、前の担当者に電話で確かめた |
| どのくらい起きているか | 今月の自分の夜勤明け4回のうち3回、8:00を過ぎた | 今週の自分の日勤3回とも、取りに戻ることがあった | 担当交代の初回では毎回起きている |
| なぜそう思ったか | 夜勤者の退勤が遅れ、日勤者が朝食の配膳に入るのも遅れる | 取りに戻る間、トイレで利用者を待たせてしまう | 利用者の希望と違うやり方をしてしまうおそれがある |
| どうしたらよいか(案) | 変化のあった方だけ口頭、それ以外は記録を読む形に分ける | 各トイレに1日分のパッドとおしり拭きを置く棚を付ける | 手順書に場所・順番・道具・本人の希望を書く欄を足す |
| 優先度(見立て) | 中 | 中 | 中 |
| 共有したい相手 | フロアリーダー・夜勤の職員 | フロアリーダー・物品の担当 | サービス提供責任者 |
| 受付欄 | 11月6日 リーダー受付/区分:情報共有/11月12日の会議で検討 | 11月8日 リーダー受付/区分:物品・環境/2階の1か所で2週間試す | 11月11日 サ責受付/区分:手順・教育/手順書の様式を見直す |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
悪い例と良い例|「大変だった」「気をつけます」で終わる気づきの書き直し20組
気づきシートでいちばん多いのは、気持ちや反省だけが書かれていて、何が起きたのかが伝わらない一行です。気持ちを書くこと自体は悪くありませんが、受け付けた側が判断するには、いつ・どこで・何が・どのくらいが必要です。下の表の左は、実際にありがちな一行の例、右はそのまま書き写せる形に直した文です。
| 場面 | 悪い例(ありがちな一行) | 足りないこと | 良い例(そのまま書ける文) |
|---|---|---|---|
| 申し送り | 「申し送りが長い」 | どのくらい長いか、何が困るか | 朝の申し送りが7:30から8:10まで40分かかり、夜勤者の退勤が予定の8:00を過ぎた。変化のなかった方の報告が半分以上だった |
| 人手 | 「人が足りない」 | いつの時間帯に、何の業務で足りないか | 12:00〜12:40の昼食時に食事介助の要る方が5名いて、介助に入れる職員は2名だった。最後の方の介助は12:30からになった |
| 移乗 | 「腰が痛い。大変」 | どの介助で、どのくらいの頻度か | 7:00〜8:00の離床介助で、体の大きい利用者1名の移乗を1人で行っている。今週は腰に痛みを感じた日が2日あった |
| 物品 | 「物がいつもない」 | 何が、いつ、どのくらい足りないか | 手袋のMサイズが金曜の夕方に切れ、土日はLサイズで対応した。発注の担当者は1名だけである |
| 記録 | 「記録が面倒」 | どの記録の、どこが手間か | 入浴前のバイタルを紙のチェック表に書いた後、同じ数字を記録システムに入力している。10名分を2回書いている |
| 情報共有 | 「聞いていない」 | 何を、いつ、誰から聞いていなかったか | 先月の会議で決まったおむつ交換の時刻の変更を、夜勤専従の職員2名が11月3日の夜勤で初めて知った |
| 入浴 | 「お風呂場が寒い」 | 何度だったか、いつか | 11月6日の朝一番の入浴(9:30)で、脱衣所の温度計が16℃だった |
| 送迎 | 「送迎の順番がおかしい」 | どこが、どう困るのか | 朝の送迎で同じ地区の利用者2名が別の便になり、1台がその地区を2回通った。9:30の体操に間に合わない方がいた |
| 夜勤 | 「夜勤がきつい」 | どの業務が、どれくらいきついのか | 2時〜3時の休憩が予定どおり取れたのは、今月の私の夜勤6回のうち2回だった。明け方に集中が落ちるのを感じた |
| 反省 | 「次から気をつけます」 | 気をつけるだけでは仕組みが変わらない | 食形態の札がトレーの下に隠れ、配る前に確認し直したのが今日4回あった。札を見える位置に立てる形にしてはどうか |
| 人への不満 | 「〇〇さんのやり方がおかしい」 | 人ではなく、手順のどこが違うのか | おむつ交換のパッドの当て方が職員によって3通りあり、新人がどれに合わせればよいか迷っている。事業所の手順を1つに決めたい |
| 設備 | 「電気が切れている」 | 場所と、どのくらいの期間か | 夜間のトイレへの通り道の照明が1か所、11月2日から切れたままになっている。夜間にその通路を歩く利用者がいる |
| 電話 | 「伝言が伝わらない」 | 何回、どのように伝わらなかったか | 不在の職員あての電話をメモで机に置いたが、翌日まで読まれなかったことが今週2回あった |
| 会議 | 「会議が長い」 | 何に時間を使っているか | 今月の会議は90分かかり、そのうち40分が報告事項の読み上げだった。話し合う議題に入れなかった |
| 研修 | 「研修に出られない」 | なぜ出られないのか | 17:30開始の研修に、日勤者10名中4名が記録を終えてからの途中参加になった |
| 訪問介護 | 「移動がぎりぎり」 | どの訪問の間で、何分か | 午前の2件目から3件目の移動に25分かかり、3回続けて訪問時刻に5分ほど遅れた |
| 訪問看護 | 「記録が追いつかない」 | どの記録を、いつ書いているか | 訪問先で記録が書けず、事務所に戻ってから3〜4件分をまとめて書く日が週2日ある |
| 居宅介護支援 | 「月末が忙しい」 | 月末に何が重なっているのか | 月末の5日間に給付管理の確認とモニタリングの記録が重なり、担当者3名とも残業になった |
| ナースコール | 「コールが多くて回らない」 | 誰の、何時の、何回か | 夜間、同じ利用者のナースコールが1時間に5回あった日があった。理由は記録していない |
| 案だけ | 「機械を入れてほしい」 | 何に困って、その案になったのか | 夜間の巡回でドアを開ける音で起きてしまう方が今週2名いた。見守りの方法を人ごとに決めたい。機器が使えるかも相談したい |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
集めた気づきシートの扱い方|分類・優先度付け・会議での扱いと返事の文例
気づきシートは、集めた後の扱いで続くかどうかが決まります。書いても何も返ってこないと感じた職員は、次から書かなくなります。ここでは、集めたシートを分類し、優先度を付け、会議で扱い、書いた人へ返事をするまでを表にしました。具体的な改善策を提案書にまとめる段階は、当社の記事「業務改善提案書の例文と書き方」もあわせてご覧ください。
分類の10区分|入る気づきの例と、回す先
| 区分 | 入る気づきの例 | 回す先の例 | 貴事業所の回す先(記入欄) |
|---|---|---|---|
| 記録 | 二重書き・書き方のばらつき・入力の待ち時間 | 記録の担当・リーダー | |
| 情報共有・申し送り | 申し送りの時間・伝わらなかった変更・伝言 | リーダー・管理者 | |
| 介助の手順 | 手順が人によって違う・手順書が足りない | リーダー・教育の担当 | |
| 職員の体の負担 | 移乗の腰の負担・中腰の作業・夜勤の休憩 | 管理者・安全衛生の担当 | |
| 物品・在庫 | 切れる・探す・取りに戻る | 物品の担当 | |
| 設備・環境 | 照明・温度・動線・置き場所 | 管理者・施設管理の担当 | |
| 時間の配分・シフト | 時間帯の人手・休み希望・交代の連絡 | シフトを作る人・管理者 | |
| 送迎・移動 | 送迎の順番・訪問の間の移動 | 送迎の担当・サービス提供責任者 | |
| 教育・研修・会議 | 研修の時間・会議の長さ・新人の迷い | 教育の担当・会議の司会 | |
| 安全に関わるもの | 危ないと感じた場面・ヒヤリとした出来事 | 先にヒヤリハット報告書・事故報告書の扱いを確認し、事故防止の委員会へ |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
優先度の付け方|3つの観点の目安
書いた人の見立てとは別に、受け付けた側で優先度を付け直します。次の3つの観点で見ると、職員の間で付け方がそろいやすくなります。どれか1つでも「高」に入れば、早めに扱う、と決めている事業所もあります。
| 観点 | 高 | 中 | 低 |
|---|---|---|---|
| 利用者の安全・体調 | 転倒・誤薬・食形態の間違いなどにつながるおそれがある | 利用者を待たせる・不安にさせる | 利用者への影響はほとんどない |
| 職員の体と心の負担 | 痛み・休憩が取れない状態が続いている | 手間や残業が増えている | 少し不便な程度 |
| 起きる頻度 | 毎日・毎回起きる | 週に何度か起きる | 月に1回程度・たまたま |
| 同じ気づきの枚数 | 同じ内容のシートが複数の職員から出ている | 2枚程度出ている | 1枚だけ |
| 手を付けやすさ | 置き場所や順番を変えるだけで試せる | 話し合いや準備が少し要る | 費用や大きな変更が要る(ただし低くするのではなく、別に検討する) |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
受付から返事までの8段階|誰が・いつ・何を記録に残すか
| 段階 | 誰が | いつ | 記録に残すこと | 貴事業所の決め(記入欄) |
|---|---|---|---|---|
| 1 回収 | 係・リーダー | 週1回など決まった曜日 | 回収日・枚数 | |
| 2 受付 | 係・リーダー | 回収した日 | 受付日・受付者を受付欄に書く | |
| 3 安全に関わるものの振り分け | リーダー・管理者 | 受付の日のうちに | ヒヤリハット報告書・事故報告書に回したかどうか | |
| 4 分類 | 係 | 受付後1週間以内など | 区分(上の10区分) | |
| 5 優先度付け | 係・リーダー | 分類と同時に | 優先度と、その理由の一言 | |
| 6 一覧への記入 | 係 | 分類と同時に | 月ごとの一覧表(下の様式)に1行で書く | |
| 7 会議・委員会での扱い | 会議の司会 | 月1回の会議など | 扱った気づき・決めたこと・担当・次に見る日 | |
| 8 書いた人への返事 | リーダー・係 | 会議の後、決めた日まで | 返事の日・内容(掲示か個別か) |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
会議での扱い方|議事録の書き方と、書いた人への返事の文例(10例)
会議では、すべてのシートを1枚ずつ読み上げる必要はありません。区分ごとに枚数と要旨をまとめ、優先度の高いものから扱います。扱った結果は「すぐ試す」「調べてから決める」「今回は見送る」のどれかで返すと、書いた人に伝わりやすくなります。見送る場合も、理由を一言そえて返すことが、次の気づきにつながります。
| 気づきの要旨 | 会議での扱い | 議事録の書き方の例 | 書いた人への返事の文例 |
|---|---|---|---|
| 朝の申し送りが40分かかる(同じ内容3枚) | すぐ試す | 申し送りを「変化のあった方は口頭、それ以外は記録を読む」に分け、11月15日から2週間試す。担当:2階リーダー。11月29日の会議で振り返る | 申し送りの時間について3名から同じ気づきがありました。11月15日から2週間、変化のあった方だけ口頭で伝える形を試します。やってみて気づいたことも、またシートで教えてください |
| 夕方の排泄介助で物品を取りに戻る | すぐ試す | 2階東側のトイレ1か所に棚を付け、1日分の物品を置く。2週間後に、取りに戻った回数を担当が数える | 物品の置き場所の気づきをありがとうございます。まず1か所で棚を試します。ほかのトイレにも広げるかは、2週間後に決めます |
| 移乗を1人で行い腰が痛い | 調べてから決める | 朝の離床介助の時間帯の人員と、移乗の福祉用具の候補を管理者が調べ、次回の会議で報告する | 腰の負担について書いてくださりありがとうございます。大切なことなので、人の配置と用具の両方を調べています。次回の会議(12月10日)で結果をお伝えします |
| 脱衣所の温度が低い | すぐ試す | 入浴日の朝、最初の入浴の30分前に脱衣所の暖房を入れる。担当は入浴係の早番 | 脱衣所の温度の気づきを受けて、暖房を入れる担当を決めました。明日の入浴日から始めます |
| 食形態の札が見えにくい | すぐ試す | 札をトレーの手前に立てる形に変える。管理栄養士・厨房と調整済み。11月18日の昼食から | 食形態の札の位置を変えます。11月18日の昼食から新しい形になります。配るときに気づいたことがあれば、またお知らせください |
| 研修に途中から参加になる | 調べてから決める | 研修を短い回に分けて昼にも開けるか、教育の担当が年間の予定と照らして検討する | 研修の時間について、ありがとうございます。昼の回を作れるか、来月の予定を見ながら検討しています |
| 機械を入れてほしい(見守り) | 調べてから決める | 夜間の巡回の方法を人ごとに見直すことを先に行い、そのうえで機器の検討をするかを次回決める | 夜間の巡回について気づきをありがとうございます。まず巡回の方法を人ごとに見直し、そのうえで機器が要るかを話し合います |
| 休憩室でコールが聞こえる | すぐ試す | 休憩中のコールに対応する職員をシフトごとに決め、休憩する職員は呼ばないことを申し合わせる | 休憩が取りにくいとの気づきを受けて、休憩中のコールの対応者を決めました。休憩中は呼びませんので、しっかり休んでください |
| 気づきシートの箱が出しにくい場所にある | すぐ試す | 休憩室にも箱を置く。夜勤者・訪問のヘルパー向けに、端末からも出せる窓口を作れるかを調べる | シートの箱を休憩室にも置きました。ほかの出し方も検討しています |
| パソコンの台数を増やしてほしい | 今回は見送る | 今年度の予算では購入が難しいため見送る。代わりに入力の時間帯をずらせるか、各フロアで話し合う | 端末の台数について、ありがとうございます。今年度は購入が難しいため、今回は見送りとさせてください。代わりに、入力の時間帯をずらせないか各フロアで相談します。来年度の予算を考えるときに、もう一度取り上げます |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
集めた気づきを、他の事業所ではどんな改善に結びつけているかは、当社の記事「介護の業務改善事例68件」で分野別に整理しています。会議で「似た取り組みはないか」を探すときの材料にしてください。
気づきシートが集まらない・続かないとき|よくある10場面と手当て、自治体の公表資料
気づきシートは、始めた最初の月はたくさん集まっても、数か月たつと減っていくことがよくあります。減ってきたときは、書く職員の側ではなく、集める仕組みの側を見直すのが近道です。
| よくある場面 | 起きていること | 手当ての例 | 貴事業所で試すこと(記入欄) |
|---|---|---|---|
| 書いても返事がない | 受け付けた後の流れが決まっていない | 受付から返事までの8段階を決め、返事の日を受付欄に書く | |
| 同じ人ばかりが書く | 書くことが一部の職員の仕事になっている | 月に1回、全員が1枚書く日を作る。夜勤者・パートにも配る | |
| 愚痴や人への不満の紙になる | 欄の意味が伝わっていない | 「人ではなく、手順・物・時間・場所を書く」を様式に明記し、記入例を掲示する | |
| 書くのに時間がかかる | 欄が多すぎる | 中心の3欄だけを必須にし、残りは任意にする | |
| 名前を書くのが怖い | 評価や叱責につながると思われている | 無記名を認め、責める目的ではないことを会議や研修で伝える | |
| 出したら自分が担当にされる | 書いた人に対応を任せている | 対応の担当は会議で決めると決め、書いた人に押しつけない | |
| 同じ気づきが何度も出る | 前に扱った結果が伝わっていない | 月ごとの一覧表を掲示し、扱った結果を書き込む | |
| 見送りばかりになる | 費用のかかる案だけが検討されている | 置き場所・順番・担当を変えるだけで試せるものから扱う | |
| 試したまま元に戻る | 試した後の振り返りの日が決まっていない | 試す期間と振り返る日を議事録に書く | |
| ヒヤリハットと混ざる | 用紙の境目が決まっていない | 安全に関わる出来事は先にヒヤリハット報告書・事故報告書へ、と様式に書く |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
自治体の公表資料に見る、報告の集め方と振り分けの指摘(3件)
気づきシートそのものを対象にした指摘は、当社が確認した自治体の公表資料の中では見当たりませんでした。ただし、近い用紙であるヒヤリハット報告については、報告の集め方や事故報告との振り分けについての記載があります。気づきシートの運用を決めるときの参考として、該当する記載を整理します。
| 自治体と資料 | 資料に記載されていること | 気づきシートの運用で確かめること(記入欄) |
|---|---|---|
| 名古屋市「運営指導に係る主な指摘事項(介護保険施設版)」(令和5年1月5日) | ヒヤリハット報告の件数が介護事故の件数より少ない事例が見受けられるとし、取組例として様式の簡素化、記載例の作成、研修等を通じた趣旨説明(懲罰目的ではないことの説明)、委員会で検討した結果の職員へのフィードバックが示されている。令和6年度改定前の資料 | 様式は簡単か/記入例を掲示しているか/責める目的でないことを伝えているか/結果を返しているか |
| 神戸市「介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)」(令和7年3月) | 誤薬・転倒等、介護事故として記録すべきものをヒヤリ・ハット事例として記録している、との指摘がある。事故・ヒヤリハット・苦情の記録は分けて保存・整備するよう求めている。再発防止策が見守り強化のみになっている例も挙げられている | 気づきシートに事故やヒヤリが混ざっていないか/振り分けの基準を文書にしているか |
| 津山市「令和5年度 津山市 地域密着型サービス事業者 集団指導資料」 | 事故報告書を提出すべき案件をヒヤリハットで処理している事例、誤薬の案件で事故報告書が提出されていない事例が挙げられている | 安全に関わる出来事を、気づきシートだけで済ませていないか |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
印刷して使える気づきシートの様式|1枚の用紙と月ごとの一覧表
そのまま印刷して使える空欄の様式です。A4の用紙1枚に収まるよう、中心の3欄を大きく取っています。欄の名前や区分は、貴事業所の決めに合わせて書き換えてください。
気づきシート(1枚の用紙)
| 欄 | 記入 |
|---|---|
| 記入日・時刻 | 月 日( ) : ごろ |
| 記入者 | 職種: 名前(任意): |
| 場面(○を付ける) | 記録・申し送り・情報共有・移乗・入浴・排泄・食事・送迎・夜勤・物品・環境・研修/会議・その他( ) |
| 場所 | |
| 関わった人(職種と人数) | |
| 気づいたこと(見たこと・数えたこと) | |
| どのくらい起きているか | 今回だけ・週に何度か・毎日( ) |
| なぜそう思ったか(困ったこと・心配なこと) | |
| どうしたらよいか(案がなければ空欄でよい) | |
| 優先度(あなたの見立て) | 高・中・低 |
| 知ってほしい相手 | |
| ※ヒヤリとした出来事・事故は | この用紙ではなく、ヒヤリハット報告書・事故報告書へ |
| 受付欄(受け付けた人が書く) | 受付日: 受付者: 区分: 優先度: 返事の日: |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
月ごとの気づき一覧表(受け付けた側が使う)
| No | 受付日 | 場面 | 気づきの要旨(1行) | 区分 | 優先度 | 扱い(試す・調べる・見送る) | 担当 | 返事の日 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 記入例 | 11/6 | 申し送り | 朝の申し送りが40分かかる(3枚) | 情報共有 | 中 | 試す | 2階リーダー | 11/13 | 11/15から2週間試行 |
| 1 | |||||||||
| 2 | |||||||||
| 3 | |||||||||
| 4 | |||||||||
| 5 | |||||||||
| 6 | |||||||||
| 7 | |||||||||
| 8 | |||||||||
| 9 | |||||||||
| 10 |
※上記は当社が編集した記入例であり、事業所の状況により書き方は異なります。
一覧表は、会議の前に区分ごと・優先度ごとに並べ替えると、どこに気づきが集まっているかが一目でわかります。月をまたいで並べておくと、同じ気づきが繰り返し出ていないか、試したことが続いているかも確かめられます。一覧表や議事録は、事業所の文書として保管場所を決めておきましょう。
気づきシートのよくある質問
気づきシートに決まった様式はありますか?
気づきシートは、事業所が業務の見直しのために独自に作る用紙で、本記事の欄や様式は当社が整理した一例です。大切なのは、気づいたこと(事実)・なぜそう思ったか・どうしたらよいかの3つが書けることと、集めた後の流れが決まっていることです。貴事業所で使っている用紙があれば、欄を足したり減らしたりして合わせてください。
無記名で出してもよいですか?
無記名を認めると出しやすくなる一方、内容を確かめたいときに書いた人に聞けなくなります。記名と無記名を選べるようにし、返事を個別に受け取りたい人は記名する、という形にしている事業所もあります。どちらの場合も、書いた内容で職員を責めないことを、様式や会議で伝えておくことが大切です。
ヒヤリとした出来事も気づきシートに書いてよいですか?
事故になりそうだった出来事や事故は、気づきシートではなく、事業所で決めているヒヤリハット報告書・事故報告書に書いてください。報告の範囲や様式は事業所の規程や保険者の取り扱いによって異なります。そのうえで、出来事の背景にある「置き場所」「手順」「時間の配分」などの仕組みの気づきを、気づきシートにも書くと、業務の見直しにつなげやすくなります。
利用者の名前を書いてもよいですか?
気づきシートは職員の間で回覧したり、会議で読み上げたりすることがあるため、利用者の氏名や居室番号は書かず、「利用者1名」「車いすの方」などにとどめることをおすすめします。利用者ごとの様子は、ケース記録などの個別の記録に書きます。個人情報の扱いは、貴事業所の規程に従ってください。
出された気づきには、すべて対応しなければいけませんか?
すべてをすぐに変える必要はありません。ただし、すべてのシートに何らかの返事をすることをおすすめします。「すぐ試す」「調べてから決める」「今回は見送る(理由)」のどれかで返すと、書いた人は自分の気づきが届いたことがわかり、次も書こうと思えます。見送ったものも一覧表に残しておくと、状況が変わったときにもう一度取り上げられます。
どのくらいの頻度で集めればよいですか?
事業所の規模や会議の頻度によって異なります。週に1回など決まった曜日に回収し、月1回の会議で扱う形が続けやすい例です。安全に関わる気づきは回収日を待たずにリーダーへ直接伝える、と決めておくと、急ぎのものが埋もれません。
出典
出典:各自治体が公表している運営指導・集団指導の資料/公共データ利用規約(第1.0版)
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。






