認知症のある方のご自宅に伺う訪問看護計画書について、看護・リハビリテーションの目標、療養上の課題・支援内容(O-P・T-P・E-P)、評価をどう書くかを、暮らしの形と場面ごとの記載例でまとめた記事です。読み手は訪問看護ステーションの看護師・保健師・理学療法士・作業療法士・管理者を想定しています。看護学生の看護過程や病棟の看護計画は、入院中の環境の変化や夜間のせん妄を、病棟の職員が交代で見守ることを前提に組み立てます。在宅の訪問看護計画書は、週に数回・限られた時間の訪問の中で何を見て何をするかと、看護師が帰ったあとの時間を、ご本人・ご家族・訪問介護・通所先がどうつなぐかを書く計画です。この記事は後者だけを扱います。
介護支援専門員が作るケアプラン(第1表・第2表)の認知症の文例は、当サイトの「認知症の方のケアプラン文例」で扱っています。この記事ではケアプランの文例は書かず、訪問看護計画書の側からケアプランのどこに合わせるかだけを整理しました。計画書全体の総論は「訪問看護計画書の書き方と記入例」、評価欄の詳しい書き方は「訪問看護計画書の評価の書き方と記載例」をご覧ください。
以下の記載例は、すべて架空の利用者を想定して当社が作成した記載のイメージです。薬の名前や量、飲む時刻の変更、頓用の薬を使う目安、受診や入院を判断する基準、血圧・体温・体重などの数値の目安、認知機能の検査の点数や重症度の目安は、この記事には書いていません。これらは主治医の指示書や処方、医療機関の診断の情報として一人ひとりに決められるものです。計画書には「指示書に記載の」「処方のとおり」の形で書き、実際の内容は元の書類から写してください。訪問で測った値を書く場所は「(記録した値)」と示しています。また、記載例はご本人ができていることと、ご本人の言葉を主語にしています。「問題行動」「徘徊」のように行動に名前をつけてくくる書き方は、ご本人やご家族に計画書を説明して交付するときに受け取り方が厳しくなりやすいため、良い例では使っていません。
様式の欄ごとに書くこと|記載要領の原文と認知症の方の書き分け(欄別対照表3つ)
医療保険の訪問看護の計画書の各欄に何を書くかは、「訪問看護計画書等の記載要領等について」(令和8年3月27日 保医発0327第10号)の第一の2(1)に、介護保険の訪問看護については「訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて」(平成12年3月30日 老企第55号)の2(2)に示されています。認知症の方は要介護認定を受けている方が多く、介護保険の訪問看護として計画書を作る場面が中心になりますが、欄の名前と書く中身は両方の通知でほぼ同じ形です。下の表の左から2列目は保医発0327第10号の原文、右の2列は認知症の方の計画書で書く中身と、貴事業所の運用を書き込む欄です。
| 欄 | 記載要領の定め(保医発0327第10号 第一の2(1)) | 認知症の方の計画書で書く中身 | 貴事業所の記入欄 |
|---|---|---|---|
| 利用者氏名・生年月日・要介護認定の状況・住所 | ①「必要な事項を記入すること」 | 要介護認定の状況は、自立・要支援・要介護のいずれかに○をつける欄。認定の更新中・区分変更の申請中の方は、備考に申請の状況を書いておくと見直しの時期を合わせやすい | 認定の有効期間の確認者:( ) |
| 看護・リハビリテーションの目標 | ②「主治医の指示書及び訪問による利用者の療養状況を踏まえて看護及びリハビリテーションの目標を設定し、記入すること」 | 「BPSDが軽減する」「服薬管理ができる」で止めず、ご本人が続けたい暮らし(この家で暮らす、夫と散歩に出る、デイサービスに通い続ける)を主語にする。ご家族の介護が続けられることも目標の柱として並べる | 目標の主語の決まり:( ) |
| 年月日 | ③「計画書の作成年月日及び計画の見直しを行った年月日を記入すること」 | 初回訪問、指示書の更新、処方の変更、転倒や発熱、入院と退院、主な介護者の入院や体調の変化、ショートステイの利用の開始など、見直しのきっかけになった日を残す | 見直しのきっかけの一覧:( ) |
| 療養上の課題・支援内容 | ④「看護及びリハビリテーションの目標を踏まえ、指定訪問看護を行う上での療養上の課題及び支援内容並びに評価を具体的に記入すること」 | 課題ごとに観察(O-P)・ケア(T-P)・ご本人とご家族への説明や相談(E-P)を分ける。課題の文には、そう考えた根拠(ご本人の言葉、薬の残り方、冷蔵庫の中の様子、ご家族の話、記録書Ⅱの場面)を添える | 課題の根拠の書き方:( ) |
| 評価 | ④(同上)。介護保険の老企第55号の記載要領では、評価の欄について「初回の訪問看護サービス開始時においては、空欄であっても差し支えない」とされています | 目標ごとに、記録書Ⅱに残した事実(服薬カレンダーの残り、夜に眠れた日、デイサービスに出かけた日、ご家族の言葉)で書く。「安定」「著変なし」「問題なし」の一語で終わらせない | 評価を書く時期:( ) |
| 衛生材料等が必要な処置の有無・処置の内容・衛生材料等・必要量 | ⑤「衛生材料等が必要になる処置の有無について○をつけること」「『必要量』については1ヶ月間に必要となる量を記入すること」 | 転倒の傷や皮膚の処置、褥瘡の処置などで衛生材料等を使う指示がある場合に、処置の内容・種類・サイズ・1か月の必要量を書く。処置がない方は「無」に○をつける | 衛生材料の確認先:( ) |
| 訪問予定の職種 | ⑥「訪問予定の職種及びその訪問日について、利用者に分かるように記載すること」。看護職員のみによる訪問の場合には記載しなくても差し支えないとされています | 理学療法士・作業療法士が訪問する方では、職種と曜日を書く。知らない人が来ると不安が強くなる方もいるため、ご本人とご家族に「誰が・何曜日に・何をしに来るか」が分かる書き方にする | 訪問者を伝える方法:( ) |
| 備考 | ⑦「利用者に対する訪問の計画、特別な管理を要する内容、他の保健、医療又は福祉サービスの利用状況、その他留意すべき事項等を記入すること」 | 訪問の曜日と時間帯、デイサービス・ショートステイ・訪問介護の曜日、薬局の訪問の有無、緊急時の連絡の順番、鍵の扱い、ご家族が来られる時間帯など | 備考に書く項目:( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
訪問看護計画書(別紙様式1)と精神科訪問看護計画書(別紙様式3)のどちらで書くかを、指示書から確かめる
認知症は精神疾患の一つとして扱われることもあるため、「精神科訪問看護計画書で書くべきか」で迷う声が出ます。様式は、主治医から交付されている指示書の種類と、どの保険で訪問看護を行うかで決まります。この記事では、どちらに当たるかを判断する基準は書いていません。下の表は、手元の通知の原文で確かめられることだけを並べたものです。実際の取扱いは、指示書と保険者・審査支払機関の取扱いでご確認ください。
| 確かめる点 | 通知の原文 | 認知症の方で確かめること | 貴事業所の記入欄 |
|---|---|---|---|
| どの様式を標準とするか | 保医発0327第10号 第一の1(1)「別紙様式1及び2を標準として作成するものであること。ただし、精神疾患を有する者等を対象として指定訪問看護を行う場合にあっては、その特性を踏まえ別紙様式3及び4を標準として作成するものであること」 | 受け取っている指示書が訪問看護指示書か、精神科訪問看護指示書か | 指示書の種類:( ) |
| 精神科訪問看護の指示書を出す医師 | 保発0305第19号 第3の2(1)で、精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)は、主治医(「精神科を標榜する保険医療機関において精神科を担当する医師に限る」)から交付を受けた精神科訪問看護指示書及び精神科訪問看護計画書に基づき行った場合とされています | 主治医が精神科の医師か、内科などのかかりつけ医か。認知症の診断をした医療機関と、指示書を出す医療機関が違うことがある | 主治医の診療科:( ) |
| 精神科訪問看護計画書を作成する人 | 同 第3の2(1)「精神科訪問看護計画についても、相当の経験を有する保健師等(准看護師を除く。)が作成するものである」。相当の経験は第3の1の(1)〜(4)に挙げられています | 精神科訪問看護として行う場合に、作成者が第3の1の経験・研修の要件の記録を持っているか | 研修修了の記録の保管先:( ) |
| 介護保険の要介護者と医療保険の訪問看護 | 保発0305第19号 第1の2で、指定訪問看護の費用の額は、基準告示(平成18年厚生労働省告示第103号)の「第4の1に規定する場合を除き」、介護保険法第62条に規定する「要介護被保険者等については、算定の対象としないこと」とされています | 要介護認定を受けている方の訪問看護を、介護保険と医療保険のどちらで行うか。判断の根拠となる告示の該当箇所は、事業所の手元の資料で確かめる | 保険の区分の確認日:( ) |
| 記録書Ⅱに書く項目 | 保医発0327第10号 第一の2(3)②。記録書Ⅱには「病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリテーションの内容等」、精神科訪問看護に係る記録書Ⅱには「食生活・清潔・排泄・睡眠・生活リズム・部屋の整頓等、精神状態、服薬等の状況、作業・対人関係、実施した看護内容等」 | どちらの様式でも、認知症の方では食事・水分・排せつ・睡眠・服薬・その日の気分と出来事を同じ順番で書くと、評価のときに追いやすい | 記録書Ⅱの項目の順番:( ) |
| 報告書の「家族等との関係」と「GAF」の欄 | 同 第一の2(2)⑤で、精神疾患を有する者を対象とする場合は「家族等との関係」欄に「利用者と当該利用者の家族、友人等との対人関係について記入すること」、⑩で精神科訪問看護報告書には「月の初日の指定訪問看護時におけるGAF尺度により判定した値及び判定した年月日を記入すること」 | 精神科訪問看護報告書を使う場合は、この2欄が加わる。GAFの値の付け方の目安はこの記事では扱わない | GAFを判定する担当者:( ) |
| 居宅サービス計画との関係(介護保険) | 老企第55号 1(1)「既に居宅サービス計画等が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成するものであること」 | 介護保険の訪問看護では、介護支援専門員のケアプランの目標・頻度と計画書をそろえる | ケアプランの受け取り日:( ) |
| 作成者の欄(介護保険) | 老企第55号の記載要領 2(2)⑦「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による指定訪問看護を提供する場合には、『作成者①②』の両方に記入すること」 | 作業療法士が日中の過ごし方や家事の動作に関わる方では、両方の作成者を記入する | 作成者の記名の手順:( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
指示書・記録書Ⅰ・医療機関の情報から計画書へ写す項目(内容は元の書類のとおり転記)
認知症の方の計画書で崩れやすいのは、薬の飲み方、頓用の薬の使い方、主治医へ連絡する目安といった決まりが、指示書や処方、医療機関の情報の中にだけあり、計画書にもご家族・訪問介護の手元にも写されていないことです。次の表は、元の書類の記載を計画書のどの欄にどんな形で写すかの型です。「(書類の内容)」「(指示書の内容)」の部分には、元の書類に書かれたとおりに写してください。
| 元の書類に書かれていること | 写す先の欄 | 計画書の書き方の型 | 貴事業所の記入欄 |
|---|---|---|---|
| 指示書の主たる傷病名と留意事項 | 目標・備考 | 「主治医の指示書の留意事項(指示書の内容)を踏まえ、ご本人が自宅での暮らしを続けられることを目標の柱にする」 | 指示書の日付:( ) |
| 処方の内容と飲み方 | O-P・T-P・備考 | 「薬は処方とお薬手帳(書類の内容)のとおりとし、服薬カレンダーへのセットと残りの確認の分担を、ご家族・薬局と決めて書く」 | お薬手帳の確認日:( ) |
| 頓用の薬の使い方の指示 | T-P・E-P・備考 | 「頓用の薬は指示書・処方に記載の使い方(指示書の内容)に沿い、使った日時と、その前後の様子をご家族が連絡ノートに書く」 | 連絡ノートの置き場所:( ) |
| 主治医へ連絡する目安(発熱・食事がとれない・眠れない日が続く等) | O-P・備考 | 「指示書に記載の連絡の目安(指示書の内容)にあたる様子があれば、当ステーションから主治医へ報告する。ご家族からの連絡先は当ステーションとする」 | 報告の手段と時間帯:( ) |
| 記録書Ⅰの「日常生活自立度(認知症の状況)」の欄 | 課題・評価 | 保医発0327第10号の参考様式1(記録書Ⅰ)に、日常生活自立度の「寝たきり度」「認知症の状況」の欄がある。初回訪問時に記録した内容を、評価のときに比べる基準として計画書の課題の根拠に添える | 初回に記録した担当者:( ) |
| 報告書の別添の「認知症高齢者の日常生活自立度」の欄(介護保険) | 訪問予定の職種・評価 | 老企第55号の記載要領 2(3)⑪イで、理学療法士等による訪問看護の詳細(別添)の「日常生活自立度」及び「認知症高齢者の日常生活自立度」の欄には必要な事項を記入することとされている。理学療法士等が訪問する方では、計画書の評価と別添の記載がずれていないかを確かめる | 別添を書く職種:( ) |
| 医療機関での診断と認知機能の評価の情報 | 課題・備考 | 「認知症の診断と評価は医療機関の情報(書類の内容)のとおりとし、計画書には点数ではなく、暮らしの中で困っている場面と、できている場面を書く」 | 情報の受け取り日:( ) |
| 行動・心理症状について主治医から受けた指示 | O-P・T-P | 「落ち着かない時間帯の過ごし方は主治医の指示(指示書の内容)に沿い、場面・きっかけ・その後の様子を記録書Ⅱに書いて次の報告書で伝える」 | 報告書に書く担当者:( ) |
| 食事・水分・持病についての指示(糖尿病・心不全など併存症がある方) | O-P・E-P | 「食事と水分、持病の自己管理は指示書(指示書の内容)に沿い、ご本人ができている部分と、ご家族・訪問介護が見る部分を分けて書く」 | 持病の主治医:( ) |
| 指示の期間・特別訪問看護指示書の期間 | 年月日・管理表 | 「訪問看護指示書の指示期間(指示書の期間)と、特別訪問看護指示書が出た期間を、計画書の見直し日と並べて管理する」 | 期限の管理表:( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
暮らしの形と進み方別|認知症の看護目標の記載例(12の状態・長期と短期あわせて24例)
認知症の方の目標は、「BPSDが軽減する」「認知機能の低下を予防する」「安全に在宅生活が送れる」の一文で止まりやすい欄です。症状の軽減や安全は看護の目的であって、ご本人が自分の目標として受け取れる言葉にはなりにくく、評価のときにも「軽減したかどうか」を看護師の印象で書くことになりがちです。下の表では、在宅でよく出会う12の状態について長期目標と短期目標を分け、評価のときに記録書Ⅱのどの事実を見るかを右端に置きました。進み方の見立ては、主治医の指示書と医療機関の情報、ご本人の暮らしの様子から判断してください。
| 状態 | 長期目標の記載例 | 短期目標の記載例 | 評価のときに見る事実 |
|---|---|---|---|
| 診断を受けたばかりで、物忘れを自覚して不安が強い方 | 病気のことを知ったうえで、これまでの趣味と近所付き合いを続けながら自宅で暮らせる | 気がかりなことを訪問のたびに看護師に話し、困ったときに連絡する先を自分の手帳に書いておける | ご本人が話した気がかりの中身、手帳の記載、外出や趣味の様子 |
| 一人暮らしで、薬の飲み忘れや飲み重ねがある方 | 薬を処方のとおりに飲み続け、持病が悪くならずに一人暮らしを続けられる | 台所の服薬カレンダーから、朝の薬を自分で取り出して飲める日が増える | 服薬カレンダーの残り、薬局・訪問介護からの連絡、ご本人の言葉 |
| 日中は家族が仕事で、一人で過ごす時間が長い方 | 家族が仕事を続けながら、本人が日中を自宅とデイサービスで落ち着いて過ごせる | 昼食と水分を、家族が用意した場所から自分でとれる | 冷蔵庫と食卓に残った食事の量、湯のみの数、家族の帰宅後の聞き取り |
| 高齢の夫が一人で介護している方(老老介護) | 夫婦が無理のない分担で、住み慣れた家での二人の暮らしを続けられる | 夫が一人で抱えている介護を看護師と書き出し、手を借りる場面を一つ決められる | 夫の睡眠と疲れの言葉、夫の通院の状況、介護支援専門員との相談の記録 |
| 夕方になると「家に帰る」と言って落ち着かなくなる方 | 夕方の時間を、本人が安心できる過ごし方で家族と穏やかに過ごせる | 夕方に落ち着かなくなる日の、前後の出来事と本人の言葉を家族と一緒に書き留められる | 家族の記録した場面の数と時刻、落ち着いた日の過ごし方 |
| 夜に眠れず、昼間にうとうとする方 | 夜に眠り、昼間は起きて食事や会話を楽しむ一日の流れを保てる | 午前中に一つ、外の光を浴びる用事(ごみ出し・庭の水やり)を続けられる | 家族の聞き取りによる夜の様子、昼寝の場面、デイサービスの連絡帳 |
| 食事をしたことを忘れる・食べる量が減ってきた方 | 食事を楽しみにして食べ、体力を保って自宅での暮らしを続けられる | 好きな物を一品そえた昼食を、家族や訪問介護と一緒の場面で食べ切れる日が増える | 食べた量の聞き取り、体重(記録した値)の推移、口の中の様子 |
| のどの渇きを訴えず、夏場に水分が少なくなる方 | 暑い時期も水分をとり、体調を崩さずに過ごせる | 決まった時刻にお茶を飲む習慣を、テレビ番組や来客の時間と結びつけて続けられる | 飲んだ湯のみの数、尿の回数と色の聞き取り、室温(記録した値) |
| 転んだことを覚えておらず、転倒を繰り返す方 | 家の中を自分の足で移動し、大きなけがをせずに暮らせる | 夜のトイレへの通り道の物が片づき、足元灯がついた状態で移動できる | 転倒の有無と場所・時刻、あざや傷の観察、家族の聞き取り |
| 入浴や着替えを嫌がり、清潔が保ちにくい方 | 本人が気持ちよいと感じる方法で、清潔な体と衣類を保てる | デイサービスの入浴の日に、本人が選んだ服に着替えて出かけられる | 皮膚の状態、入浴できた日、本人の「気持ちよかった」等の言葉 |
| 持病の自己管理(血糖や血圧の測定など)が難しくなってきた方 | 持病の管理を家族や支援者と分け合い、持病の悪化による入院をせずに暮らせる | 測定と記録のうち、本人が自分でできる部分を続け、残りを家族・訪問看護が見る形が定着する | 測定の記録の残り方、指示書に記載の連絡の目安にあたる日の有無 |
| 言葉でのやりとりが減り、食べる・飲み込む場面に支援が要る方 | 本人の表情やしぐさから好みと苦痛を周りがくみ取り、家族とともに穏やかに過ごせる | 食事の場面で、むせ・表情・食べるペースを家族と同じ見方で観察し、記録できる | むせの場面、発熱の有無、家族の記録、表情とうなずきの変化 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
ご本人・ご家族の言葉から目標欄の文をつくる(「ここで暮らしたい」「施設には行かない」等8例)
老企第55号の1(1)は、計画書を「利用者の希望や心身の状況等を踏まえ」て作成することとしています。認知症の方は、希望を順序立てて話すことが難しくなっても、短い言葉や繰り返し話すことの中に大切にしていることが出ます。聞き取った言葉を、目標欄に入る形に置き換えた例です。ご本人の言葉とご家族の言葉が違う方向を向いているときは、両方を書き、どちらかに寄せて消さないようにしています。
| 聞き取った言葉 | 目標欄の文 | 課題欄につなぐ視点 |
|---|---|---|
| ご本人「ここで暮らしたい。施設には行かない」 | 住み慣れた自宅での暮らしを、支援を組み合わせながら続けられる | 自宅での暮らしを続けるうえで困っている場面(食事・薬・夜間)と、それを支える担い手 |
| ご本人「薬はちゃんと飲んでいる」(残薬が多い) | 薬を自分で飲み続けられるよう、飲みやすい仕組みを本人と一緒に整えられる | 本人の自信を傷つけない確かめ方、飲み忘れの時間帯、薬の数と回数を主治医・薬剤師に相談する余地 |
| ご本人「娘に迷惑をかけたくない」 | 自分でできる家事と身の回りのことを続け、娘と一緒に過ごす時間を楽しめる | 本人が担っている役割、娘が先回りしている家事、本人が手伝える場面 |
| ご本人「散歩だけは続けたい」 | いつもの散歩道を歩き、近所の人とあいさつを交わす日課を続けられる | 道に迷った経験の有無、持ち物(連絡先のカード)、近所の見守りの担い手 |
| 夫「わしが最後まで面倒を見る」 | 夫が体を休める時間を持ちながら、夫婦で自宅での暮らしを続けられる | 夫の健康状態と睡眠、夫が手を借りることへの気持ち、夫が倒れたときの連絡の順番 |
| 長女「夜中に起こされて、仕事に行くのがつらい」 | 長女が仕事を続けられる夜の過ごし方を家族で見つけ、本人も夜に休める | 夜に起きる理由(トイレ・不安・痛み・昼寝)、夜間の連絡の方法、ショートステイの相談 |
| 長男(遠方)「年に数回しか帰れないので、様子が分からない」 | 遠方の長男が母の様子を知り、必要なときに相談できる形を保てる | 長男への連絡の頻度と方法(本人の同意のもとで)、キーパーソンの確認 |
| ご本人「病院には行きたくない」 | 本人が納得できる方法で、持病の診察と薬を続けられる | 受診を嫌がる理由(待ち時間・付き添い・以前の経験)、訪問診療を含めた受診の方法を主治医・介護支援専門員と相談する余地 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
療養上の課題・支援内容|認知症のO-P・T-P・E-P記載例(14課題・42例)
記載要領の④は、療養上の課題と支援内容を「具体的に記入すること」としています。下の表は、在宅の認知症の方でよく立てる14の課題について、課題欄の文と、観察(O-P)・ケア(T-P)・説明や相談(E-P)の記載例を並べたものです。病院の看護計画のように観察項目を網羅するのではなく、訪問の時間の中で見ること・すること・伝えることに絞り、看護師がいない時間に誰が何を見るかまで書いています。薬・数値・連絡の目安は、すべて指示書・処方を参照する形にしています。
| 療養上の課題(課題欄の文) | O-P(観察) | T-P(ケア) | E-P(説明・相談) |
|---|---|---|---|
| 薬の飲み忘れと飲み重ねがあり、持病が悪くなるおそれがある(訪問時に朝の薬が3日分残っていた) | 服薬カレンダーの残り、薬の袋の数、飲んだかどうかの本人の言葉と実際の差、飲み忘れが出る時間帯を見る | 処方のとおりに薬をカレンダーにセットし、本人が取り出す場所と時刻を一緒に決める。飲み方の工夫は薬剤師・主治医に相談する | 飲めた日にカレンダーに印をつけることを本人と決め、家族には電話で声をかける時刻を伝える |
| 食事をとったことを忘れ、食べる量が減っている | 冷蔵庫と食卓に残った食事、買い置きの減り方、体重(記録した値)、入れ歯の合い方と口の中の様子を見る | 食べやすい物と好きな物を家族と書き出し、訪問介護の調理と昼食の時間を合わせる。食事の内容は主治医・管理栄養士の助言に沿う | 食べた物を家族が冷蔵庫の扉の紙に書く方法を伝え、食べられない日が続くときの連絡先を伝える |
| のどの渇きを感じにくく、水分が少なくなりやすい | 湯のみの数、尿の回数と色の聞き取り、口の渇き、皮膚の乾き、室温(記録した値)と冷房の使い方を見る | 本人が飲み慣れた器と飲み物を手の届く場所に置き、来客やテレビ番組の時間に合わせて飲む場面をつくる | 家族と訪問介護に、飲んだ湯のみの数を連絡ノートに書く方法と、暑い日の部屋の温度の確かめ方を伝える |
| トイレの場所が分からなくなり、失敗が増えている | 失敗が起きる時間帯と場所、トイレまでの通り道、尿意の訴え方、下着の替え方を本人と家族から聞き取る | トイレの扉に本人が分かる表示をつけ、夜は通り道の灯りをつける。排せつの間隔に合わせた声かけの時刻を家族と決める | 失敗を責めない声のかけ方と、汚れた物の片づけ方を家族と確かめる |
| 便秘が続き、落ち着かなさにつながっている | 排便の間隔と性状、おなかの張り、落ち着かない時間帯と排便との関係、下剤の使い方を聞き取る | 朝食後にトイレに座る機会をつくり、腹部の温罨法を行う。下剤は指示書・処方のとおりとする | 家族に排便を記録する用紙を渡し、出ない日が続いたときの連絡の目安は指示書に記載のとおりと伝える |
| 夜に眠れず、昼夜が入れ替わりつつある | 夜に起きる回数と理由(トイレ・不安・痛み・寒さ)、昼寝の時間帯、日中の過ごし方、眠りに関わる薬の使い方を聞き取る | 午前中に外の光を浴びる用事と、午後に体を動かす用事を本人と選び、一日の予定に入れる | 家族に、夜に起きたときの声のかけ方と、眠れない夜が続くときに主治医へ伝える内容を伝える |
| 家の中で転びやすく、転んだことを覚えていない | あざや傷、歩き方、つかまる場所、床の物と敷物、履物、夜間の灯り、眠気やふらつきの訴えを見る | 通り道の物を本人と片づけ、足元灯の位置を決める。歩き方の練習は理学療法士等の評価に沿う | 家族に、転んだときに確かめることと連絡の順番を紙にして渡し、あざを見つけたら日付を書くよう伝える |
| 入浴や着替えを嫌がり、皮膚の汚れやかぶれがある | 皮膚の状態(陰部・わきの下・足の指の間)、においの訴え、嫌がる場面ときっかけ(寒さ・恥ずかしさ・手順)を見る | 本人が好む時間帯と順番で清拭や足浴を行い、着る服を本人に選んでもらう。入浴はデイサービスの日に合わせる | 家族に、無理に脱がせずに手順を一つずつ伝える声のかけ方を、実際の場面で伝える |
| 持病(糖尿病・高血圧・心臓の病気など)の自己管理が難しくなっている | 測定の記録の残り方、指示書に記載の連絡の目安にあたる様子の有無、むくみ・息切れ・のどの渇きの訴えを見る | 測定と記録のうち本人ができる部分を残し、残りを家族・訪問看護で受け持つ。管理の内容は指示書のとおりとする | 家族に、記録用紙の書き方と、指示書に記載の連絡の目安を紙にして伝える |
| 夕方になると落ち着かなくなり、「家に帰る」と外へ出ようとする | 落ち着かなくなる時刻、その前の出来事(来客・昼寝・空腹・トイレ・暗さ)、本人が話す「帰る家」の中身を家族と記録する | 夕方の前に、本人が役割を感じられる用事(洗濯物たたみ・夕食の手伝い)を家族と決め、部屋を早めに明るくする | 家族に、止める言葉ではなく本人の話に乗る声のかけ方を伝え、外に出たときの見守りの段取りを決める |
| 物を盗られたと思い込み、家族とのあいだがぎくしゃくしている | 思い込みが出る物(財布・通帳・眼鏡)と場面、本人が話す内容、責められている家族の気持ちと疲れを聞き取る | 本人の話を否定せずに聞き、一緒に探す役を看護師が受け持つ場面をつくる。しまい場所を本人と決める | 家族に、責められているのは病気の症状によるものだと伝え、気持ちを話せる相談先を伝える |
| 主な介護者の疲れがたまり、介護を続けることが難しくなりつつある | 介護者の睡眠・食事・持病の通院、「もう無理」などの言葉、本人への接し方の変化を見る | 介護者が一人で担っている介護を書き出し、介護支援専門員とショートステイやデイサービスの曜日を相談する | 介護者に、休むことは介護を続けるために必要なことだと伝え、地域の家族会や相談窓口を紹介する |
| 暮らし方や治療についての本人の希望が、周りに伝わりにくくなっている | 本人が繰り返し話すこと、表情やうなずき、以前に家族へ話していた希望を聞き取る | 決める場面ごとに、本人に分かる言葉と選びやすい聞き方で希望を確かめ、聞いた言葉をそのまま記録書Ⅱに書く | 家族に、本人の言葉を記録しておく意味を伝え、決めるときに本人の言葉を最初に並べるよう相談する |
| 一人で外出して道に迷い、帰れなくなったことがある | 外出の時間帯と行き先、持ち物、迷ったときの様子、近所の人や店とのつながりを聞き取る | 本人の同意のもとで連絡先のカードを持つ方法を家族と決め、介護支援専門員と地域の見守りの仕組みを相談する | 家族に、外出を止めるのではなく、出かける理由と行き先を一緒に確かめる声のかけ方を伝える |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
行動・心理症状(BPSD)が出た場面の観察と記録の型(8場面)
行動・心理症状は、体の不調、環境、関わり方、気持ちなど、きっかけとなる出来事と結びついて出ることが多く、「BPSDの観察」と書くだけでは訪問の時間の中で何を見たのかが残りません。下の表は、場面ごとに前・最中・後の三つに分けて書きとめることと、ケアの例、主治医への報告の考え方を並べたものです。頓用の薬を使うかどうか、受診が要るかどうかは、この表では決めず、指示書に記載の内容と主治医の判断に沿う形にしています。
| 場面 | 書きとめること(前・最中・後) | T-P(ケア)の記載例 | 主治医への報告の書き方 |
|---|---|---|---|
| 夕方に「家に帰る」と玄関へ向かう | 前:昼寝・空腹・トイレ・部屋の暗さ/最中:本人の話す「家」と家族の名前/後:落ち着くまでの時間と、落ち着いたきっかけ | 玄関で止めずに一緒に外の様子を見て、帰る家の話を聞く。部屋に戻ってお茶を出す | 出た日と時刻、きっかけと思われる出来事、落ち着いた方法を報告書の特記すべき事項に書く |
| 大きな声を出す・手を払いのける(入浴や着替えの介助の場面) | 前:介助の手順と声かけ、寒さ/最中:嫌がった動作/後:表情と、終わったあとの言葉 | 手順を一つずつ伝え、本人が自分でできる部分を先に行ってもらう。嫌がる日は清拭に替える | 介助の場面との関係と、替えたケアの内容を書く |
| 財布を盗られたと家族を責める | 前:財布をしまった場面/最中:本人の話した内容と相手/後:見つかった場所と、本人・家族の気持ち | 話を否定せずに聞き、一緒に探す。見つかったら本人が見つけた形にする | 家族の疲れと、思い込みが出る頻度の変化を書く |
| 夜中に何度も起きて、家族を起こす | 前:夕方以降の昼寝・水分・トイレ/最中:起きた理由の本人の言葉/後:再び眠れたかと、翌日の昼の眠気 | 日中の活動を増やす用事を本人と決め、夜のトイレの通り道の灯りを整える | 眠れない夜の数と家族の睡眠への影響、眠りに関わる薬の使い方の様子を書く |
| いないはずの人や虫が見えると話す | 前:部屋の明るさ、壁の模様や影/最中:話した内容と怖がり方/後:落ち着いたきっかけ | 本人の話を否定せずに受け止め、部屋の照明と物の置き方を家族と見直す | 見えると話した時間帯と内容、怖がり方、体の動きの変化(歩き方・手のふるえ等)を書く |
| 急に元気がなくなり、食べず話さなくなる | 前:発熱・便秘・脱水・痛み・薬の変更の有無/最中:表情と反応/後:その日のうちの変化 | 体温・脈拍(記録した値)、水分と排せつを確かめ、指示書に記載の連絡の目安にあたるかを見る | いつもとの違いと、体の不調の有無を確かめた結果を、その日のうちに主治医へ伝える |
| 同じことを何度も聞き、不安そうにしている | 前:予定の変更・来客・家族の不在/最中:聞いた内容/後:答えたあとの表情 | その日の予定をカレンダーやホワイトボードに書き、本人と一緒に見て確かめる | 不安が強くなった時期と、予定の変化との関係を書く |
| デイサービスに行くのを嫌がる | 前:前日の疲れ・送迎の時刻・着替え/最中:嫌がる理由の本人の言葉/後:通所先での過ごし方(連絡帳) | 送迎の前に着替えと朝食が済むよう時間を家族と見直し、通所先での楽しみの話をする | 行けた日と行けなかった日の様子を、介護支援専門員にも共有したうえで書く |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
服薬管理の支援を支援内容に書く例(暮らし方と困りごと別8例)
認知症の方の計画書でよく書かれる課題の一つが服薬です。「服薬管理」とだけ書くと、誰がセットし、誰が飲んだかを確かめ、残った薬をどう扱うかが分からなくなります。薬の名前・量・飲む時刻は処方のとおりとし、計画書には仕組みと分担を書きます。
| 暮らし方・困りごと | 支援内容の欄に書く文 | 飲めたかを確かめる人と記録先 |
|---|---|---|
| 一人暮らしで、朝の薬だけ飲み忘れる | 処方のとおりに服薬カレンダーへ1週間分をセットし、朝食の席から見える場所に掛ける。訪問のたびに残りを数え、飲み忘れが続く時間帯を主治医・薬剤師に伝える | 看護師(訪問時)・訪問介護(朝の訪問時)/記録書Ⅱ・連絡帳 |
| 一人暮らしで、同じ薬を2回飲んでしまうことがある | 手の届く場所に置く薬はその日の分だけにし、残りは家族と決めた場所に保管する。保管の方法は本人の同意を得て決める | 別居の娘(夕方の電話)・看護師/服薬カレンダーの印 |
| 夫婦二人暮らしで、夫が妻の薬を管理している | 夫が妻の薬を渡す時刻と方法を確かめ、夫自身の薬との取り違えがないよう、袋の色を分ける方法を薬剤師と相談する | 夫・看護師/夫のメモ帳 |
| 薬を飲むのを嫌がる日がある | 嫌がる理由(粒の大きさ・数・味・飲む意味が分からない)を聞き取り、飲みやすい形への変更の余地を主治医・薬剤師に相談する。無理に飲ませず、飲めなかった日を記録する | 家族・看護師/連絡ノート |
| 薬局が訪問して薬を届けている | 薬局の訪問日と、当ステーションの訪問日で、残薬の確かめ方と情報の共有の方法をそろえる | 薬剤師・看護師/お薬手帳・薬局の報告 |
| 頓用の薬が処方されている | 頓用の薬は指示書・処方に記載の使い方とし、使った日時と、使う前後の様子をご家族が連絡ノートに書く。使う回数の変化は主治医へ報告する | 家族・看護師/連絡ノート・報告書 |
| デイサービスの日に昼の薬がある | デイサービスに持たせる薬の袋と受け渡しの方法を家族・通所先と決め、飲んだことを連絡帳で確かめる | 通所先の看護職員・家族/通所の連絡帳 |
| 処方が変わった直後 | 変更後の処方を服薬カレンダーに反映し、変更後の眠気・ふらつき・食欲・落ち着きの様子を記録して次の報告書で伝える | 看護師・家族/記録書Ⅱ・報告書 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
ご本人の意思決定を支える支援を計画書に書く(決める場面別6例)
認知症の方の暮らしでは、入院するか、施設に移るか、受診の方法を変えるか、といった大きな決め事が続きます。訪問看護は決める立場ではありませんが、ご本人の言葉を暮らしの場で聞く機会の多い職種です。計画書には、決めるときにご本人の言葉が残るようにする支援を書いておくと、ご家族や介護支援専門員、主治医との話し合いの材料になります。お金の管理や契約に関わることは、地域包括支援センターなどの相談先につなぐ形にしています。
| 決める場面 | 計画書に書く支援の文 | 記録書Ⅱに残すこと |
|---|---|---|
| 施設への入所の話が家族から出たとき | 本人が落ち着いている時間帯に、自宅での暮らしについての気持ちを聞き取り、家族・介護支援専門員との話し合いの場で本人の言葉を伝える | 本人が話した言葉そのまま、話した日時と場面、同席した人 |
| 入院を勧められたとき | 主治医の説明を本人に分かる言葉で繰り返して伝え、本人の気がかり(家・ペット・夫)を聞き取って主治医と家族に伝える | 本人の気がかりの中身と、説明したあとの反応 |
| 受診の方法を変える(通院から訪問診療へ等)とき | 通院の負担と本人の希望を聞き取り、主治医・介護支援専門員と受診の方法を相談する材料として報告書に書く | 通院の日の様子、本人の「行きたくない」等の言葉と理由 |
| これからの医療やケアの希望を話し合うとき | 本人が以前に話していた希望を家族から聞き取り、本人の今の言葉と並べて記録し、話し合いのたびに見直す | 話し合った日、参加した人、本人と家族それぞれの言葉 |
| お金の管理や契約に不安が出てきたとき | 家族の不安と本人の気持ちを聞き取り、地域包括支援センターなどの相談先を介護支援専門員とともに紹介する | 紹介した相談先と日付、本人・家族の反応 |
| 車の運転や火の扱いについて家族が心配しているとき | 本人の暮らしの中での車や台所の役割を聞き取り、主治医・家族と話す場を介護支援専門員と調整する | 本人が話した気持ち、家族の心配の中身、話し合いの日程 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
ご家族・訪問介護・通所先・介護支援専門員と分担するときの支援内容の記載例(10例)
認知症の方の暮らしは、訪問看護の時間よりも、看護師がいない時間の過ごし方で大きく変わります。支援内容の欄に、誰が何を見て、どこへ伝えるかを書いておくと、計画書がそのまま分担表になります。ご近所や遠方のご家族に様子を伝えるときは、ご本人の同意と、事業所の個人情報の取扱いの手順に沿って行う形にしています。
| 担い手 | 計画書の支援内容に書く文 | 伝え先と記録先 |
|---|---|---|
| ご本人 | 服薬カレンダーから薬を取り出し、飲めた日に印をつける。困ったときは手帳に書いた当ステーションの番号に電話する | 家族・当ステーション/服薬カレンダー・手帳 |
| 同居の夫(主な介護者) | 妻の食事と水分、夜の様子を連絡ノートに書き、自分の体調が悪い日は当ステーションか介護支援専門員に伝える | 当ステーション・介護支援専門員/連絡ノート |
| 別居の長女 | 週末の来訪時に冷蔵庫の中と服薬カレンダーの残りを見て、気になることを当ステーションへ伝える | 当ステーション/連絡ノートの余白 |
| 遠方の長男 | 月に一度、当ステーションから電話で様子を伝える(本人の同意のもと)。大きな決め事の前には話し合いに電話で加わる | 当ステーション・介護支援専門員/記録書Ⅱ |
| 訪問介護 | 朝の訪問時に薬を飲んだかを確かめて連絡帳に書き、食事の残りと、落ち着かない様子があればその場面を書く | 当ステーション・介護支援専門員/連絡帳 |
| デイサービス | 通所の日の食事・水分・入浴・排せつ・その日の様子を連絡帳に書き、帰りたがる場面やきっかけがあれば書く | 家族・当ステーション/通所の連絡帳 |
| ショートステイ | 利用の前に、服薬・夜の過ごし方・落ち着く関わり方を当ステーションから伝え、利用後に様子の変化を聞き取る | 当ステーション・介護支援専門員/申し送りの書面 |
| 薬局の薬剤師 | 薬を届けたときの残薬と本人の様子を共有してもらい、飲み方の工夫を主治医へ提案するときは当ステーションにも伝えてもらう | 主治医・当ステーション/お薬手帳・薬局の報告 |
| 介護支援専門員 | 本人の様子と介護者の疲れの変化に合わせ、サービスの曜日と内容、ショートステイの利用を相談する | 当ステーション/サービス担当者会議の記録 |
| 地域包括支援センター・近所の見守り | 一人で外出して帰れなくなったときの連絡の方法を、家族と介護支援専門員を通じて確かめておく | 家族・介護支援専門員/緊急時の連絡表 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
悪い例と良い例|認知症の訪問看護計画書でありがちな一行の書き直し(20組)
左はよく見かける一行、中央はそのまま貼れる形に直した文です。悪い例には、行動に名前をつけてくくる言葉や、看護師の印象だけで終わる言葉が多く入っています。良い例に入れた薬や連絡の目安は、すべて「指示書に記載の」「処方のとおり」の形にしています。
| 欄 | 悪い例 | 良い例(そのまま使える文) | 直した点 |
|---|---|---|---|
| 目標 | 「BPSDが軽減する」 | 夕方の時間を、洗濯物たたみなど本人が役割を感じられる用事をしながら、家族と穏やかに過ごせる | 症状の軽減ではなく、本人の過ごし方の言葉にした |
| 目標 | 「安全に在宅生活が送れる」 | 住み慣れた自宅での一人暮らしを、訪問介護とデイサービスを組み合わせながら続けられる | 「安全」を、続けたい暮らしと支えの組み合わせに置き換えた |
| 目標 | 「服薬管理ができる」 | 台所の服薬カレンダーから、朝の薬を自分で取り出して飲める日が増える | 誰が・どこで・何をできるかを書いた |
| 目標 | 「介護負担が軽減する」 | 夫が週に二日は夜にまとまって眠れ、夫婦で自宅での暮らしを続けられる | 負担を、介護者の暮らしの事実に置き換えた |
| 課題 | 「認知症」 | 薬の飲み忘れと飲み重ねがあり、持病が悪くなるおそれがある(訪問時に朝の薬が3日分残っていた) | 病名ではなく療養上の課題と、その根拠を書いた |
| 課題 | 「徘徊あり」 | 夕方になると「家に帰る」と言って外へ出ようとし、先月は近所の人に付き添われて戻ったことがある | 行動に名前をつけず、時間帯と本人の言葉と出来事で書いた |
| 課題 | 「問題行動が多い」 | 入浴の介助の場面で大きな声を出し、手を払いのけることがある。寒い日と、急いで服を脱がせた日に多い | 場面ときっかけを書き、ケアにつながる形にした |
| 課題 | 「物盗られ妄想」 | 財布をしまった場所が分からなくなると、長女に盗られたと話し、長女が責められてつらいと話している | 本人と家族それぞれに起きていることを書いた |
| 課題 | 「介護拒否」 | 着替えを手伝われることを嫌がり、同じ服を数日着ている。自分で選んだ服は自分で着ることがある | 嫌がることと、できることを並べて書いた |
| O-P | 「BPSDの観察」 | 落ち着かなくなる時刻、その前の出来事(来客・昼寝・空腹・トイレ・暗さ)、本人が話す内容を家族と記録する | 何を、誰と、どう記録するかを書いた |
| O-P | 「服薬状況の確認」 | 服薬カレンダーの残りと薬の袋の数を訪問のたびに数え、飲み忘れが出る時間帯を記録する | 確かめる物と方法を書いた |
| O-P | 「認知機能の観察」 | 今日の予定を覚えているか、同じ質問の回数、家事の手順で迷う場面を、暮らしの中の出来事として記録する | 点数ではなく、暮らしの場面で見る形にした |
| O-P | 「脱水に注意」 | 湯のみの数、尿の回数と色の聞き取り、口の渇き、室温(記録した値)を訪問のたびに見る | 「注意」の中身を、見る物に置き換えた |
| T-P | 「傾聴」 | 本人の話を否定せずに聞き、一緒に財布を探す役を看護師が受け持つ。見つかったら本人が見つけた形にする | 聞いたあとに何をするかまで書いた |
| T-P | 「環境整備」 | 夜のトイレへの通り道の物を本人と片づけ、足元灯の位置とトイレの扉の表示を家族と決める | 整える場所と物を書いた |
| T-P | 「服薬介助」 | 処方のとおりに1週間分を服薬カレンダーにセットし、本人が取り出す場所と時刻を一緒に決める | 介助の手順と、本人ができる部分を残す形にした |
| E-P | 「家族指導」 | 夫に、夕方に落ち着かなくなったときは止める言葉ではなく話に乗る声のかけ方を、訪問時の場面で一緒に行って伝える | 伝える中身と、伝え方を書いた |
| E-P | 「危険行動に注意するよう説明」 | 家族に、一人で外に出たときの連絡の順番と、本人が持つ連絡先のカードの入れ場所を紙にして渡す | 注意の呼びかけを、家族が取れる行動に置き換えた |
| 評価 | 「著変なし。継続」 | 朝の薬は4週のうち3週で飲めていた。飲み忘れは訪問介護のない日曜日に集中している。日曜日の朝に長女が電話で声をかける形を次期に加える | 記録の事実と、次に変えることを書いた |
| 備考 | 「他サービス利用あり」 | デイサービス(週に二回・入浴あり)、訪問介護(朝の服薬の確かめと昼食の調理)、薬局の訪問(2週に一回)。緊急時は当ステーション、次に長女へ連絡する | 記載要領の⑦にある「他の保健、医療又は福祉サービスの利用状況」を具体的にした |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
評価から報告書・ケアプランへ|認知症の方の評価文と報告書の欄別記載例
保医発0327第10号の第一の2(3)③は、「目標達成の程度及びその効果等について評価を行うとともに、評価に関する内容を訪問看護記録書に記録すること」とし、「必要に応じて訪問看護計画書の見直しを行い、指定訪問看護の改善を図る等に努めなければならない」としています。認知症の方の評価は、症状が良くなったか悪くなったかだけでなく、ご本人が続けられている暮らしの場面と、ご家族の疲れの変化を書くと、次の計画で何を変えるかが決まりやすくなります。進み方に合わせて目標を小さく組み直すことも、評価の大切な結論の一つです。
| 評価の結論 | 評価欄の記載例 | 次の計画で変える欄 |
|---|---|---|
| 継続(少しずつ定着している) | 服薬カレンダーの印は、訪問介護のある平日はほぼ毎日ついている。本人は「カレンダーを見れば分かる」と話す。目標と支援内容は継続する | なし(継続) |
| 達成(目標の場面に届いた) | 夕方に洗濯物たたみをする日課が続き、玄関へ向かう日が先月より減ったと夫が話す。次期は、夕食の支度の手伝いを本人の役割に加えることを目標にする | 目標・T-P |
| 一部達成(特定の曜日に崩れる) | 平日は昼食をとれているが、訪問介護のない土日は食卓に用意した食事が残っている。土日の昼に長女が電話で声をかけられるか相談する | 支援内容(担い手の分担) |
| 未達成(方法が合っていない) | 連絡ノートは初めの1週間だけ書かれていた。夫は「字を書くのが面倒」と話す。記録の方法を、丸をつけるだけの用紙に変える | E-P |
| 中断(体調の変化) | 発熱があり、主治医へ報告して受診となった。経過は報告書に記載した。回復後に食事と水分の様子を確かめ、目標を見直す | 課題・O-P・年月日 |
| 中断(入院・ショートステイの長期利用) | 入院となり訪問を中断した。退院後は退院時の情報と新しい指示書を受け、暮らしの様子を確かめてから計画を作り直す | 全体(退院後に新たに作成) |
| 目標の変更(進み方に合わせて小さくする) | 台所での調理の手順で迷う場面が増え、本人は「もう料理はいい」と話す。目標を、家族と一緒に盛り付けをする場面に変える | 目標・T-P |
| 方針の変更(介護者の状況) | 夫が腰の痛みで通院を始め、夜間の介助がつらいと話す。介護支援専門員とショートステイの利用を相談し、夫の休息を課題に加える | 課題・備考(他のサービスの利用状況) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
訪問看護報告書の欄に、計画書の評価をどうつなぐか(認知症の方の記載例6欄)
計画書で決めた観察とケア・説明の結果は、主治医へ出す訪問看護報告書に書くことになります。左から2列目は保医発0327第10号 第一の2(2)の原文です。認知症の方では、主治医が診察の場面では見にくい家での様子を伝えることが、報告書の大きな役割になります。
| 報告書の欄 | 記載要領の定め | 認知症の方の記載例 |
|---|---|---|
| 病状の経過 | ③「利用者の病状、日常生活動作(ADL)の状況等について記入すること」 | 朝の薬は平日はほぼ飲めているが、日曜日に飲み忘れが続いている。夕方に玄関へ向かう日は月の半ばから減っている。夜は2回ほどトイレに起き、その後は眠れていると夫が話す。転倒はなかった |
| 看護の内容 | ④「実施した指定訪問看護の内容について具体的に記入すること」 | 体調の確認、服薬カレンダーのセットと残りの確認、水分と排せつの聞き取り、夕方の過ごし方についての夫との相談、トイレの通り道の灯りの見直しを行った |
| 家庭での介護の状況 | ⑤「利用者の家族等の介護の実施状況、健康状態、療養環境等について必要に応じて記入すること」 | 夫が日中と夜間の見守りを一人で行っている。夫は腰の痛みで通院を始めており、「夜に起こされるのがつらい」と話す。介護支援専門員とショートステイの利用を相談している |
| 特記すべき事項 | ⑨「前記の②から⑧までの各欄の事項以外に主治医に報告する必要のある事項を記入すること」 | 夕方に落ち着かなくなるのは、昼寝が長かった日と来客のあった日に多い。処方の変更後、日中の眠気について夫から相談がある。ご指示をいただけますでしょうか |
| 報告書の簡略化 | ⑪継続して訪問している方で、その月に1回しか訪問しなかった場合は「記録書Ⅱの複写を報告書として差し支えない」 | 入院やショートステイで月の途中から訪問がなかった月などに、該当の記録書Ⅱを報告書として扱うかを事業所の手順で決めておく |
| 家族等との関係(精神科訪問看護報告書を使う場合) | ⑤後段「精神疾患を有する者を対象として指定訪問看護を行う場合にあっては、当該報告書中『家族等との関係』欄には、利用者と当該利用者の家族、友人等との対人関係について記入すること」 | 財布をしまった場所が分からなくなると長女を責めることがあり、長女は来訪の回数を減らしている。近所の友人とは週に一度、玄関先で話をしている |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
介護保険の訪問看護では、老企第55号の1(1)により、居宅サービス計画が作成されている場合は「当該計画の内容に沿って作成する」こととされています。評価の結果は、短期目標の期間の終わりに合わせて介護支援専門員へ伝え、ケアプランの意向・ニーズ・サービス内容と、計画書の目標・課題・支援内容が同じ方向を向いているかを確かめてください。認知症の方のケアプランの文例(第1表・第2表)は、当サイトの「認知症の方のケアプラン文例」で扱っています。
運営指導で認知症の方の計画書について見られる点と、手元に残す記録の一覧
厚生労働省の運営指導マニュアル別添1(確認項目及び確認文書)では、訪問看護の「訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成(第70条)」について次の確認項目が示されています。確認文書としては、主治の医師の指示及び居宅サービス計画に基づく訪問看護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)、アセスメントシート、モニタリングシート、訪問看護報告書が挙げられています。右の列は、認知症の方の計画書で確かめる点の例です。
| 別添1の確認項目(訪問看護・第70条) | 認知症の方の計画書で確かめる点 | 貴事業所の確認欄 |
|---|---|---|
| 居宅サービス計画に基づいて訪問看護計画が立てられているか | ケアプランの頻度・目標と、計画書の訪問の計画・目標が食い違っていないか。ショートステイやデイサービスの曜日が反映されているか | 確認日:( ) |
| 主治の医師の指示及び利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて訪問看護計画が立てられているか | 指示書の留意事項と処方が計画書に写されているか。本人の「ここで暮らしたい」などの言葉と、家族の介護の状況が目標・課題に反映されているか | 確認日:( ) |
| サービスの具体的内容、時間、日程等が明らかになっているか | O-P・T-P・E-Pが「BPSDの観察」「服薬管理」「家族指導」の一語で止まっていないか。訪問の曜日と時間帯が分かるか | 確認日:( ) |
| 利用者又はその家族への説明・同意・交付は行われているか | 本人に分かる言葉で説明した場面と反応、家族に説明した相手と日付、同意と交付の記録が残っているか | 確認日:( ) |
| 目標の達成状況は記録されているか | 評価欄と記録書Ⅱに、服薬カレンダーの残り、夜の様子、通所に行けた日などの事実が書かれているか | 確認日:( ) |
| 達成状況に基づき、新たな訪問看護計画が立てられているか | 処方の変更・転倒・入院・退院・主な介護者の状況の変化の後に、計画書が見直されているか | 確認日:( ) |
| 訪問看護報告書は作成されているか | 計画書の評価と、報告書の病状の経過・家庭での介護の状況がつながっているか | 確認日:( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
自治体の公表資料にある訪問看護の計画書・同意・個人情報・事故・虐待防止の指摘(7件)
認知症の方に限った指摘ではありませんが、計画書の書き方と、認知症の方の支援で関わりの深い同意・個人情報・事故・虐待防止に関わる公表事例です。
| 自治体 | 公表されている指摘の内容 | 認知症の方の計画書で見直す点 |
|---|---|---|
| 長野県(令和6年度運営指導結果の概要・訪問看護) | 居宅サービス計画の内容に沿った計画となっていない、訪問看護計画に対する利用者の同意を得たことが確認できない、具体的なサービス内容を記載していない事例等 | ケアプランとの対応、説明・同意の記録、O-P・T-P・E-Pの具体性 |
| 神戸市(介護保険サービス事業運営上の留意事項・令和7年3月) | 訪問看護指示書の有効期限切れ・受領遅れ、計画書に具体的なサービスの内容・利用者の希望・主治医の指示・看護目標等を記載していない、計画書に利用者の同意署名がない等 | 指示書の期間の管理、本人の希望の反映、同意の残し方 |
| 東京都(運営指導における主な指摘事項・訪問看護) | 計画書を作成していない、計画書がケアプランの内容と相違している、内容が不十分 | 訪問開始前に計画書があるか、ケアプランとの食い違い |
| 東京都(同) | サービス提供開始後に指示書の交付を受けていた、文書による指示なく訪問していた、訪問内容が指示書と相違している等 | 指示書の留意事項と、計画書の支援内容が食い違っていないか |
| 東京都(同) | 利用者本人と家族の個人情報使用同意が区別されていない等 | 遠方の家族や他事業所に様子を伝える場合の、本人分と家族分の同意の記録 |
| 東京都(同) | 事故の状況や講じた処置を記録しておらず詳細・対応・再発防止策が不明確、保険者への事故報告を行っていない等 | 訪問中の転倒やけがの記録と、計画書の課題への反映 |
| 東京都(同) | 虐待防止検討委員会の定期開催、指針の整備、定期研修、専任担当者の設置という4つの措置が求められています | 介護者の疲れが強い家庭での関わり方と、事業所内で相談する手順 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
認知症の方の計画書について手元に残す記録(記入欄つき)
保存の年限は、介護保険では各自治体の条例で定められているため、ここでは記入欄にしています。
| 記録 | 何のために残すか | 保管場所 | 最終更新日 |
|---|---|---|---|
| 訪問看護指示書(精神科訪問看護指示書・特別訪問看護指示書を含む) | 留意事項・連絡の目安・指示期間と、様式を選んだ根拠 | ( ) | ( ) |
| 処方の内容とお薬手帳の写し | 服薬の支援内容の出どころ、処方の変更日の確認 | ( ) | ( ) |
| 医療機関の診断・評価の情報、退院時の情報 | 課題欄の根拠 | ( ) | ( ) |
| 居宅サービス計画の写し | 計画書がケアプランに沿っていることの確認 | ( ) | ( ) |
| 訪問看護計画書(説明・同意・交付の記録つき) | 説明した相手と日付、本人への説明の場面と反応、同意と交付の事実 | ( ) | ( ) |
| 個人情報使用の同意書(本人分・家族分) | 家族や他事業所に様子を伝える範囲の確認 | ( ) | ( ) |
| 訪問看護記録書Ⅰ(日常生活自立度の欄を含む) | 初回訪問時の状態の記録、評価の比べる基準 | ( ) | ( ) |
| 訪問看護記録書Ⅱ | 観察・ケア・説明の実施と評価、行動・心理症状の場面の記録、本人の言葉 | ( ) | ( ) |
| 訪問看護報告書(主治医への提出の記録つき) | 評価と家での様子を主治医へ伝えた事実 | ( ) | ( ) |
| 家族の連絡ノート・他事業所との連絡帳の写し | 看護師がいない時間の様子と、分担の実際 | ( ) | ( ) |
| 事故・ヒヤリハットの記録 | 転倒やけがの状況と処置、計画の見直しのきっかけ | ( ) | ( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
よくある質問
認知症の看護計画で、行動・心理症状(BPSD)はどう書けばよいですか?
「BPSDの観察」「徘徊あり」のように症状の名前で書くと、訪問の時間の中で何を見て何をしたのかが記録に残りにくくなります。在宅の訪問看護計画書では、症状が出る時間帯と、その前の出来事(昼寝・空腹・トイレ・部屋の暗さ・来客など)、そのときのご本人の言葉、落ち着いたきっかけを書きとめることを観察項目にし、ケアには落ち着くための関わり方や環境の整え方を書きます。頓用の薬の使い方や主治医へ連絡する目安は、指示書に記載の内容を転記する形にします。
病院の看護計画や看護学生の看護過程と、在宅の訪問看護計画書はどこが違いますか?
病棟の看護計画は、職員が交代で一日中見守ることを前提に組み立てます。在宅の訪問看護計画書は、主治医の指示書と訪問による療養状況を踏まえて目標を設定し、限られた訪問の時間の中で行う観察・ケア・説明を書くものです。認知症の方では、看護師が帰ったあとの服薬や食事、夕方や夜の過ごし方を、ご本人・ご家族・訪問介護・通所先がどう受け持つかまで書いておくと、在宅の計画として使いやすくなります。
認知症の方の訪問看護は、精神科訪問看護計画書で書くのですか?
保医発0327第10号の第一の1(1)では、計画書と報告書は別紙様式1及び2を標準とし、精神疾患を有する者等を対象として指定訪問看護を行う場合は、その特性を踏まえ別紙様式3及び4を標準として作成するものとされています。どちらの様式で書くかは、交付されている指示書が訪問看護指示書か精神科訪問看護指示書か、どの保険で訪問看護を行うかによって変わるため、指示書と保険の取扱いを確かめたうえで選んでください。
ご本人が計画書の説明を理解しにくい場合、説明と同意はどう残しますか?
運営指導マニュアル別添1の訪問看護の確認項目には、「利用者又はその家族への説明・同意・交付は行われているか」が挙げられています。認知症の方では、ご本人に分かる言葉で目標と訪問の内容を説明した場面と、そのときのご本人の反応を記録書Ⅱに残し、あわせてご家族に説明した相手と日付、同意と交付の記録を残しておくと、あとから経過を確かめやすくなります。誰の署名をどう残すかは、保険者の取扱いと事業所の手順でご確認ください。
服薬の管理は、計画書にどこまで書きますか?
薬の名前や量、飲む時刻は処方のとおりとし、計画書には書き写さずに「処方のとおり」「お薬手帳のとおり」の形にします。計画書に書くのは、誰が服薬カレンダーにセットするか、誰が飲めたかを確かめるか、残った薬をどう扱うか、処方が変わったあとに何を観察して主治医へ伝えるか、といった仕組みと分担です。飲みにくさや飲み忘れが続くときは、飲み方の工夫を主治医・薬剤師に相談することを支援内容に書いておきます。
出典
出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)/公共データ利用規約(第1.0版)
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。各自治体の公表資料についても同様に当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。
関連記事
- 訪問看護計画書の書き方と記入例|テンプレート・文例つき
- 認知症の方のケアプラン文例|見守りと意欲を支える目標・サービス内容
- 訪問看護計画書の評価の書き方と記載例|達成度別・疾患別の評価文102例と報告書・次の計画へのつなぎ方
- 在宅の看取りの看護計画|訪問看護計画書の目標・観察項目・援助内容の記載例151例
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
