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COPD(呼吸器疾患)の方のケアプラン文例|息切れと生活支援

COPDなど呼吸器疾患の方のケアプランは、息切れに配慮しながら活動を保ち、感染を予防することが大切です。文例とともに整理します。

ケアの視点

息切れの程度に合わせて活動量を調整し、感染予防や在宅酸素の管理を支えます。無理のない範囲で生活範囲を保つことが目標です。

ケアプランの文例

ニーズ:息切れがあっても、できる範囲で自分らしく暮らしたい。
長期目標:息切れに配慮しながら、身の回りのことを続けられる。
短期目標:休憩をはさみながら、屋内の移動と身支度ができる。
サービス内容:訪問看護による呼吸状態の観察、活動量の調整、感染予防の助言、在宅酸素の管理支援。

書き方のポイント

  • 息切れの程度(どの動作でつらいか)を具体的に
  • 感染予防・在宅酸素など医療的配慮を留意事項に
  • 休憩を入れた生活動作の工夫を書く

計画に落とし込むときに迷うところ——COPD(慢性閉塞性肺疾患)の場合

① 息切れを恐れて動かなくなる悪循環

動くと息が切れる→動かない→筋力が落ちる→少し動いただけで息が切れる。この循環が生活を狭めます。「安静にする」を目標にしないことが要点です。

② 呼吸法と動作を、生活の中で組み合わせる

口すぼめ呼吸などの方法を「訓練の時間」だけで行っても定着しません。着替え、入浴、階段など、息が切れる具体的な場面と結びつけて計画に書きます。

③ 増悪(急に悪くなること)の兆候を全員が知っている状態にする

痰の色が変わる、いつもより息苦しい、足がむくむ——こうした変化に早く気づけるかどうかで経過が変わります。誰が、どの頻度で見るかを計画で決めます。

長期目標・短期目標の立て方

避けたい書き方 扱いやすい書き方
長期目標 息切れがなくなる 息切れと付き合いながら、したい生活を続けられる
短期目標 毎日運動する 息が切れにくい動き方で、身の回りのことができる
短期目標 禁煙する 禁煙を続け、受診時に主治医へ報告できる

サービス種別ごとの位置づけ例

サービス 位置づけの例 記録で見るところ
訪問介護 息の切れる動作の支援、環境の調整 どの動作で息が切れるか、酸素飽和度(測定している場合)
訪問看護 呼吸状態と全身状態の観察、増悪の早期発見 呼吸数、痰の量と色、浮腫、体重
通所リハ 呼吸法と、息を切らさない動作の練習 実施内容と、実施中の息切れ
福祉用具 移動と入浴の負担軽減(シャワーチェア、歩行器) 用具の使用状況

第1表・第2表の文例

第1表:利用者及び家族の生活に対する意向

  • 本人「風呂に入るだけで息が切れる。だんだんできないことが増えていく」
  • 妻「発作のようになると、どうしてよいか分からない」

第1表:総合的な援助の方針

息切れの起きる場面を具体的に把握し、動作の工夫と環境の調整で、できることを保ちます。呼吸法を生活の中の動作と結びつけて練習します。増悪の兆候を関係者全員で共有し、早めに主治医へつなげる体制を整えます。

第2表:ニーズ・目標・サービス内容

生活全般の解決すべき課題 長期目標 短期目標 サービス内容
入浴や着替えで息が切れ、途中で休んでしまう 途中で(記入欄)回の休みを入れながら、身の回りのことを最後まで行える シャワーチェアを使い、休憩を挟んで入浴を終えられる 訪問介護:入浴介助/福祉用具:シャワーチェア
動くと苦しいため、外出しなくなっている ◯◯まで(記入欄)の移動を続けられる 週2回、通所で体を動かせる 通所リハ:週2回
増悪の兆候に気づくのが遅れやすい 変化に早く気づき、対応できる 痰の色や息苦しさの変化を家族が伝えられる 訪問看護:週1回の観察と指導
在宅酸素の管理に不安がある 安全に酸素療法を続けられる 機器の扱いと注意点を本人・家族が説明できる 訪問看護:指導/業者:定期点検

モニタリングで見る、変化のサイン

  • 息切れ——どの動作で、どのくらいで切れるか(着替え、トイレ、階段)
  • 痰——量、色、粘り。いつもと違うと感じたときは看護職員・主治医へ伝えます
  • 呼吸数——安静時に増えていないか
  • 浮腫——足のむくみ
  • 体重——短い期間での増減に気づいたときは、看護職員・主治医へ伝えます
  • 喫煙——本人だけでなく、同居家族の喫煙も影響します
  • 気持ち——息苦しさは強い不安を伴います

計画づくりでよくある疑問

よくある疑問 考え方
「安静に」と書いてよいか 「動かない」ではなく、どの動作をどの順でどこまで行うかを書くほうが実際的です
酸素の量を調整してよいか 主治医の指示によります。支援者が変えないことを計画にも書きます
禁煙を目標に入れるか 本人が納得していない目標は達成できません。まず受診時に相談する形から入ります
入浴を控えるべきか 控えるより、方法を変えます(シャワーチェア、湯温、時間帯)
家族が「頑張れ」と言ってしまう 気持ちの問題として書かず、動作の工夫という具体策を共有します

※本記事は計画作成の一般的な考え方を整理したものです。医学的な判断は主治医の指示によります。給付や算定の可否は保険者(市区町村)にご確認ください。

文例を土台に、作成はAIで

文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正して仕上げます。ケアプラン(居宅サービス計画書 第1・2・3・6表)の原案作成では、実証で平均125.5分が37.6分になりました(2024年2月、ケアマネジャー10名・10件の計測。業務内容・運用により異なり、効果を保証するものではありません。詳しくは効果に関する実測データ)。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。

ケアプラン文例(記入例・コピペ可)

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の方のケアプランでは、呼吸の管理、息切れとつきあう活動、感染予防、在宅酸素の管理が柱です。

生活課題(ニーズ) 長期・短期目標 サービス内容・留意点
息切れとつきあいながら生活したい (長期)呼吸を整え日常動作を続けられる/(短期)動作を工夫し息切れが減る 呼吸リハビリ、動作指導、環境整備、訪問看護の観察
感染を防いで体調を保ちたい (長期)増悪なく在宅生活を続けられる/(短期)手洗い・うがい・ワクチンで感染を予防できる 訪問看護の健康観察、感染予防の指導、主治医と連携
在宅酸素を安全に使いたい (長期)在宅酸素を安全に継続できる/(短期)機器の管理ができる 訪問看護の酸素管理、家族への指導、緊急時の連絡体制

COPD(慢性閉塞性肺疾患)|第2表の通し文例

以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
息切れがあるが、自分のことは自分でしたい 呼吸苦をやわらげ、身の回りのことを続けられる(1年) 口すぼめ呼吸を日常の動作で使える(3か月) 訪問リハビリテーション:呼吸リハ/訪問看護:呼吸状態の観察
在宅酸素を使うのが煩わしい 酸素を指示どおりに使い、活動を保てる(1年) 労作時に酸素を使用できる(2か月) 訪問看護:使用状況の確認/福祉用具:延長チューブの調整
入浴すると息が上がる 安全に入浴を続けられる(1年) 休憩をはさみながら入浴できる(3か月) 訪問介護:入浴の見守りと介助/訪問看護:入浴前後の観察
痰が出しにくい 呼吸が楽な状態を保てる(6か月) 食後の排痰が自分でできる(2か月) 訪問看護:排痰の援助と指導/本人:水分摂取
風邪をひくと長引いて入院になる 今の暮らし方を続けながら、◯◯(記入欄)ができている状態を保てる(1年) 増悪のサインに気づき、連絡できる(3か月) 訪問看護:週1回の観察/本人・家族:受診の目安の共有
食事をすると苦しくなる 必要な栄養がとれ、体重を維持できる(6か月) 主治医・管理栄養士から示されている食べ方(記入欄)で食事がとれる(◯か月) 居宅療養管理指導:管理栄養士/訪問介護:食事の準備
たばこをやめたいがやめられない 主治医から示されている生活上の注意(記入欄)を続けられる(1年) 1か月間、禁煙を続けられる(1か月) 訪問看護:禁煙の支援/主治医との連携
動くのがこわくて家に閉じこもりがちだ 活動の範囲を保ち、体力の低下を防げる(1年) 週2回、屋外へ出られる(3か月) 通所リハビリテーション(週2)/訪問リハビリテーション
夜、息苦しくて眠れないことがある 夜間の睡眠が確保できる(6か月) 安楽な姿勢で入眠できる(2か月) 福祉用具貸与:ギャッチベッド/訪問看護:夜間症状の確認
酸素を使いながらの外出が不安だ 安心して外出を続けられる(1年) 携帯用酸素を使って、近所への外出ができる(3か月) 訪問看護:外出時の指導/家族:付き添い

COPD(慢性閉塞性肺疾患)|観察項目とモニタリングの視点

短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。

観察する項目 変化のサイン 計画への反映
呼吸 呼吸数、労作時の息切れの程度、喘鳴 訪問回数と呼吸リハの内容を見直す
酸素 流量、使用時間、機器の作動 使用状況の確認をサービス内容に加える
喀痰 量・色・粘稠度の変化 増悪のサインとして報告の目安を書く
体温 発熱、微熱の持続 受診の目安を家族と共有する
食事・体重 摂取量、体重の減少 栄養に関する支援を加える
活動量 外出の回数、屋内の移動 活動の目標を現実的な回数に置き直す
睡眠 夜間の呼吸苦、起座呼吸 姿勢の工夫と福祉用具を検討する
喫煙 継続の有無 禁煙の支援を計画に位置づける

COPD(慢性閉塞性肺疾患)|避けたい書き方と言い換え

姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。

避けたい書き方 理由 言い換えの例
COPDを悪化させない 起きなかったことは確認しにくい 増悪せずに、在宅生活を続けられる
酸素療法を実施する サービス内容であり、目標ではない 労作時に酸素を使用できる
呼吸リハビリを行う 手段が目標になっている 口すぼめ呼吸を日常の動作で使える
禁煙を指導する 指導が目標になってしまっている 1か月間、禁煙を続けられる
息切れを軽減する 誰が何をするか分からない 休憩をはさみながら入浴できる
栄養状態を改善する 何をもって改善とするか分からない 主治医・管理栄養士から示されている食べ方(記入欄)で食事がとれる
活動性を維持する 量が示されていない 週2回、屋外へ出られる

第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。

一つの動作を、いくつに分けるか——工程と間合いの対照表

息が上がりやすい方の生活は、「何をするか」よりも「どの順で、どこで間合いを取り、どこまでを一度にやるか」で決まります。同じ着替えでも、立ったまま一気に済ませるのと、座って三つに分けるのとでは、終わったあとの過ごし方がまるで違います。ところが計画には「入浴介助」「更衣の支援」とだけ書かれ、順番と間合いが誰の頭の中にもないまま日々が回っていることがあります。そうなると、担当が替わった日にいつもの順番が崩れ、ご本人だけが理由の分からないつらさを引き受けることになります。

そこでまず、生活の十の場面を工程に分けて並べ、どの工程で息が上がりやすく、どこに間合いを入れられそうかを書き出します。ここで大切なのは、「何秒休む」「何回に分ける」を記事の側で決めないことです。分け方も間合いの長さも、ご本人の感じ方と、主治医・看護職員から示されている範囲によって変わります。下表の右端は空欄にしてあります。ご本人と話しながら埋めてください。

着替え・洗面・トイレを工程に分ける

工程に分けるときの手がかりは三つあります。姿勢が変わるところ(座る・立つ・またぐ)、腕を上げるところ前かがみになるところです。この三つが重なる場所に、必ず山ができます。逆に言えば、重なりをほどいて時間差にするだけで、同じ動作が別のものになります。下表の「息が上がりやすいところ」は、この三つのどれが重なっているかを書き出したものです。

場面 工程(順番) 息が上がりやすいところ 間合いの入れ方(相談の材料) ご本人と決めたこと(記入欄)
着替え ①着るものを手の届く高さに出しておく 探すたびに前かがみと背伸びが重なる 動き出す前に必要なものを並べ、途中で取りに戻らなくてよい順にしておく (記入欄)
着替え ②座ったまま下衣に足を通す 足元へ深く前かがみになる姿勢 足を通す前に一度手を止め、通し終えてからもう一度止める区切りを置く (記入欄)
着替え ③立ち上がって下衣を引き上げる 立ち上がりと引き上げが同時に重なる 引き上げは一度で終える形にし、終わったらすぐ座れる位置に椅子を置く (記入欄)
着替え ④上衣を頭からかぶる 両腕を上げたまま視界がふさがる 腕を上げる工程の前に間合いを置き、かぶり終えてから袖を通す順に分ける (記入欄)
着替え ⑤ボタン・靴下・装具をつける 指先の作業と前かがみが続く 座って行い、終わったら次の場面へ続けず、いったん過ごす時間を挟む (記入欄)
洗面 ①洗面台まで移動する 移動の直後にそのまま立ち姿勢が続く 着いてすぐ始めず、台に手をついて間合いを置いてから始める (記入欄)
洗面 ②顔を洗う 顔を下げた姿勢が続く 前かがみを続けず、途中で一度上体を起こす区切りをあらかじめ決めておく (記入欄)
洗面 ③歯をみがく 同じ姿勢のまま時間が長くなる 洗面台の前に椅子を置き、前半と後半に分けられるようにする (記入欄)
洗面 ④整髪・ひげそりをする 腕を上げたまま静止する 腕を上げる作業を最後にまとめ、終わったら腕を下ろして座る (記入欄)
洗面 ⑤片づけて居室へ戻る 終わった直後にそのまま移動が始まる 戻る前に間合いを置き、戻る道順と途中で止まる場所を先に決めておく (記入欄)
トイレ ①便座まで移動する 間に合わせようとして歩調が上がる 「急いで向かう」ではなく「早めに向かう」を取り決めにし、声かけの言い方も揃える (記入欄)
トイレ ②下衣を下ろして座る 立ち姿勢と前かがみが重なる 座ってから下ろす順に変えられるかを試し、やりやすいほうを計画に書く (記入欄)
トイレ ③排泄する いきむ場面と、その直後 終わってすぐ立たず、座ったまま間合いを置いてから次の工程へ移る (記入欄)
トイレ ④後始末をして立ち上がる 前かがみのあとに立ち上がりが続く 立ち上がる前に手すりに手をかけて一度止まり、立ってからも数える間を置く (記入欄)
トイレ ⑤手を洗って居室へ戻る 最後に移動が残っている 戻る道の途中に腰を掛けられる場所をつくり、通り道に置いておく (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

入浴・移動・調理を工程に分ける

入浴は工程の数がいちばん多い場面です。脱ぐ、入る、洗う、つかる、出る、拭く、着る。どれもひと続きに見えますが、実際には七つ以上の山があり、その間に間合いを置けるかどうかで、上がったあとの過ごし方が変わります。移動は「歩き出し」と「区間の途中」という二か所に山があります。調理は往復の回数そのものが負担になります。

場面 工程(順番) 息が上がりやすいところ 間合いの入れ方(相談の材料) ご本人と決めたこと(記入欄)
入浴 ①脱衣所まで移動し、衣類を脱ぐ 移動のあと、休まずに脱ぐ動作へ続く 脱ぐ前に座り、間合いを置いてから始める。脱衣所に椅子を置く (記入欄)
入浴 ②浴室に入り、洗い場の椅子に座る またぐ動作と、またいだ直後の立位 またぐ前に一度止まり、またいだらまず座る順を固定する (記入欄)
入浴 ③髪を洗う 腕を上げたままの姿勢が続く 洗髪と洗身を続けず、間に手を止めて過ごす区切りを入れる (記入欄)
入浴 ④体を洗う(背中・足元) 前かがみと後ろ手が重なる 足元は柄の長い道具に替えられるかを試し、前かがみの回数そのものを減らす (記入欄)
入浴 ⑤湯につかる/流す 姿勢が大きく変わる前後 つかる前に間合いを置き、上がる前にもう一度置く。順番として決めておく (記入欄)
入浴 ⑥体を拭く 拭く動作で腕と上体が同時に動く 拭く工程と着る工程を続けず、間に座って過ごす時間をあらかじめ組み込む (記入欄)
入浴 ⑦服を着て居室へ戻る ひと通り終えたあとに移動が残る 戻る前に座る時間を先に確保し、その日の残りの予定を後ろへずらせるようにする (記入欄)
屋内の移動 ①立ち上がる 立ち上がりそのもの 立ってすぐ歩き出さず、その場で一度間合いを置く (記入欄)
屋内の移動 ②歩き出しの数歩 歩き出しに勢いがつきやすい 歩き出しはゆっくりにし、歩幅と速さをご本人と決めて全員で同じにする (記入欄)
屋内の移動 ③長い廊下を進む 同じ速さのまま進み続ける 途中に区切りの目印(柱・家具・扉)を決め、そこで必ず一度止まる約束にする (記入欄)
屋外の移動 ④坂・スロープを進む のぼりで負担が積み重なる のぼりは区間を分け、付き添いの歩調に合わせず、ご本人の間合いで進む (記入欄)
屋外の移動 ⑤階段をのぼる 段と段が切れ目なく続く 踊り場を区切りに決め、手すり側で止まれる位置をあらかじめ確認しておく (記入欄)
調理 ①材料と道具を出す 取りに行く往復が積み重なる 使うものを先に一度で出し、調理中に取りに戻る回数を減らす (記入欄)
調理 ②立って刻む・下ごしらえをする 立ち姿勢が長く続く 座面の高い椅子で行えるかを試し、刻む工程だけでも座る形にできないか探る (記入欄)
調理 ③火の前に立つ/盛りつけて運ぶ 熱と立位、持ち上げと移動が重なる 火にかけている間は離れて座り、運ぶのは台車を使うか二度に分ける (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

買い物・通院・掃除・来客対応を工程に分ける

外に出る場面をどこまで細かく分けるかは、「帰り着いたあとに、まだ何かできる状態で戻れたか」を目安に決めていきます。出かけた先での様子ではなく、帰宅後の過ごし方を見ると、その日の組み方が合っていたかどうかが分かります。帰ってから何もできない日が続くようであれば、往路の間合いか、持ち帰る量のどちらかを先に見直します。

外に出る場面には、家の中には無い特徴があります。復路があることと、相手の都合に速さを合わせてしまうことです。買い物は帰り道に荷物が増え、通院は待合と診察で話す量が増えます。来客対応は、呼び鈴が鳴った瞬間から相手の時間で動くことになります。ここでは、「往路で使い切らない」「話す量を減らす」「相手に先に伝えておく」という三つを、工程のどこに置くかを書き出します。

場面 工程(順番) 息が上がりやすいところ 間合いの入れ方(相談の材料) ご本人と決めたこと(記入欄)
買い物 ①家を出るまでの支度 出発する前にすでに動いている 前日に済ませられる支度を分け、支度と出発の間に座る時間を必ず挟む (記入欄)
買い物 ②店までの移動(往路) 荷物が無いぶん速く歩いてしまう 往路こそ間合いに余裕を持たせ、復路のぶんを残しておく取り決めにする (記入欄)
買い物 ③店内を回る 立ち止まらずに歩き続ける 買う順に売り場が並ぶ道順を決め、行ったり来たりをなくす (記入欄)
買い物 ④会計と袋詰め 並んで待つ間、立ち姿勢が続く 袋詰めの前に座れる場所を確認し、無ければ先に休んでから台へ向かう (記入欄)
買い物 ⑤持ち帰る 荷物の重さが呼吸に響く 片手にまとめず両手に分ける、カートに載せる、重い物は別の日に回す (記入欄)
通院 ①予約の時間帯を決める 待ち時間の姿勢が長く続く 待ちが短い時間帯にできるか相談し、座れる待合の位置も先に決めておく (記入欄)
通院 ②家から乗り物まで移動する 段差と乗り降りが重なる 乗り降りの前に間合いを置き、荷物は付き添いが持つと決めておく (記入欄)
通院 ③院内を移動して受付をする 歩いた直後にすぐ話し始める 受付では先に座り、話し始める前に間合いを置く順にする (記入欄)
通院 ④診察で話す 話しながら呼吸が浅くなる 聞きたいことと伝えたいことを紙に書いて渡し、口で話す量そのものを減らす (記入欄)
通院 ⑤帰宅する 帰った直後に片づけが始まる 帰宅後はまず座る時間を取り、片づけは翌日に回してよいと決めておく (記入欄)
掃除 ①道具を出して準備する 準備の段階ですでに動いている 部屋ごとに日を分け、一日で家中を回らない形に予定を組み直す (記入欄)
掃除 ②床を掃く・拭く 前かがみの姿勢が長い 柄の長い道具で立ったまま行えるか試し、前かがみの時間を減らす (記入欄)
掃除 ③高いところを拭く 腕を上げたまま作業が続く 腕を上げる作業は短く区切り、間に腕を下ろして過ごす時間を入れる (記入欄)
来客対応 ①呼び鈴に応じて玄関へ出る 鳴った音に合わせて急いでしまう 「少し待ってもらえる」ことを伝える手立て(インターホンでの一声・掲示)を決める (記入欄)
来客対応 ②座って話す 話し続けると息が浅くなる 区切りで間を取ってよいことを相手に先に伝え、長い話は日を分ける (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

一度にどこまでやるか——量の決め方と、決めたことの残し方

工程に分け、間合いを置く場所を決めても、まだ足りないものがあります。一度にどこまでやるかです。分けたつもりでも、分けた一つひとつが大きすぎれば、途中で止まるところは変わりません。逆に細かく分けすぎると、今度は工程の数そのものが負担になります。ちょうどよい量は人によって違い、同じ人でも季節や時間帯で変わります。

ここで気をつけたいのは、量を決めるのは職員ではなくご本人だということです。職員が「このくらいで」と決めた量は、遠慮して受け入れられることが多く、あとから守られません。決め方としては、「今日はどこまでで止めておきますか」を先に聞き、その答えをそのまま書き残すのが確実です。下表の右端は、その答えを書くための欄です。

もう一つ、決めた量は手順書と計画の両方に残します。手順書だけに書くと計画の見直しのときに消え、計画だけに書くと訪問した職員の手元に届きません。同じ内容が二か所にある状態を作り、片方を変えたらもう片方も直す担当を決めておきます。

場面 一度にやる量の考えどころ 分けた場合の並べ方 ご本人と決めた量(記入欄)
着替え 上衣と下衣を続けて行うか、間を空けるか 下衣を先に済ませ、間合いのあとに上衣。整容はさらに後ろへ回す (記入欄)
洗面・整容 洗面・歯みがき・整髪をひと続きにするか 洗面と歯みがきを前に、腕を上げる整容を最後にまとめる (記入欄)
入浴 洗髪と洗身を同じ日に行うか 日によって洗う範囲を分け、洗髪を別の日に置く (記入欄)
入浴 湯につかる工程を入れるか、洗うだけにするか つかる場合は、その前後の間合いを長めに取る並びにする (記入欄)
屋内の移動 一度に進む区間をどこで区切るか 区切りの目印を先に決め、そこまでを一区間として進む (記入欄)
屋外の移動 のぼりの区間を一度に進むか、分けるか のぼりは短い区間に分け、平らな場所で間合いを取る (記入欄)
外出の回数 一日に何度出るか、一週間に何度出るか 外出のある日と無い日を交互にし、続けて入れない (記入欄)
調理 一食分をまとめて作るか、工程を分けるか 下ごしらえと加熱を別の時間に置き、間に座る時間を挟む (記入欄)
調理 作りおきをどこまで用意するか 調子のよい日にまとめて作り、苦しい日はそれを使う並びにする (記入欄)
食器の片づけ 食後すぐに行うか、時間を空けるか 食後は座って過ごし、片づけを後ろへずらす (記入欄)
掃除 一日に何部屋まで行うか 部屋ごとに曜日を割り当て、同じ日に重ねない (記入欄)
掃除 床と高い場所を同じ日に行うか 腕を上げる作業と前かがみの作業を別の日に分ける (記入欄)
洗濯 洗う・干す・取り込む・たたむを続けるか 干す工程の前後で間合いを取り、たたむ工程は座って別の時間に行う (記入欄)
買い物 一度に持ち帰る重さをどこまでにするか 重い物と軽い物を別の日に分け、重い日は他の予定を入れない (記入欄)
買い物 一度に回る売り場をいくつまでにするか 回る順を決め、途中に座れる場所を一か所は必ず入れる (記入欄)
通院 通院の日に他の予定を入れるか 通院の日は他を入れず、帰宅後に座る時間を確保する (記入欄)
会話 一度にどれだけ話し続けるか 話す時間を区切り、区切りで間を取る。長い話は日を分ける (記入欄)
来客 一日に何組まで受けるか 来客のあとは予定を入れず、座って過ごす時間を残す (記入欄)
荷物 一度に持つ重さと、持ち方 片手にまとめず両手に分けるか、運搬用具に載せて手を空ける (記入欄)
階段 一度にのぼる段数の区切り 踊り場やあらかじめ決めた段で区切り、そこで必ず一度止まる (記入欄)
朝の支度 朝のうちに済ませる工程をどこまでにするか 必ず朝に行う工程と、後ろへ回せる工程を仕分けて並べ替える (記入欄)
一日の予定 大きな場面をいくつまで入れるか 大きな場面が続かないよう、間に何もしない時間を挟む (記入欄)
一週間の予定 大きな場面を同じ週のどこに置くか 入浴・通院・買い物を別の日に割り振り、連日にしない (記入欄)
調子のよい日 よい日にどこまでやってよいことにするか その日を増やすのではなく、翌日以降の支度を前倒しする並びにする (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

家の中の距離を測る——動線の点検表と、計画への落とし方

間合いを入れる場所を決めるには、その方の家の距離を実際に測るところから始めます。「トイレは近い」と聞いていても、寝室の入口から便座までに扉が二枚あり、途中で方向を変える場所があれば、歩数は思ったより多くなります。距離・段差・つかまる場所・途中で座れる場所の四つを、区間ごとに見ていきます。歩数や高さは、その場で数えて記入欄に書き入れてください。

この点検でいちばん効くのは、最後の二項目です。一日のうち最も長い移動区間はどこかと、途中で座れる場所がない区間はどこか。この二つが重なる区間に椅子を一つ置くだけで、その方の一日の組み立てが変わることがあります。

寝室・トイレ・洗面・浴室の点検

区間・場所 見るところ 距離・段差(記入欄) つかまる場所(記入欄) 途中で座れる場所(記入欄)
寝室 ベッドから立ち上がる位置の高さと、足元の広さ (記入欄) (記入欄) (記入欄)
寝室→廊下 寝室の出入り口までの歩数と、敷居の有無 (記入欄) (記入欄) (記入欄)
廊下 手すりが途中で途切れる区間があるか (記入欄) (記入欄) (記入欄)
廊下 腰を掛けられる家具や台が途中にあるか (記入欄) (記入欄) (記入欄)
廊下→トイレ 扉の前で向きを変えるだけの広さがあるか (記入欄) (記入欄) (記入欄)
トイレ 引き戸か開き戸か、開けるときに前かがみになるか (記入欄) (記入欄) (記入欄)
トイレ 便座の高さと、立ち上がるときにつかまる場所 (記入欄) (記入欄) (記入欄)
トイレ 明かりが手前から点くか、暗い中で探すことにならないか (記入欄) (記入欄) (記入欄)
夜間の寝室→トイレ 昼と同じ距離を、暗く足元の見えない状態で進む区間 (記入欄) (記入欄) (記入欄)
寝室→洗面 洗面台までの歩数と、着いてから立っている時間の長さ (記入欄) (記入欄) (記入欄)
洗面 台の前に椅子を置ける広さがあるか (記入欄) (記入欄) (記入欄)
廊下→脱衣所 脱衣所までの歩数と、途中で座れる場所の有無 (記入欄) (記入欄) (記入欄)
脱衣所 服を脱ぐときに腰を掛けられる椅子があるか (記入欄) (記入欄) (記入欄)
脱衣所→浴室 またぐ高さと、またぐときにつかまる場所 (記入欄) (記入欄) (記入欄)
浴室 洗い場の椅子の高さと、立ち座りが何回発生するか (記入欄) (記入欄) (記入欄)
浴室 浴槽の縁の高さと、またぐ向き(どちらの足から入るか) (記入欄) (記入欄) (記入欄)
浴室→脱衣所 上がってから服を着るまでの間に、座って過ごせる場所があるか (記入欄) (記入欄) (記入欄)
浴室・トイレ 呼べば聞こえる位置に人がいるか、呼ぶための手立てがあるか (記入欄) (記入欄) (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

玄関・屋外・台所・家全体の点検

屋外は、行きと帰りで坂の向きが入れ替わるという点だけでも押さえておきます。出るときが下りなら、帰りは必ずのぼりになり、しかもそれが一日の最後に来ます。行きの様子だけを見て「問題なく歩けている」と受け取ると、帰りの負担が計画から抜け落ちます。

区間・場所 見るところ 距離・段差(記入欄) つかまる場所(記入欄) 途中で座れる場所(記入欄)
玄関 上がり框の高さと、靴を履くときの姿勢 (記入欄) (記入欄) (記入欄)
玄関 靴を履くときに腰を掛けられる場所があるか (記入欄) (記入欄) (記入欄)
玄関→門扉 歩数と、途中の傾き(わずかな下り坂も含む) (記入欄) (記入欄) (記入欄)
門扉→道路 段差・側溝・またぐ場所の有無 (記入欄) (記入欄) (記入欄)
家の前 出るときがのぼりか下りか(帰りは逆になる) (記入欄) (記入欄) (記入欄)
集合住宅 階段の段数と踊り場の位置、またはエレベーターまでの歩数 (記入欄) (記入欄) (記入欄)
郵便受け・ごみ置き場 毎日または毎週向かうことになる距離 (記入欄) (記入欄) (記入欄)
台所 流しの前に立ち続ける時間と、座って行える工程の有無 (記入欄) (記入欄) (記入欄)
台所 よく使うものが腰から肩の高さにあるか(前かがみと背伸びの回数) (記入欄) (記入欄) (記入欄)
台所→食卓 運ぶ距離と、一食あたり何往復することになるか (記入欄) (記入欄) (記入欄)
食卓 椅子の高さと、立ち座りのしやすさ (記入欄) (記入欄) (記入欄)
居間 長く過ごす場所から、トイレ・玄関それぞれまでの距離 (記入欄) (記入欄) (記入欄)
洗濯 洗濯機から干し場までの距離と、持ち上げる高さ (記入欄) (記入欄) (記入欄)
干し場 腕を上げたまま続く作業がどれだけあるか (記入欄) (記入欄) (記入欄)
収納 季節のものを出し入れするときの高さと、踏み台の有無 (記入欄) (記入欄) (記入欄)
家全体 一日のうち最も長い移動区間はどこか (記入欄) (記入欄) (記入欄)
家全体 途中で座れる場所がない区間はどこか(椅子を置く優先順位) (記入欄) (記入欄) (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

点検で見たことを、そのまま計画の文にする

書くときの形は決まっています。「どこが」「どうなっているか」を先に書き、「だからどう分けるか」を後ろに書く。この二文の形にしておくと、次に読む人が、その決めごとが生まれた理由まで受け取れます。理由が残っていない決めごとは、担当が替わったときに真っ先に崩れます。

測っただけでは計画になりません。「どこが遠いか」を「だからどう分けるか」まで書ききった文にして、はじめて次の担当者に渡ります。下は、点検で見えたことを計画の文に起こした例です。事業所名・氏名は入れず、区間と順番だけで書いています。

点検で見えたこと 計画に書く文(完成文)
寝室からトイレまでの間に座れる場所がない 居室からトイレまでの間に腰を掛けられる場所がなく、途中で壁に手をついて息を整えている。廊下の中ほどに椅子を置き、そこを区切りとして間合いを取れるようにする。
廊下の途中で手すりが途切れる 廊下の後半で手すりが途切れ、そこから歩調が速くなっている。手すりの延長を検討し、それまでは途切れる位置を全員で共有し、そこで一度止まる声かけを揃える。
トイレの扉が開き戸で、開けるたびに前かがみになる トイレの扉を開ける動作で前かがみと後ずさりが重なっている。扉の形の変更を検討し、当面は扉を開けてから間合いを置き、それから中へ入る順にする。
夜間だけ足元が見えない 日中は自分で向かえているが、夜間は足元が見えず、歩数が増え歩調も速くなっている。足元の明かりを追加し、夜間は起きてすぐ動き出さず、端座位で間合いを置いてから向かう順にする。
洗面台の前に椅子を置く広さがある 洗面台の前に椅子を置ける広さがあるため、洗面を座って行える形に変える。歯みがきは前半と後半に分け、間に手を止める区切りを入れる。
脱衣所に椅子がない 脱衣所に腰を掛ける場所がなく、移動の直後に立ったまま脱いでいる。脱衣所に椅子を置き、座って間合いを置いてから脱ぐ順に変える。
浴槽の縁が高く、またぐ動作が大きい 浴槽をまたぐ動作が入浴のなかで最も大きな山になっている。またぐ前後に間合いを置くことを順番として決め、用具でまたぐ高さを下げられるか検討する。
洗い場で立ち座りが繰り返されている 洗い場で立ち座りが繰り返され、洗い終わる前に息が上がっている。座ったまま届く位置に道具を並べ替え、立ち座りの回数そのものを減らす。
浴室から居室へ戻る途中に座る場所がない 入浴を終えたあと、居室へ戻るまで座る場所がない。脱衣所に座って過ごす時間を予定に組み込み、戻る前に間合いを取れるようにする。
玄関の上がり框が高い 玄関の上がり框が高く、靴を履く前にすでに息が上がっている。上がり框の手前に腰掛けを置き、靴を履く工程と外へ出る工程の間に間合いを入れる。
玄関から門扉までがわずかなのぼり 玄関から門扉までがわずかなのぼりになっており、帰宅時にこの区間が最後に残る。外出の予定を組むときは帰宅後に座る時間を先に確保しておく。
ごみ置き場までが毎週の最長区間 ごみ置き場までの往復が、一週間のなかで最も長い移動になっている。持つ量を分けて回数を減らすか、支援に置き換えるかをご本人と相談して決める。
台所から食卓まで何度も往復している 一食のたびに台所と食卓を何度も往復している。運ぶ道具を用いて往復の回数を減らし、盛りつけと運搬の間に間合いを置く。
よく使うものが低い位置にある 毎日使う調理器具が低い位置にあり、そのつど前かがみになっている。腰から肩の高さに移し替え、前かがみの回数を減らす。
洗濯物の干し場が遠く、腕を上げる作業が続く 洗濯機から干し場までの距離があり、着いてすぐ腕を上げる作業が続いている。運ぶ工程と干す工程の間に間合いを置き、干す量を二度に分ける。
居間からトイレより、居間から玄関のほうが近い 長く過ごす居間からは、トイレより玄関のほうが近い。日中に過ごす場所を見直し、トイレまでの区間が短くなる位置に椅子と用具を配置する。
階段の踊り場が一か所しかない 階段の途中で止まれる場所が踊り場一か所に限られている。のぼる前に間合いを置き、踊り場で必ず一度止まることをご本人と決めておく。
屋外に出るとき下り、帰りがのぼりになる 外出時は下り、帰宅時はのぼりになる地形で、帰り道に負担が集中している。往路で使い切らないことを取り決め、復路のための余裕を残す。
収納の出し入れで背伸びが続く 季節のものの出し入れで背伸びが続いている。この作業は日を分けて行い、高い位置のものは手の届く高さへ移し替える。
一日で最も長い区間と、座れない区間が重なっている 一日で最も長い移動区間と、途中で座れない区間が重なっている。この区間の中ほどに椅子を置くことを最優先とし、置いたあとの様子を次回のモニタリングで確認する。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

順番で書く第2表——動作を分ける・間合いを置く・座れる場所をつくる

第2表は「何のサービスを入れるか」を書く欄に見えますが、息が上がりやすい方の場合、サービスの種類より先に「順番」が決まっていないと動きません。訪問介護を入れても、順番が決まっていなければ、担当が替わるたびに違う順で進み、そのたびにご本人が息を切らします。

そこで、ニーズ・長期目標・短期目標・サービス内容の四つを、「一度にやる量を減らす」「間合いを置く」「途中で座れる場所をつくる」という三つの観点だけで書き通した文例を並べます。短期目標には「何秒」「何回」を書き込んでいません。そこはご本人と決め、決まったことを記入欄に足してください。療養上のことは、主治医・看護職員から示されている範囲(記入欄)の言い方に揃えています。

身の回りの動作を分ける——通し文例(その一)

短期目標の書き方にも、この軸が出ます。「息切れが減る」は、本人にも職員にも確かめようがありません。これに対して「決めた区切りで間合いを置ける」「工程を分けて行える」は、その場で見れば分かります。順番と間合いを目標に据えると、達成したかどうかが自然に見える形になります。

ニーズ(生活全般の解決すべき課題) 長期目標 短期目標 サービス内容(順番と間合いの決めごと)
着替えを一度に済ませようとして、終わったあと動けなくなってしまう 着替えを自分のやり方で終え、そのあとの時間も過ごせるようにしたい 着替えを工程に分け、決めた区切りで間合いを置ける 訪問介護:着替えの工程と間合いの位置をご本人と決め、担当が替わっても同じ順で行う。決めた順番は手順書に記し、居室に置く。
洗面台の前に立ち続けることがつらく、途中でやめてしまう 身支度を最後まで終えられるようにしたい 洗面を座って行い、前半と後半に分けられる 福祉用具・環境整備:洗面台の前に椅子を置く。訪問介護:座って行える工程と立って行う工程を分け、間に手を止める区切りを入れる。
トイレに間に合わせようとして急いでしまい、着いたときには息が上がっている あわてずにトイレを使えるようにしたい 早めに向かう合図を決め、決めた歩調で進める 訪問介護:「急いで」ではなく「早めに」と伝える声かけに統一する。環境整備:道の途中に腰を掛けられる場所を置く。
入浴の途中で息が上がり、終わりまで続けられない日がある 入浴を自分の間合いで続けられるようにしたい 入浴を工程に分け、決めた場所で間合いを置ける 訪問介護:脱ぐ・洗う・つかる・拭く・着るの各工程の間に間合いを置く順を固定する。福祉用具:洗い場と脱衣所に座れる場所を確保する。
洗髪と洗身を続けて行うと、上がるころには疲れきってしまう 入浴のあとも、その日の予定を続けられるようにしたい 洗髪と洗身の間に区切りを入れられる 訪問介護:洗髪と洗身の間に手を止める区切りを入れる。福祉用具:足元は柄の長い道具を用い、前かがみの回数を減らす。
浴槽をまたぐ動作がいちばんつらい 安心して浴室を使い続けたい またぐ前と後に間合いを置く順を守れる 福祉用具:またぐ高さを下げられる用具を検討する。訪問介護:またぐ前に一度止まり、またいだらまず座る順を全員で揃える。
入浴が終わったあと、着替えまで続けて行うのがつらい 入浴を負担の少ない形で続けたい 拭く工程と着る工程の間に、座って過ごす時間を取れる 訪問介護:拭き終えた時点でいったん座る時間を予定に組み込み、その分の時間をあらかじめ確保する。
立ち上がってすぐ歩き出してしまい、数歩で息が切れる 屋内を自分で移動し続けられるようにしたい 立ってから歩き出すまでに、間合いを置ける 訪問介護・訪問リハビリテーション:立位で一度止まってから歩き出す順を共有する。歩き出しの歩幅と速さをご本人と決める。
廊下を一気に進もうとして、途中で立ち止まれない 家の中を無理なく行き来したい 廊下の途中に決めた区切りで、必ず一度止まれる 環境整備:廊下の中ほどに椅子を置き、そこを区切りに定める。訪問介護:区切りの位置を全職員で共有する。
夜、トイレへ向かうときに歩調が速くなってしまう 夜間も安心して過ごしたい 起きてすぐ動かず、端座位で間合いを置いてから向かえる 環境整備:足元の明かりを追加する。訪問介護:夜間の順番(起きる・座る・間合い・立つ・進む)を手順書に書き、家族とも共有する。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

家事と外出を分ける——通し文例(その二)

ニーズ(生活全般の解決すべき課題) 長期目標 短期目標 サービス内容(順番と間合いの決めごと)
調理の途中で何度も取りに戻り、作り終える前に息が上がる 食事の支度を自分の手で続けたい 使うものを先に出し、取りに戻る回数を減らせる 訪問介護:調理の前に材料と道具をまとめて出す工程を独立させる。環境整備:よく使うものを腰から肩の高さへ移す。
立ったまま刻む作業が続くとつらい 台所仕事を続けられるようにしたい 下ごしらえを座って行える 福祉用具・環境整備:座面の高い椅子を台所に置く。訪問介護:座って行う工程と立って行う工程を分けて手順書に書く。
盛りつけたものを食卓へ運ぶ往復がつらい 自分の食事を自分で用意し続けたい 運ぶ回数を減らし、運ぶ前に間合いを置ける 福祉用具:運搬に使える道具を検討する。訪問介護:盛りつけと運搬の間に間合いを置く順にする。
掃除を一日でやり切ろうとして、翌日まで動けなくなる 住まいを自分の手で整え続けたい 部屋ごとに日を分けて行える 訪問介護:部屋ごとの実施日を曜日で割り振る。ご本人と一緒に割り振りを決め、記入欄に記す。
床を拭くときの前かがみが続くとつらい 掃除を負担の少ない形で続けたい 立ったまま行える道具に置き換えられる 環境整備:柄の長い道具に置き換える。訪問介護:前かがみが必要な範囲を分担し、残りをご本人が行う形にする。
買い物の帰りに荷物が重く、途中で動けなくなる 買い物に自分で出かけ続けたい 往路で使い切らず、復路のための余裕を残せる 訪問介護:買う順に売り場が並ぶ道順を一緒に決める。荷物は両手に分けるか運搬用具に載せ、重い物は別の日に回す。
店内を歩き続けてしまい、会計のころには息が上がっている 買い物の時間を楽しみとして続けたい 店内で座れる場所を決めて、そこで間合いを置ける 訪問介護:店内の座れる場所をあらかじめ確認し、買い物の道順の途中に組み込む。
通院のたびに待ち時間で疲れてしまう 通院を負担の少ない形で続けたい 座れる位置を決め、そこで待てる 訪問介護・家族:待合の座れる位置を先に決める。予約の時間帯について医療機関へ相談する(相談の担当:記入欄)。
診察で話しているうちに息が浅くなり、伝えたいことが伝わらない 自分の様子を医療機関にきちんと伝えたい 伝えたいことを紙にまとめ、話す量を減らせる 居宅介護支援・訪問看護:受診前に伝える内容を紙にまとめる。ご本人が話す量を減らし、書いたものを渡す形にする。
来客があると、呼び鈴に合わせて急いで玄関へ出てしまう 人と会う時間を続けたい 急がずに応じられる手立てを使える 環境整備:待ってもらえることを伝える手立て(応答の一声・掲示)を用意する。訪問介護:話は座って行い、区切りで間を取ってよいことを相手に先に伝える。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

一日と一週間の組み立てを分ける——通し文例(その三)

ニーズ(生活全般の解決すべき課題) 長期目標 短期目標 サービス内容(順番と間合いの決めごと)
予定が午前に重なり、昼まで持たない日がある 一日を通して過ごし方を組み立てられるようにしたい 負担の大きい予定が続かないよう、一日のうちに分けられる 居宅介護支援:一日の予定表を作り、負担の大きい場面が続かない並びにする。並びを変えた日は記録に残す。
入浴と通院が同じ日に重なることがある 予定が重なった日も無理なく過ごしたい 大きな場面を同じ日に重ねない組み方ができる 居宅介護支援:入浴・通院・買い物を別の日に割り振る。重なる週は事前に調整し、変更の理由を記録する。
朝の身支度で一日分を使ってしまう 午後にもしたいことができる状態でいたい 朝の工程を減らし、後ろへ回せるものを分けられる 訪問介護:朝に必ず行う工程と、後ろへ回せる工程を仕分けて手順書に書く。ご本人と一緒に仕分ける。
朝と夕方で動きやすさが違うのに、予定は同じ時間に入っている 自分の調子に合った時間に予定を置きたい 過ごしやすい時間帯を確かめ、そこに予定を寄せられる 居宅介護支援:時間帯ごとの様子を記録から確かめ、訪問の時間を見直す。見直した内容を各事業所と共有する。
先の予定が分からず、その日になって慌ててしまう 見通しを持って過ごしたい 週の予定を目に見える形で確認できる 居宅介護支援:一週間の予定を紙に書き、居室に掲示する。変更が出たときは掲示も直す担当を決める(担当:記入欄)。
調子のよい日にやりすぎて、翌日に響いてしまう 数日単位で生活を保ちたい 調子のよい日にも、決めた量を超えない形にできる 訪問介護:調子のよい日でも一度に行う量の上限をご本人と決めておく(決めた内容:記入欄)。決めた量を全職員で共有する。
苦しい日に何をやめてよいのか、その場で判断がつかない 調子の悪い日も安心して過ごしたい 先に延ばしてよい予定を、あらかじめ決めておける 居宅介護支援:先に延ばしてよい予定と、その日のうちに行う予定を事前に区分し、全事業所で共有する。主治医・看護職員から示されている範囲(記入欄)に沿って定める。
担当者によって進める順番が違い、その日ごとに疲れ方が変わる 誰が来ても同じ順番で進めてほしい 順番と間合いの位置を、手順書で共有できる 訪問介護:工程・順番・間合いの位置を手順書にまとめ、居室に置く。新しい担当が入る際は事前に読み合わせる。
話しながら動くと、途中で言葉が続かなくなる 会話をあきらめずに続けたい 動く場面と話す場面を分けられる 訪問介護:移動中や動作中に質問を重ねず、座ってから話す形に統一する。聞くことは要点を絞り、紙に書いて渡してもよいことにする。
食事のあとに動くとつらいことがある 食事とそのあとの時間を落ち着いて過ごしたい 食後に予定を詰め込まない形にできる 居宅介護支援:食事の直後に大きな場面を置かない予定にする。食事の分け方は、主治医・管理栄養士から示されている範囲(記入欄)に沿って行う。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

その日の調子で、同じ予定を組み替える

順番と間合いを決めても、毎日同じようには進みません。同じ人が、同じ家で、同じことをしても、日によって途中までしか進めない——ここが、この方たちの計画のむずかしいところです。そこで、予定そのものを変えるのではなく、同じ予定の「順番」と「まとめ方」を三通り用意しておくという組み方をします。

下表は、調子がよい日/いつもどおりの日/苦しい日で、同じ場面をどう組み替えるかを並べたものです。調子がよい日ほど注意が要ります。そこで一度に片づけてしまうと、次の日が使えなくなることがあるためです。よい日には「進める」ではなく「先の分を前倒しする」という考え方にしています。なお、どこまでを行い、どこから控えるかの線は、記事の側では決められません。主治医・看護職員から示されている範囲(記入欄)に沿って定めてください。

三通りの組み替え表

組み替えを決めるときは、「やめる/やる」の二択にしないことが要点です。二択にすると、苦しい日は全部やめる形になり、その日にしなくてよいことまで止まります。実際には、工程を減らす・順番を入れ替える・日を分ける・支援に置き換えるという四つの手があります。下表は、この四つのどれを使うかを場面ごとに先に決めておくためのものです。

場面 調子がよい日 いつもどおりの日 苦しい日
着替え いつもの工程数で行い、余った力は翌日の支度(服を出しておく)に回す 決めた工程と間合いのとおりに行う 工程をさらに分け、上衣と下衣を時間をずらして行う。整容は後ろへ回す
洗面・整容 座って行う形は変えず、後回しにしていた工程を済ませる 座って前半・後半に分けて行う 洗面のみとし、腕を上げる工程はその日は行わない
トイレ いつもどおり。急がず向かう合図は変えない 早めに向かう合図に従い、決めた歩調で進む 移動の距離が短い場所を使えるようにし、途中の椅子を必ず経由する
入浴 工程は増やさず、間合いも短くしない。翌日の負担を減らす準備に力を回す 決めた工程と間合いのとおりに行う 入浴を行うかどうかは主治医・看護職員から示されている範囲(記入欄)に沿う。行う場合は工程を減らし、洗う範囲を絞る
屋内の移動 区切りで止まる約束は変えず、行き先を一か所増やす程度にとどめる 決めた区切りで一度止まって進む 過ごす場所をトイレに近い位置へ移し、移動そのものを短くする
屋外の移動 のぼりの区間は増やさず、平らな道で距離を少し延ばす 決めた区間ごとに間合いを置いて進む 外出は行わず、玄関先までにとどめるか、日を改める
調理 作りおきを用意し、苦しい日のぶんを前倒しでつくる 座って行う工程と立って行う工程を分けて行う 調理は行わず、作りおきや配食を用いる。運ぶ工程だけ支援する
買い物 行く先は増やさず、重い物をこの日に済ませる 決めた道順で回り、途中の座れる場所で間合いを置く 買い物には出ず、届けてもらう手立てに切り替える
掃除 翌週分の部屋を一つ前倒しする。同じ日に二部屋はやらない その日に割り当てた部屋のみ行う 掃除は行わず、翌日以降へ回す。回したことを記録に残す
来客・電話 話す時間を少し長くしてよい。ただし動きながらは話さない 座って話し、区切りで間を取る 用件のみとし、続きは日を改める。書いたものでのやりとりに替える

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

職員がその場で迷わないための取り決め(前半)

組み替えの表があっても、「今日はどれで行くのか」を訪問した職員がその場で決める形にすると、判断が人によってばらつきます。そこで、迷いやすい点をあらかじめ書き出し、決め方そのものを先に決めておきます。下表の右列を、担当者会議の場で埋めてください。

取り決めること その場で迷いやすい点 あらかじめ決めておく内容(記入欄)
その日の組み方を誰が決めるか 職員が決めるのか、ご本人が決めるのか (記入欄)
ご本人へどう尋ねるか 「調子はどうですか」では答えが揃わない (記入欄・使う尋ね方をそのまま書く)
いつもどおりに進めない様子があったときの連絡先 誰に、どの順で連絡するか (記入欄・看護職員へ連絡する順を記す)
主治医・看護職員から示されている範囲 どこまでを行ってよいことになっているか (記入欄・示されている内容をそのまま書き写す)
入浴を組み替えるときの手順 工程を減らすのか、日を改めるのか (記入欄)
外出を組み替えるときの手順 距離を短くするのか、取りやめるのか (記入欄)
先に延ばしてよい予定 どれを翌日以降に回してよいか (記入欄)
その日のうちに行う予定 回してはいけないものはどれか (記入欄)
調子がよい日の上限 どこまでやってよいことにするか (記入欄)
前倒しの対象 よい日に前倒ししてよいのは何か (記入欄)
声かけの言い方 急かす言い方になっていないか (記入欄・使う言い方をそのまま書く)
動作中に話しかけるかどうか 移動中に質問してよいか (記入欄)
間合いの取り方をご本人にどう確かめるか 声をかけて確かめるのか、黙って待つのか (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

職員がその場で迷わないための取り決め(後半)

取り決めること その場で迷いやすい点 あらかじめ決めておく内容(記入欄)
手順書の置き場所 順番と間合いを書いたものがどこにあるか (記入欄)
手順書を直す担当 順番を変えたとき、誰が書き直すか (記入欄)
新しい担当者への引き継ぎ 初回に何を読み合わせるか (記入欄)
家族との共有 順番と間合いを家族にどう伝えるか (記入欄)
同居家族への依頼事項 家族が代わりに行う工程はどれか (記入欄)
組み替えた日の記録の書き方 何を、どこに書くか (記入欄)
組み替えが続いたときの扱い どれだけ続いたら担当者会議を開くか (記入欄)
各事業所への伝え方 変更をどの手段で、いつまでに伝えるか (記入欄)
訪問時間の変更 過ごしやすい時間帯に寄せる際の調整先 (記入欄)
用具の点検 椅子・手すり・運搬用具の状態を誰が見るか (記入欄)
途中で座る場所の追加 置く場所を変えたいとき、誰に相談するか (記入欄)
暑い日・寒い日の扱い 屋外の予定をどう扱うか (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

どこで息が上がり、どこで休んだか——見て分かることだけで書く記録

順番と間合いを決めたら、次に確かめるのは「決めた順で進めたか」「どの工程で止まったか」「どこで間合いを取ったか」の三つです。ここが書かれていない記録は、次の担当者にとって「入浴介助を実施」以上のことを伝えません。逆にこの三つさえ書かれていれば、順番を変えるべき場所が誰の目にも見えます。

以下の文例は、その場で見て分かることだけで書いています。体の状態の評価や、これからどうなるかの見立ては入れていません。時間や回数を書き残したいときは、その場で数えて記入欄に足してください。療養上のことは、主治医・看護職員から示されている範囲に沿って扱います。

動作と移動の記録——完成文(その一)

場面 記録の文(完成文)
着替え 上衣・下衣とも座って着られた。上衣を着る前に一度手を止め、そのあと袖を通された。終わってからも続けて動かず、そのまま座って過ごされた。
着替え 下衣を引き上げるところで手が止まり、肩で息をされていた。引き上げたあとすぐ座り、しばらくしてから次の工程へ進まれた。
着替え 靴下をはく場面で前かがみが続き、途中で上体を起こされた。起こしたあとに間合いを取り、もう一方をはかれた。
着替え 前日に服を出しておいたため、探す動きがなかった。工程は決めた順のとおりで、途中で手が止まる回数はいつもより少なかった。
洗面 洗面台の椅子に座って行われた。歯みがきは前半で一度手を止め、後半を続けられた。終わったあとも立ち上がらず、そのまま座っておられた。
洗面 整髪の場面で腕を上げたまま止まり、腕を下ろして間合いを取られた。そのあとご自分で続けられた。
洗面 洗面台に着いてすぐ始められ、途中で手が止まった。次回は着いてから一度間合いを置く順にすることをご本人と話した。
トイレ 早めに向かう合図でお声かけし、決めた歩調で進まれた。途中の椅子には座らずに到着された。
トイレ 排泄のあとすぐ立ち上がろうとされたため、座ったままお待ちいただいた。そのあと手すりを使って立ち上がられた。
トイレ 戻る途中で廊下の椅子に腰を掛け、しばらくしてから居室へ戻られた。
トイレ 夜間に起きてすぐ立ち上がられたと、ご家族からうかがった。端座位で間合いを置く順を、ご家族とあらためて確認した。
入浴 脱衣所の椅子に座ってから衣類を脱がれた。浴室に入る前に一度手すりにつかまり、そのあとまたがれた。
入浴 洗髪のあと手を止め、そのあと体を洗われた。洗い場では立ち座りをせず、座ったまま道具に手が届いていた。
入浴 浴槽をまたぐ前と後に間合いを取られた。上がったあとは脱衣所で座って過ごし、そのあと着替えを始められた。
入浴 洗身の途中で手が止まり、背中は職員が行った。前かがみになる範囲を減らしたところ、最後まで続けられた。
入浴 拭き終えた時点で座る時間を取ったため、着替えの途中で手が止まることがなかった。
入浴 洗い場に入った直後に肩で息をされたため、洗髪を後ろへ回した。順番を入れ替えたことを手順書に書き足した。
移動 立ち上がってその場で間合いを取ってから歩き出された。歩き出しの数歩はゆっくりで、決めた歩幅を保たれていた。
移動 廊下の中ほどの椅子で一度腰を掛け、そのあと洗面所まで進まれた。
移動 椅子を置く前は廊下の後半で壁に手をついておられたが、置いてからは座って間合いを取っておられる。
移動 玄関の上がり框の前で一度止まり、そのあと靴を履かれた。履き終えてから外へ出るまでに間合いを取られた。
移動 門扉までの区間はご自分で進まれた。帰りののぼりでは途中で一度立ち止まられた。
移動 階段は踊り場で一度止まり、そのあと続けてのぼられた。手すり側を歩かれていた。
移動 坂道で付き添いが先を歩き、歩調が上がっていた。次回はご本人の後ろにつくことを担当間で申し合わせた。
移動 居間からトイレまでの区間が一日で最も長いことを確認し、途中に腰掛けを置いた。置いた翌日から、立ち止まる場所が一定になっている。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

家事・外出・暮らしの記録——完成文(その二)

記録に残しておきたいのは、うまくいかなかった日だけではありません。順番を変えたあとに最後まで続けられた日も、同じくらい大切です。変えた前と後を並べて書いておくと、次の担当者会議で「その決めごとは効いている」と示せます。効いている決めごとは、そのまま守られます。

場面 記録の文(完成文)
調理 材料と道具を先に出す工程を入れたところ、調理中に取りに戻ることがなかった。
調理 刻む工程を座って行われた。火の前には立たず、離れて座って様子を見ておられた。
調理 食卓へ運ぶ際、二度に分けて運ばれた。一度目のあとに間合いを取られていた。
調理 片づけの途中で手が止まり、残りは職員が行った。ご本人からは「明日でよい」とのお話があった。
掃除 割り当てた部屋のみ行われた。柄の長い道具を使い、前かがみになる時間は短かった。
掃除 高い場所を拭く場面で腕を上げたまま続いていたため、途中で腕を下ろす区切りを入れた。
掃除 前回は一日で二部屋を行い、翌日の予定を延期されていた。今回は一部屋にとどめ、翌日の予定は予定どおり行えている。
買い物 往路はゆっくり進まれ、店内では決めた道順で回られた。会計の前に座って間合いを取られた。
買い物 荷物を両手に分けて持たれた。帰り道の途中で一度立ち止まられ、そのあと自宅まで進まれた。
買い物 重い物は別の日に回すことをご本人と決めた。今回はその決めごとのとおり、軽いものだけを持たれた。
通院 待合では先に決めた席に座られた。呼ばれてから立ち上がるまでに間合いを取られていた。
通院 伝えたいことを紙に書いて持参された。診察室では書いたものを渡され、口でお話しになる量は少なかった。
通院 院内の移動のあと、受付ですぐ話し始められ、言葉が途切れていた。次回は座ってから話す順にすることを確認した。
通院 帰宅後は片づけを行わず、座って過ごされた。片づけは翌日に行われた。
来客 呼び鈴が鳴ってから玄関まで急がれ、着いたときに肩で息をされていた。応答で一声かけてから向かう手立てを、ご家族と相談した。
来客 座って話され、話の区切りで間を取られていた。相手にも先にお伝えしてあり、急かされる場面はなかった。
暮らし 一日の予定を紙に書いて居室に掲示した。ご本人から「先が分かるので落ち着く」とのお話があった。
暮らし 午前に予定が重なっていたため、入浴を午後へ移した。移したあとは最後まで続けられている。
暮らし 朝に行っていた工程のうち、後ろへ回せるものを仕分けた。仕分けた内容は手順書に書き、全職員で共有している。
暮らし 調子のよい日に掃除と買い物を続けて行われ、翌日は予定を延期された。一度に行う量の上限を、ご本人と決め直した。
暮らし いつもどおりに進めない様子があったため、決めておいた順で看護職員へ連絡した。以降は示された内容に沿って対応している。
暮らし 担当が替わった日に順番が変わっていた。訪問の前に手順書を読み合わせる取り決めにした。
会話 移動しながらお尋ねしたところ、言葉が途切れていた。座ってからお尋ねし直したところ、最後までお話しになった。
環境 脱衣所に椅子を置いた。置く前は立ったまま脱いでおられたが、置いてからは座って脱がれている。
環境 台所のよく使うものを、腰から肩の高さへ移した。移したあと、前かがみと背伸びの回数が減っている。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

伝えるときの言い方——完成文

同じ内容でも、言い方が急かす形になっていると、順番も間合いも守られません。とくに「頑張って」「もう少し」は、動作を続けさせる方向にはたらきます。ここでは、順番と間合いを守るための言い方を、そのまま使える形で並べます。医療にかかわることは、こちらで判断せず、看護職員・主治医へつなぐ言い方にしています。

相手・場面 言い方(完成文)
ご本人へ(動作の前) 「先に順番を確かめますね。着替えは、座って下衣、それから上衣の順でよろしいですか。」
ご本人へ(間合い) 「ここで少し間を取りましょう。急ぎませんので、落ち着かれてから次に進みましょう。」
ご本人へ(トイレ) 「急がなくて大丈夫です。早めに向かいましょうか。」
ご本人へ(入浴の前) 「今日は、脱ぐ・洗う・つかる・拭く・着るの間に、それぞれ間を取る形で進めますね。」
ご本人へ(工程を減らす) 「今日は洗う場所を絞って、髪は次の機会にしませんか。いかがでしょう。」
ご本人へ(移動) 「立ってすぐは歩き出さず、その場で少し待ちましょう。」
ご本人へ(歩調) 「私が後ろを歩きますので、ご自分の歩調で進んでください。」
ご本人へ(外出) 「行きで使い切らないように、帰りの分を残しておきましょう。」
ご本人へ(買い物) 「重い物は別の日にしませんか。今日は軽いものだけにしましょう。」
ご本人へ(話す量) 「動きながらだとお話ししにくいと思いますので、座ってからうかがいます。」
ご本人へ(調子のよい日) 「今日は動きやすいとのことですが、決めた分までにしておきませんか。明日の分を先に支度しておく形はいかがでしょう。」
ご本人へ(様子を見て) 「いま肩で息をされているように見えます。少し座ってからにしましょう。」
ご家族へ(順番) 「動作の順番と、どこで間を取るかを決めています。同じ順で進めていただけると、ご本人の負担が変わります。」
ご家族へ(声かけ) 「『頑張って』ではなく、『ここで一度待ちましょう』とお声をかけていただけますか。」
ご家族へ(夜間) 「夜は、起きてすぐ立たずに、いったん座っていただく順にしています。」
ご家族へ(来客) 「呼び鈴に合わせて急がれてしまうので、一声かけてから向かえるようにしています。」
ご家族へ(前倒し) 「調子のよい日は、その日に多くやるのではなく、翌日の支度を先にしていただく形にしています。」
看護職員へ 「本日、着替えの途中で工程が進まない場面がありました。いつもは最後まで行えています。ご確認をお願いします。」
看護職員へ 「入浴の順番を、洗髪を後ろへ回す形に変えました。示していただいている範囲に沿っているか、ご確認いただけますか。」
看護職員へ 「屋外の移動で、いつも進めている区間の途中で立ち止まられました。そのときの様子をお伝えします。」
主治医へ(受診時に渡す紙) 「屋内の移動と入浴について、どの工程で手が止まったかを書き出しています。行ってよい範囲をお示しいただけますと助かります。」
他事業所へ(担当者会議) 「工程・順番・間合いの位置を手順書にまとめています。訪問の際は同じ順でお願いします。」
他事業所へ(変更の連絡) 「移動の区切りに使う椅子の位置を変えました。手順書も差し替えています。」
新しい担当者へ 「初回の前に手順書を読み合わせます。順番を変える必要が出たときは、その場で変えず、いったん持ち帰ってください。」
事業所内の申し送り 「調子に応じた三通りの組み方を決めています。その場で判断せず、決めてある形のどれで進めるかを選ぶ形にしてください。」

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

よくある質問(FAQ)

COPDのケアプランで大切な点は?
呼吸リハビリ、息切れに配慮した動作、感染予防、在宅酸素の管理が柱です。
息切れへの対応はどう書きますか?
動作をゆっくり分けて行う工夫や休憩、環境整備を留意点に記載します。
感染予防が重要なのはなぜですか?
感染症への備えについては主治医から説明があります。示された内容(記入欄)を、日々の関わりの中でどう続けるかを計画に書きます。
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
カイポケをご利用中でなくても、神マナは単体で問題なくご利用いただけます。「マナドライブ」で帳票類の管理・網羅もでき、まず神マナを導入して後からカイポケを連携することも可能です。カイポケの導入をご希望の際は、当社からサポート担当へお繋ぎします。詳しくは「カイポケ導入相談・お見積り」の案内ページをご覧ください。
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場面別|慢性閉塞性肺疾患の観察と記録の文例

慢性閉塞性肺疾患の方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。時刻と数字を入れるのが要点です。

場面 記録の文例
息切れ 居間から台所まで(記入欄)mの移動で息が上がり、途中で1回休憩。座っているときは息の乱れなし。
呼吸 安静時の呼吸の様子(記入欄)。主治医・看護職員から示されている方法をご自分で行えている。
経皮的動脈血酸素飽和度 主治医・看護職員から示されている確認の方法(記入欄)に沿って測定し、値を記録。
在宅酸素 主治医から示されている設定(記入欄)のとおり装着。装着していた時間(記入欄)。設定は支援者が変えません。
白色痰が少量。自力で喀出できている。
早朝に多い。日中は落ち着いている。
食事 1回量を減らし、1日5回に分けている。主食8割相当。
体重 44.8kg。前月比マイナス0.5kg。
入浴 主治医から示されている条件(記入欄)のもとで実施。湯温(記入欄)、入っていた時間(記入欄)。
更衣 前かがみで息切れが出るため、座位で行っている。
活動 午前に室内歩行。息切れの手前で休むよう声かけ。
感染予防 手洗い・うがいを励行。人混みを避けている。
喫煙 禁煙を継続。
服薬 主治医の指示による薬を、指示された時間に使用(記入欄)。使い方を毎回確認している。
環境 室温(記入欄)、湿度(記入欄)。ご本人と決めた目安を保っている。
睡眠 上体を挙上して就寝。夜間の呼吸苦なし。
注意点 主治医から示されている「連絡が必要な状態」(記入欄)にあてはまるときは、事業所で定めた手順に沿って主治医・看護職員へ連絡する。
連携 訪問看護より「呼吸状態は安定」との報告。

あわせて確認したい、併存しやすい状態

COPD(呼吸器疾患)の方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。

低栄養・フレイル廃用症候群心不全

27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。

この記事の執筆・編集

介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

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