公開:2026年11月5日/出典:財務省 財政制度等審議会 財政制度分科会(令和8年11月4日開催)資料「社会保障」
これは財務省が財政制度等審議会 財政制度分科会に出した「資料」です。財務省の考え方と論点を示したもので、決まった内容ではありません。介護報酬の改定は、厚生労働省の社会保障審議会 介護給付費分科会で審議されます。決まったときはこの記事を更新します。
要点(3行)
- 令和8年11月4日の財政制度分科会に、財務省が資料「社会保障」を出しました。介護の章では、令和9年度介護報酬改定に向けた考え方が並んでいます。
- 高齢者住まいへのサービス提供(居宅介護支援・訪問介護・通所介護・訪問リハ・居宅療養管理指導・訪問看護)について、提供の実態を踏まえた報酬の適正化を挙げました。
- 負担の面では、ケアマネジメントの利用者負担、2割負担の対象の拡大、多床室の室料、補足給付の見直しを、医療の章では精神科訪問看護の利用の集中の分析を挙げました。
何が出たか
| 項目 | 一次資料に書かれていること |
|---|---|
| 会議 | 財政制度等審議会 財政制度分科会(令和8年11月4日開催)。議題は「社会保障」 |
| 資料 | 資料「社会保障」(財務省)。介護は「3.介護」の章 |
| 改革の方向性(総括) | 「負担の公平化」「給付の効率化・適正化」「担い手の確保・生産性向上」の3つの柱で、項目を並べている |
| 令和9年度改定への考え方 | 賃金・物価動向の変化に対応しつつ、生産性向上を促し、サービス提供の実態に応じた介護報酬の適正化に取り組むべき、と書かれている |
サービス別に何が書かれているか(高齢者住まいへのサービス提供)
資料は、併設・隣接の事業所が高齢者住まいで集中的にサービスを提供する形を「集中提供型」、地域に点在する利用者宅を訪問する形を「個別提供型」と呼んで比べています。
| サービス | 資料に書かれた現状 | 資料が挙げたこと |
|---|---|---|
| 居宅介護支援 | 同一建物減算の減算率は▲5%で限定的。減算されている事業所の収支差率は、減算されていない事業所より良い。住宅型有料老人ホームの入居者向けに「登録施設介護支援」が創設される | 同一建物減算・特定事業所集中減算・特定事業所加算、またはこれらを織り込んだ報酬体系の抑制的な設定で、報酬の適正化を行うべき |
| 訪問介護 | 同一建物減算(▲10~15%)が適用されるが、集中提供型の収支差率は個別提供型より顕著に良い。夜間・早朝・深夜加算の取得割合も大幅に高い | 個別提供型の経営状況等も踏まえつつ、集中提供型の報酬の適正化を行うべき |
| 通所介護 | 同一建物減算(▲94単位/日)がある。集中提供型の利用は徒歩・送迎なしの割合が高く、基本報酬に織り込まれた送迎コストと乖離 | 集中提供型の報酬の適正化を図るべき |
| 訪問リハ・居宅療養管理指導 | 訪問リハ全体の収支差率はR6決算で10.8%。居宅療養管理指導は、サービス付き高齢者向け住宅等での利用割合が要介護度に関わらず9割前後以上 | 画一的なサービス提供の懸念があるとして、報酬の適正化を図るべき |
| 訪問看護 | 営利法人の事業所が増え、収支差率はR4決算5.9%からR6決算10.3%へ。特定事業所集中減算の算定対象外であることに触れ、同一法人内での利用の助長を指摘。理学療法士等の職員割合が過半の事業所の収支率は14.1% | 訪問看護に求められるサービスが提供されるよう、報酬の適正化を図るべき |
そのほかの論点の一覧
| 論点 | 資料に書かれていること |
|---|---|
| 生産性向上・体制の加算 | 介護テクノロジーの導入と生産性・賃金の上昇の間に、統計的に有意な関係は確認されなかった、と分析。ケアプランデータ連携システムの利用実績を加算の要件に位置付けるなどの対応を挙げた。体制・人員配置に係る加算は、単位数の引下げと要件の緩和を進め、利用者のアウトカムも評価する仕組みへ |
| ケアマネジメントの利用者負担と報酬体系 | 登録施設介護支援では利用者負担が令和10年度内に導入される予定。施設・在宅間の公平性から、自己負担の導入を進めていくべき。評価は要介護度の改善率等のアウトカムを重視する構造へ。テレワーク型で緊急時の体制を整備していない事業所が約3割 |
| 保険外サービス | 配食・見守り・移送・家事支援等の活用を進めるべき。居宅介護支援の特定事業所加算の見直し等、報酬上の対応を挙げた |
| 2割負担の範囲 | 負担能力を反映しつつ、2割負担の対象者を拡大すべき。骨太方針2026を踏まえ、早急に結論を得る必要 |
| 多床室の室料 | 令和6年度改定で室料負担の対象は老健の約6%・介護医療院の約32%に限られた。見送られた類型にも室料の自己負担を求めるべき |
| 補足給付 | 居宅のサービス利用者との公平性から、低所得者への対応に配慮しながら、更なる水準の見直しを進めるべき |
| 地域支援事業 | 従前相当サービスを縮小するべき。軽度者(要介護1・2)の訪問介護・通所介護を地域支援事業へ移行すべき |
| 社会福祉法人 | 社会福祉連携推進法人による協働化や大規模化、M&Aの活用拡大に向けた課題の分析、事業の多角化 |
| 精神科の訪問看護(医療の章) | 指示元医療機関ごとに、最大利用先ステーションの患者割合、患者1人当たり訪問頻度、週3日利用の割合等を分析すべき。介護保険の特定事業所集中減算の考え方も参考にする、と書かれている |
一次資料:
事業所で確かめること
- この資料は財務省の考え方を示したもので、報酬や負担の割合はまだ変わっていません。今の扱いは、告示の定めと貴事業所の届出のとおりです。
- 同一建物減算・特定事業所集中減算・特定事業所加算などの今の要件は、告示の定めと、貴事業所の届出(体制等状況一覧表)でご確認ください。
- 令和9年度改定の中身は、介護給付費分科会の資料と、その後に出る告示・通知でご確認ください。
- 利用者負担の割合や補足給付の扱いは、利用者の保険者(市町村)の案内をご確認ください。
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更新履歴:初版。介護給付費分科会で方向性が決まったとき・告示や通知が出たときは、この記事を更新します。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。






