慢性腎不全で人工透析を受ける方のケアプランは、透析と体調の管理を支え、食事・服薬・シャントの管理を整えることが中心になります。文例とともに整理します。
ケアの視点
透析スケジュールに合わせて体調を管理し、塩分・水分・カリウム・リンの食事管理やシャントの保護を支えます。体重と血圧の変動に注意します。
ケアプランの文例
ニーズ:透析を続けながら、体調を保って自宅で暮らしたい。
長期目標:透析と食事・服薬の管理を続け、体調を安定させられる。
短期目標:水分・塩分の管理と体重測定を毎日続けられる。
サービス内容:訪問看護による体重・血圧・シャントの観察、食事・水分管理の助言、服薬管理、透析日の体調確認と通院(送迎)支援。
書き方のポイント
- 体重・血圧・シャント音などの観察を具体的に
- 食事管理(塩分・水分・カリウム・リン)を留意事項に
- 透析日の体調と通院・送迎の調整を明記
透析を受けながらの在宅生活の計画づくりで、実際に迷うところ
① 透析の日と、そうでない日は別の生活
透析のある日は半日以上が拘束され、終了後は疲労が強く出ることがあります。透析日と非透析日で、支援の内容と量を分けて書くのが実務的です。週の予定を第3表に描くと、無理のある組み方に気づけます。
② シャントを守ることが生活の前提
シャント(血液の出入口)は透析を続けるための命綱です。圧迫しない、重い物を持たない、腕時計をしないといった日常の注意が、支援者全員に共有されている必要があります。血圧測定もシャント側では行いません。
③ 水分と食事の管理は主治医の指示による
水分制限やカリウム・リン・塩分の制限は、その方の状態によって内容が違います。一般論で助言せず、指示された内容を計画に転記する形をとります。
長期目標・短期目標の立て方
| 避けたい書き方 | 扱いやすい書き方 | |
|---|---|---|
| 長期目標 | 腎機能を改善する | 透析を続けながら、自分らしい生活を保てる |
| 短期目標 | 水分を制限する | 主治医から示された水分量の目安を守れる |
| 短期目標 | 毎日体重を測る | 透析前後の体重の変化を記録できる |
サービス種別ごとの位置づけ例
| サービス | 位置づけの例 | 記録で見るところ |
|---|---|---|
| 訪問介護 | 透析日の負担軽減(家事支援)、通院の支援 | 透析日の疲労、食事内容、水分 |
| 訪問看護 | シャントと全身状態の観察、体重・血圧の管理 | シャント音・スリル、浮腫、血圧、体重 |
| 通所介護 | 非透析日の活動と入浴 | 参加状況、入浴時のシャント部の保護 |
| 医療機関 | 透析、食事・水分の指示 | 検査値、透析時の状態 |
第1表・第2表の文例
第1表:利用者及び家族の生活に対する意向
- 本人「透析の日はぐったりして何もできない。家のことが回らない」
- 妻「食事に何を出せばよいのか、毎回迷う」
第1表:総合的な援助の方針
透析のある日とない日で生活のリズムが大きく変わることを前提に、支援を組み立てます。シャントを守るための注意点を関係者全員で共有します。水分・食事の管理は主治医から示された内容に沿って行い、自己判断で変えません。
第2表:ニーズ・目標・サービス内容
| 生活全般の解決すべき課題 | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 透析日は疲労が強く、家事ができない | 透析を続けながら生活を保てる | 透析日に必要な家事の支援を受けられる | 訪問介護:火木土の夕方(生活援助) |
| シャントを守る注意点が家族に伝わっていない | シャントを安全に保てる | 家族が注意点を説明できる | 訪問看護:指導と週1回の観察 |
| 食事の内容に迷い、家族の負担になっている | 指示に沿った食事を続けられる | 1週間の献立を家族が組み立てられる | 医療機関:栄養指導/訪問介護:調理支援 |
| 体重と血圧の変化に気づきにくい | 変化に早く気づける | 体重を毎日測って記録できる | 訪問看護:記録の確認/家族:日々の測定 |
モニタリングで見る、変化のサイン
- シャント——音(ザーザーという連続音)と振動(スリル)が触れるか。弱い・止まっている場合はすぐ医療機関へ
- 体重——透析前後の差、非透析日の増え方
- 浮腫——足、顔、まぶた
- 血圧——透析後の低下、非透析日の変動
- 食事——カリウムの多い食品(果物、生野菜、いも類)の摂り方
- 皮膚——かゆみ、乾燥
- 気持ち——透析の継続は精神的な負担も大きくなります
計画づくりでよくある疑問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| シャント音の記録はどう書くか | 「良好」だけでなく、聴取した部位、音の性状(連続性の有無)、スリルの有無を書きます |
| 血圧はどちらの腕で測るか | シャントのない側で測ります。関係者全員が知っている必要があります |
| 入浴時に気をつけることは | シャント部を強くこすらない、長時間の入浴を避けるなど、主治医の指示に沿います |
| 水分の目安を支援者が決めてよいか | 決めません。主治医から示された内容を計画に書き写します |
| 透析日に通所を入れてよいか | 本人の負担を見て判断します。第3表に描くと無理な組み方に気づけます |
※本記事は計画作成の一般的な考え方を整理したものです。医学的な判断は主治医の指示によります。給付や算定の可否は保険者(市区町村)にご確認ください。
文例を土台に、作成はAIで
文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正するだけで仕上がり、実証では作成時間が平均125.5分から37.6分に短縮しました(約70%短縮)。※所要時間は利用者さまの状態・記載量・事業所の運用により異なります。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
ケアプラン文例(記入例・コピペ可)
慢性腎不全(人工透析)の方のケアプランでは、食事・水分の管理、透析の通院支援、体調・シャントの管理が柱です。
| 生活課題(ニーズ) | 長期・短期目標 | サービス内容・留意点 |
|---|---|---|
| 透析を続けながら在宅生活を送りたい | (長期)安全に透析を継続し在宅生活を続けられる/(短期)通院と体調管理ができる | 透析の通院支援・送迎、訪問看護の体調観察、主治医と連携 |
| 食事に気をつけて体調を保ちたい | (長期)食事・水分が管理され体調が安定する/(短期)塩分・水分・カリウムに配慮できる | 管理栄養士の食事指導、配食、家族の協力 |
| シャントや体調を守りたい | (長期)合併症なく過ごせる/(短期)シャントと体重・むくみを管理できる | 訪問看護のシャント・体重・浮腫の観察、異変時の連絡体制 |
慢性腎不全|第2表の通し文例
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 透析を続けながら、家での生活も大切にしたい | 透析を継続しながら、自宅での生活を維持できる(1年) | 透析日以外の生活リズムが整う(3か月) | 訪問看護:体重・血圧・シャントの観察/訪問介護:透析日以外の生活援助 |
| 水分と塩分の管理が難しい | 体重の増えすぎがなく、体調が安定する(6か月) | 透析間の体重増加が目安の範囲に収まる(3か月) | 居宅療養管理指導:管理栄養士/訪問看護:体重の確認 |
| シャントを大事にしたいが、扱いが不安だ | シャントのトラブルなく透析を続けられる(1年) | 毎日、自分でシャント音を確認できる(2か月) | 訪問看護:シャントの観察と指導/本人:日々の確認 |
| 透析の日は疲れて何もできない | 透析日の疲労とつきあいながら生活できる(1年) | 透析日の家事を支援に任せられる(1か月) | 訪問介護:透析日の生活援助/家族:役割の分担 |
| 通院の送迎が家族の負担になっている | 通院が途切れず、家族の負担も減る(1年) | 送迎の体制が整い、透析を継続できる(1か月) | 訪問介護:通院等乗降介助/医療機関の送迎の利用 |
| 食事の制限が多くて、楽しみがない | 制限のなかでも食事を楽しめる(1年) | 週1回、好みに合わせた献立を用意できる(3か月) | 居宅療養管理指導:管理栄養士/訪問介護:調理 |
| 足がつることがある | 症状が減り、夜間も休める(6か月) | こむら返りが週1回以下になる(3か月) | 訪問看護:症状の記録と主治医への報告 |
| 体力が落ちて、歩く距離が減った | いまの移動能力を保てる(1年) | 週3回、10分の歩行を続けられる(3か月) | 訪問リハビリテーション/通所介護(週1) |
| 薬が多く、飲み間違いが心配だ | 服薬が確実に続けられる(1年) | 服薬カレンダーで飲み間違いがなくなる(2か月) | 訪問看護:服薬の確認/居宅療養管理指導:薬剤師 |
| この先透析が続くことに不安がある | 見通しを持って、生活を続けられる(1年) | 不安を相談できる相手が決まっている(1か月) | 訪問看護:傾聴/医療ソーシャルワーカーとの連携 |
慢性腎不全|観察項目とモニタリングの視点
短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。
| 観察する項目 | 変化のサイン | 計画への反映 |
|---|---|---|
| 体重 | 透析間の増加量 | 増加が続くときは食事と水分の支援を見直す |
| 血圧 | 透析前後の変動、家庭での測定値 | 測定の担当と記録の方法を書く |
| シャント | 音・振れ・発赤・腫脹 | 毎日の確認を本人の役割として計画に書く |
| 浮腫 | 下肢・顔面 | 観察の頻度と報告先を明記する |
| 食事 | 塩分・水分・カリウム・たんぱく質 | 栄養に関する支援を加える |
| 皮膚 | 掻痒感、乾燥 | 清潔ケアと保湿を計画に入れる |
| 活動量 | 歩行距離、家事の実施状況 | 透析日と非透析日で分けて目標を置く |
| 気分 | 意欲の低下、不安の訴え | 相談の機会を計画に位置づける |
慢性腎不全|避けたい書き方と言い換え
姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。
| 避けたい書き方 | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 腎機能を維持する | 検査値そのものは生活の目標になりにくい | 透析を継続しながら、自宅での生活を維持できる |
| 水分制限を守る | 支援者側の指示になっている | 透析間の体重増加が目安の範囲に収まる |
| シャント管理を行う | サービス内容であり、目標ではない | 毎日、自分でシャント音を確認できる |
| 透析に通う | 通うこと自体は手段である | 送迎の体制が整い、透析を継続できる |
| 食事制限を徹底する | 制限が目的化している | 週1回、好みに合わせた献立を用意できる |
| 体力を落とさない | 量が示されていない | 週3回、10分の歩行を続けられる |
| 家族が支援する | 家族頼みの計画になっている | 透析日の家事を支援に任せられる |
第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
慢性腎不全(透析)のケアプランで大切な点は?
食事で気をつける点は?
通院支援はどう書きますか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
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介護のDXは、ゆっくりでいい。
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場面別|腎不全の観察と記録の文例
腎不全の方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。時刻と数字を入れるのが要点です。
| 場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 透析 | 週3回(月・水・金)。施設の送迎車を利用。 |
| 透析後 | 疲労感あり。帰宅後2時間は臥床して休まれる。 |
| 体重(透析前後) | 透析前52.8kg、透析後50.9kg。 |
| ドライウェイト | 50.5kg。医師の指示による。 |
| むくみ | 両下腿に軽度の浮腫。透析後に軽減する。 |
| シャント | 左前腕。音を毎日確認している。腫れ・発赤なし。 |
| 血圧 | 透析前148/82、非透析日128/76。 |
| 水分 | 1日の指示量700mL。氷片で口渇に対応している。 |
| 食事 | たんぱく質・カリウム・塩分を調整した食事。生野菜と果物は控えている。 |
| 摂取量 | 主食7割・副食6割。 |
| 服薬 | リン吸着薬を食直後に内服。飲み忘れなし。 |
| 皮膚 | かゆみの訴えあり。保湿剤を塗布している。 |
| 倦怠感 | 非透析日の午前は比較的動ける。 |
| 活動 | 非透析日に室内歩行20分。 |
| 睡眠 | 夜間の中途覚醒1回。 |
| 通院 | 月1回の外来受診を継続。 |
| 注意点 | シャントの音がしない、腕が腫れる、息苦しいときは、ただちに連絡するよう家族へ伝えた。 |
| 連携 | 透析施設と体重・血圧の情報を共有している。 |
あわせて確認したい、併存しやすい状態
慢性腎不全(人工透析)の方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。
27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
