褥瘡(床ずれ)の方のケアプランは、圧迫を取り除き、皮膚と栄養を整えて悪化を防ぐことが中心になります。文例とともに整理します。
この記事でわかること
- ケアの視点
- ケアプランの文例
- 書き方のポイント
- 文例を土台に、作成はAIで
ケアの視点
圧迫・摩擦・湿潤・低栄養が褥瘡の要因です。体位変換と除圧、スキンケア、栄養管理を組み合わせ、悪化や新たな発生を防ぎます。
ケアプランの文例
ニーズ:床ずれを悪化させず、痛みなく過ごしたい。
長期目標:褥瘡が改善・予防され、皮膚の健康を保てる。
短期目標:定期的な体位変換と除圧で、新たな褥瘡をつくらない。
サービス内容:訪問看護による褥瘡の観察・処置、体位変換と除圧用具(マットレス等)の活用、スキンケア、栄養管理、家族への介助指導。
書き方のポイント
- 部位・大きさ・深さ・滲出液を具体的に書く
- 体位変換の間隔や除圧用具を留意事項に
- 栄養と皮膚の保清の工夫を盛り込む
褥瘡(床ずれ)の計画づくりで、実際に迷うところ
① 「体位変換2時間ごと」だけでは足りない
体位変換は基本ですが、それだけでは防げません。栄養、湿潤、摩擦・ずれ、圧の分散の4つが揃って初めて予防になります。計画にどれが入っているかを確認してください。
② 栄養が抜けやすい
低栄養があると、褥瘡はできやすく、治りにくくなります。予防の計画に食事の項目が入っていないことがよくあります。
③ できてからでは、時間もお金もかかる
褥瘡は、できると治癒までに数か月かかることがあります。予防の段階で福祉用具を入れるほうが、結果として本人の負担も費用も小さくなります。
長期目標・短期目標の立て方
| 避けたい書き方 | 扱いやすい書き方 | |
|---|---|---|
| 長期目標 | 褥瘡ができない | 皮膚の状態を保ち、快適に過ごせる |
| 短期目標 | 2時間ごとに体位変換する | 日中は座位の時間を確保し、同じ姿勢が続かない |
| 短期目標 | 栄養状態を改善する | 1日3食を食べられる日が続く |
サービス種別ごとの位置づけ例
| サービス | 位置づけの例 | 記録で見るところ |
|---|---|---|
| 訪問看護 | 皮膚の観察と評価、処置、主治医への報告 | 発赤の有無と部位、褥瘡の大きさと深さ、滲出液 |
| 訪問介護 | 体位変換、清潔の保持、おむつ交換 | 皮膚の状態、湿潤、体位変換の実施 |
| 福祉用具 | 体圧分散マットレス、クッション、特殊寝台 | 用具の使用状況、適合 |
| 栄養 | 食事内容の見直し、補助食品の検討 | 摂取量、体重、血液検査の結果(主治医と共有) |
第1表・第2表の文例
第1表:利用者及び家族の生活に対する意向
- 本人「同じ格好でいると、お尻が痛くなる」
- 妻「夜中に何度も体を動かすのは、正直つらい」
第1表:総合的な援助の方針
皮膚の状態を保ち、褥瘡ができない生活を目指します。体位変換だけに頼らず、体圧分散の用具、清潔の保持、栄養の4つを組み合わせます。介護されるご家族の負担が過大にならないよう、用具と支援でお支えします。
第2表:ニーズ・目標・サービス内容
| 生活全般の解決すべき課題 | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 同じ姿勢が続き、皮膚に発赤ができやすい | 皮膚の状態を保てる | 仙骨部の発赤が消失し、再発しない | 福祉用具:体圧分散マットレス/訪問看護:週2回の皮膚観察 |
| 夜間の体位変換で家族の負担が大きい | 家族が休息をとりながら介護を続けられる | 夜間の体位変換の回数を減らせる | 福祉用具:自動体位変換機能つきマットレスの検討 |
| 食事量が少なく、体重が減っている | 必要な栄養がとれる | 1日3食を食べられる日が週5日以上になる | 訪問介護:調理と食事の準備/訪問看護:体重と摂取量の確認 |
| おむつ内の湿潤で皮膚が弱くなっている | 皮膚を清潔で乾いた状態に保てる | おむつ交換のたびに清拭ができている | 訪問介護:おむつ交換と清拭 |
モニタリングで見る、変化のサイン
- 発赤——押しても白くならない発赤は、初期の褥瘡とされます
- 部位——仙骨、踵、大転子、肩甲骨、耳など骨の出っ張り
- 湿潤——汗、尿、便による皮膚のふやけ
- 摩擦・ずれ——ベッドの頭側を上げたときにずり落ちていないか
- 栄養——体重、食事量、むくみ
- 用具——マットレスの空気圧、使い方が合っているか
計画づくりでよくある疑問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 体位変換は本当に2時間ごとか | 用具や状態によって間隔は変わります。主治医・訪問看護師と決めます |
| マットレスは要介護度で借りられるか | 軽度者は原則対象外の品目があります。例外的な取り扱いの可否は保険者にご確認ください |
| 市販の薬を塗ってよいか | 処置は主治医の指示によります。自己判断で変えないことを計画にも書きます |
| 家族が「うちのせいだ」と責める | 褥瘡は複数の要因で起きます。責任の話にせず、次に何をするかへ向けます |
| できてしまったら計画をどう変える | 予防の計画から、処置と治癒を目標にした計画へ切り替えます |
※本記事は計画作成の一般的な考え方を整理したものです。医学的な判断は主治医の指示によります。給付や算定の可否は保険者(市区町村)にご確認ください。
文例を土台に、作成はAIで
文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正するだけで仕上がり、実証では作成時間が平均125.5分から37.6分に短縮しました(約70%短縮)。※所要時間は利用者さまの状態・記載量・事業所の運用により異なります。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
ケアプラン文例(記入例・コピペ可)
褥瘡(床ずれ)の方のケアプランでは、予防(除圧・体位変換)、処置、栄養が柱です。文例をまとめました。
| 生活課題(ニーズ) | 長期・短期目標 | サービス内容・留意点 |
|---|---|---|
| 新たな褥瘡をつくらず過ごしたい | (長期)褥瘡ができず皮膚が保たれる/(短期)2時間ごとの体位変換ができる | 訪問看護の皮膚観察、エアマットの導入、体位変換と除圧 |
| 今ある褥瘡を治したい | (長期)褥瘡が改善・治癒する/(短期)適切な処置を継続できる | 訪問看護の処置、主治医の指示に基づくケア、家族への指導 |
| 治癒に必要な栄養をとりたい | (長期)栄養状態が改善する/(短期)必要な栄養と水分がとれる | 管理栄養士の助言、高栄養食・補助食品、配食サービス |
褥瘡|第2表の通し文例
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 床ずれができてしまったが、痛みなく過ごしたい | 褥瘡が治癒し、新たな皮膚障害が生じない(6か月) | 創部が縮小し、痛みの訴えが減る(2か月) | 訪問看護:創部の処置(週3)/福祉用具貸与:体圧分散マットレス |
| 同じ姿勢が続いて、体が痛くなる | 安楽な姿勢で過ごせる時間が増える(6か月) | 2時間ごとの体位変換が生活のなかで続けられる(2か月) | 訪問介護:体位変換/家族への手技指導/福祉用具:クッション |
| 食が細くなり、傷が治りにくい | 栄養状態が改善し、治癒が進む(6か月) | 1日3食を8割以上食べられる(3か月) | 居宅療養管理指導:管理栄養士/訪問介護:調理と摂取量の確認 |
| おむつの中が蒸れて、肌が荒れる | 皮膚が清潔に保たれ、新たな損傷が起きない(6か月) | おむつ交換のたびに皮膚の状態が確認される(1か月) | 訪問介護:おむつ交換と清拭/訪問看護:皮膚の観察 |
| 車いすに座っている時間が長い | 座位でも褥瘡ができずに過ごせる(1年) | 座位時のクッションと除圧の方法が定着する(2か月) | 作業療法:座位姿勢の評価/福祉用具:車いすクッション |
| 家族が処置の方法に自信を持てない | 家族が安心して日々のケアを続けられる(6か月) | 家族が体位変換と皮膚の観察を実施できる(2か月) | 訪問看護:家族への指導/訪問介護:手技の確認 |
| 入浴ができず、体が清潔に保てない | 清潔が保たれ、感染を起こさない(6か月) | 週2回の清拭または部分浴ができる(1か月) | 訪問介護:清拭/訪問看護:創部を避けた清潔ケア |
| 傷のにおいや浸出液が気になる | 創部の状態が安定し、生活の不快が減る(6か月) | 浸出液が減り、被覆材の交換回数が減る(2か月) | 訪問看護:処置と被覆材の選定/主治医への報告 |
| 寝ている時間が長く、体力が落ちた | 日中の離床時間が増える(1年) | 1日1時間の座位保持ができる(3か月) | 訪問リハビリテーション:離床の援助/福祉用具:特殊寝台 |
| また床ずれができないか不安だ | 再発せずに在宅生活を続けられる(1年) | 危険な部位の観察が毎日行われる(1か月) | 訪問看護:週2回の観察/家族:毎日の皮膚チェック |
褥瘡|観察項目とモニタリングの視点
短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。
| 観察する項目 | 変化のサイン | 計画への反映 |
|---|---|---|
| 創部の大きさ | 縦横の計測値、深さの変化 | 評価の頻度を計画に明記し、経過を記録する |
| 浸出液 | 量の増加、色やにおいの変化 | 被覆材の見直しを主治医へ相談する |
| 創部周囲 | 発赤・熱感・腫脹 | 感染徴候として速やかに報告する |
| 新規の発赤 | 仙骨・踵・大転子・肩甲骨 | 除圧用具の追加を検討する |
| 体位変換 | 実施の間隔と記録の有無 | 担当と時間帯をサービス内容に明記する |
| 栄養 | 体重、摂取量、血液検査の結果 | 栄養に関するサービスを計画に加える |
| 湿潤 | 失禁、発汗による皮膚の浸軟 | 排泄ケアの回数を見直す |
| 痛み | 処置時・体動時の訴え | 疼痛への配慮を留意事項に書く |
褥瘡|避けたい書き方と言い換え
姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。
| 避けたい書き方 | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 褥瘡を悪化させない | 起きなかったことを目標にすると確認ができない | 褥瘡が治癒し、新たな皮膚障害が生じない |
| 体位変換を2時間ごとに行う | 支援者の行為であり、目標ではない | 2時間ごとの体位変換が生活のなかで続けられる |
| エアマットを導入する | サービス内容であり、目標ではない | 座位・臥位のいずれでも除圧が保たれる |
| 栄養状態を改善する | 何をもって改善とするか分からない | 1日3食を8割以上食べられる |
| 清潔を保つ | 評価の基準がない | 週2回の清拭または部分浴ができる |
| 家族が処置をする | 家族頼みの書き方になっている | 家族が体位変換と皮膚の観察を実施できる |
| 皮膚を観察する | 誰がいつ見るのか分からない | 訪問時と毎日の家族による観察で、危険部位を確認する |
第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
褥瘡予防で計画に入れる点は?
体位変換の頻度はどのくらいですか?
栄養と褥瘡の関係は?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
無料ではじめる
次の一歩を、どうぞ
介護のDXは、ゆっくりでいい。
まずは無料で、現場で試すところから。
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場面別|褥瘡の観察と記録の文例
褥瘡の方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。時刻と数字を入れるのが要点です。
| 場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 部位と大きさ | 仙骨部に3×2cmの発赤。押しても消退しない。 |
| 深さ | 表皮剥離あり。真皮までにとどまる。 |
| 滲出液 | 少量。ガーゼへの付着はわずか。 |
| におい | なし。 |
| 周囲の皮膚 | 乾燥している。保湿剤を塗布した。 |
| 処置 | 訪問看護師が洗浄と被覆材の交換を実施。週3回。 |
| 体位変換 | 2時間ごとに実施。左側臥位→仰臥位→右側臥位の順。 |
| 体圧分散 | エアマットを使用。送気は正常に作動している。 |
| ずれ防止 | ギャッチアップは30度まで。背抜きを毎回行っている。 |
| 座位 | 車いす使用時はクッションを使用し、2時間以内にとどめる。 |
| 栄養 | 主食8割・副食8割。たんぱく質を意識した献立にしている。 |
| 水分 | 1日1,100mL。 |
| 体重 | 46.2kg。前月比プラス0.4kg。 |
| 清潔 | 入浴時に石けんで洗浄し、押さえ拭きしている。 |
| おむつ | 排泄後すみやかに交換。蒸れを避けている。 |
| 経過 | 7月1日の発赤は、7月20日時点で範囲が縮小している。 |
| 注意点 | 発赤が消えない、滲出液が増える、においが出た場合はすぐ看護師へ報告する。 |
| 連携 | 訪問看護と評価の方法を統一し、記録を共有している。 |
本ページは令和8年6月改定時点の制度に沿って整理しています。様式・要件・単位数は改定により変わります。最新の内容は、厚生労働省の告示・通知および所管の保険者(自治体)の案内でご確認ください。
あわせて確認したい、併存しやすい状態
褥瘡(床ずれ)の方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。
便秘・排泄ケア/低栄養・フレイル/がん(末期)/廃用症候群/関節リウマチ/糖尿病
27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
