低栄養・フレイルの方のケアプランは、「食べない→動けない→さらに弱る」という悪循環を防ぐことが大切です。栄養と活動の両面から、文例とともに整理します。
ケアの視点
体重減少や食事量の低下に注意し、栄養改善・口腔ケア・運動・社会参加を組み合わせて、フレイルの進行を防ぎます。
ケアプランの文例
ニーズ:しっかり食べて体力を保ち、元気に暮らしたい。
長期目標:栄養状態と活動量を保ち、フレイルの進行を防げる。
短期目標:1日3食を意識し、毎日少しずつ体を動かせる。
サービス内容:訪問看護・管理栄養士による栄養・体重の観察と助言、口腔ケア、運動の支援、通所などの社会参加の機会づくり。
書き方のポイント
- 体重減少・食事量を具体的な数値で書く
- 口腔・嚥下と栄養面の配慮を留意事項に
- 活動量と社会参加の機会を盛り込む
低栄養・フレイルの計画づくりで、実際に迷うところ
① 「食べていますか」では分からない
本人は「食べている」と答えます。実際に見るのは体重、食事の内容、買い物や調理ができているかです。食欲の問題ではなく、買いに行けない・作れないことが原因のことが多くあります。
② 痩せていない人にも起きる
体格がよくても、筋肉が落ちて脂肪が残っていれば低栄養の状態になり得ます。見た目だけで判断しないことを、関係者で共有します。
③ 動かないことと食べないことは、同時に進む
食べない→力が出ない→動かない→お腹が空かない→食べない、という循環に入ります。食事と活動の両方を計画に入れることが要点です。
長期目標・短期目標の立て方
| 避けたい書き方 | 扱いやすい書き方 | |
|---|---|---|
| 長期目標 | 体重を増やす | 必要な栄養がとれ、体力を保てる |
| 短期目標 | 1日3食しっかり食べる | 1日2食以上を食べられる日が続く |
| 短期目標 | 毎日散歩する | 週2回、外に出る機会を持てる |
サービス種別ごとの位置づけ例
| サービス | 位置づけの例 | 記録で見るところ |
|---|---|---|
| 訪問介護 | 買い物と調理の支援、一緒に食べる場面づくり | 食事内容、摂取量、調理の実施状況 |
| 通所介護 | 食事の機会と運動、他者との交流 | 昼食の摂取量、活動への参加 |
| 訪問看護 | 体重・全身状態の観察、主治医との共有 | 体重、皮膚、浮腫、口腔内 |
| 配食サービス | 食事の確保と安否確認 | 配食の受け取り、食べ残しの有無 |
第1表・第2表の文例
第1表:利用者及び家族の生活に対する意向
- 本人「ひとりだと作る気にならない。食べなくても平気」
- 長男「実家に行くたびに痩せている気がして心配」
第1表:総合的な援助の方針
「作れない」「買いに行けない」といった、食べられない背景から支援します。食事と活動の両方を組み合わせ、体力の低下を防ぎます。体重と食事量を関係者で共有し、変化があれば早めに主治医へつなぎます。
第2表:ニーズ・目標・サービス内容
| 生活全般の解決すべき課題 | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| ひとりでは調理する気になれず、食事量が減っている | 必要な栄養がとれる | 1日2食以上を食べられる日が週5日以上になる | 訪問介護:調理と一緒に食べる場面/配食:週3回 |
| 買い物に行けず、食材が確保できない | 食材を安定して確保できる | 週1回、必要な買い物ができる | 訪問介護:買い物同行(身体介護) |
| 外出の機会が減り、体力が落ちている | 活動量を保ち、体力を維持できる | 週2回、外出の機会を持てる | 通所介護:週2回 |
| 口の中の状態が悪く、食べにくい | 食べやすい口腔の状態を保てる | 歯科の受診が定期的に行われている | 歯科:口腔管理/訪問介護:食後の口腔ケア |
モニタリングで見る、変化のサイン
- 体重——6か月で2〜3kg以上の減少は注意が必要とされます
- 食事——量だけでなく、たんぱく質がとれているか
- 買い物と調理——できているか、億劫になっていないか
- 歩く速さ——横断歩道を青のうちに渡りきれるか
- 握力・握る動作——ペットボトルの蓋、瓶の開けにくさ
- 口腔——義歯が合っているか、痛みがないか
- 外出——週に何回、家の外へ出ているか
計画づくりでよくある疑問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 本人が「食べている」と言う | 実際の食材の減り方、体重、ごみの量など、事実で確かめます |
| 栄養補助食品を勧めてよいか | 主治医・管理栄養士と相談します。腎機能などにより適さない場合があります |
| 体重計がない | 訪問時に測れる体重計を用意するか、通所での測定を計画に位置づけます |
| 家族が「年だから仕方ない」と言う | フレイルは可逆的な状態とされています。早い段階での介入に意味があることを共有します |
| 運動を勧めてよいか | 栄養が不足したまま運動量だけ増やすと、かえって体力が落ちます。食事と一緒に組み立てます |
※本記事は計画作成の一般的な考え方を整理したものです。医学的な判断は主治医の指示によります。給付や算定の可否は保険者(市区町村)にご確認ください。
計画を見直すタイミング
- 要介護認定の更新・区分変更があったとき
- 入退院があったとき
- 主たる傷病名や治療の内容が変わったとき
- 同居家族や住環境が変わったとき
- 短期目標の期間が満了したとき
- 本人・家族から見直しの申し出があったとき
期間が来たから機械的に更新するのではなく、何が変わったから見直すのかを支援経過に残しておくと、次の担当者にも引き継がれます。
文例を土台に、作成はAIで
文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正するだけで仕上がり、実証では作成時間が平均125.5分から37.6分に短縮しました(約70%短縮)。※所要時間は利用者さまの状態・記載量・事業所の運用により異なります。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
ケアプラン文例(記入例・コピペ可)
低栄養・フレイルの方のケアプランでは、栄養・運動・社会参加の3本柱で進行を防ぎます。文例をまとめました。
| 生活課題(ニーズ) | 長期・短期目標 | サービス内容・留意点 |
|---|---|---|
| しっかり食べて体力を保ちたい | (長期)低栄養が改善し体力を保てる/(短期)3食と間食で栄養をとれる | 配食サービス、管理栄養士の助言、訪問介護の食事支援・声かけ |
| 体を動かしてフレイルの進行を防ぎたい | (長期)活動量を保ち自立を続けられる/(短期)週2回の運動に参加できる | 通所介護での機能訓練・軽運動、自宅での体操の助言 |
| 人との交流を続けたい | (長期)社会とのつながりを保てる/(短期)外出や交流の機会をもてる | 通所介護での活動、家族・地域の支援、外出支援 |
低栄養・フレイル|第2表の通し文例
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 食が細くなってきたが、体力を落としたくない | 体重を維持し、いまの活動量を保てる(1年) | 1日3食を8割以上食べられる(3か月) | 訪問介護:調理と買い物/配食サービス(保険外) |
| 作るのが面倒で、同じものばかり食べている | 食事の内容が整い、必要な栄養がとれる(6か月) | 主菜のある食事を1日2回とれる(3か月) | 居宅療養管理指導:管理栄養士/訪問介護:調理 |
| 体重が減ってきて心配だ | 体重の減少が止まる(6か月) | 毎週、体重を測って記録できる(2か月) | 訪問看護:体重と全身状態の確認/本人:週1回の測定 |
| 歩く速さが遅くなった | 外出できる体力を保てる(1年) | 週3回、15分の歩行を続けられる(3か月) | 通所介護:機能訓練(週2)/本人:自主的な歩行 |
| 握力が落ちて、ふたが開けられない | 日常の動作を自分で続けられる(1年) | 自助具を使って、ペットボトルを開けられる(2か月) | 作業療法:自助具の選定/訪問介護:必要時の援助 |
| 人と会う機会が減った | 人との関わりを保ち、孤立せずに過ごせる(1年) | 週2回、人と話す機会を持てる(3か月) | 通所介護(週2)/地域のサロン |
| 買い物に行くのがつらくなった | 必要な食材が確保できる(6か月) | 週2回の買い物支援で、食材が切れない(1か月) | 訪問介護:買い物代行・同行/配食サービス |
| 噛みにくくて食べられないものが増えた | 食べられるものの幅を保てる(6か月) | 義歯の調整により、主菜を食べられる(2か月) | 訪問歯科:義歯の調整/訪問介護:食形態の工夫 |
| 疲れやすく、家事が続かない | 必要な家事が確保され、生活が維持できる(6か月) | 週2回の生活援助で、住まいの清潔が保たれる(1か月) | 訪問介護:生活援助(週2) |
| このまま弱っていくのが不安だ | いまできることを保ち、見通しを持てる(1年) | 自分で決めた活動を毎日続けられる(3か月) | 通所介護:役割のある活動/介護支援専門員:定期的な面談 |
低栄養・フレイル|観察項目とモニタリングの視点
短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。
| 観察する項目 | 変化のサイン | 計画への反映 |
|---|---|---|
| 体重 | 1か月・6か月での減少率 | 栄養に関する支援の追加を検討する |
| 食事 | 摂取量、主菜の頻度、間食 | 調理・配食の回数を見直す |
| 歩行 | 速度、距離、ふらつき | 運動の目標を現実的な回数へ置き直す |
| 握力・筋力 | ふたが開かない、立ち上がりがつらい | 自助具と訓練の内容を見直す |
| 口腔 | 義歯の適合、噛みにくさ | 歯科の受診を計画に加える |
| 活動量 | 外出の回数、家事の実施状況 | 活動の場を計画に位置づける |
| 社会参加 | 人と会う頻度、会話の量 | 交流の機会を増やす |
| 意欲 | やりたいことの有無、気分の落ち込み | 本人が選んだ活動を短期目標に置く |
低栄養・フレイル|避けたい書き方と言い換え
姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。
| 避けたい書き方 | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 低栄養を改善する | 何をもって改善とするか分からない | 1日3食を8割以上食べられる |
| フレイルを予防する | 起きなかったことは確認しにくい | 外出できる体力を保てる |
| 栄養指導を行う | 支援者側の行為であり、目標ではない | 主菜のある食事を1日2回とれる |
| 運動を継続する | 量が示されていない | 週3回、15分の歩行を続けられる |
| 体重を増やす | 増えない場合に達成できない目標になる | 体重の減少が止まる |
| 社会参加を促す | 促すのは支援者の行為である | 週2回、人と話す機会を持てる |
| 買い物を支援する | サービス内容であり、目標ではない | 週2回の買い物支援で、食材が切れない |
第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
フレイルとは何ですか?
低栄養のサインは?
運動と栄養はどちらが大切ですか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
無料ではじめる
次の一歩を、どうぞ
介護のDXは、ゆっくりでいい。
まずは無料で、現場で試すところから。
アプリケーションを無料で使ってみる(iPhone / Android)
利用者さま3名まで・期限なく無料/クレジットカード登録不要
場面別|フレイルの観察と記録の文例
フレイルの方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。時刻と数字を入れるのが要点です。
| 場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 歩行速度 | 屋内10mを18秒。前月は21秒だった。 |
| 握力 | 右22kg、左20kg。前回から変化なし。 |
| 体重 | 51.4kg。半年で1.8kg減少している。 |
| 食事 | 主食8割・副食6割。肉と魚の摂取が少ない。 |
| たんぱく質 | 1日の摂取量が不足しがち。1品追加する提案を行った。 |
| 口腔 | 奥歯で噛みにくいと話される。歯科受診を勧めた。 |
| 外出 | 週1回の通所以外は外出なし。 |
| 活動 | 自宅での体操を週3回続けられている。 |
| 疲れやすさ | 「何をするにも億劫」と話される。前月と変わらず。 |
| 意欲 | 通所での体操には自分から参加される。 |
| 社会参加 | 近所の集まりに月1回参加できた。 |
| 転倒 | この6か月で転倒なし。 |
| 段差 | 玄関の段差に踏み台を設置し、昇降しやすくなった。 |
| 服薬 | 5種類を内服。飲み忘れはない。 |
| 睡眠 | 21時就寝、6時起床。日中の臥床は1時間程度。 |
| 気持ち | 「まだ自分でやりたい」と話される。 |
| 注意点 | 体重減少・歩行速度の低下・活動量の減少が重なると悪化しやすいため、月1回測定する。 |
| 連携 | 管理栄養士より食事の助言あり。次回の担当者会議で共有する。 |
あわせて確認したい、併存しやすい状態
低栄養・フレイルの方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。
便秘・排泄ケア/COPD(呼吸器疾患)/脱水症/がん(末期)/誤嚥性肺炎/廃用症候群/褥瘡(床ずれ)/骨折・転倒後/骨粗鬆症/うつ病(高齢者)
27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
