公開:2026年11月8日/出典:厚生労働省保険局医療課長通知「保険医療機関等の遡及指定及び機能移転の取扱いについて」(保医発0605第2号)、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
要点(3行)
- 厚生労働省保険局医療課長は令和8年6月5日、「保険医療機関等の遡及指定及び機能移転の取扱いについて」(保医発0605第2号)を地方厚生(支)局医療課長あてに出しました。厚生労働省のページでは「(0731訂正後)」の版が掲載されています。
- 移転・再編等を行う場合の経営上の予見可能性の確保、個別事例に応じた遡及指定や機能移転の柔軟な取扱い、申請手続き等の全国統一的な運用のための見直しで、原則として令和8年9月1日から適用されています。
- 昭和32年・昭和33年の通知と、平成29年・令和5年の事務連絡は、令和8年8月31日限りで廃止されました。
何が出たか
| 項目 | 一次資料に書かれていること |
|---|---|
| きっかけ | 令和7年12月3日の中央社会保険医療協議会総会で、遡及指定等と施設基準等の取扱いについて必要な見直しを行うこととされた |
| 遡及指定とは | 新たに指定を受ける場合は通常、申請の翌月の1日が指定日となるが、条件に当てはまり地方社会保険医療協議会(地医協)で認められた場合に、旧医療機関等の廃止日の原則として同日又は翌日付で新医療機関等を指定し、その日から診療報酬を算定する例外的な取扱い |
| 遡及指定の対象の事例 | 開設者変更/所在地変更/個人から法人、法人から個人への変更/病院から診療所、診療所から病院への変更 |
| 機能移転とは | 保険医療機関の廃止を伴わず、施設基準の届出を要する診療機能を移転する場合に、一定の基準を満たせば、移転元の実績要件を引き継いで機能移転日から算定する例外的な取扱い |
| 適用 | 原則として令和8年9月1日から。令和8年8月31日以前の日を遡及指定等の期日とする事例でも、申請する医療機関等の意向を踏まえ、この通知の判断基準に基づく取扱いを行うことは差し支えない |
遡及指定の申請の3つの型
| 型 | 当てはまる事例 | 手続きの要点 |
|---|---|---|
| ① 開設者死亡等 | 開設者が個人の病院・診療所・薬局で、開設者の死亡・病気等により、血族その他勤務する保険医等が引き続き開設者となり、職員と診療録等を引き継いで診療を続ける場合 | 新医療機関等の開設者が指定申請書等を、旧医療機関等の開設者の相続人等が廃止の届出を出す |
| ② 至近の距離への移転・開設者のみの変更 | 同一都道府県内の直線距離で2km以内への移転(開設者の変更なし)、又は所在地移転を伴わない開設者のみの変更(個人から血族等の個人、個人から本人が代表者の法人など) | 「基本的には認める要件」を満たす場合、予定届出書による事前相談は不要。指定申請書等と「別紙1」の確認書類を出す |
| ③ その他 | 直線距離で2kmを超える移転、所在地移転と開設者変更の同時、病院と診療所の間の変更など | 原則として遡及指定を希望する日の3か月前までに、予定届出書(別紙2-1など)を出し、地方厚生(支)局の要請に応じて事前相談を行う |
各手続きの期限と必要書類の詳細は、地方厚生(支)局ごとに定めることとされています。
判断基準の主な項目(③の型の場合)
| 項目 | 資料に書かれた基準(病院・診療所の場合を中心に) |
|---|---|
| 過去に診療した患者の引継ぎ | 診療録等の引継ぎ、旧医療機関を受診した患者の問い合わせへの対応 |
| 現に診療中の患者の引継ぎ | 入院患者・外来・在宅患者の診療が新医療機関で引き続き行われる |
| 標榜診療科 | 主な標榜診療科が全て引き続き標榜される(一部を縮小する場合は特に慎重な判断) |
| 職員の引継ぎ | 常勤医師の概ね5割以上、又は常勤医師数と非常勤医師の常勤換算医師数の和の概ね5割以上が引き続き雇用され診療にあたる |
| 移転の距離 | 病院・有床診療所は同一二次医療圏内又は同一都道府県内の直線距離で12km以内、無床診療所は同一市区町村内又は直線距離で6km以内 |
| 地域医療構想調整会議等 | 病院・有床診療所は、必要に応じて当該事例の議論を経て医療法上の変更が行われている |
②の型の「基本的には認める要件」では、医師(常勤及び非常勤)の概ね8割以上と常勤医師の概ね5割以上が引き続き雇用されること、管理者が同一の医師であることなどが並んでいます。
施設基準の扱い
| 場合 | 資料に書かれていること(短く) |
|---|---|
| 旧医療機関等で受理されていた施設基準 | 新医療機関等でも要件を満たし、定められた期日までに届出が行われたものは、遡及指定日から引き続き算定 |
| 新たに届け出る施設基準(実績を要しない) | 期日までに届出があり要件審査を終えた場合に限り、遡及指定日の属する月から算定 |
| 新たに届け出る施設基準(実績を要する) | 旧医療機関等の実績を届出の実績として取り扱った上で、同じく遡及指定日の属する月から算定。旧医療機関等に実績がない場合は、新医療機関等で実績が要る |
| 機能移転 | 原則として機能移転を希望する日の3か月前までに届出と事前相談。移転元は機能移転日に施設基準の辞退届を出す |
一次資料:保険医療機関等の遡及指定及び機能移転の取扱いについて(保医発0605第2号・PDF)/令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省)
病院・クリニックで確かめること
- 移転・開設者変更・法人化・病院と診療所の変更を予定している場合は、3つの型のどれにあたるかを通知の文面で見比べ、管轄の地方厚生(支)局の案内(期限・必要書類)をご確認ください。③の型は、希望する日の3か月前までの予定届出書が原則です。
- 判断基準には、診療録の引継ぎ、職員の引継ぎ(医師の割合)、標榜診療科、移転の距離が並んでいます。計画の段階で、医師の雇用の見通しや移転先の距離を、事務長と開設者で整理しておくと、事前相談のときに迷いません。
- 施設基準は、引き継ぐもの・新たに届け出るもので扱いが分かれています。今届け出ている施設基準の一覧と、実績を要するものを医事課で洗い出しておくと安心です。
- DPC対象病院が継続参加を希望する場合は、別途の手続き(「DPC制度への参加等の手続きについて」)が要ると書かれています。該当する病院は、その通知もご確認ください。
関係する記事
書き方・要件の記事 神マナでできることこの記事に関係するページ
書類づくりの文例を、LINEでお届けしています
公式LINEで、サービス別の文例集(PDF)と書き方のコツ(週1回)をお送りしています。売り込みはしません・いつでも解除できます。
更新履歴:初版。訂正通知や地方厚生(支)局の案内が出たときは、この記事を更新します。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。






