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介護のヒヤリハット報告書の書き方|例文と再発防止

事故を防ぐうえで欠かせないのが、ヒヤリハットの記録です。「報告すると怒られそう」「書き方が分からない」といった理由で埋もれがちですが、ここに事故防止の最大のヒントがあります。本記事では、ヒヤリハット報告書の書き方を例文つきで整理します。

記録の書き方を探す|基本・場面別・看護・道具

このページはヒヤリハットの書き方です。ほかの記録の書き方・道具は下から飛べます。

ヒヤリハットとは

ヒヤリハットとは、事故には至らなかったものの「ヒヤリ」「ハッと」した出来事のことです。ハインリッヒの法則では、1件の重大事故の背後に29件の軽微な事故、300件のヒヤリハットがあるとされます。ヒヤリハットを集めて対策することが、重大事故を防ぐ近道です。

報告書に書く項目

  • 発生した日時・場所
  • 対象となった利用者さま
  • どんな状況だったか(事実)
  • なぜ起きたか(要因)
  • そのときの対応
  • 再発防止のための改善策

書き方のポイント

  • 個人を責めない――「誰のミスか」ではなく「なぜ起きたか(しくみ)」に目を向けます。
  • 事実を具体的に――時刻・場所・行動を客観的に書きます。
  • 要因を掘り下げる――「なぜ」を繰り返し、背景にある原因を探ります。

記入例

転倒のヒヤリハット

午前10時頃、居室で立ち上がろうとした際にバランスを崩し、ベッド柵につかまって転倒は回避。床に新聞が置かれており、足を滑らせかけた。床の物を片付け、立ち上がり時の見守りを徹底することとした。

誤薬のヒヤリハット

配薬時、別の利用者の薬を手に取りかけたが、名前の確認で気づき、誤薬には至らなかった。配薬時はトレーの氏名を声に出して確認する手順を再徹底する。

再発防止に活かす

集めたヒヤリハットは、職員間で共有し、原因と対策を話し合うことで初めて意味を持ちます。記録を「報告して終わり」にせず、改善のサイクルにつなげましょう。

記録・共有の負担を軽くする

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」は、音声から記録の下書きを自動で作成し、職員間での情報共有もスムーズにします。気づいたその場で残せるため、ヒヤリハットを埋もれさせません。利用者さま3名まで、3か月間、回数の制限なく無料(2026年中のご登録は2027年3月31日まで)でお試しいただけます。

ヒヤリハット報告書の記入例

ヒヤリハット報告書は、事故に至らなかった「ヒヤリ」を記録し、再発を防ぐものです。記入例をまとめました。

項目 記入例
発生状況 移乗の際、車いすのブレーキをかけ忘れ、ずれそうになった。
要因 確認不足、慌ただしい時間帯。
対応 すぐに支え、けがはなし。
再発防止 移乗前の指差し確認を徹底し、手順を共有する。

ヒヤリハットと事故報告の違い

ヒヤリハット 事故報告
対象 事故に至らなかった出来事 実際に起きた事故
目的 事故を未然に防ぐ 事実の記録、原因分析、再発防止、行政への報告
提出先 事業所内 事業所内+市区町村(基準による)+家族
書く人 気づいた人 関わった職員
扱い 責任追及の材料にしない 原因を分析する
件数 多いほうがよい 少ないほうがよい

⚠ヒヤリハットの件数が少ない事業所は、安全な事業所ではありません。報告されていないだけのことが多くあります。

ヒヤリハットの記入例

項目 記入例
発生日時 令和8年7月15日 10:20頃
発生場所 2階廊下(トイレ前)
対象者 A様(要介護3、右片麻痺)
状況 トイレへ向かう途中、廊下の敷物のふちに右足がかかり、身体がが傾いた。近くにいた職員が支え、転倒には至らなかった
要因 敷物のふちがめくれていた。本人は右足の挙上が不十分
とった対応 敷物を撤去。本人に痛みの有無を確認(訴えなし)
再発防止 廊下の敷物をすべて確認し、めくれのあるものを撤去。朝の環境チェック項目に追加
報告先 管理者(10:30)、看護師(10:35)

報告が集まる事業所にするために

  1. 報告した人を責めない——ここが崩れると報告は止まります
  2. 様式を短くする——A4半分で足りる形にします
  3. その場で書ける場所に置く
  4. 集計して共有する——「出しても何も変わらない」と思われると出なくなります
  5. 改善につながった例を伝える——報告の価値が実感できます

分析のしかた

  • 時間帯で集計する——特定の時間に集中していないか(食事前、夜間、送迎時)
  • 場所で集計する——同じ場所で繰り返していないか
  • 対象者で集計する——同じ方に集中していないか
  • 種類で集計する——転倒、誤薬、誤嚥、離設
  • 人ではなく仕組みを見る——「注意する」で終わらせない

分析から改善へ

  1. 集める——短い様式で、その場で書ける形に
  2. 分類する——時間帯、場所、対象者、種類
  3. 傾向を見る——集中しているところを探します
  4. 要因を掘る——「注意不足」で止めない。環境、手順、人員配置を見ます
  5. 対策を決める——誰が、いつまでに、何をするか
  6. 共有する——決めた対策と、その後の変化を全員へ
  7. 検証する——同じことが減ったかを確認します

「注意する」で終わらせない

よくある結論 掘り下げた対策
職員が注意する 敷物を撤去する/手すりを設置する
声かけを徹底する 声かけのタイミングを手順に組み込む
確認を徹底する 確認の方法を変える(声出し、ダブルチェック、チェックリスト)
本人に説明する 本人が理解しやすい形に環境を変える
人を増やす その時間帯の業務を減らす/配置を組み替える

個人の努力に依存する対策は、忙しくなると必ず崩れます。環境と手順で解ける部分を先に探してください。

実務で迷いやすいところ

よくある疑問 考え方
どこからが事故か けが・受診の有無が目安ですが、基準は事業所で定めます
家族に伝えるべきか ヒヤリハットの段階でも、状況によっては伝えます。判断の基準を決めておきます
報告が集まらない 責めない文化と、短い様式が前提です。件数が少ないのは安全の証明にはなりません
個人名を書くか 対象者は記載します。職員名は事業所の方針によりますが、責任追及に使わないことが前提です
保存期間は 事故報告と同様に、長めに保存する事業所が多くあります

様式に入れる項目

  • 発生日時(時刻まで)
  • 発生場所(具体的に)
  • 対象者
  • 状況(事実のみ)
  • 要因(推測が入る場合は、推測と分かるように)
  • とった対応
  • 再発防止の案
  • 報告先と報告時刻
  • 記載者

件数の目安

件数が少ないことは、安全の証明にはなりません。報告しやすい事業所ほど件数は増えます。

  • 月の件数を記録し、推移を見る
  • 急に減った月は、報告が止まっている可能性を疑う
  • 職員別の報告数を見る(責めるためではなく、報告しにくい人がいないか)
  • 事故に至った件数と、ヒヤリの件数の比率を見る

欄別|ヒヤリハット報告書12欄の「弱い例」と完成文(36例)

ヒヤリハット報告書が続かない事業所には、共通する詰まり方があります。様式の欄は12個あるのに、実際に埋まっているのは「状況」と「再発防止」の2欄だけで、しかもその2欄が一行で終わっている、という形です。欄が答えるべき問いが決まっていないと、書く人は毎回ゼロから考えることになり、結果として一行で止まります。ここでは12の欄それぞれについて、その欄が答えている問いは何か、よく見る弱い書き方はどれか、そしてそのまま貼って使える完成文はどう書くかを並べます。完成文はコピーして、氏名・時刻・数値だけを差し替えれば使える形にしてあります。

12の欄が答えている問いと、そのまま使える完成文

欄 この欄が答えている問い よく見る弱い書き方 そのまま使える完成文
発生日時 いつか。何時何分か。前後の業務は何だったか 「7月15日 午前中」 令和8年7月15日(水)10時20分頃。朝食後の口腔ケアが終わり、居室へ戻る誘導をしていた時間帯。フロアの職員は2名、うち1名は入浴介助のため浴室にいた。
発生場所 どこか。建物のどの階の、どの設備の前か 「廊下」 2階北側廊下、共用トイレ入口から手前1.5mの地点。床は前の利用者の手洗い後の水滴で部分的に濡れていた。手すりは右側のみ設置。
対象者 誰か。どの状態の方か(介護度・麻痺・認知の状況) 「A様」 A様(88歳・女性・要介護3)。右片麻痺があり、屋内は四点杖で見守り歩行。夕方以降に疲労で歩行が不安定になる傾向あり。認知症高齢者の日常生活自立度はIIa。
発見者・関与者 誰が気づいたか。そのとき誰がどこにいたか 「職員」 発見者は介護職員B(常勤・2年目)。発見時、Bは1.5m後方を歩行していた。同フロアには介護職員C(浴室内)と看護職員D(1階事務室)がおり、Dへは内線で連絡した。
発生時の状況 何が起きたか。どこまで進み、どこで止まったか 「転びそうになった」 トイレへ向かう途中、右足の振り出しが浅く、つま先が床の水滴部分で滑った。上体が右前方へ傾いたが、右手で手すりをつかまれ、後方にいた職員Bが左肩を支えたため、膝や殿部の床への接触はなかった。転倒には至っていない。
実施していた介助 そのとき職員は何をしていたか。手は空いていたか 「見守り」 杖歩行の後方見守り。職員Bは右手に使用済みの口腔ケア用品を持っており、両手が空いていない状態だった。介助方法は計画上「後方見守り、手引きなし」で、この日も計画どおりの介助であった。
結果(実害の有無) 身体はどうなったか。何を見て「無事」と判断したか 「異常なし」 外傷なし。膝・殿部・後頭部の打撲は本人の訴えなく、視診でも発赤・腫脹を認めない。歩行状態は発生前と同じで、痛みの訴えもない。バイタルは血圧132/78、脈拍78、体温36.4度、経皮的動脈血酸素飽和度98%。
その後の対応 直後に何をしたか。時刻を追って書けているか 「様子を見た」 10時22分、その場で椅子に座っていただき、痛みの有無と手足の動きを確認。10時25分、床の水滴を拭き取り、注意表示を設置。10時30分、看護職員Dが訪室し全身観察。10時35分、居室へ誘導し臥床。以後、11時・12時・15時に訪室し、痛みと歩行状態を確認したが変化なし。
報告先と報告時刻 誰に、何時に伝えたか。伝えていない相手はいるか 「上司に報告」 10時30分に看護職員Dへ口頭報告、10時40分に管理者へ口頭報告、同日16時に申し送りノートへ記載しフロア全員へ共有。ご家族および担当介護支援専門員への連絡の要否は、事業所の判断基準に沿って管理者が判断した(判断内容は下欄に記載)。
要因(分析) なぜ起きたか。人ではなく、しくみのどこが弱かったか 「本人の不注意」 1)床の水滴が発生から拭き取りまで放置されていた(手洗い後の床を確認する手順が決まっていなかった)。2)右側にしか手すりがなく、右片麻痺の方が支えを取れる側と一致していなかった。3)見守り者が物を持っており、とっさに両手で支えられない状態だった。4)トイレ誘導が朝食後に集中し、同時刻に複数名が同じ動線を通っていた。
再発防止策 誰が、いつまでに、何を変えるか 「注意して見守る」 1)手洗い後の床確認を、朝夕の環境チェック表の項目に追加する(担当:介護主任/7月18日まで)。2)左側手すりの設置を法人へ申請し、設置までは可搬式の歩行器を動線上に配置する(担当:管理者/7月末までに申請)。3)口腔ケア用品はワゴンに置き、誘導時は手ぶらで付き添う運用に変更する(担当:フロアリーダー/7月16日から)。4)朝食後のトイレ誘導を2班に分け、同時に動く人数を減らす(担当:シフト作成者/8月シフトから)。
確認者・共有 誰が読んで、いつ検討の場にかけたか 「(空欄のまま提出)」 7月15日 管理者確認済。7月18日の事故発生の防止に関する検討の場で分析し、議事録に記載。7月19日の全体申し送りで対策1)3)を周知し、周知記録に出席者名を記載。8月15日に対策の実施状況を再確認する予定。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

ひとつの出来事を12欄すべてに書き切った見本|居室での立ち上がり

欄ごとの説明を読んでも、実際に一枚を書き上げると手が止まります。以下は、居室で起きたひとつの出来事について、12欄をすべて埋めた完成見本です。この一枚をひな形として保存し、欄の並びを自事業所の様式に合わせて差し替えるのが、いちばん早い立ち上げ方です。

欄 記入例(そのまま貼れる完成文)
発生日時 令和8年7月22日(水)14時05分頃。午睡後の離床介助を順に行っていた時間帯。
発生場所 1階103号室、ベッド右側(頭側から見て右)とタンスの間、幅約60cmのスペース。
対象者 E様(91歳・女性・要介護4)。両下肢の筋力低下があり、立ち上がりは手すり使用で見守り、移動は車いす。認知症高齢者の日常生活自立度はIIIa。午睡後にぼんやりされることが多い。
発見者・関与者 介護職員F(非常勤・1年目)が隣室から物音に気づき訪室。応援に介護職員Gが入室。看護職員Hへは内線で連絡した。
発生時の状況 職員が隣室で離床介助中、E様が自らベッド柵を持って端座位となり、そのまま立ち上がろうとされた。臀部がマットレスから離れた時点で上体が前方へ傾き、両膝が屈曲。訪室した職員Fが胸部と背部を支え、床への接触前に座位へ戻した。床に膝や手をつくには至っていない。
実施していた介助 職員Fは隣室102号室で別の利用者の離床介助中であった。E様の離床は14時15分の予定で、コールがあれば訪室する運用としていた。ナースコールは押されていない。
結果(実害の有無) 外傷なし。膝・手掌・殿部に発赤や腫脹を認めず、痛みの訴えもない。座位保持は安定しており、その後の車いす移乗も普段どおり行えた。バイタルは血圧128/74、脈拍82、体温36.2度。
その後の対応 14時06分、座位に戻し呼吸と表情を確認。14時08分、両下肢と両上肢の自動運動を確認し、痛みの訴えがないことを確認。14時15分、看護職員Hが訪室し全身観察。14時20分、車いすへ移乗しホールへ誘導。16時と18時に再度、痛みと皮膚の状態を確認したが変化なし。
報告先と報告時刻 14時15分に看護職員H、14時30分に管理者へ報告。同日17時の申し送りでフロア全員へ共有。ご家族への連絡は、事業所の連絡基準(受診・外傷・本人の訴えのいずれかがある場合)に照らして今回は行わず、7月25日の面会時に口頭でお伝えすることとした。判断者は管理者。
要因(分析) 1)午睡後の離床が14時台に集中し、5名の離床を職員2名で順に行う組み方になっていた。2)E様のベッド柵が握りやすい位置にあり、つかまって立つ動作を誘発していた。3)ナースコールが枕元から30cm離れた位置にあり、午睡後の姿勢からは手が届きにくかった。4)「離床は職員が行う」という説明が、午睡後のご本人には残っていなかった。
再発防止策 1)午睡後の離床順を、自力での立ち上がり動作が見られる方から先に回す順序へ変更する(担当:フロアリーダー/7月23日から)。2)ベッド柵を介助バーへ交換し、立ち上がりを誘発しない形状にする(担当:福祉用具担当/7月末までに交換依頼)。3)ナースコールを枕元のシーツにクリップで固定し、午睡後の姿勢から手が届く位置に置く(担当:日勤者全員/7月23日から毎日)。4)「呼んでください」の掲示を、E様が視線を向けやすいベッド正面のタンス扉に貼る(担当:介護職員F/7月23日)。
確認者・共有 7月22日 管理者確認済。7月25日の事故発生の防止に関する検討の場で分析し、議事録に対策1)〜4)と担当・期限を記載。7月26日の全体申し送りで周知し、周知記録に出席者12名の署名を得た。8月22日に実施状況を再確認する。
この記録の位置づけ 床への接触・外傷・受診のいずれもないため、事業所の分類基準ではヒヤリハット記録として整理した。分類の考え方(どこからを事故として扱うか)は保険者の定めにより異なるため、指定を受けた保険者の事故報告要領をご確認ください。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

ひとつの出来事を12欄すべてに書き切った見本|配薬時に別の方の薬を手に取った

誤薬の周辺は、書き方がいちばん揺れるところです。神戸市が公表している運営指導上の留意事項には、誤薬・転倒等について「介護事故として記録すべきものを、ヒヤリ・ハット事例として記録している」という指摘が挙げられています。また津山市の集団指導資料では、誤薬について事故報告書が提出されていない事例、事故報告書を提出すべき案件をヒヤリハットで処理している事例が示されています。内服前に気づいて止まったのか、口に入ったのかで扱いが変わるため、どこで止まったかを時系列で書き切ることが要点になります。

欄 記入例(そのまま貼れる完成文)
発生日時 令和8年7月30日(水)7時50分頃。朝食後の与薬を、食堂のテーブル単位で順に行っていた時間帯。
発生場所 1階食堂、窓側テーブル(4名席)。配薬車はテーブルから2m離れた壁際に置いていた。
対象者 I様(84歳・男性・要介護2)とJ様(86歳・男性・要介護2)。姓の読みが同じで、薬袋の氏名表記も類似している。I様は降圧剤と血糖降下剤、J様は降圧剤のみ。
発見者・関与者 与薬を行った介護職員K(常勤・4年目)が、手渡す直前に自ら気づいた。同席していた介護職員Lが照合に立ち会った。看護職員Mへ報告した。
発生時の状況 配薬車からI様の朝食後薬を取り出す際、隣の仕切りにあったJ様の薬包を手に取った。テーブルへ運び、I様の前に置こうとした時点で薬包の氏名を読み上げ、J様の氏名が記載されていることに気づいた。ご本人の手には渡っておらず、開封も内服もしていない。
実施していた介助 食後薬の配薬・与薬。事業所の手順では「配薬車から取り出す時」と「手渡す時」の2回、氏名を声に出して照合することとしている。今回、取り出す時の照合が行われていなかった。
結果(実害の有無) 内服には至っていない。開封もしていない。I様・J様ともに服薬は所定の時刻に正しく行われ、体調の変化はない。J様の薬包は封のまま配薬車へ戻した。
その後の対応 7時52分、薬包を配薬車へ戻し、I様の薬包を職員Lと2名で氏名・日付・食後区分を読み上げて照合。7時55分、I様へ手渡し、内服を確認。8時05分、看護職員Mへ報告し、両名の薬包の残数を確認して相違がないことを確認。8時20分、管理者へ報告。
報告先と報告時刻 8時05分に看護職員M、8時20分に管理者へ報告。同日の申し送りでフロア全員へ共有。処方元の医師・薬剤師への相談は、内服に至っていないため今回は行っていない。口に入った場合は職員のみで判断せず処方医または薬剤師へ相談する運用としている。
要因(分析) 1)配薬車の仕切りで、読みの同じ2名が隣り合って並んでいた。2)取り出す時の照合が手順にあるにもかかわらず、朝食後の混雑した時間帯に省略されていた。3)薬包の氏名が印字の小さいフォントで、姓のみの表記だった。4)配薬車がテーブルから2m離れており、照合の場所と手渡す場所が分かれていた。
再発防止策 1)配薬車の並びを、読みの近い方が隣り合わないよう入れ替え、仕切りに色テープで区別を付ける(担当:看護職員M/7月30日実施)。2)薬包に姓名を手書きで追記し、下の名前まで読み上げる運用に変更する(担当:与薬担当者/7月31日から)。3)配薬車をテーブルの横まで運び、取り出す時と手渡す時の照合を同じ場所で行う(担当:フロアリーダー/7月31日から)。4)朝食後の与薬を2名体制とし、読み上げる人と聞き取る人を分ける(担当:シフト作成者/8月シフトから)。
確認者・共有 7月30日 管理者確認済。8月1日の事故発生の防止に関する検討の場で分析し、議事録に記載。8月2日の申し送りで周知し、周知記録に出席者名を記載。8月30日に、氏名の読みが近い方の配薬並びを再点検する。
この記録の位置づけ 手渡し前に気づき、開封・内服のいずれにも至っていないため、事業所の分類基準ではヒヤリハット記録として整理した。誤薬(他人の薬の服用・飲み忘れ・落薬等)を事故報告の対象とするかどうかの範囲は保険者の定めによるため、指定を受けた保険者の事故報告要領をご確認ください。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

書きぶりの粒度|時刻・数値・観察の根拠をどこまで入れるか

同じ出来事でも、書きぶりの粒度で報告書の価値は変わります。読み返して対策が立てられる記録には、時刻・距離や角度などの数値・そう判断した観察の根拠の3つが入っています。以下は、弱い書き方を具体に置き換える対照です。

観点 弱い書き方 具体にした書き方(完成文) この差が生む効果
時刻 「午前中」「食事の前」 10時20分頃(朝食後の口腔ケア終了直後、フロア職員2名のうち1名が浴室にいた時間帯) 時間帯で集計したときに、人員配置と重ねて見られるようになる。
場所 「廊下」「居室」 2階北側廊下、共用トイレ入口から手前1.5m。右側のみ手すり設置、床は部分的に濡れていた 同じ地点での繰り返しが見え、設備の改修対象が特定できる。
本人の状態 「歩行が不安定な方」 右片麻痺、屋内は四点杖で見守り歩行。夕方以降に疲労で振り出しが浅くなる傾向あり 時間帯と身体状況の関係が読め、介助方法の見直しにつながる。
どこで止まったか 「転倒しそうになった」 上体が右前方へ傾いたが、右手で手すりをつかみ、職員が左肩を支えたため床への接触はなかった 止まった理由(手すり・職員の位置)が分かり、その仕組みを他の場所へ広げられる。
職員の位置 「近くにいた」 1.5m後方を歩行。右手に口腔ケア用品を持っており、両手が空いていなかった 「見守り」の中身が具体になり、手が空く動線の設計に結びつく。
無事の根拠 「異常なし」 膝・殿部・後頭部に発赤・腫脹なし、痛みの訴えなし、歩行状態は発生前と同じ。血圧132/78、脈拍78、体温36.4度 後日に症状が出た場合、いつの時点まで所見がなかったかが説明できる。
要因 「本人の不注意」「確認不足」 手洗い後の床を確認する手順が決まっていなかった/右側にしか手すりがなく、支えを取れる側と一致していなかった 手順書と設備の改修という、実行できる形の対策に変換できる。
再発防止策 「注意して見守る」「声かけを徹底する」 手洗い後の床確認を朝夕の環境チェック表に追加(担当:介護主任/7月18日まで)。左側手すりの設置を申請(担当:管理者/7月末まで) 誰が・いつまでに・何をするかが決まり、後日の実施状況の確認ができる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

転倒・転落・移乗・送迎|発生場所別のそのまま貼れる完成文(8場所・32例)

転倒と転落は、ヒヤリハットのなかでいちばん件数が多く、そしていちばん「一行で終わりやすい」場面です。書き分けの鍵は場所にあります。居室で起きたことと浴室で起きたことは、要因も対策もまったく違うのに、同じ「ふらつきあり、見守り強化」という一行にまとめられてしまうと、集計しても何も見えません。ここでは発生場所を8つに分け、それぞれ4例ずつ、報告書の主要4欄が埋まった完成文を用意しました。氏名・時刻・数値を差し替えるだけで、そのまま自事業所の様式へ貼れます。

居室とベッド周りで起きたこと(8例)

場所・例 発生時の状況(完成文) 実施していた介助とその後の対応(完成文) 要因(完成文) 再発防止策(完成文)
居室1|起き上がり 6時40分、朝の巡回で訪室したところ、A様がベッド端に浅く腰かけ、上体が右へ傾いた状態でおられた。職員が右肩と背部を支えて深く座り直していただき、床への接触はなかった。ベッドの高さは45cmで、ご本人の下腿長より高く、足底が床に着いていなかった。 介助方法は「起床時は職員が訪室してから離床」。訪室が6時40分で、ご本人の覚醒は6時20分頃と推定される。6時42分、深く座り直して足底接地を確認。6時45分、痛みと手足の動きを確認し訴えなし。6時50分、看護職員へ報告。7時と9時に再確認したが変化なし。 1)ベッドの高さがご本人の下腿長に合っておらず、端座位で足底が床に着かない状態だった。2)起床時刻がご本人のほうが早く、訪室までに20分の空白があった。3)ベッド柵の位置が起き上がり動作の妨げになり、身体をひねる動きを誘発していた。 1)ベッド高を下腿長に合わせて38cmへ調整し、足底接地を毎朝確認する(担当:福祉用具担当/7月18日実施)。2)起床時の巡回開始を6時20分に前倒しし、覚醒の早い3名から回る順序に変更(担当:夜勤者/7月19日から)。3)ベッド柵を介助バーへ交換し、起き上がり時に握れる位置へ移す(担当:管理者/7月末までに手配)。
居室2|床の物 15時10分、居室内をつたい歩きで移動されていたB様が、床に置かれていた新聞紙の上に右足を乗せ、紙が滑って上体が前方へ傾いた。とっさに近くの箪笥の縁に両手をつかれ、膝は床に着いていない。新聞紙はご家族が前日に持参されたもので、床に3部重ねて置かれていた。 居室内の移動は自立、見守りなしの取り決め。15時11分、職員が訪室し座位へ誘導、痛みの有無と両膝の可動域を確認し訴えなし。15時15分、新聞紙を撤去し、雑誌ラックへ移した。15時20分、看護職員が訪室し全身観察。17時に再確認し変化なし。 1)居室内の床置きの物について、置いてよい場所と量の取り決めがなかった。2)ご家族が持参された物の置き場所を、面会時にお伝えしていなかった。3)つたい歩きの動線上に、支えになる家具の切れ目が1.2mあった。 1)居室の床置きを「動線1mの内側は置かない」と決め、居室ごとに雑誌ラックを配置する(担当:生活相談員/7月末まで)。2)面会時にお渡しする案内へ、持参品の置き場所を1行追記する(担当:生活相談員/8月面会分から)。3)家具の切れ目に可搬式の手すりを設置し、つたい歩きの支えを連続させる(担当:福祉用具担当/8月10日まで)。
居室3|夜間の排泄 2時35分、C様が居室内でポータブルトイレへ向かおうとされ、ベッドから立ち上がった直後に膝折れが生じた。センサーマットの反応で駆けつけた職員が背部を支え、床への接触前に座位へ戻した。居室の照明は消灯しており、足元灯のみ点灯していた。 夜間はセンサーマットで感知し職員が介助する取り決め。2時35分に感知、2時36分に職員到着(居室は職員ステーションから15m)。2時40分、排泄介助を実施。2時50分、血圧118/68、脈拍74を測定。3時30分と5時の巡回で状態を確認し変化なし。 1)ポータブルトイレがベッドの足元側にあり、立ち上がってから2歩の移動が必要だった。2)足元灯の照度が低く、ポータブルトイレの位置が視認しにくかった。3)覚醒直後の起立性の変動が起きやすい時間帯であることが、介助手順に反映されていなかった。 1)ポータブルトイレをベッド頭側へ移し、端座位から手すりを持って直接移れる配置にする(担当:夜勤リーダー/7月19日実施)。2)足元灯を人感式の明るいタイプへ交換する(担当:管理者/8月10日まで)。3)夜間の起立は「端座位で30秒待ってから立つ」を手順書へ追記し、夜勤者全員へ周知する(担当:看護職員/7月20日)。
居室4|掃除中の濡れ床 10時50分、居室の床清掃直後にD様が入室され、まだ乾いていない床面で右足底が滑った。上体が後方へ傾いたが、扉の枠に左手をつかれて止まり、臀部の接地はなかった。清掃は業務委託の職員が実施し、注意表示は設置されていなかった。 居室内の移動は自立。10時51分、職員が到着し座位で休んでいただき、腰部と両下肢の痛みの有無を確認、訴えなし。10時55分、床面を乾拭きし注意表示を設置。11時00分、看護職員が訪室し全身観察。13時と16時に再確認し変化なし。 1)清掃後の床が乾くまでの間、注意表示を置く取り決めが委託業者と共有されていなかった。2)清掃時間帯が居室への出入りが多い時刻と重なっていた。3)居室の床材が水分で滑りやすい素材であることが、リスクとして共有されていなかった。 1)委託業者との申し合わせに「清掃後は乾燥まで注意表示を設置」を加え、書面で取り交わす(担当:管理者/7月末まで)。2)居室清掃を、入浴で不在となる時間帯へ移す(担当:生活相談員/8月から)。3)滑りにくいワックスへの変更を法人へ申請する(担当:管理者/8月申請)。
ベッド1|柵の隙間 1時20分の巡回時、E様の右下肢がベッド柵の外側へ出ており、大腿部が柵の上縁に乗った状態を発見した。柵は2本設置されていたが、頭側の柵の固定ネジが緩み、5cmの隙間ができていた。ご本人は入眠中で、体幹はマットレス上にとどまっていた。 夜間は2時間ごとの巡回。1時21分、下肢を静かに戻し、掛け物を整えた。1時25分、柵の固定を確認しネジを締め直した。1時30分、皮膚の擦れや発赤の有無を確認、異常なし。3時・5時の巡回で同様の状態がないことを確認した。 1)ベッド柵の固定状態を点検する定期の仕組みがなく、緩みに気づけなかった。2)柵の高さがマットレスの厚みに対して不足し、寝返りで下肢が越えやすい状態だった。3)入眠中の体動が大きいことが、居室の環境設定に反映されていなかった。 1)ベッド柵・介助バーの固定確認を、週1回の環境チェック表の項目に追加する(担当:福祉用具担当/7月19日から毎週金曜)。2)マットレスの厚みに合う高さの柵へ交換を依頼する(担当:管理者/7月末までに依頼)。3)体動の大きい方の一覧を作り、居室環境の点検頻度を週2回に上げる(担当:看護職員/8月から)。
ベッド2|端座位からのずり落ち 16時05分、F様が端座位で待機されている間に、臀部が前方へずれてマットレス端から滑り出しかけた。職員が正面から両膝を支え、床への接地前に座り直していただいた。マットレスは体圧分散用で沈み込みが大きく、端座位の保持が不安定になりやすいものだった。 移乗は2人介助。1人が車いすを取りに離れた30秒の間に発生。16時06分、座り直し、足底接地と体幹の安定を確認。16時10分、殿部・大腿部の皮膚を確認し発赤なし。16時15分、看護職員へ報告。18時に再確認し変化なし。 1)2人介助の対象者について、1人が離れる場面が手順上想定されていなかった。2)体圧分散マットレスの端座位保持の弱さが、移乗手順に反映されていなかった。3)車いすを事前に居室へ用意しておく段取りがなかった。 1)2人介助の対象者は「2人がそろってから離床を開始する」と手順書へ明記する(担当:介護主任/7月19日)。2)移乗時はマットレス端に硬めの補助パッドを敷く運用を試行する(担当:福祉用具担当/7月22日から2週間)。3)車いすは離床の10分前に居室内へ配置する段取りへ変更する(担当:フロアリーダー/7月20日から)。
ベッド3|移乗マットの段差 9時30分、離床介助でG様をベッドから車いすへ移乗する際、ベッド脇に敷いていた衝撃吸収マットの縁に車いすの前輪が乗り上げ、車いすが5cmほど後退した。職員が体幹を支えたまま止め、ご本人の臀部は座面に着いており、床への転落はなかった。 移乗は1人介助、スライディングボード使用。9時31分、車いすの位置を直しブレーキを再確認して移乗を完了。9時35分、腰部と両下肢の痛みの有無を確認し訴えなし。9時40分、看護職員へ報告。11時に再確認し変化なし。 1)衝撃吸収マットの縁に傾斜がなく、車いすの前輪が乗り上げる高さだった。2)ブレーキはかけていたが、マットの上では制動が効きにくかった。3)マットの敷き位置が移乗の動線と重なっていた。 1)縁に傾斜のある薄型マットへ交換する(担当:福祉用具担当/8月10日まで)。2)移乗の際はマットを一時的にずらす手順を、写真つきで居室に掲示する(担当:介護職員G/7月22日)。3)マットの敷き位置を、移乗側ではなく反対側へ変更する(担当:フロアリーダー/7月20日実施)。
ベッド4|掛け物の巻き込み 4時50分、H様が起き上がろうとされた際、掛け布団の端が右足に絡み、上体が前方へ流れた。ベッド柵を左手でつかまれて止まり、床への接触はなかった。掛け布団は大判で、ベッド柵の外側まで垂れ下がっていた。 起床時の離床は職員介助の取り決め。4時51分、職員が訪室し布団を外して座位を安定させた。4時55分、痛みと手足の動きを確認し訴えなし。5時00分、看護職員へ報告。7時の起床介助時に再確認し変化なし。 1)掛け布団の大きさがベッド幅に合っておらず、端が柵の外へ垂れていた。2)起床時刻がご本人のほうが早く、職員の訪室まで空白があった。3)掛け物の掛け方について、居室ごとの取り決めがなかった。 1)ベッド幅に合う寝具へ変更し、ご家族へ書面でご相談する(担当:生活相談員/7月末まで)。2)覚醒の早い方について、巡回の順序を先頭へ変更する(担当:夜勤者/7月19日から)。3)掛け物は柵の内側に収める旨を、夜間巡回のチェック項目へ追加する(担当:夜勤リーダー/7月19日から)。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

トイレと浴室で起きたこと(8例)

場所・例 発生時の状況(完成文) 実施していた介助とその後の対応(完成文) 要因(完成文) 再発防止策(完成文)
トイレ1|立ち上がり 13時40分、共用トイレでI様が便座から立ち上がる際、右手で手すりをつかむ前に体重を前方へ移し、膝が折れかけた。扉の外で待機していた職員が声を聞いて入室し、腋窩を支えて便座へ戻した。床への接触はなかった。 排泄は「入口で待機し、呼ばれたら介助」の取り決め。13時41分に入室、13時43分に立位を再確認して衣類を整えた。13時45分、痛みの有無と両下肢の支持性を確認し訴えなし。13時50分、看護職員へ報告。16時に再確認し変化なし。 1)手すりが便座の右側のみで、立ち上がりの初動で手が届く位置になかった。2)便座の高さが低く、立ち上がりに必要な前傾が大きくなっていた。3)「呼ばれたら入る」運用のため、動作の開始に職員が居合わせられなかった。 1)便座の両側にL字手すりを増設する(担当:管理者/8月申請)。2)補高便座を設置し、立ち上がりの前傾量を減らす(担当:福祉用具担当/7月25日まで)。3)立ち上がりに支持が必要な方の一覧を作り、その方は扉を細く開けたまま見守る運用へ変更する(担当:介護主任/7月20日から)。
トイレ2|下衣操作 10時05分、J様がトイレ内で下衣を下ろす際、片足立ちになり体幹が左へ流れた。壁に左肩をつけて止まり、床への接触はなかった。ズボンはウエストゴムではなくボタン式で、操作に時間がかかっていた。 下衣操作は自立の取り決め。10時06分、職員が入室し座位で衣類を整えた。10時08分、左肩と腰部の痛みの有無を確認、発赤なし、訴えなし。10時10分、看護職員へ報告。12時と15時に再確認し変化なし。 1)ボタン式の衣類のため、片足立ちの時間が長くなっていた。2)トイレ内に腰かけて衣類を整える場所がなかった。3)衣類の選び方についてご家族と共有する機会がなかった。 1)ウエストゴムの衣類への変更をご家族へ書面でご相談する(担当:生活相談員/7月末まで)。2)トイレ内に折りたたみの補助腰かけを設置する(担当:管理者/8月10日まで)。3)片足立ちが必要な動作を伴う方の一覧を作り、衣類の見直し状況を月1回確認する(担当:介護主任/8月から)。
トイレ3|夜間の移動 3時15分、K様が居室から共用トイレへ向かう途中、廊下とトイレの境の3cmの段差につま先が引っかかり、上体が前方へ傾いた。壁の手すりをつかまれて止まり、床への接触はなかった。廊下は足元灯のみで、段差部分に色の区別はなかった。 夜間のトイレは呼び出しで介助する取り決めだが、この日は呼び出しがなかった。3時16分、巡回中の職員が発見し介助。3時20分、排泄介助を実施。3時25分、両下肢の痛みの有無と皮膚を確認、異常なし。3時30分、看護職員へ報告。5時の巡回で再確認し変化なし。 1)段差に視覚的な区別がなく、足元灯の明るさでは境目が見えにくかった。2)夜間の呼び出しをためらう心情について、ご本人と話す機会がなかった。3)居室からトイレまでの動線に、連続した手すりがなかった。 1)段差の縁に反射性の色テープを貼り、境目を見えるようにする(担当:介護主任/7月19日実施)。2)「夜間は呼んでください」の掲示を、ご本人が読みやすい文字サイズで枕元へ設置し、面談で意向を確認する(担当:生活相談員/7月22日)。3)動線上の手すりの切れ目2か所に増設を申請する(担当:管理者/8月申請)。
トイレ4|車いすからの移乗 11時20分、L様を車いすから便座へ移乗する際、車いすのフットレストを上げ忘れたまま立位を促し、右下腿がフットレストに当たって膝が折れかけた。職員が体幹を支えて座り直し、床への接触も皮膚の損傷もなかった。 移乗は1人介助、手すり使用。11時21分、フットレストを上げ直して移乗を完了。11時25分、右下腿の皮膚を確認し発赤・出血なし、痛みの訴えなし。11時30分、看護職員へ報告。14時に再確認し変化なし。 1)移乗前の確認手順が口頭のみで、順番が定まっていなかった。2)フットレストが跳ね上げ式ではなく、上げ忘れに気づきにくい形状だった。3)トイレが混み合う時間帯で、移乗を急ぐ状況になっていた。 1)移乗前の確認を「ブレーキ・フットレスト・足底接地」の3項目とし、声に出す運用へ変更する(担当:介護主任/7月20日から)。2)着脱式フットレストの車いすへの交換を福祉用具事業者へ相談する(担当:福祉用具担当/8月10日まで)。3)午前のトイレ誘導を2班に分け、同時間帯の人数を減らす(担当:シフト作成者/8月シフトから)。
浴室1|洗い場の床 14時10分、M様が洗い場でシャワーチェアから立ち上がった際、石けん分の残った床面で右足が滑った。介助者が前方から両肩を支え、臀部の接地はなかった。床面は前の方の入浴後で、湯によるすすぎが十分でなかった。 入浴は1対1の介助。14時11分、シャワーチェアへ座り直し、両下肢と腰部の痛みの有無を確認、訴えなし。14時13分、床面を湯で流し直した。14時30分、入浴を終了し、看護職員が全身の皮膚を観察。17時に再確認し変化なし。 1)入浴者が交代する際に床面を流す手順が決まっていなかった。2)洗い場の床材が石けん分で滑りやすくなる素材だった。3)立ち上がり時につかまる手すりが、洗い場の中央になかった。 1)入浴者の交代ごとに床面を湯で流すことを入浴手順書へ明記する(担当:入浴担当/7月19日から)。2)滑り止めマットを洗い場の立ち上がり位置に敷く(担当:管理者/7月25日まで)。3)洗い場中央に縦手すりを増設する申請を行う(担当:管理者/8月申請)。
浴室2|浴槽をまたぐ 15時05分、N様が浴槽をまたぐ際、右下肢の挙上が浴槽縁の高さに届かず、つま先が縁に当たって身体が後方へ流れた。介助者が背部と腋窩を支え、転倒には至らなかった。浴槽縁の高さは45cmで、ご本人の右膝屈曲角度では挙上が不足していた。 入浴は1対1の介助、またぎ動作は手すり使用。15時06分、いったん洗い場の椅子へ座っていただき、下肢の状態を確認。15時10分、浴槽台を設置してまたぎ直し、入浴を実施。15時30分、看護職員が皮膚と痛みの有無を確認、異常なし。18時に再確認し変化なし。 1)浴槽縁の高さに対して、下肢の挙上可能な高さの評価が入浴前に行われていなかった。2)浴槽台が浴室の隅に片付けられ、すぐに使える位置になかった。3)またぎ動作の手順が職員ごとに異なっていた。 1)入浴前の評価項目に「下肢挙上の可能な高さ」を追加し、計画へ反映する(担当:機能訓練指導員/7月末まで)。2)浴槽台を浴槽脇の定位置へ常設する(担当:入浴担当/7月19日実施)。3)またぎ動作の手順を写真つきで浴室に掲示し、入浴担当者へ実技で共有する(担当:介護主任/7月26日)。
浴室3|洗体中の意識の変化 14時45分、O様の洗体中に「頭がぼうっとする」との訴えがあり、上体が前方へ傾いた。介助者が両肩を支えて背もたれへもたれていただき、転倒には至らなかった。浴室の室温は28度、湯温は41度で、入浴時間は開始から18分が経過していた。 入浴は1対1の介助。14時46分、湯を止め、バスタオルで保温しながら洗い場で座位を保持。14時48分、血圧96/58、脈拍92を測定し看護職員へ連絡。14時55分、脱衣室で臥床、15時10分に血圧112/70へ回復。以後、16時・18時に再測定し変化なし。 1)入浴前のバイタル測定が実施されていたが、当日の飲水量の確認が手順に含まれていなかった。2)入浴時間が長く、浴室内の滞在が20分近くに及んでいた。3)浴室の室温と湯温の記録が残っておらず、当日の条件が後から確認できなかった。 1)入浴前の確認項目に「当日の飲水量」と「前夜の睡眠」を追加する(担当:看護職員/7月22日から)。2)浴室内の滞在時間を15分を目安とし、超える場合は看護職員へ連絡する運用とする(担当:入浴担当/7月22日から)。3)浴室の室温・湯温を入浴記録へ記載する欄を設ける(担当:介護主任/8月様式から)。
浴室4|脱衣室の床 15時40分、入浴を終えたP様が脱衣室で更衣される際、足ふきマットの縁がめくれており、右足がその上に乗って身体が左へ傾いた。壁に手をつかれて止まり、床への接触はなかった。マットは繰り返しの使用で縁が波打っていた。 更衣は見守り。15時41分、椅子へ座っていただき更衣を介助。15時43分、足部と腰部の痛みの有無を確認、訴えなし。15時45分、マットを交換した。15時50分、看護職員へ報告。18時に再確認し変化なし。 1)足ふきマットの劣化を点検する仕組みがなかった。2)更衣を立位で行う運用になっており、座って行う場所が用意されていなかった。3)入浴の終了が重なる時間帯で、脱衣室が混雑していた。 1)足ふきマットを週1回点検し、縁の波打ちがあれば交換する(担当:入浴担当/7月19日から毎週)。2)脱衣室に背もたれ付きの更衣用椅子を2脚設置する(担当:管理者/8月10日まで)。3)入浴の終了時刻を10分ずつずらし、脱衣室の同時利用を2名までとする(担当:入浴担当/7月22日から)。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

廊下・食堂・玄関の段差で起きたこと(8例)

場所・例 発生時の状況(完成文) 実施していた介助とその後の対応(完成文) 要因(完成文) 再発防止策(完成文)
廊下1|すれ違い 11時30分、廊下でQ様が歩行器で移動中、反対方向から来た車いすとすれ違う際に身体を寄せようとして、歩行器の右前脚が壁の巾木に当たった。上体が前方へ傾いたが、歩行器のフレームを両手で押さえて止まり、床への接触はなかった。廊下の有効幅は1.4mだった。 歩行器での移動は自立、見守りなし。11時31分、職員が到着し休憩用の椅子へ座っていただいた。11時33分、両上肢と腰部の痛みの有無を確認、訴えなし。11時35分、看護職員へ報告。14時に再確認し変化なし。 1)廊下の有効幅に対し、歩行器と車いすがすれ違う想定がなかった。2)食堂へ向かう時間帯に移動が集中していた。3)待避できる場所が廊下の中間になかった。 1)食堂への誘導を、歩行器利用の方から先に開始する順序へ変更する(担当:フロアリーダー/7月22日から)。2)廊下中間の空きスペースに待避用の椅子を1脚置き、すれ違いの待機場所とする(担当:管理者/7月25日まで)。3)廊下に置かれていたワゴンの定位置を、廊下外の物品庫へ変更する(担当:介護主任/7月19日実施)。
廊下2|配膳ワゴンの動線 12時00分、配膳ワゴンを押していた職員が廊下の角を曲がった際、壁側から出てきたR様と接触しかけた。職員がワゴンを止め、R様は壁に手をついて姿勢を保たれた。接触はなく、外傷もない。角には鏡やミラーが設置されていなかった。 ワゴン搬送は職員1名。12時01分、R様を椅子へ誘導し、痛みの有無と歩行状態を確認、訴えなし。12時05分、看護職員へ報告。12時30分、食事は普段どおり摂取された。15時に再確認し変化なし。 1)廊下の角に見通しを補う設備がなく、双方が直前まで気づけなかった。2)配膳の時間帯と、居室からの移動の時間帯が重なっていた。3)ワゴンの搬送経路が、利用者の主動線と同じだった。 1)廊下の角にカーブミラーを設置する(担当:管理者/8月10日まで)。2)配膳の開始を、居室からの誘導が完了する12時10分へ変更する(担当:フロアリーダー/7月22日から)。3)ワゴンの搬送経路を、職員通路側を通る経路へ変更し、経路図を掲示する(担当:介護主任/7月25日まで)。
食堂1|椅子の引き忘れ 12時15分、S様が食堂の椅子へ着席される際、椅子が十分に引かれておらず、座面の手前に浅く腰かける形になった。臀部が前方へ滑り出しかけたところを、隣にいた職員が両肩と骨盤を支えて座り直していただいた。床への接触はなかった。 着席は見守り。12時16分、深く座り直し足底接地を確認。12時18分、腰部と大腿部の痛みの有無を確認、訴えなし。12時20分、看護職員へ報告。食事は普段どおり摂取された。15時に再確認し変化なし。 1)着席の介助手順が決まっておらず、椅子を引く役割が明確でなかった。2)食堂の椅子が重く、ご本人が自力で引くのが難しかった。3)配膳と着席が同じ時間帯に重なり、職員の手が分散していた。 1)着席の手順を「椅子を引く・座面に手を触れて位置を伝える・深く座る・足底接地を確認」の4段階として掲示する(担当:介護主任/7月22日)。2)軽量で肘掛けのある椅子への入れ替えを申請する(担当:管理者/8月申請)。3)着席の誘導が終わってから配膳を開始する順序へ変更する(担当:フロアリーダー/7月22日から)。
食堂2|床の食べこぼし 12時50分、食堂内をT様が席へ戻る際、床に落ちていた煮物の汁で右足が滑った。テーブルの縁に両手をつかれて止まり、膝や臀部の接地はなかった。落下物は前の食事の際のもので、清掃前の状態だった。 食堂内の移動は見守り。12時51分、椅子へ座っていただき、両下肢と腰部の痛みの有無を確認、訴えなし。12時53分、床面を清掃し乾拭きした。12時55分、看護職員へ報告。15時に再確認し変化なし。 1)食事中の落下物をその場で拭き取る担当が決まっていなかった。2)食事の時間帯に清掃用具が食堂内になかった。3)テーブル間の通路が狭く、迂回ができなかった。 1)食事中の落下物対応を配膳担当の役割として明記し、雑巾とモップを食堂内の定位置へ配置する(担当:フロアリーダー/7月22日から)。2)テーブル配置を見直し、通路幅を1.2m以上確保する(担当:管理者/8月10日まで)。3)食後の床点検を、下膳完了時の確認項目に追加する(担当:介護主任/7月22日から)。
玄関1|段差 9時40分、通所の受け入れでU様が玄関の上がりかまち(高さ12cm)を上がる際、右足のつま先が縁に当たり上体が前方へ傾いた。職員が右腋窩を支え、床への接触はなかった。ご本人は自宅では手すりを使用しているが、当該箇所には手すりがなかった。 玄関での介助は1名付き添い。9時41分、いったん式台へ腰かけていただき、足部と膝の痛みの有無を確認、訴えなし。9時45分、靴を脱いで室内履きへ交換し、フロアへ誘導。9時50分、看護職員へ報告。11時と14時に再確認し変化なし。 1)上がりかまちに手すりがなく、支えを取る場所がなかった。2)段差の高さが12cmで、ご本人の下肢挙上に対して高かった。3)受け入れ時刻に複数名の到着が重なり、介助者が1名しかいなかった。 1)上がりかまちの両脇に縦手すりを設置する(担当:管理者/8月10日まで)。2)高さ6cmの踏み台を2段構成で設置し、1段あたりの高さを下げる(担当:管理者/7月25日まで)。3)到着時刻を車両ごとに10分ずらし、受け入れ時の介助者を2名確保する(担当:送迎責任者/8月から)。
玄関2|靴の履き替え 16時10分、帰宅前にV様が式台に腰かけて靴を履かれる際、前かがみの姿勢から上体が前方へ流れた。正面にいた職員が両肩を支え、床への接触はなかった。式台の高さは30cmで、ご本人の膝屈曲では前かがみが深くなる姿勢だった。 靴の着脱は見守り。16時11分、上体を起こして座位を安定させ、靴の着脱を介助。16時13分、腰部と頸部の痛みの有無を確認、訴えなし。16時15分、看護職員へ報告。送迎車内でも状態を確認し変化なし。 1)式台の高さが低く、前かがみの角度が大きくなっていた。2)靴べらや長柄の補助具が用意されていなかった。3)帰宅の時間帯に複数名が同時に履き替えており、見守りが分散していた。 1)高さ40cmのベンチを玄関に設置し、履き替えの姿勢を安定させる(担当:管理者/8月10日まで)。2)長柄の靴べらを玄関に2本常設する(担当:生活相談員/7月22日実施)。3)帰宅の履き替えを車両ごとの順に分け、1回あたり2名までとする(担当:送迎責任者/7月25日から)。
階段1|手すりの持ち替え 10時20分、2階から1階へ移動されるW様が、階段の踊り場で手すりを持ち替える際に一瞬支えを失い、上体が後方へ揺れた。後方から付き添っていた職員が背部を支え、転倒には至らなかった。踊り場で手すりが途切れており、40cmの空白があった。 階段の昇降は職員1名が後方から付き添う取り決め。10時21分、踊り場でいったん停止し、呼吸と足元を整えた。10時25分、1階へ到着後、痛みの有無と歩行状態を確認、訴えなし。10時30分、看護職員へ報告。13時に再確認し変化なし。 1)踊り場で手すりが途切れ、持ち替えの間に支えがない区間があった。2)階段の使用が日課の移動に組み込まれ、代替の経路が検討されていなかった。3)付き添いの位置(後方)が、後方への揺れに対しては有効だが持ち替えの補助には向いていなかった。 1)踊り場の手すりの空白部分に連結金具の設置を申請する(担当:管理者/8月申請)。2)当面はエレベーターを使う経路へ変更し、階段は使用しない運用とする(担当:介護主任/7月19日から)。3)階段を使用する場合は、持ち替えの区間のみ側方から手を添える手順へ変更し、実技で共有する(担当:機能訓練指導員/7月26日)。
階段2|下りの一段目 13時50分、階段を下り始めたX様が、一段目で足の位置が浅くなり、かかとが段鼻から外れた。手すりを両手で握られており、職員が腰部を支えたため、転落には至らなかった。段鼻に滑り止めはあるが、色の区別はなかった。 階段の昇降は職員1名が前方に立つ取り決め。13時51分、いったん上段へ戻り、足の置き方を確認してから再開。13時55分、下りきった後に足部と足関節の痛みの有無を確認、訴えなし。14時00分、看護職員へ報告。16時に再確認し変化なし。 1)段鼻に色の区別がなく、段の縁が視認しにくかった。2)下りの一段目で足を置く位置の目安がなかった。3)階段の照明が上部のみで、足元に影ができていた。 1)段鼻に色の異なる滑り止めテープを貼る(担当:介護主任/7月22日実施)。2)階段の下り始めに「足を奥まで」の掲示を目線の高さへ設置する(担当:機能訓練指導員/7月22日)。3)足元を照らす補助照明の設置を申請する(担当:管理者/8月申請)。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

車いす・移乗と送迎車で起きたこと(8例)

場所・例 発生時の状況(完成文) 実施していた介助とその後の対応(完成文) 要因(完成文) 再発防止策(完成文)
車いす1|ブレーキ 10時30分、Y様をベッドから車いすへ移乗する際、右側のブレーキがかかっておらず、立位になった瞬間に車いすが右後方へ15cm動いた。職員が体幹を支えて動きを止め、座面へ座っていただいた。床への接触はなかった。 移乗は1人介助、立位保持は手すり使用。10時31分、ブレーキを両側かけ直して移乗を完了。10時33分、腰部と両下肢の痛みの有無を確認、訴えなし。10時35分、看護職員へ報告。13時に再確認し変化なし。 1)ブレーキの確認が手順にあるが、声に出す運用ではなく見落としが起きた。2)右側のブレーキレバーの効きが弱く、軽く倒しただけでは固定されない状態だった。3)居室の床がわずかに傾斜しており、車いすが動きやすかった。 1)移乗前の確認を「左ブレーキよし・右ブレーキよし・フットレストよし」と声に出す運用へ変更する(担当:介護主任/7月22日から)。2)車いすの点検表を作り、ブレーキの効きを月1回確認して事業者へ調整を依頼する(担当:福祉用具担当/8月から毎月)。3)居室の床の傾斜を測定し、移乗位置を傾斜のない側へ変更する(担当:機能訓練指導員/7月25日まで)。
車いす2|フットレストへの足の巻き込み 11時05分、Z様の車いすを押して移動中、下ろしたままのフットレストに右足が乗らず、床に垂れた状態で前進した。1mほど進んだ時点で職員が気づき停止した。足底が床に擦れたが、皮膚の損傷や痛みの訴えはなかった。 移動は職員1名が後方から押す。11時06分、停止して足をフットレストへ乗せ直した。11時08分、足背と足底の皮膚を確認、発赤・擦過創なし。11時10分、看護職員が確認。14時と17時に再確認し変化なし。 1)出発前に足の位置を確認する手順がなかった。2)フットレストの高さが合っておらず、足が乗りにくい状態だった。3)押す位置からは足元が見えず、途中で気づく仕組みがなかった。 1)出発前の確認に「足がフットレストに乗っているか」を加え、声に出す運用とする(担当:介護主任/7月22日から)。2)フットレストの高さを下腿長に合わせて調整する(担当:福祉用具担当/7月25日まで)。3)長い距離を移動する場合は、10mごとに足元を確認する運用とし、居室からの経路に確認地点を掲示する(担当:フロアリーダー/7月25日まで)。
車いす3|スロープでの加速 14時20分、屋外スロープを下る際、車いすが自重で加速し、職員が両手でハンドルを引いて制動した。速度は歩行速度程度に収まり、ご本人の姿勢は保たれ、接触や転倒はなかった。スロープの勾配は1/10で、路面は雨で濡れていた。 屋外移動は職員1名。14時21分、スロープ中間で停止し、後ろ向きに切り替えて下った。14時25分、ご本人の姿勢と痛みの有無を確認、訴えなし。14時30分、看護職員へ報告。17時に再確認し変化なし。 1)雨天時のスロープの通行方法が手順で決まっていなかった。2)勾配に対して、前向きで下る運用が定着していた。3)車いすのタイヤの溝が摩耗し、制動が効きにくくなっていた。 1)雨天時および勾配1/12を超えるスロープは後ろ向きで下る手順を明記し、スロープ入口に掲示する(担当:介護主任/7月22日)。2)車いすのタイヤの摩耗を月1回点検し、事業者へ交換を依頼する(担当:福祉用具担当/8月から毎月)。3)雨天時は屋内経路へ迂回する代替経路を経路図へ追記する(担当:管理者/7月25日まで)。
移乗1|スライディングボードのずれ 9時50分、ベッドから車いすへスライディングボードで移乗する際、ボードの端が座面から2cm外れており、臀部が移動の途中で沈み込んだ。職員が体幹を支えて動きを止め、ボードを置き直した。床への接触はなかった。 移乗は2人介助。9時51分、ボードの位置を直し、車いすとベッドの高さを揃えて移乗を完了。9時55分、臀部と大腿部の皮膚を確認、発赤なし、痛みの訴えなし。10時00分、看護職員へ報告。13時に再確認し変化なし。 1)ボードを置いた後に、両端のかかり具合を確認する手順がなかった。2)ベッドと車いすの高さが3cm違い、傾斜がついていた。3)2人介助のうち1人が新任で、ボードの扱いに慣れていなかった。 1)ボード設置後に「両端のかかりよし」と声に出して確認する運用へ変更する(担当:介護主任/7月22日から)。2)移乗前にベッド高を車いす座面より2cm高く合わせる手順を写真つきで掲示する(担当:機能訓練指導員/7月25日まで)。3)新任職員は初回3回まで熟練者と組む配置とし、実施記録を残す(担当:シフト作成者/8月シフトから)。
送迎1|乗車時のステップ 8時40分、送迎車へ乗車される際、AA様の右足がステップの高さ(25cm)に届かず、身体が後方へ傾いた。運転手が背部を、添乗職員が右腋窩を支え、転倒には至らなかった。当日は雨で、ステップは濡れていた。 乗車は2名で介助。8時41分、いったん歩道へ戻り、補助ステップを設置してから乗車を再開。8時45分、腰部と両下肢の痛みの有無を確認、訴えなし。8時50分、事業所へ電話で報告。到着後、看護職員が全身を確認し変化なし。 1)補助ステップが車内に積まれておらず、事業所に置いたままだった。2)雨天時のステップの滑りやすさが、送迎手順に反映されていなかった。3)乗車の順序が決まっておらず、支えの必要な方が最初になっていた。 1)補助ステップを全車両に常時積載し、始業前点検の項目に加える(担当:送迎責任者/7月22日から)。2)雨天時はステップを乾拭きしてから乗車する手順を追記する(担当:送迎責任者/7月22日から)。3)乗車の順序を、支えの必要な方を最後にする順へ変更し、乗車順表を各車両へ備え付ける(担当:送迎責任者/7月25日まで)。
送迎2|降車時の車体の動き 16時30分、降車の際、AB様が手すりを持って立ち上がろうとされた時に車体がわずかに揺れ、身体が右へ流れた。添乗職員が両肩を支え、転倒には至らなかった。停車位置が路肩の傾斜部分で、車体が右へ傾いていた。 降車は2名で介助。16時31分、いったん座席へ戻り、停車位置を平坦な場所へ移動してから降車を再開。16時35分、腰部と右肩の痛みの有無を確認、訴えなし。16時40分、事業所へ電話で報告。翌日の利用時に再確認し変化なし。 1)停車位置の平坦さを確認する手順がなかった。2)路肩の傾斜がある場所が、送迎経路上に複数あることが共有されていなかった。3)降車の順序が、車体の傾きの下側からになっていた。 1)停車位置は平坦であることを確認してから降車を開始する手順を明記する(担当:送迎責任者/7月22日から)。2)経路上の傾斜のある停車地点を洗い出し、代替の停車位置を経路表へ記載する(担当:送迎責任者/8月10日まで)。3)傾斜がやむを得ない場合は、傾きの上側の扉から降車する運用とする(担当:送迎責任者/7月25日から)。
送迎3|シートベルトの装着 9時10分、走行中の車内でAC様のシートベルトが外れていることに、添乗職員が後部座席の確認で気づいた。すぐに安全な場所へ停車して装着し直した。走行は住宅街の低速区間で、急な制動や接触はなかった。 添乗職員1名が同乗。9時11分、路肩へ停車。9時12分、シートベルトを装着し、金具の固定を目視と手で確認。9時15分、走行を再開。到着後、事業所へ報告し、記録に残した。当日の帰りの便でも装着状態を確認した。 1)出発前の装着確認は行っていたが、走行中に外れた場合に気づく仕組みがなかった。2)ベルトの金具が緩みやすく、体動で外れる状態だった。3)添乗職員の座席位置から、後部座席の腰の部分が見えなかった。 1)走行中の確認を、停車のたびに後部座席を目視する運用とし、確認記録欄を送迎表に設ける(担当:送迎責任者/7月22日から)。2)ベルトの金具の固定具合を月1回点検し、緩みがあれば整備工場へ依頼する(担当:送迎責任者/8月から毎月)。3)添乗職員の座席を、後部座席全体が見える位置へ変更する(担当:送迎責任者/7月22日から)。
送迎4|降車後の見送り 17時05分、AD様を自宅前で降車介助した後、玄関の鍵が開かず、ご本人が玄関前で立ったまま待たれる時間が4分間生じた。添乗職員が付き添い、ご本人の状態を確認しながら待機した。ご家族が在宅されており、応答後に入室された。転倒や体調の変化はなかった。 降車は添乗職員1名が付き添う取り決め。17時06分、玄関前の段差に腰かけていただき、日陰へ移動。17時09分、ご家族が応答し入室。17時10分、事業所へ電話で報告。当日夕方にご家族へ状況をお伝えし、記録に残した。 1)在宅確認の連絡を、到着前に行う手順がなかった。2)玄関前に腰かける場所がなく、立位のまま待つ状況になっていた。3)到着予定時刻がご家族へ共有されていなかった。 1)到着の10分前にご家族へ電話連絡する手順を送迎表へ追記する(担当:送迎責任者/7月22日から)。2)在宅が確認できない場合の待機方法(車内で待つ)を手順書へ明記する(担当:送迎責任者/7月22日から)。3)到着予定時刻を記載した週間の送迎予定表を、ご家族へ毎週お渡しする(担当:生活相談員/8月から)。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

誤薬・誤嚥・異食・窒息・熱傷・皮膚|身体に関わる場面の完成文(6場面・28例)

身体に直接関わる場面のヒヤリハットは、「どこで止まったか」を書き切ることが、そのまま分類の根拠になります。薬が口に入る前だったのか、口に入って吐き出したのか。むせただけなのか、呼吸に影響が出たのか。この線がぼやけたまま書かれた記録は、後から読んでも判断がつかず、津山市や神戸市が公表している資料で指摘されている「事故として扱うべきものをヒヤリハットで処理する」状態と見分けがつかなくなります。以下の完成文は、いずれも止まった地点を明記する形で書いてあります。

誤薬・与薬・服薬の自己管理(8例)

例 発生時の状況(完成文) その後の対応(完成文) 要因(完成文) 再発防止策(完成文)
配薬1|一包化の日付 7時45分、朝食後薬の配薬時、AE様の薬包の日付が前日の日付であることに、手渡す前の読み上げで気づいた。前日の朝食後薬が服用されずに残っていたことになる。当日分は別の場所にあり、内服には至っていない。 7時46分、当日分の薬包を確認して手渡し、内服を確認。7時50分、前日分の薬包を看護職員へ渡し、残薬として保管。8時00分、看護職員から処方元の薬局へ連絡し、対応の助言を受けた。8時15分、管理者へ報告。翌日以降、朝夕の残薬確認を実施している。 1)前日の与薬時に、薬包を切り離した後の確認が行われていなかった。2)薬包の日付表示が小さく、朝の時間帯に読み取りにくかった。3)残薬の有無を毎日確認する担当が決まっていなかった。 1)与薬後に空の薬包を回収し、回収箱へ入れる運用へ変更する(担当:与薬担当/7月22日から)。2)薬包の日付部分に色マーカーで印を付け、読み上げの対象とする(担当:看護職員/7月22日から)。3)夕方の申し送り時に残薬の有無を確認し、記録に残す(担当:遅番/7月22日から毎日)。
配薬2|食前と食後の取り違え 11時50分、食前薬のあるAF様に、食後薬の袋を手に取った。袋の区分表示を読み上げた時点で「食後」と記載されていることに気づき、手渡す前に戻した。食前薬は11時52分に正しく手渡し、内服を確認した。 11時52分、食前薬を手渡し内服を確認。11時55分、食後薬は配薬車へ戻し、12時30分の食後に改めて手渡した。12時40分、看護職員へ報告。13時00分、管理者へ報告。当日の申し送りでフロア全員へ共有した。 1)食前薬と食後薬が同じ仕切りに並べられていた。2)食前薬の対象者が2名のみで、手順として定着していなかった。3)昼食前の時間帯に配膳と配薬が重なっていた。 1)食前薬を別の色のトレーに分け、配薬車の上段へ移す(担当:看護職員/7月22日実施)。2)食前薬の対象者一覧を配薬車の扉内側に掲示する(担当:看護職員/7月22日)。3)食前薬の配薬を配膳開始の10分前に独立した工程として行う(担当:フロアリーダー/7月23日から)。
配薬3|落薬 18時10分、夕食後薬を手渡した際、AG様の手から錠剤1錠が床へ落ちた。ご本人が拾おうとされたため職員が制止し、床の錠剤を回収した。口には入っておらず、床に落ちた錠剤は服用していない。 18時11分、床の錠剤を回収して看護職員へ渡した。18時15分、看護職員が処方内容を確認し、薬局へ連絡して同一薬剤の予備の有無を確認。18時30分、薬剤の補充について薬局の助言に沿って対応した。19時00分、管理者へ報告。残りの薬は所定どおり内服された。 1)錠剤を手のひらへ直接渡す方法で、把持が不安定だった。2)テーブルに落下を受け止める受け皿がなかった。3)夕食後の時間帯で、周囲に人の動きが多く注意が分散していた。 1)錠剤は小皿に入れて渡す方法へ変更する(担当:与薬担当/7月22日から)。2)テーブルへ滑り止めシートと受け皿を常設する(担当:フロアリーダー/7月25日まで)。3)落薬時の対応(拾わない・看護職員へ渡す・薬局へ連絡)を手順書へ明記し掲示する(担当:看護職員/7月22日)。
配薬4|口腔内残薬 8時05分、朝食後薬の内服を確認した15分後、AH様の口腔内に錠剤1錠が残っているのを口腔ケア時に発見した。錠剤は溶けかけた状態で、嚥下には至っていない。すぐに取り出し、口腔内を確認した。 8時06分、錠剤を取り出し、口腔内をガーゼで清拭。8時08分、看護職員へ連絡し、口腔内と嚥下の状態を確認。8時15分、薬局へ連絡し、当該薬剤の再服用について助言を受けた。8時30分、管理者へ報告。以後、内服後の口腔内確認を毎回行っている。 1)内服の確認が「飲み込む様子を見る」までで、口腔内の確認まで行われていなかった。2)錠剤のサイズが大きく、嚥下しにくい状態だった。3)水分量が少なく、錠剤が口腔内に残りやすかった。 1)内服後に口腔内を目視で確認する手順を追加する(担当:与薬担当/7月22日から)。2)錠剤の形状(粉砕や簡易懸濁の可否)について、看護職員から処方元へ相談する(担当:看護職員/7月末まで)。3)与薬時の水分量を100mL以上とし、コップに目盛りの印を付ける(担当:フロアリーダー/7月25日まで)。
自己管理1|飲み忘れ 20時00分、服薬を自己管理されているAI様の居室で、夕食後薬の薬包がテーブルに残っているのを職員が発見した。ご本人は「飲んだ」と話されたが、薬包は未開封であった。看護職員へ連絡し、内服については指示を受けて対応した。 20時02分、看護職員へ連絡。20時10分、看護職員が訪室し、ご本人と一緒に薬包を確認。20時15分、看護職員の判断で内服していただき、内服を確認。20時30分、管理者へ報告。翌日から服薬カレンダーの使用について、ご本人とご家族へ相談を開始した。 1)自己管理の方について、内服の確認を行う時間や担当が決まっていなかった。2)服薬カレンダーがなく、飲んだかどうかがご本人にも職員にも分からない状態だった。3)自己管理の可否を定期的に見直す仕組みがなかった。 1)自己管理の方について、夕食後の下膳時に薬包の有無を確認する運用とする(担当:遅番/7月22日から毎日)。2)服薬カレンダーの導入について、ご本人・ご家族・担当介護支援専門員と相談する(担当:看護職員/7月末まで)。3)自己管理の可否を3か月ごとに見直し、記録へ残す(担当:看護職員/8月から)。
自己管理2|他の方の薬に触れる 15時30分、AJ様が他の利用者のテーブルに置かれていた薬包を手に取られているところを職員が発見した。声をかけて回収し、開封も内服もされていない。薬包は当該利用者が飲み忘れて席を離れた際に残されたものだった。 15時31分、薬包を回収し、封の状態を確認して看護職員へ渡した。15時35分、当該利用者へ薬包を手渡し内服を確認。15時40分、管理者へ報告。同日の申し送りで、テーブルに薬を残さない運用を共有した。 1)内服を確認せずに席を離れることが可能な運用だった。2)薬包をテーブルに置いたままにする場面が想定されていなかった。3)認知症の症状として他の方の物に手が伸びることが、環境設定に反映されていなかった。 1)薬を渡したら内服を見届けるまでその場を離れない運用へ変更する(担当:与薬担当/7月22日から)。2)内服が終わるまで薬包を職員が保持し、テーブルへ置かない運用とする(担当:与薬担当/7月22日から)。3)席の配置を見直し、他の方の手が届く距離を確保する(担当:フロアリーダー/7月25日まで)。
与薬1|インスリン手技の確認 7時30分、AK様のインスリン自己注射の見守り時、単位設定が指示と異なる数値になっているのを、注射の実施前に職員が確認して気づいた。看護職員へ連絡し、正しい単位に設定し直したうえで実施された。誤った量の注射には至っていない。 7時31分、いったん手技を中断し看護職員へ連絡。7時35分、看護職員が単位設定を確認し、指示どおりに設定し直して実施を見守った。7時45分、血糖値と自覚症状を確認。8時00分、管理者へ報告。同日中に主治医へ状況を報告し、助言を受けた。 1)単位設定の確認を、見守り者が声に出して読み合わせる手順がなかった。2)ダイヤルの数字が小さく、ご本人と職員のいずれからも読み取りにくかった。3)朝の忙しい時間帯に実施しており、確認の時間が取れていなかった。 1)単位設定を職員が読み上げ、ご本人と一緒に確認する手順を追加する(担当:看護職員/7月22日から)。2)拡大鏡付きの補助具の使用について、主治医と薬局へ相談する(担当:看護職員/7月末まで)。3)実施時刻を7時15分へ前倒しし、確認の時間を確保する(担当:フロアリーダー/7月23日から)。
与薬2|貼付剤の重複 9時20分、AL様の背部に貼付剤が2枚貼られているのを、更衣時に発見した。前日分が剥がされないまま、当日分が別の部位に貼られていた。看護職員へ連絡し、前日分を剥離した。皮膚の発赤や掻痒の訴えはなかった。 9時21分、看護職員へ連絡。9時25分、看護職員が前日分を剥離し、貼付部位の皮膚を観察、発赤なし。9時30分、薬局へ連絡し、対応について助言を受けた。9時45分、管理者へ報告。以後、貼付剤に貼付日を記入する運用を開始した。 1)貼付剤の剥離を確認する手順がなく、貼る工程のみが記録されていた。2)貼付部位を毎回変える運用のため、前回の部位が分かりにくかった。3)貼付剤に日付の記入がなく、いつのものか判別できなかった。 1)貼付剤に油性ペンで貼付日を記入する運用とする(担当:看護職員/7月22日から)。2)貼付部位を図で記録する用紙を作成し、記録へ綴じる(担当:看護職員/7月25日まで)。3)「剥がす・皮膚を見る・貼る」の順序を手順書へ明記し、実技で共有する(担当:看護職員/7月26日)。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

誤嚥・むせ込みと窒息のおそれ(8例)

例 発生時の状況(完成文) その後の対応(完成文) 要因(完成文) 再発防止策(完成文)
誤嚥1|水分 10時15分、水分補給の際、AM様がお茶を一口飲まれた直後にむせ込まれた。咳嗽が3回続いた後に自力で喀出され、呼吸は速やかに落ち着いた。経皮的動脈血酸素飽和度は97%を維持し、湿性の呼吸音は聴取されなかった。とろみは付けていなかった。 10時16分、上体を起こし、背部を軽くさすりながら呼吸を観察。10時18分、酸素飽和度97%、脈拍84を測定し看護職員へ連絡。10時25分、看護職員が呼吸音を聴取、異常なし。以後、当日中は体温を4時間ごとに測定し、37度未満で経過した。翌日も呼吸状態を確認し変化なし。 1)水分のとろみの要否について、直近の嚥下状態の評価が反映されていなかった。2)飲み始めの一口目の量が多かった。3)姿勢が浅く座った状態で、頸部が伸展していた。 1)嚥下状態の評価を看護職員と機能訓練指導員で再実施し、とろみの要否を計画へ反映する(担当:機能訓練指導員/7月末まで)。2)飲み始めの一口目はティースプーン1杯とする手順を掲示する(担当:フロアリーダー/7月22日)。3)飲水時の姿勢(深く座る・頸部を軽く前屈)を写真つきで食堂へ掲示する(担当:機能訓練指導員/7月25日まで)。
誤嚥2|食事の形態 12時25分、昼食の主菜(一口大)を摂取された際、AN様がむせ込まれた。咳嗽で喀出され、食物の残留は口腔内に認めなかった。酸素飽和度98%、呼吸数18回で、呼吸苦の訴えはなかった。前日に食形態がきざみ食から一口大へ変更されていた。 12時26分、食事を中断し上体を起こして観察。12時28分、口腔内を確認し残留なし。12時30分、看護職員が呼吸音を聴取、異常なし。12時40分、食形態をきざみ食へ戻して食事を再開。15時と18時に呼吸状態と体温を確認し変化なし。翌日、管理栄養士と協議した。 1)食形態の変更が、嚥下の評価ではなく食事量の改善を理由に行われていた。2)変更後の観察期間と観察項目が決まっていなかった。3)変更の情報が、配膳担当と食事介助担当の全員に伝わっていなかった。 1)食形態の変更は、看護職員と機能訓練指導員の評価に基づいて行う手順を明記する(担当:管理者/7月末まで)。2)変更後3日間は、食事ごとにむせの有無を記録する観察票を用いる(担当:看護職員/7月22日から)。3)食形態の変更を、申し送りノートと食札の両方へ反映し、両方の記載を確認してから配膳する(担当:フロアリーダー/7月22日から)。
誤嚥3|口腔ケア中 16時40分、口腔ケア中にAO様が含嗽用の水を飲み込みそうになり、むせ込まれた。咳嗽により喀出され、呼吸状態に変化はなかった。酸素飽和度98%を維持した。ケアは仰臥位に近い姿勢で行われていた。 16時41分、上体を90度まで起こし、吸引の準備をしながら呼吸を観察。16時43分、口腔内に水分の残留がないことを確認。16時45分、看護職員が呼吸音を聴取、異常なし。19時と21時に体温と呼吸状態を確認し変化なし。翌日も観察を継続した。 1)口腔ケア時の姿勢が仰臥位に近く、水分が咽頭へ流れやすい角度だった。2)含嗽が難しい方に対して、水を使う方法が続けられていた。3)吸引器がケアの場に用意されていなかった。 1)口腔ケアは座位または上体を60度以上起こした姿勢で行う手順を明記する(担当:看護職員/7月22日から)。2)含嗽が難しい方は、スポンジブラシと拭き取りの方法へ変更する(担当:看護職員/7月22日から)。3)吸引器をフロアの定位置へ配置し、始業時に作動確認する(担当:看護職員/7月22日から毎日)。
誤嚥4|服薬時 8時10分、朝食後薬の内服時、AP様が水と錠剤を同時に嚥下しようとされてむせ込まれた。錠剤は口腔内に残り、咳嗽の後に自力で吐き出された。気道への流入を示す所見はなく、酸素飽和度は98%を維持した。 8時11分、吐き出された錠剤を確認し、口腔内を目視。8時13分、看護職員へ連絡、呼吸音を聴取し異常なし。8時20分、看護職員の判断でゼリー状の補助食品を用いて内服し直した。11時・14時に体温と呼吸状態を確認し変化なし。 1)内服時の水分がとろみのない水であった。2)錠剤の数が一度に5錠あり、まとめて口へ入れていた。3)内服時の姿勢が椅子に浅く腰かけた状態だった。 1)内服時はとろみ水または服薬補助ゼリーを用いる方の一覧を作り、配薬車へ掲示する(担当:看護職員/7月25日まで)。2)錠剤は2錠ずつに分けて内服する手順とする(担当:与薬担当/7月22日から)。3)内服時の姿勢を「深く座る・足底接地・頸部前屈」とし、食堂へ掲示する(担当:機能訓練指導員/7月25日まで)。
窒息1|大きさ 12時35分、昼食の煮物のいも類をAQ様が口へ入れられた際、丸ごと1個(直径約3cm)であることに職員が気づき、すぐに声をかけて口から出していただいた。嚥下には至らず、呼吸に変化はなかった。刻む予定の食材が、丸のまま提供されていた。 12時36分、口腔内から食材を取り出し、口腔内の残留を確認。12時38分、看護職員へ連絡、呼吸音と酸素飽和度98%を確認。12時40分、食材を1cm大に刻み直して食事を再開。15時に呼吸状態を再確認し変化なし。当日中に厨房と共有した。 1)調理段階での食材の大きさの基準が、食形態ごとに明文化されていなかった。2)配膳時に食材の大きさを確認する工程がなかった。3)厨房と介護職員の間で、食形態の解釈にずれがあった。 1)食形態ごとの食材の大きさの基準(一口大は2cm以下等)を写真つきで厨房と食堂へ掲示する(担当:管理栄養士/7月末まで)。2)配膳時に食材の大きさを目視で確認し、基準外は厨房へ戻す運用とする(担当:フロアリーダー/7月22日から)。3)厨房と介護職員の合同の確認を月1回実施し、記録に残す(担当:管理栄養士/8月から毎月)。
窒息2|詰め込み 12時10分、AR様が昼食のごはんを続けて口へ運ばれ、口腔内に多量に貯留した状態になった。職員が声をかけて動作を止め、少量ずつ吐き出していただいた。嚥下前に対応できたため、呼吸状態に変化はなかった。 12時11分、食事を中断し、口腔内の貯留を除去。12時13分、看護職員へ連絡し、呼吸音と酸素飽和度98%を確認。12時15分、スプーンを小さいものへ替え、一口ごとに声をかけながら再開。15時に状態を確認し変化なし。翌日以降も同じ方法を継続している。 1)食事のペースを調整する介助方法が、計画に位置づけられていなかった。2)スプーンが大きく、一口量が多くなっていた。3)職員が同時に3名の食事介助を担当し、ペースの調整が難しかった。 1)ペース調整が必要な方の一覧を作り、計画へ「一口ごとに声かけ」を位置づける(担当:機能訓練指導員/7月末まで)。2)小さめのスプーンを個別に用意し、食札とともに配膳する(担当:管理栄養士/7月25日まで)。3)食事介助の担当を1名につき2名までとし、配置を組み替える(担当:シフト作成者/8月シフトから)。
窒息3|義歯の不適合 18時20分、夕食中にAS様の上顎義歯が外れ、口腔内で浮いた状態になった。職員が気づいて声をかけ、義歯を取り出した。食物とともに嚥下することはなく、呼吸に変化はなかった。義歯は3か月前から緩みの訴えがあった。 18時21分、義歯を取り出し洗浄、口腔内の粘膜を確認し損傷なし。18時25分、看護職員へ連絡し呼吸状態を確認、異常なし。18時30分、食形態を軟菜へ変更して食事を再開。翌日、歯科受診の調整についてご家族と担当介護支援専門員へ連絡した。 1)義歯の緩みの訴えが記録には残っていたが、受診の調整まで進んでいなかった。2)義歯の適合を定期的に確認する仕組みがなかった。3)食事中に義歯の状態を観察する項目が、記録様式になかった。 1)義歯の不具合の訴えは、記録した日から2週間以内に受診調整を行う運用とする(担当:看護職員/7月22日から)。2)義歯使用者の一覧を作り、月1回の口腔内確認を実施して記録する(担当:看護職員/8月から毎月)。3)食事記録の観察欄へ「義歯の適合」の項目を追加する(担当:介護主任/8月様式から)。
窒息4|おやつの餅状食品 15時05分、おやつの時間に、ご家族が持参された団子をAT様が召し上がろうとされたため、職員が声をかけて中断していただいた。口へ入る前に対応でき、摂取には至っていない。持参品は面会時に渡され、職員は把握していなかった。 15時06分、団子をお預かりし、ご本人へ理由を説明。15時10分、看護職員へ連絡し、代替のゼリーを提供。15時20分、管理者へ報告。同日夕方、ご家族へ電話で持参品の取り扱いについてご説明し、記録に残した。 1)持参品の受け渡しについて、職員が確認する手順がなかった。2)嚥下の状態に応じた持参品の目安を、ご家族へお伝えしていなかった。3)居室内の食品の保管場所が決まっていなかった。 1)持参品は受付で職員がお預かりし、内容を確認してからお渡しする運用とする(担当:生活相談員/7月25日から)。2)嚥下の状態に応じた持参品の目安を、写真つきの案内にしてご家族へお渡しする(担当:管理栄養士/8月10日まで)。3)居室内の食品は職員が管理する保管箱へ入れ、提供時に取り出す運用とする(担当:フロアリーダー/7月25日から)。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

異食・熱傷・皮膚剥離と内出血(12例)

例 発生時の状況(完成文) その後の対応(完成文) 要因(完成文) 再発防止策(完成文)
異食1|おしぼり 12時05分、AU様が食卓のおしぼりを口へ運ばれているところを職員が発見した。声をかけて口から出していただき、繊維の残留がないことを口腔内で確認した。飲み込みには至っていない。 12時06分、口腔内を確認し残留なし。12時08分、看護職員へ連絡し、呼吸と嚥下の状態を確認、異常なし。12時10分、おしぼりを下げ、食事の配膳を先に行った。15時と18時に状態を確認し変化なし。当日の申し送りで共有した。 1)配膳前におしぼりのみをテーブルへ置く順序になっていた。2)空腹の時間帯が長く、食事を待つ間の対象物が視野にあった。3)認知症の症状に応じた環境調整が、席ごとに検討されていなかった。 1)おしぼりは配膳と同時に出し、単独でテーブルへ置かない運用とする(担当:フロアリーダー/7月22日から)。2)食事の待ち時間を10分以内とし、誘導の時刻を調整する(担当:フロアリーダー/7月22日から)。3)口へ運ぶ行動が見られる方の席を、職員の視野に入る位置へ変更する(担当:介護主任/7月25日まで)。
異食2|観葉植物 14時30分、ホールの観葉植物の葉をAV様がちぎって口へ入れようとされているところを職員が発見し、声をかけて中断していただいた。口へは入っておらず、摂取には至っていない。植物は前月に寄贈されたもので、種類の確認をしていなかった。 14時31分、葉を回収し、ご本人へ理由をお伝えして別の活動へお誘いした。14時35分、看護職員へ報告。14時40分、植物を職員の目の届く事務室前へ移した。同日中に植物の種類を確認し、口に入ると危険なものでないことを確認した。 1)ホールに置く植物や小物について、確認の手順がなかった。2)寄贈品の受け入れ時に、安全面の確認をする担当が決まっていなかった。3)午後の活動の合間に、手持ち無沙汰の時間が生じていた。 1)ホールに置く物は事前に管理者が確認し、置き場所を決める運用とする(担当:管理者/7月25日から)。2)寄贈品の受け入れ時の確認項目(種類・大きさ・口に入る危険)を一覧にする(担当:生活相談員/8月10日まで)。3)午後の活動の合間に、手作業の活動を用意する(担当:機能訓練指導員/7月25日から)。
異食3|洗剤の容器 10時50分、清掃中に廊下へ一時的に置かれていた洗剤のボトルを、AW様が手に取り口元へ近づけられた。職員が声をかけて回収し、口には触れていない。ボトルの蓋は閉まっており、内容物の流出もなかった。 10時51分、ボトルを回収し、施錠できる清掃用具入れへ収納。10時53分、看護職員へ報告し、口腔内と口唇を確認、付着なし。11時00分、管理者へ報告。同日中に委託業者へ連絡し、清掃中の薬剤の置き場所について申し合わせを行った。 1)清掃中の薬剤の一時置き場が決まっていなかった。2)委託業者との間で、利用者の動線に物を置かない取り決めがなかった。3)清掃の時間帯が、ホールから居室への移動の時間帯と重なっていた。 1)清掃薬剤は施錠できるカートで運用し、床に置かない旨を業者との申し合わせ書へ明記する(担当:管理者/7月末まで)。2)清掃時間を、利用者が活動室に集まる時間帯へ変更する(担当:生活相談員/8月から)。3)薬剤・洗剤の保管場所を月1回点検し、施錠状況を記録する(担当:介護主任/8月から毎月)。
異食4|使い捨て手袋 16時20分、居室のごみ箱から使い捨て手袋をAX様が取り出し、口へ運ばれかけたところを職員が発見した。声をかけて回収し、口には入っていない。ごみ箱は蓋のないもので、ベッド脇に置かれていた。 16時21分、手袋を回収し、口腔内を確認、異常なし。16時25分、看護職員へ報告。16時30分、ごみ箱を蓋つきのものへ交換し、位置を居室の入口側へ移した。19時に状態を確認し変化なし。同日の申し送りで共有した。 1)居室のごみ箱に蓋がなく、中身が見える状態だった。2)ケアで使用した手袋を居室内で廃棄する運用だった。3)居室内の物の配置について、行動の特徴を踏まえた見直しがされていなかった。 1)居室のごみ箱を蓋つきに統一し、ベッドから手の届かない位置へ配置する(担当:介護主任/7月25日まで)。2)ケアで使用した手袋は、ワゴンの回収袋へ入れて居室外で廃棄する運用とする(担当:介護職員全員/7月22日から)。3)口へ運ぶ行動が見られる方の居室環境を、月1回点検して記録する(担当:フロアリーダー/8月から毎月)。
熱傷1|入浴の湯温 13時50分、入浴準備で浴槽へ湯を張った際、湯温計の表示が44度であることに、ご本人の入浴前に職員が気づいた。加水して41度へ調整してから入浴を開始したため、皮膚への接触はなかった。給湯器の設定温度が前の担当者の操作のまま残っていた。 13時51分、加水して41度へ調整し、湯温計と手で二重に確認。13時55分、入浴を開始。14時20分、入浴後に全身の皮膚を観察、発赤なし。14時30分、管理者へ報告。同日中に給湯器の設定温度を確認し、既定値へ戻した。 1)給湯器の設定温度を入浴の開始前に確認する手順がなかった。2)湯温の確認が担当者ごとの方法で行われ、記録に残っていなかった。3)浴室に湯温計が1本しかなく、故障時の予備がなかった。 1)入浴開始前に給湯設定温度と湯温計の両方を確認し、入浴記録へ記載する(担当:入浴担当/7月22日から)。2)湯温の記録欄を入浴記録の様式へ追加する(担当:介護主任/8月様式から)。3)湯温計を2本備え、月1回、氷水と湯で表示の妥当性を確認する(担当:入浴担当/8月から毎月)。
熱傷2|食事の汁物 12時20分、配膳された汁物の温度が高く、AY様が口を付けられる直前に職員が気づいて器を下げた。口唇への接触はなく、熱傷には至っていない。厨房から配膳までの時間が短く、通常より高温のまま提供されていた。 12時21分、器を下げ、別の器へ移して冷ました。12時25分、適温を確認して提供し直した。12時30分、口唇と口腔内を確認、発赤なし。12時40分、厨房へ連絡し、提供時の温度について確認した。当日の申し送りで共有した。 1)汁物の提供温度の目安が決まっておらず、確認の工程もなかった。2)配膳の開始が早まり、厨房から食堂までの時間が短縮されていた。3)熱い物が苦手な方や口腔内の状態に配慮が必要な方の一覧がなかった。 1)汁物の提供温度の目安を定め、配膳前に温度計で確認する運用とする(担当:管理栄養士/7月末まで)。2)配膳の開始時刻を厨房と取り決め、経過時間を配膳表へ記載する(担当:フロアリーダー/7月25日から)。3)温度への配慮が必要な方の一覧を食札へ反映する(担当:管理栄養士/8月から)。
熱傷3|湯たんぽ 21時10分、就寝準備でAZ様の足元に湯たんぽを入れた際、カバーがずれて本体が直接足背に触れる位置になっているのを、夜勤者が巡回で発見した。接触時間は短く、皮膚に発赤や水疱はなかった。湯たんぽの湯温は入れた時点で65度だった。 21時11分、湯たんぽを取り出し、足背の皮膚を観察、発赤なし。21時15分、看護職員へ連絡し確認。21時20分、湯たんぽを足元から30cm離した位置へ置き直した。23時・1時・3時の巡回で皮膚を確認し変化なし。翌朝も観察を継続した。 1)湯たんぽの湯温と設置位置の基準が手順書になかった。2)カバーの固定方法が決まっておらず、ずれやすい状態だった。3)就寝準備が短時間に集中し、設置後の確認が行われていなかった。 1)湯たんぽの湯温と、身体から離す距離の基準を手順書へ明記する(担当:看護職員/7月25日まで)。2)ファスナー付きのカバーへ交換する(担当:管理者/8月10日まで)。3)就寝後の最初の巡回で、湯たんぽの位置と皮膚を確認する項目を巡回表へ追加する(担当:夜勤リーダー/7月22日から)。
熱傷4|電気毛布の設定 22時30分、巡回時にBA様の電気毛布の設定が最高温度になっているのを発見した。掛け物の下の温度が高く、発汗が見られたが、皮膚に発赤や水疱はなかった。設定はご本人が就寝前に操作されたものだった。 22時31分、設定を弱へ変更し、掛け物を1枚減らした。22時35分、皮膚と体温(36.9度)を確認し看護職員へ連絡。22時40分、水分を100mL摂取していただいた。0時・2時・4時の巡回で皮膚と体温を確認し、変化なし。翌日、ご家族へ状況をお伝えした。 1)電気毛布の設定をご本人が操作できる状態で、確認の手順がなかった。2)就寝後の室温と寝具の組み合わせが検討されていなかった。3)発汗による脱水のおそれについて、夜間の観察項目に含まれていなかった。 1)電気毛布のコントローラーを職員が管理し、就寝前に設定を確認して記録する(担当:夜勤者/7月22日から毎日)。2)室温と寝具の組み合わせの目安を居室ごとに決め、掲示する(担当:看護職員/8月10日まで)。3)夜間巡回の観察項目へ「発汗の有無」「掛け物の枚数」を追加する(担当:夜勤リーダー/7月22日から)。
皮膚1|移乗時の擦れ 10時40分、BB様を車いすへ移乗する際、右前腕が車いすのアームレストの縁に擦れた。皮膚の菲薄化があり、発赤が生じたが、表皮の剥離や出血はなかった。移乗は1人介助で、袖をまくった状態だった。 10時41分、前腕の皮膚を観察し、発赤の範囲(3cm×2cm)を記録。10時45分、看護職員が観察し、保護のためのフィルム材を貼付。13時・16時に再観察し、発赤は軽減。翌日、剥離や水疱がないことを確認した。 1)皮膚の菲薄化がある方について、移乗時の保護の方法が決まっていなかった。2)アームレストの縁にクッション材がなかった。3)長袖の着用や保護具の使用が、計画に位置づけられていなかった。 1)皮膚の菲薄化がある方の一覧を作り、移乗時は前腕を保護する手順を明記する(担当:看護職員/7月25日まで)。2)アームレストの縁にクッション材を貼付する(担当:福祉用具担当/7月25日まで)。3)保護用のアームカバーの使用を計画へ位置づけ、ご本人・ご家族へご説明する(担当:生活相談員/7月末まで)。
皮膚2|ベッド柵への接触 3時40分、巡回時にBC様の左肘がベッド柵の金属部分に接触しており、圧迫による発赤を認めた。表皮の損傷や出血はなかった。柵にはカバーが付いていたが、ずれて金属部分が露出していた。 3時41分、体位を整えて肘を柵から離し、発赤の範囲(2cm×2cm)を記録。3時45分、看護職員へ連絡し観察、皮膚の損傷なし。3時50分、柵のカバーを付け直した。5時・7時に再観察し、発赤は消退。翌日も観察を継続した。 1)ベッド柵カバーの装着状態を確認する仕組みがなかった。2)体位変換の間隔が4時間で、同一部位の接触が続きやすかった。3)柵と身体の間に緩衝材がなかった。 1)ベッド柵カバーの装着状態を、夜間巡回の確認項目へ追加する(担当:夜勤リーダー/7月22日から)。2)体位変換の間隔を2時間へ短縮し、実施記録に残す(担当:看護職員/7月22日から)。3)柵と身体の間にクッションを配置し、位置を写真つきで居室へ掲示する(担当:フロアリーダー/7月25日まで)。
皮膚3|更衣時の内出血 9時15分、更衣介助の際、BD様の右上腕に直径2cmの内出血を発見した。前日の記録には記載がなく、発生の時期は特定できていない。痛みの訴えはなく、腫脹や熱感も認めなかった。抗凝固薬を内服されている。 9時16分、内出血の範囲と色調を記録し、写真で記録(ご本人の同意を得た)。9時20分、看護職員が観察し、主治医へ連絡。9時40分、主治医から経過観察の指示を受けた。12時・16時に再観察し拡大なし。ご家族へは同日夕方に電話でお伝えした。 1)皮膚の観察が入浴日のみで、日々の更衣時に行う手順がなかった。2)抗凝固薬を内服されている方の一覧が、介護職員に共有されていなかった。3)介助時の把持の位置について、実技での共有がなかった。 1)更衣のたびに露出部の皮膚を観察し、記録へ残す運用とする(担当:介護職員全員/7月22日から)。2)内出血が生じやすい方の一覧を作り、介助時の留意点とともに掲示する(担当:看護職員/7月25日まで)。3)介助時の把持は関節ではなく体幹を支える方法を、実技研修で共有する(担当:機能訓練指導員/8月10日まで)。
皮膚4|テープの剥離 11時00分、BE様の点滴固定用テープを剥がす際、表皮が一部持ち上がりかけた。看護職員が剥離剤を使用して中止し、表皮の剥離には至らなかった。皮膚は乾燥し、菲薄化が見られる状態だった。 11時01分、剥離を中断し剥離剤を使用してゆっくり除去。11時05分、皮膚の状態を観察し、発赤のみで損傷なし。11時10分、保湿剤を塗布。14時・17時に再観察し変化なし。翌日、テープの種類の変更について主治医へ相談した。 1)皮膚の菲薄化がある方に対して、粘着力の強いテープが使われていた。2)剥離剤が処置カートに常備されていなかった。3)剥がす方向と角度についての手順が共有されていなかった。 1)皮膚の菲薄化がある方には低刺激のテープを使用する旨を、処置手順書へ明記する(担当:看護職員/7月25日まで)。2)剥離剤を処置カートへ常備し、在庫を月1回確認する(担当:看護職員/8月から毎月)。3)テープは皮膚を押さえながら水平方向へゆっくり剥がす手順を、実技で共有する(担当:看護職員/8月10日まで)。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

所在確認・対人・機器・情報・感染|身体以外の場面の完成文(8場面・32例)

ヒヤリハットの様式は転倒と誤薬を想定して作られていることが多く、それ以外の場面になると書く欄が合わなくなります。所在が分からなくなりかけた、利用者どうしの間で言い争いになりかけた、機器が動いていなかった、書類の宛先が違っていた——これらは身体に何も起きていないため記録が残りにくく、そのぶん同じことが繰り返されます。仙台市が公表している集団指導資料では、事業所側の過失の有無にかかわらず報告が必要な事案の例として、無断外出(警察・消防等が関わったもの)が挙げられています。所在に関わる出来事は、止まった段階であっても記録として残す価値が大きい領域です。

所在の確認と、利用者どうしの関わり(8例)

例 発生時の状況(完成文) その後の対応(完成文) 要因(完成文) 再発防止策(完成文)
所在1|玄関の自動ドア 15時20分、BF様が玄関の自動ドア前に立たれ、外部からの来訪者の入館に合わせて外へ出ようとされた。受付にいた職員が声をかけ、ホールへ戻られた。屋外へは出ておられない。当該時間帯は面会が多く、自動ドアは開錠されていた。 15時21分、ホールへお戻りいただき、お茶をお出しして状況を伺った。「家に帰る用事がある」とのお話があり、傾聴した。15時35分、看護職員と管理者へ報告。同日中に、担当介護支援専門員へ日中の様子として情報提供した。以後、退館時の見守り位置を変更している。 1)面会の多い時間帯に自動ドアが開錠され、来訪者の出入りに合わせて外へ出られる状態だった。2)受付の職員が来訪者の対応中で、ホール側へ視線が向いていなかった。3)「家に帰りたい」というお気持ちの背景について、記録に残す欄がなかった。 1)面会の時間帯は、受付とは別に玄関ホールの見守り担当を1名配置する(担当:シフト作成者/8月シフトから)。2)自動ドアの開錠時間を面会の予約時間に合わせて短縮する(担当:管理者/7月25日から)。3)ご本人の言葉をそのまま記録する欄を、日々の記録様式へ追加する(担当:介護主任/8月様式から)。
所在2|通所の帰り支度 14時10分、通所利用中のBG様が上着とかばんを持って玄関へ向かわれた。帰宅時刻は16時であり、送迎車の準備前だった。職員が声をかけ、活動室へお戻りいただいた。屋外へは出ておられない。 14時11分、活動室へお戻りいただき、帰宅の時刻を書いたカードをお渡しして一緒に確認した。14時20分、看護職員へ報告。16時、通常どおり送迎車で帰宅された。同日、ご家族と担当介護支援専門員へ日中の様子として情報提供した。 1)帰宅の時刻がご本人に伝わる形で示されていなかった。2)午後の活動の合間に、手持ち無沙汰の時間が20分あった。3)荷物が玄関近くに置かれており、目に入りやすい配置だった。 1)帰宅時刻を大きな文字で書いたカードを、対象の方の座席へ置く運用とする(担当:生活相談員/7月25日から)。2)午後の活動の合間に、短い個別の活動を用意する(担当:機能訓練指導員/7月25日から)。3)荷物の保管場所を、活動室から見えない位置のロッカーへ変更する(担当:生活相談員/7月25日まで)。
所在3|居室にいないことに気づく 10時30分、BH様が居室におられないことに職員が気づき、2階フロアを確認したところ、他の利用者の居室で椅子に座っておられた。5分以内に所在を確認でき、屋外へは出ておられない。ご本人と居室の利用者との間で、やり取りは特になかった。 10時31分から館内を分担して確認し、10時35分に所在を確認。ご自身の居室へお戻りいただいた。10時40分、当該居室の利用者へ状況をお伝えし、ご不快がなかったかを確認した。10時50分、看護職員と管理者へ報告。以後、居室の表示を分かりやすく変更した。 1)居室の表示が号室番号のみで、ご本人が自室を判別しにくかった。2)午前中に居室で過ごす方の所在確認の時刻が決まっていなかった。3)フロア内で他の方の居室へ入られることが、記録として残っていなかった。 1)居室の入口に、ご本人の写真とお名前の表示を設置する(ご本人とご家族の同意を得て実施。担当:生活相談員/7月末まで)。2)所在確認の時刻(9時・11時・14時・16時)を決め、確認表に記録する(担当:フロアリーダー/7月22日から)。3)居室への出入りの状況を記録に残し、月次で集計する(担当:介護主任/8月から)。
所在4|屋外の活動中 10時50分、中庭での散歩の活動中、BI様が門扉の方へ向かわれ、職員が声をかけて一緒にお戻りいただいた。門扉には施錠がなく、外の道路までは10mの距離だった。屋外の敷地内にとどまり、道路へは出ておられない。 10時51分、一緒に中庭のベンチへ移動し、飲み物をお出しして休憩していただいた。11時00分、活動を終了し屋内へ誘導。11時10分、看護職員と管理者へ報告。同日中に門扉の施錠について検討し、翌日から活動中は施錠する運用とした。 1)中庭の門扉に施錠がなく、道路への経路が開いていた。2)散歩の活動で、参加者7名に対し職員1名の配置だった。3)門扉付近に、視線を引き止める設えがなかった。 1)屋外の活動中は門扉を施錠し、活動終了時に解錠する運用とする(担当:機能訓練指導員/7月22日から)。2)屋外の活動は参加者4名につき職員1名を配置する基準とする(担当:シフト作成者/8月から)。3)門扉の手前にプランターとベンチを配置し、動線が門扉へ直行しない配置へ変更する(担当:管理者/8月10日まで)。
対人1|席の取り違え 12時00分、食堂でBJ様が他の利用者の席に着席され、当該利用者から「そこは私の席」との申し出があった。声が大きくなりかけたところで職員が間に入り、それぞれの席へご案内した。身体の接触や物の投げ合いはなかった。 12時01分、職員2名がそれぞれの方に付き、別々にご案内した。12時05分、双方に飲み物をお出しし、落ち着かれたことを確認。12時20分、食事は通常どおり摂取された。13時00分、看護職員と管理者へ報告。翌日から席の表示を変更した。 1)席に名前の表示がなく、ご本人が自席を判別しにくかった。2)食堂への誘導が同時刻に集中し、着席の順序が定まっていなかった。3)双方の席が隣接しており、距離が近かった。 1)各席にお名前と写真の表示を置く(ご本人とご家族の同意を得て実施。担当:生活相談員/7月末まで)。2)食堂への誘導を、テーブル単位で時間差をつけて行う(担当:フロアリーダー/7月22日から)。3)席の配置を見直し、双方の距離を確保する(担当:介護主任/7月25日まで)。
対人2|物の持ち出し 14時40分、BK様が他の利用者の居室からタオルを持ち出されているところを職員が発見した。声をかけてお預かりし、持ち主の居室へお返しした。持ち主の方は不在で、やり取りは生じていない。ご本人にご不快の様子はなかった。 14時41分、タオルをお預かりし、ご本人と一緒にホールへ移動した。14時50分、持ち主の居室へお返しし、状況を記録した。15時00分、持ち主の方がお戻りになった際に、職員から状況をお伝えした。15時20分、看護職員と管理者へ報告。以後、居室の私物へ記名する運用を開始した。 1)私物に記名がなく、持ち主が判別できない状態だった。2)居室の扉が常時開放され、廊下から中の物が見えていた。3)ご本人の行動の背景(探し物をされている)が、記録として共有されていなかった。 1)私物へのお名前の記入をご家族へお願いし、記名がない物は職員が記名する(担当:生活相談員/7月末まで)。2)居室の扉を、ご本人の希望を確認したうえで半開の位置に調整する(担当:フロアリーダー/7月25日まで)。3)探し物をされている様子を記録へ残し、探しておられる物について、ご家族へ確認する(担当:生活相談員/8月10日まで)。
対人3|大きな声 16時20分、ホールでテレビの音量をめぐりBL様と他の利用者の間で言葉のやり取りが強くなった。職員が間に入り、それぞれ別の場所へご案内した。身体の接触はなく、双方に外傷もない。ホールには職員1名がいた。 16時21分、職員が間に入り、BL様は談話室へ、もう一方は窓側の席へご案内した。16時25分、それぞれにお話を伺い、テレビの音量を調整した。16時40分、双方が落ち着かれたことを確認。17時00分、看護職員と管理者へ報告。翌日、席とテレビの配置を変更した。 1)テレビの音量について、共有の場での取り決めがなかった。2)ホールが1室のみで、静かに過ごせる場所が用意されていなかった。3)夕方の時間帯にホールの人数が多く、職員1名では目が届きにくかった。 1)テレビの音量の目安と、消灯時間を掲示する(担当:生活相談員/7月25日まで)。2)談話室を静かに過ごす場所として整え、いつでも使えるようにする(担当:管理者/8月10日まで)。3)16時から18時のホールに職員を2名配置する(担当:シフト作成者/8月シフトから)。
対人4|歩行の妨げ 11時10分、廊下でBM様の歩行器の前を他の利用者が横切られ、接触しかけた。BM様が歩行器を止め、職員が間に入って双方をご案内した。接触はなく、転倒にも至っていない。廊下は活動室からの移動が重なる時間帯だった。 11時11分、双方を別々の経路でご案内した。11時15分、BM様に痛みの有無と歩行状態を確認、訴えなし。11時20分、もう一方の方の様子も確認し、変化なし。11時30分、看護職員と管理者へ報告。同日中に移動の時間をずらす運用へ変更した。 1)活動室からの移動が同時刻に集中していた。2)廊下の幅に対し、歩行器と歩行の方が同時に通行していた。3)移動の順序が決まっていなかった。 1)活動室からの移動を、歩行器利用の方から先に開始する順序へ変更する(担当:機能訓練指導員/7月22日から)。2)移動の時間を5分ずつずらし、同時に通行する人数を減らす(担当:フロアリーダー/7月22日から)。3)廊下の中間に待避用の椅子を置き、待つ場所を作る(担当:管理者/7月25日まで)。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

ケアの拒否・強い言動と、機器の不具合(8例)

例 発生時の状況(完成文) その後の対応(完成文) 要因(完成文) 再発防止策(完成文)
拒否1|入浴の場面 13時30分、入浴の誘導時にBN様から「今は入らない」とのお話があり、職員が腕を取って誘導しようとしたところ、手を振り払われた。職員の手が当たったが、双方に外傷はない。誘導はいったん中止した。 13時31分、誘導を中止し、居室でお話を伺った。「昼食の後は休みたい」とのご意向を確認。13時45分、看護職員と管理者へ報告。15時30分に改めてお声かけしたところ入浴された。同日中に、入浴の時間帯についてご本人の希望を計画へ反映する検討を開始した。 1)入浴の時間帯がご本人の生活のリズムと合っていなかった。2)「拒否」があった場合の対応手順が決まっておらず、身体に触れて誘導する対応になっていた。3)ご本人の意向を確認する機会が、計画の見直し時のみだった。 1)入浴の時間帯についてご本人の希望を確認し、計画へ反映する(担当:生活相談員/7月末まで)。2)お断りがあった場合は、いったん中止して時間をおいて再度お声かけする手順を明記する(担当:介護主任/7月22日から)。3)ご本人の意向を確認する場を月1回設け、記録に残す(担当:生活相談員/8月から毎月)。なお、身体的拘束等については、緊急やむを得ない場合を除いて行わないこととされており、態様・時間・心身の状況・理由の記録が確認の対象とされています。
拒否2|排泄の介助 20時10分、おむつ交換の際にBO様が強く手を動かされ、職員の腕に手が当たった。職員に外傷はなく、ご本人の皮膚にも損傷はない。介助はいったん中断し、時間をおいて再開した。声かけの後すぐに身体に触れる流れになっていた。 20時11分、介助を中断し、居室の照明を落として静かな環境に整えた。20時25分、改めてお声かけし、手順を一つずつお伝えしながら介助を実施。20時40分、看護職員へ報告。翌日の申し送りで、声かけの方法を共有した。 1)声かけから身体に触れるまでの間隔が短く、心の準備が整う前に介助が始まっていた。2)夜間の居室が明るく、覚醒直後の刺激が強かった。3)介助の手順を都度お伝えする方法が、職員間で統一されていなかった。 1)声かけの後、5秒待ってから触れる手順を明記し、実技で共有する(担当:介護主任/7月26日)。2)夜間の介助時は手元灯のみを使用する運用とする(担当:夜勤リーダー/7月22日から)。3)介助の手順を一つずつお伝えする言い方の例を作り、居室の記録用紙へ挟む(担当:フロアリーダー/7月25日まで)。
拒否3|食事の場面 12時30分、食事介助中にBP様がスプーンを払われ、食器が10cm動いた。食器は倒れず、食物の飛散もなかった。職員と周囲の方に外傷はない。介助のペースが速く、飲み込みの前に次の一口が近づいていた。 12時31分、介助を中断し、ご本人の表情と口腔内を確認。12時35分、飲み込みを確認してから次の一口を運ぶ方法に変えて再開。12時50分、食事量は普段の8割を摂取。13時00分、看護職員へ報告。同日の申し送りで介助のペースについて共有した。 1)食事介助のペースが職員ごとに異なり、統一されていなかった。2)飲み込みの確認をせずに次の一口を運ぶ流れになっていた。3)食事介助の担当が日ごとに変わり、ご本人のペースが引き継がれていなかった。 1)飲み込みを確認してから次の一口を運ぶ手順を、食事介助の手順書へ明記する(担当:機能訓練指導員/7月22日から)。2)ご本人ごとのペースの目安を記録へ残し、食札の裏へ記載する(担当:管理栄養士/7月25日まで)。3)食事介助の担当を週単位で固定し、引き継ぎの記録を残す(担当:シフト作成者/8月シフトから)。
拒否4|居室への入室 9時40分、朝の居室清掃で職員が入室した際、BQ様から「勝手に入るな」との強いお言葉があった。職員はすぐに退室し、身体の接触はなかった。ノックの後、返事を待たずに入室する流れになっていた。 9時41分、退室してドアの外でお声かけし、改めて許可をいただいてから入室した。9時50分、清掃を実施。10時00分、看護職員と管理者へ報告。同日の申し送りで入室の手順を共有し、翌日から徹底している。 1)ノックの後に返事を待つ手順が決まっていなかった。2)居室清掃の時刻が朝の身支度の時間帯と重なっていた。3)居室はご本人の生活の場であるという前提が、清掃の手順書に書かれていなかった。 1)「ノック・名乗る・返事を待つ・許可を得て入る」の4段階を入室手順として掲示する(担当:介護主任/7月22日)。2)居室清掃の時刻を10時以降へ変更する(担当:フロアリーダー/7月22日から)。3)居室は生活の場であることを清掃手順書の冒頭へ明記し、委託業者とも共有する(担当:管理者/7月末まで)。
機器1|エアマットの停止 6時20分、巡回時にBR様のエアマットの送気が停止していることを発見した。電源プラグが壁のコンセントから半分抜けていた。停止の開始時刻は不明。仙骨部の皮膚に発赤はなく、除圧の状態は保たれていた。 6時21分、プラグを差し直し、送気の再開と設定圧を確認。6時25分、仙骨部・踵部の皮膚を観察し発赤なし。6時30分、看護職員へ連絡し確認。9時・13時・17時に皮膚を再観察し変化なし。翌日、コンセントの位置を変更した。 1)コンセントがベッド移動の動線上にあり、プラグが抜けやすい位置だった。2)エアマットの作動状態を確認する項目が、巡回のチェックに含まれていなかった。3)停止時に音や表示で知らせる機能を、職員が把握していなかった。 1)コンセントを壁の高い位置へ変更し、抜け止め具を装着する(担当:管理者/7月25日まで)。2)夜間巡回の確認項目へ「エアマットの作動」を追加する(担当:夜勤リーダー/7月22日から)。3)機器の警報表示の見方を、福祉用具事業者に依頼して職員へ説明してもらう(担当:福祉用具担当/8月10日まで)。
機器2|ナースコールの不通 22時40分、居室のナースコールを押しても職員ステーションで受信されないことを、点検で発見した。コード式のコールで、コネクタが緩んでいた。ご本人からの呼び出しがあった形跡はなく、実際の不通の時間帯は不明。 22時41分、コネクタを差し直し、押して受信されることを確認。22時45分、他の居室10室も同様に確認し、異常なし。22時50分、管理者へ電話で報告。翌日、事業者へ点検を依頼した。当該居室は翌日まで訪室の頻度を1時間ごとに変更した。 1)ナースコールの作動確認を定期的に行う仕組みがなかった。2)コネクタが引っ張られやすい位置にあった。3)不通に気づく手段が、実際に押されるまでなかった。 1)ナースコールの作動確認を、週1回の全室点検として実施し記録へ残す(担当:夜勤リーダー/7月25日から毎週)。2)コネクタ部分を固定具で保護する(担当:管理者/8月10日まで)。3)作動確認の記録様式を作成し、点検日と確認者を記載する(担当:介護主任/7月25日まで)。
機器3|リフトのスリング 10時20分、移乗リフトの使用前点検で、スリングシートの縫製部分がほつれているのを発見した。使用前だったため、吊り上げは行っていない。ほつれは長さ3cmで、負荷のかかる位置にあった。 10時21分、当該スリングの使用を中止し、予備のスリングへ交換して移乗を実施。10時30分、ほつれのあるスリングに使用中止の表示を付けて隔離。10時40分、管理者へ報告し、福祉用具事業者へ点検と交換を依頼した。同日中に他のスリング4枚も点検し、異常なしを確認した。 1)スリングの点検が使用時の目視のみで、定期の点検表がなかった。2)予備のスリングの数が把握されていなかった。3)洗濯の回数と劣化の関係が、管理の項目に入っていなかった。 1)スリングの点検表を作成し、毎日の使用前点検を記録へ残す(担当:福祉用具担当/7月22日から毎日)。2)スリングの在庫と使用開始日を一覧で管理する(担当:福祉用具担当/7月25日まで)。3)洗濯回数の目安を事業者へ確認し、交換の時期を管理表へ記載する(担当:福祉用具担当/8月10日まで)。
機器4|ベッドの操作リモコン 21時30分、BS様の居室でベッドの背上げが最大の角度のままになっているのを、巡回で発見した。リモコンが掛け物の下にあり、体動でボタンが押された可能性が考えられる。ご本人は覚醒しておられ、苦痛の訴えはなかった。 21時31分、背上げの角度を30度へ戻し、姿勢を整えた。21時35分、呼吸状態と表情を確認、変化なし。21時40分、リモコンをベッド柵の外側のホルダーへ収納した。23時・1時の巡回で角度と姿勢を確認し変化なし。翌日、全居室のリモコンの収納位置を統一した。 1)リモコンの収納位置が決まっておらず、寝具の中に入り込む状態だった。2)就寝時の背上げ角度の目安が、居室ごとに共有されていなかった。3)操作ロック機能の有無を職員が把握していなかった。 1)リモコンはベッド柵の外側のホルダーへ収納する運用とし、全居室にホルダーを設置する(担当:管理者/7月25日まで)。2)就寝時の背上げ角度の目安を居室ごとに決め、記録用紙へ記載する(担当:看護職員/7月25日まで)。3)操作ロック機能の使い方を事業者に確認し、必要な居室で設定する(担当:福祉用具担当/8月10日まで)。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

個人情報と記録の取り違え(8例)

例 発生時の状況(完成文) その後の対応(完成文) 要因(完成文) 再発防止策(完成文)
情報1|送信先の誤り 16時10分、居宅介護支援事業所へ書類を送信する際、宛先の短縮番号を1つ隣のものを選んでいたことに、送信ボタンを押す直前に気づいた。送信は行われておらず、外部への情報の流出はない。短縮番号の登録名が類似していた。 16時11分、宛先を正しい事業所へ選び直し、番号を読み上げて確認してから送信。16時15分、送信先の事業所へ電話で受信を確認。16時30分、管理者へ報告。同日中に短縮番号の登録名を、事業所名と担当者名を含む表記へ変更した。 1)短縮番号の登録名が略称のみで、類似した表記が並んでいた。2)送信前に宛先を読み上げる手順がなかった。3)送信の時間帯が業務の終了間際で、確認の時間が取れていなかった。 1)短縮番号の登録名を「事業所名+担当者名」の表記へ統一する(担当:事務職員/7月25日まで)。2)送信前に宛先の番号と事業所名を読み上げ、送信記録へ確認者名を記載する(担当:事務職員/7月22日から)。3)外部への書類送信は15時までに行う運用とし、それ以降は翌営業日へ回す(担当:管理者/7月25日から)。
情報2|書類の取り違え 14時30分、ご家族へお渡しする書類を封入する際、別のご家族宛ての書類が混在していることに、封をする前の確認で気づいた。封入も交付も行っておらず、外部への交付には至っていない。2名分の書類を同じ机の上で並行して準備していた。 14時31分、書類をすべて取り出し、1名分ずつ氏名を読み上げて仕分け直した。14時40分、それぞれ封入し、封筒の宛名と中身を2名で確認。15時00分、管理者へ報告。同日中に、封入作業は1名分ずつ行う運用へ変更した。 1)複数名分の書類を同じ作業面で並行して扱っていた。2)封入前に中身と宛名を照合する手順が決まっていなかった。3)作業の時間帯が来客の対応と重なり、中断が生じていた。 1)封入作業は1名分ずつ行い、他の方の書類を作業面に置かない運用とする(担当:事務職員/7月22日から)。2)封入前に、宛名と中身を2名で読み合わせる手順を明記する(担当:事務職員/7月22日から)。3)封入作業は来客の少ない時間帯に行い、作業中は電話対応を交代する(担当:管理者/7月25日から)。
情報3|画面の表示 11時20分、ホールの共用パソコンで記録を入力していた際、別の利用者の画面が表示されたまま席を離れかけたことに、席を立つ直前に気づいた。ご家族や来訪者が画面を見られる位置ではなく、外部への表示には至っていない。 11時21分、画面を閉じてログアウトし、席を離れた。11時30分、管理者へ報告。同日中に、共用パソコンの自動ロックの時間を10分から2分へ変更した。翌日の申し送りで、席を離れる際のログアウトについて全員へ共有した。 1)共用パソコンの自動ロックの時間が長く設定されていた。2)席を離れる際のログアウトが手順として明記されていなかった。3)画面の向きがホール側を向いており、視線が入りやすい配置だった。 1)自動ロックの時間を2分へ変更する(担当:事務職員/7月22日実施)。2)「席を離れるときはログアウト」を手順書へ明記し、パソコンに掲示する(担当:介護主任/7月22日)。3)画面の向きを壁側へ変更し、のぞき見防止フィルターを装着する(担当:管理者/7月25日まで)。
情報4|口頭での伝達 15時40分、ホールで職員どうしがBT様の体調について話していたところ、近くに他の利用者とそのご家族がおられることに気づき、会話を中断して事務室へ移動した。氏名は発していたが、詳細な内容には及んでいない。 15時41分、会話を中断し、事務室で続きを行った。15時50分、管理者へ報告。同日の申し送りで、利用者の情報を扱う会話の場所について共有した。翌日から、申し送りは事務室または職員休憩室で行う運用とした。 1)利用者の情報を扱う会話の場所について、取り決めがなかった。2)ホールが職員の動線と重なり、立ち話が生じやすい配置だった。3)短い情報の共有を、その場で済ませる習慣があった。 1)利用者の情報を扱う会話は事務室・職員休憩室で行う旨を手順書へ明記する(担当:管理者/7月22日から)。2)短い情報の共有は、口頭ではなく共有ノートまたは端末への記載で行う運用とする(担当:介護主任/7月22日から)。3)個人情報の取り扱いについて、年1回の研修に「会話の場所」を項目として加える(担当:管理者/8月10日まで)。
記録1|他の方の記録欄への記載 17時00分、日々の記録を入力する際、BU様の記録欄に別の利用者の食事量を入力しかけたことに、確定する前に気づいた。確定していないため、記録には残っていない。氏名の並びが五十音順で、隣り合っていた。 17時01分、入力を取り消し、正しい方の記録欄で入力し直した。17時05分、当日入力した5名分の記録を、氏名と内容を照らして再確認した。17時20分、管理者へ報告。同日中に、入力画面の氏名表示を大きくする設定へ変更した。 1)入力画面の氏名表示が小さく、切り替わりに気づきにくかった。2)記録の入力が業務の終了間際に集中していた。3)入力後に内容を確認する手順がなかった。 1)入力画面の氏名の表示サイズを大きくし、写真を併せて表示する設定へ変更する(担当:事務職員/7月22日実施)。2)記録の入力を、ケアの直後にその場で行う運用へ変更する(担当:フロアリーダー/7月25日から)。3)入力後に氏名と内容を読み返す手順を明記し、確定前の確認画面を有効にする(担当:事務職員/7月25日まで)。
記録2|日付の誤り 9時30分、前日の記録を入力する際、日付が当日のままになっていることに、確定する前に気づいた。訂正して正しい日付で入力したため、誤った日付での記録は残っていない。前日の夜勤帯の記録をまとめて入力していた。 9時31分、日付を前日へ修正して入力。9時40分、前日分の他の記録についても日付を確認し、誤りがないことを確認した。10時00分、管理者へ報告。同日中に、夜勤帯の記録はその都度入力する運用へ変更した。 1)記録の入力が翌日にまとめて行われていた。2)入力画面の日付が既定で当日となり、変更の操作が必要だった。3)入力後に日付を確認する手順がなかった。 1)夜勤帯の記録は、ケアの直後にその都度入力する運用とする(担当:夜勤リーダー/7月22日から)。2)日付欄を空欄からの入力にする設定が可能か、事業者へ確認する(担当:事務職員/8月10日まで)。3)入力後に日付・氏名・内容の3点を読み返す手順を明記する(担当:介護主任/7月22日から)。
記録3|バイタルの転記 10時10分、測定したバイタルを記録へ転記する際、血圧の数値を1桁書き間違えかけたことに、記入の途中で気づいた。訂正して正しい数値を記入したため、誤った数値は記録に残っていない。測定から転記までに20分の間隔があった。 10時11分、再度測定して数値を確認し、正しい値を記入した。10時15分、看護職員へ報告し、当日の他の方の数値についても測定値と記録を照合した。10時30分、管理者へ報告。同日中に、測定後その場で入力する運用へ変更した。 1)測定から転記までの間隔が長く、記憶に頼る場面があった。2)測定値を一時的に書き留める用紙が決まっていなかった。3)記録の様式が手書きで、転記の工程が挟まっていた。 1)測定後、その場で端末へ入力する運用とし、端末をワゴンへ載せて携行する(担当:看護職員/7月25日から)。2)一時的な書き留めが必要な場合の用紙を定め、転記後に破棄する手順を明記する(担当:看護職員/7月22日から)。3)測定値の入力後に、看護職員が当日分を一括で確認する時間を設ける(担当:看護職員/7月25日から毎日)。
記録4|同姓の方の記録 13時50分、氏名の読みが同じ2名について、記録の綴りへ書類を挟む際、別の方のファイルへ入れかけたことに、綴じる前に気づいた。綴じていないため、記録の混在は生じていない。ファイルの背表紙が姓のみの表記だった。 13時51分、正しいファイルへ綴じ直した。14時00分、両名のファイルの中身を最初から確認し、混在がないことを確認した。14時20分、管理者へ報告。同日中に、ファイルの背表紙を姓名と生年月日を含む表記へ変更した。 1)ファイルの背表紙が姓のみで、読みの同じ方が判別しにくかった。2)綴じる前に氏名を照合する手順がなかった。3)ファイルの保管棚で、読みの近い方が隣り合っていた。 1)ファイルの背表紙を「姓名+生年月日」の表記へ統一する(担当:事務職員/7月25日まで)。2)綴じる前に、書類とファイルの氏名を読み上げて照合する手順を明記する(担当:事務職員/7月22日から)。3)保管棚の並びを見直し、読みの近い方が隣り合わない配置へ変更する(担当:事務職員/7月25日まで)。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

感染対策の手順のずれと、送迎の時間・人数の確認(8例)

例 発生時の状況(完成文) その後の対応(完成文) 要因(完成文) 再発防止策(完成文)
感染1|手袋の交換 10時30分、居室でのケアを終えて次の居室へ移動する際、手袋を交換せずに入室しようとしたことに、扉の前で自ら気づいた。ケアには着手しておらず、手袋を交換してから入室した。手袋の交換用のストックが廊下のワゴンになかった。 10時31分、いったん廊下へ戻り、手指衛生を行って新しい手袋へ交換した。10時35分、ケアを実施。10時45分、ワゴンへ手袋を補充。11時00分、看護職員へ報告。同日中に、手袋の補充を始業時の確認項目へ追加した。 1)手袋の在庫の補充が担当者任せで、始業時の確認項目になかった。2)居室間の移動でケアが連続し、交換の時間が組み込まれていなかった。3)廊下のワゴンの配置が、動線から離れていた。 1)手袋・手指消毒剤の補充を始業時の確認項目へ追加し、記録へ残す(担当:早番/7月22日から毎日)。2)居室ごとのケアの間に交換の時間を組み込んだ手順書へ改める(担当:看護職員/7月25日まで)。3)ワゴンの配置を居室の入口付近へ変更し、動線上で手が届く位置とする(担当:フロアリーダー/7月25日まで)。
感染2|嘔吐物の処理 14時20分、床の嘔吐物を処理する際、使い捨てエプロンを着用せずに着手しようとしたところ、他の職員の声かけで気づき、着用してから処理を開始した。エプロンなしでの接触はなかった。処理用のセットが、その場から離れた場所に保管されていた。 14時21分、処理を中断し、防護具一式(手袋・マスク・エプロン)を着用してから処理を実施。14時35分、処理後に手指衛生を行い、廃棄物を密閉して所定の場所へ。14時45分、看護職員へ報告。同日中に処理セットの保管場所をフロアへ移した。 1)処理用のセットが1階の倉庫にのみ保管され、現場から離れていた。2)処理の手順が文書化されておらず、着用の順序が共有されていなかった。3)緊急の場面で、手順を確認する余裕がなかった。 1)嘔吐物処理セットを各フロアの決まった場所へ配置し、在庫を週1回確認する(担当:看護職員/7月25日から)。2)処理の手順を写真つきで作成し、セットに同封する(担当:看護職員/7月末まで)。3)処理の手順の訓練を、感染対策の研修の一環として実施し、記録へ残す(担当:管理者/8月10日まで)。
感染3|共用物品の消毒 15時50分、血圧計のカフを複数名で続けて使用していたことに、3人目の測定前に気づいた。消毒を行ってから測定を再開した。皮膚の異常や感染の兆候は、対象の方々に認められていない。使用ごとの消毒の手順が明文化されていなかった。 15時51分、カフをアルコールで清拭してから測定を再開。16時00分、当日カフを使用した2名について、皮膚の状態を確認し異常なし。16時15分、看護職員へ報告し、消毒の手順を確認した。翌日から使用ごとの清拭を実施している。 1)共用の物品について、使用ごとの消毒の手順が文書化されていなかった。2)消毒用の清拭材が測定用のワゴンに常備されていなかった。3)測定の時間が短時間に集中し、消毒の時間が組み込まれていなかった。 1)共用物品の消毒の手順を一覧にして、物品の保管場所へ掲示する(担当:看護職員/7月25日まで)。2)清拭材を測定用ワゴンへ常備し、始業時に残量を確認する(担当:看護職員/7月22日から毎日)。3)測定の時間配分を見直し、1名あたりの所要時間に消毒の時間を含める(担当:看護職員/7月25日から)。
感染4|体調不良時の就業 8時00分、出勤した職員から前夜に下痢があったとの申し出があり、フロアでの勤務に入る前に管理者が把握した。利用者との接触前に配置を変更したため、ケアには従事していない。始業前の体調の申告の仕組みが定まっていなかった。 8時01分、当該職員をフロア勤務から外し、事務作業へ配置を変更。8時15分、看護職員が症状を確認し、受診を勧めた。8時30分、管理者が勤務の調整を行い、代替の職員を確保。同日中に、始業前の体調の申告の様式を作成した。 1)始業前の体調の申告について、様式と確認者が決まっていなかった。2)体調不良時の勤務の可否の目安が示されていなかった。3)代替の職員の確保の手順が定まっていなかった。 1)始業前の体調の申告様式を作成し、出勤時に管理者が確認する運用とする(担当:管理者/7月25日から)。2)症状ごとの勤務の可否の目安を、感染症の予防及びまん延の防止のための指針へ反映する(担当:看護職員/8月10日まで)。3)代替の職員の連絡順を一覧にし、事務室へ掲示する(担当:シフト作成者/7月25日まで)。
送迎5|人数の確認 9時20分、送迎車から降車後の人数を確認したところ、乗車名簿の人数と1名の差があることに気づいた。確認の結果、当該の方は前日にお休みの連絡があり、名簿の更新がされていなかった。実際に取り残された方はいなかった。 9時21分、乗車名簿と当日の出欠表を照合し、差の理由を確認。9時30分、ご自宅へ電話でお休みであることを確認。9時40分、管理者へ報告。同日中に、乗車名簿を当日の朝に更新する運用へ変更した。 1)乗車名簿の更新が前日の夕方までで、その後の連絡が反映されていなかった。2)出欠の連絡を受ける窓口と、名簿を作る担当が別だった。3)降車後の人数確認の手順が、名簿との照合を含んでいなかった。 1)乗車名簿を当日の朝8時に更新し、出欠表と併せて運転手へ渡す運用とする(担当:生活相談員/7月22日から毎日)。2)出欠の連絡を受けた時点で、名簿へ反映する担当を明確にする(担当:管理者/7月22日から)。3)降車後に「名簿の人数・実際の人数・車内の目視」の3点を確認し、送迎表へ記載する(担当:送迎責任者/7月22日から)。
送迎6|車内の最終確認 16時50分、送迎を終えて車庫へ戻った際、車内の最終確認を行っていないことに気づき、その場で座席・足元・後部を目視した。取り残された方や忘れ物はなかった。最終確認の手順は口頭で伝えられていたが、記録には残していなかった。 16時51分、座席・足元・後部座席の下・荷物室を目視し、異常なしを確認。16時55分、送迎表へ確認時刻と確認者名を記載。17時00分、管理者へ報告。翌日から、確認の記録欄を送迎表へ設けている。 1)最終確認の手順が口頭のみで、記録に残す仕組みがなかった。2)確認の範囲(どこを見るか)が定まっていなかった。3)帰庫の時刻が業務の終了間際で、確認が省略されやすかった。 1)送迎表へ「車内最終確認」の欄を設け、時刻と確認者名を記載する(担当:送迎責任者/7月22日から毎便)。2)確認の範囲を「全座席・足元・座席の下・荷物室」と定め、車内へ掲示する(担当:送迎責任者/7月25日まで)。3)帰庫後の確認を、鍵の返却の前に行う順序として定める(担当:送迎責任者/7月22日から)。
送迎7|到着の遅れ 9時50分、道路の渋滞により送迎車の到着が予定より25分遅れた。車内の利用者3名の状態を添乗職員が確認し、体調の変化はなかった。事業所への連絡は到着後になり、ご家族への連絡も行われていなかった。 9時51分、到着後に事業所へ状況を報告。9時55分、利用者3名のバイタルを測定し、いずれも普段の値であることを確認。10時10分、ご家族3件へ電話で到着の遅れをお伝えした。同日中に、遅れが生じた場合の連絡の手順を定めた。 1)遅れが生じた場合の連絡の手順が決まっていなかった。2)走行中に連絡できる手段(ハンズフリー)が車内になかった。3)渋滞が起きやすい経路と時間帯が把握されていなかった。 1)15分以上の遅れが見込まれる時点で、添乗職員が事業所へ連絡し、事業所からご家族へ連絡する手順を定める(担当:送迎責任者/7月22日から)。2)ハンズフリーの通話機器を全車両へ設置する(担当:管理者/8月10日まで)。3)経路ごとの所要時間を1か月記録し、渋滞の時間帯を避ける経路へ見直す(担当:送迎責任者/8月から)。
送迎8|迎えの順序の入れ替え 8時30分、送迎の順序が前日と入れ替わっていたため、BV様のご自宅への到着が予定より20分早くなった。ご本人の準備が整っておらず、玄関先で5分お待ちいただいた。ご本人に体調の変化はなく、屋内でお待ちいただいた。 8時31分、屋内でお待ちいただくようご案内し、添乗職員が付き添った。8時36分、乗車。8時50分、事業所へ状況を報告。同日中に、順序を変更する場合の連絡の手順を定め、翌日以降はご家族へ前日に連絡している。 1)送迎の順序を変更する際の連絡の手順がなかった。2)順序の変更が当日の朝に決まり、伝える時間がなかった。3)到着予定時刻がご家族へ共有されていなかった。 1)送迎の順序を変更する場合は、前日の17時までにご家族へ連絡する手順を定める(担当:送迎責任者/7月22日から)。2)順序の変更は前日の夕方までに確定し、当日の変更は原則行わない運用とする(担当:送迎責任者/7月22日から)。3)週間の送迎予定表に到着予定時刻を記載し、ご家族へお渡しする(担当:生活相談員/8月から毎週)。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

要因の5分類と集めるしくみ|対策の完成文・線引き・サービス種別の対照(11種別)

報告書を集めても、要因の欄に「確認不足」「本人の不注意」しか並ばなければ、対策の欄には「注意する」しか書けません。神戸市が公表している資料には、再発防止策の検討が不十分な例として「見守り強化のみを対策として挙げている」ことが挙げられ、宇都宮市の資料でも、職員に対応を任せるのではなく原因を分析するよう求められています。要因を5つの引き出しに分けて考えると、「注意する」以外の対策が出てきます。人(誰がどう動いたか)、方法(手順がどう決まっていたか)、環境(場所と時間がどうだったか)、モノ(用具と設備がどうだったか)、情報(何が誰に伝わっていたか)の5つです。以下は、それぞれの引き出しに入る要因の書き方と、対になる対策の完成文です。

要因の引き出し1・2|人の動きと、手順の決まり方(16例)

分類 要因の書き方(完成文) 対になる対策の完成文 効果の確認のしかた
人|手がふさがっていた 見守りの職員が使用済みの物品を両手に持っており、とっさに支えられる状態ではなかった。 誘導・見守りの間は物品を持たず、ワゴンへ置いてから付き添う運用に変更する(担当:フロアリーダー/7月16日から)。 1か月後に、見守り中の物品の携行が記録に現れていないかを確認する。
人|位置が合っていなかった 右片麻痺の方に対し、職員が健側である左後方に立っており、傾いた側を支えられる位置ではなかった。 麻痺側に立つ位置を、利用者ごとに図で示した一覧を作り、居室の記録用紙へ挟む(担当:機能訓練指導員/7月25日まで)。 2か月後に、同じ方について立ち位置に関する記載のある報告が減ったかを見る。
人|経験の差 入職2か月の職員が単独でスライディングボードの移乗を行っており、ボードのかかりの確認の要点を知らなかった。 移乗の技術は、初回から3回目までを熟練者と組んで実施し、実施記録に指導者名を残す(担当:シフト作成者/8月シフトから)。 3か月後に、入職6か月未満の職員が関わる報告の内容を分類して確認する。
人|思い込み 普段は自立して歩かれる方であるという前提で見守りを外していたが、当日は発熱後で下肢の支持性が低下していた。 朝の申し送りで、前日からの体調の変化がある方を読み上げ、当日の見守りの要否を明示する(担当:早番リーダー/7月22日から毎日)。 1か月後に、体調の変化があった方に関する報告の件数を、前月と比べる。
人|急いでいた 送迎の出発時刻が迫っており、乗車前の確認の項目を1つ飛ばした状態で介助を開始していた。 出発時刻を10分後ろへずらし、確認の時間を工程に組み込む(担当:送迎責任者/8月から)。 1か月後に、送迎に関する報告のうち出発前後の時間帯のものが減ったかを見る。
人|同時に複数を担当 食事介助を1人で3名分担当しており、飲み込みの確認をしながら次の方へ移る運びになっていた。 食事介助は1人につき2名までとし、時間帯を分けて配置する(担当:シフト作成者/8月シフトから)。 2か月後に、食事の時間帯に発生した報告の件数を、配置の変更前後で比べる。
人|声かけの間合い 声をかけてから身体に触れるまでの間隔が1秒未満で、心の準備が整う前に介助が始まっていた。 声かけの後に5秒待ってから触れる手順を明記し、実技で共有する(担当:介護主任/7月26日)。 1か月後に、介助の場面での拒否に関する報告の内容の変化を確認する。
人|報告のためらい 「自分の失敗として扱われる」と感じ、その場で報告せずに勤務終了後に口頭で伝えていた。 報告は懲罰のためではないことを、研修で趣旨として説明し、記録へ残す(担当:管理者/8月10日まで)。 3か月後に、職員ごとの報告件数の偏りが小さくなったかを見る(人を評価するためではなく、報告しにくい人がいないかを見るため)。
方法|手順が決まっていない 手洗い後の床を確認する担当と時刻が決まっておらず、濡れた状態が放置される時間が生じていた。 手洗い後の床確認を、朝夕の環境チェック表の項目に追加する(担当:介護主任/7月18日まで)。 1か月後に、床の濡れに関する報告が同じ場所で繰り返されていないかを見る。
方法|手順はあるが省かれる 配薬の照合は「取り出す時」と「手渡す時」の2回と定めていたが、混雑する時間帯に1回目が省かれていた。 配薬車をテーブルの横まで運び、2回の照合を同じ場所で行う配置へ変更する(担当:フロアリーダー/7月31日から)。 2か月後に、配薬に関する報告のうち照合に触れたものの件数を比べる。
方法|順序が定まっていない 移乗前の確認が口頭のみで、ブレーキ・フットレスト・足底接地のどれから確認するかが職員ごとに違っていた。 確認の順序を3項目に固定し、声に出す運用へ変更する(担当:介護主任/7月20日から)。 1か月後に、移乗の場面の報告のうち確認の漏れに触れたものの件数を見る。
方法|中止の基準がない ケアをお断りになった際の対応が定まっておらず、身体に触れて誘導を続ける流れになっていた。 お断りがあった場合はいったん中止し、時間をおいて再度お声かけする手順を明記する(担当:介護主任/7月22日から)。 1か月後に、拒否の場面での報告の内容に「中止して時間をおいた」記載が現れるかを見る。
方法|観察の期間がない 食形態を変更した後、何日間・何を観察するかが決められておらず、変更後の状態が追えていなかった。 変更後3日間は食事ごとにむせの有無を記録する観察票を用いる(担当:看護職員/7月22日から)。 3か月後に、食形態の変更後3日以内に発生した報告の件数を確認する。
方法|二重の確認が形だけ 2名で確認する運用としていたが、1名が読み上げ、もう1名は別の作業をしながら聞いていた。 読み上げる人と、書面を指で追って確認する人を分け、両名が手を止めて行う運用とする(担当:看護職員/7月22日から)。 2か月後に、二重の確認を経た工程での報告の件数を確認する。
方法|記録の工程が後回し 記録の入力が業務の終了間際にまとめて行われ、測定から転記まで20分以上の間隔が生じていた。 測定後にその場で端末へ入力する運用とし、端末をワゴンへ載せて携行する(担当:看護職員/7月25日から)。 1か月後に、記録の転記に関する報告の件数と、入力までの時間を確認する。
方法|例外の扱いがない 雨天時のスロープの通行方法が手順になく、晴天時と同じ前向きで下る運用が続いていた。 雨天時および勾配のあるスロープは後ろ向きで下る手順を明記し、入口へ掲示する(担当:介護主任/7月22日)。 雨天の日の報告を3か月分抜き出し、屋外移動に関するものの件数を確認する。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

要因の引き出し3・4・5|環境と、モノと、伝わり方(24例)

分類 要因の書き方(完成文) 対になる対策の完成文 効果の確認のしかた
環境|時間帯の集中 朝食後のトイレ誘導が同時刻に集中し、同じ動線を5名が同時に通る状態になっていた。 朝食後のトイレ誘導を2班に分け、同時に動く人数を減らす(担当:シフト作成者/8月シフトから)。 3か月分の報告を時間帯で集計し、8時台の件数の推移を見る。
環境|同じ場所の繰り返し 同一の廊下の一地点で、3か月の間に同種の報告が4件生じていた。 当該地点の動線を見直し、待避用の椅子とカーブミラーを設置する(担当:管理者/7月25日まで)。 設置から3か月後に、当該地点の報告の件数を設置前と比べる。
環境|明るさ 夜間の廊下が足元灯のみで、段差の境目と床の濡れが視認できない明るさだった。 人感式の足元灯へ交換し、段差の縁に反射性の色テープを貼る(担当:管理者/8月10日まで)。 夜間帯(22時から6時)の報告の件数を、交換の前後3か月で比べる。
環境|床の状態 浴室の洗い場に石けん分が残り、湯で流し直す工程が入浴者の交代時になかった。 入浴者の交代ごとに床面を湯で流すことを入浴手順書へ明記する(担当:入浴担当/7月19日から)。 入浴の時間帯の報告を3か月集計し、洗い場に関するものの件数を見る。
環境|通路の幅 食堂のテーブル間の通路幅が80cmで、車いすと歩行の方がすれ違えなかった。 テーブル配置を見直し、通路幅を1.2m以上確保する(担当:管理者/8月10日まで)。 配置変更の前後3か月で、食堂内の移動に関する報告の件数を比べる。
環境|物の置き場 配膳ワゴンの定位置が廊下で、利用者の主動線と重なっていた。 ワゴンの定位置を物品庫へ変更し、搬送経路を職員通路側へ改める(担当:介護主任/7月19日実施)。 1か月後に、廊下での接触に関する報告の有無を確認する。
環境|温度 浴室の室温と湯温の記録がなく、当日の入浴の条件が後から確認できなかった。 浴室の室温・湯温を入浴記録へ記載する欄を設ける(担当:介護主任/8月様式から)。 3か月後に、入浴中の体調の変化に関する報告と、記録された温度の関係を確認する。
環境|待ち時間 食事の待ち時間が20分あり、その間に手の届く場所へ物が置かれていた。 待ち時間を10分以内とし、おしぼりは配膳と同時に出す運用とする(担当:フロアリーダー/7月22日から)。 1か月後に、食事の前の時間帯に発生した報告の件数を確認する。
モノ|高さが合わない ベッドの高さが45cmで、端座位で足底が床に着かない状態だった。 ベッド高を下腿長に合わせて調整し、足底接地を毎朝確認する(担当:福祉用具担当/7月18日実施)。 1か月後に、当該利用者の起き上がり・立ち上がりに関する報告の有無を確認する。
モノ|形状が動作を誘発する ベッド柵が握りやすい位置と形状にあり、つかまって立つ動作を誘発していた。 ベッド柵を介助バーへ交換し、立ち上がりを誘発しない形状にする(担当:福祉用具担当/7月末までに手配)。 交換から2か月後に、当該利用者の居室での報告の件数を交換前と比べる。
モノ|劣化に気づけない 歩行器のブレーキの効きが弱くなっていたが、点検の仕組みがなく劣化に気づけなかった。 福祉用具の点検表を作り、月1回、事業者へ調整を依頼する(担当:福祉用具担当/8月から毎月)。 点検の記録と報告書を突き合わせ、用具に関する報告が減ったかを見る。
モノ|固定が緩む ベッド柵の固定ネジが緩み、5cmの隙間ができていた。 ベッド柵・介助バーの固定確認を、週1回の環境チェック表の項目に追加する(担当:福祉用具担当/7月19日から毎週)。 3か月後に、点検で発見された緩みの件数と、報告書の件数を並べて見る。
モノ|予備がない 浴室の湯温計が1本のみで、故障時に確認する手段がなかった。 湯温計を2本備え、月1回、表示の妥当性を確認する(担当:入浴担当/8月から毎月)。 3か月後に、湯温に関する報告の有無と、点検の記録を確認する。
モノ|表示が読めない 薬包の氏名が小さな印字の姓のみの表記で、朝の時間帯に読み取りにくかった。 薬包に姓名を手書きで追記し、下の名前まで読み上げる運用へ変更する(担当:与薬担当者/7月31日から)。 2か月後に、氏名の読み違いに関する報告の件数を確認する。
モノ|置き場が遠い 嘔吐物の処理セットが1階の倉庫にのみ保管され、現場から離れていた。 処理セットを各フロアの決まった場所へ配置し、在庫を週1回確認する(担当:看護職員/7月25日から)。 3か月後に、感染対策の手順に関する報告の内容の変化を確認する。
モノ|配置が動線と重なる ベッド脇の衝撃吸収マットが移乗の動線と重なり、車いすの前輪が乗り上げていた。 マットの敷き位置を移乗側の反対側へ変更する(担当:フロアリーダー/7月20日実施)。 1か月後に、当該居室の移乗に関する報告の有無を確認する。
情報|伝わっていない 食形態の変更が申し送りノートにのみ記載され、食札へ反映されていなかった。 変更は申し送りノートと食札の両方へ記載し、両方を確認してから配膳する(担当:フロアリーダー/7月22日から)。 2か月後に、食形態に関する報告の件数を確認する。
情報|届く範囲が狭い 対策を決めた後、出席者のみへ口頭で伝えており、欠席者と非常勤へ届いていなかった。 決めた対策は掲示・申し送りノート・端末の3か所へ記載し、周知記録に全職員の確認欄を設ける(担当:管理者/7月26日から)。 3か月後に、周知記録の確認欄の記入率を確認する。
情報|戻ってこない 報告した後の分析の結果が現場へ返らず、「出しても何も変わらない」という受け止めが生じていた。 検討の場で分析した結果を、翌週の申し送りで報告者へ返し、記録に残す(担当:管理者/8月から毎月)。 3か月後に、月あたりの報告件数の推移と、報告者の人数の推移を見る。
情報|記録の場所が分かれる 事故の記録・ヒヤリハットの記録・苦情の記録が同じ綴りに混在し、後から探せない状態だった。 3種類の記録の綴りを分けて保存し、背表紙に種別を明記する(担当:事務職員/7月25日まで)。 綴りを分けた後、直近3か月分を種別ごとに数え、件数の内訳を確認する。
情報|家族へ届いていない ご家族へ連絡する基準が定まっておらず、連絡した記録も残っていなかった。 連絡の基準を明文化し、報告様式へ「ご家族・担当介護支援専門員への連絡」の欄を設ける(担当:管理者/8月様式から)。 3か月後に、連絡欄の記入率と、記入内容の具体性を確認する。
情報|引き継がれない 食事介助の担当が日ごとに変わり、ご本人のペースが次の担当へ引き継がれていなかった。 ご本人ごとのペースの目安を食札の裏へ記載し、担当を週単位で固定する(担当:管理栄養士/7月25日まで)。 2か月後に、食事の場面の報告のうち、ペースに触れたものの件数を確認する。
情報|外部と共有されない 清掃の委託業者との間で、利用者の動線に物を置かない取り決めがなかった。 業者との申し合わせ書へ「清掃薬剤は施錠できるカートで運用し床に置かない」と明記する(担当:管理者/7月末まで)。 3か月後に、清掃の時間帯に発生した報告の件数を確認する。
情報|本人へ届いていない 「離床は職員が行う」という説明が、午睡後のご本人には残っていなかった。 「呼んでください」の掲示を、視線を向けやすいベッド正面へ設置する(担当:介護職員/7月23日)。 1か月後に、当該利用者のナースコールの使用回数と報告の件数を並べて見る。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

どこからを事故として扱うか|線引きの記入欄つき対照(14観点)

「どこからが事故か」は、記事や研修で一般論を読んでも決まりません。報告の対象となる事故の範囲・様式・提出先は、指定を受けた保険者(指定権者)の定めによります。仙台市の集団指導資料には、口頭指摘として「報告が必要となる事故の程度を把握していない」が挙げられています。以下は、事業所内で線引きを文書化するときの観点と、右端に自事業所の定めを書き込む欄を置いた対照です。この表を印刷し、右端の欄を保険者の資料を見ながら埋めることが、そのまま基準の文書化になります。

観点 ヒヤリハットの記録として整理した場合の書きぶり 事故の記録として整理した場合の書きぶり 保険者の定め・自事業所の基準(記入欄)
身体への接触 床への接触はなく、職員が支えたことで動作が止まった旨を記載する。 床・設備への接触があった部位と、接触時の姿勢を記載する。 (記入欄:保険者の資料に沿って記入)
外傷の有無 視診で発赤・腫脹・出血のいずれも認めない旨と、確認した部位を記載する。 外傷の部位・大きさ・程度と、確認した時刻を記載する。 (記入欄)
受診の有無 受診はなく、事業所内での観察で経過した旨と、観察の時刻を記載する。 受診先・受診時刻・診断の内容・指示された処置を記載する。 (記入欄)
投薬・処置の有無 処置は行っていない旨を記載する。 行った処置の内容と実施者、指示の出所を記載する。 (記入欄)
誤薬(口に入る前) 手渡し前に気づき、開封・内服のいずれにも至っていない旨を記載する。 — (記入欄:誤薬の取り扱いは保険者の定めをご確認ください)
誤薬(口に入った後) — 内服した薬剤・量・時刻と、処方医または薬剤師へ相談した内容を記載する。 (記入欄)
飲み忘れ・落薬 薬包が未開封で残っていた旨と、看護職員の指示を受けた内容を記載する。 服用されなかった薬剤と、処方元へ相談した内容・助言を記載する。 (記入欄)
誤嚥・むせ込み 咳嗽で喀出され、酸素飽和度と呼吸音に変化がなかった旨を記載する。 吸引の実施・酸素飽和度の低下・呼吸状態の変化と、その後の経過を記載する。 (記入欄)
所在の確認 敷地内・館内で所在を確認できた旨と、確認までの経過時間を記載する。 敷地外へ出られた経路・時間・確認に関わった機関を記載する。 (記入欄:無断外出の取り扱いは保険者の定めをご確認ください)
利用者どうしの関わり 職員が間に入り、身体の接触がなかった旨を記載する。 接触の有無・部位・双方の状態と、双方への説明の内容を記載する。 (記入欄)
個人情報 送信・交付の前に気づき、外部への流出がない旨を記載する。 流出した情報の範囲・相手方・その後の回収の状況を記載する。 (記入欄)
機器・用具 使用前の点検で不具合を発見し、使用していない旨を記載する。 使用中の不具合の状況と、利用者への影響、事業者への連絡内容を記載する。 (記入欄)
送迎中 停車・降車の前に気づき、走行や乗降に影響がなかった旨を記載する。 走行中の事象の内容・停車の判断・利用者の状態を記載する。 (記入欄:送迎中・通院間の取り扱いは保険者の定めをご確認ください)
ご家族・介護支援専門員への連絡 事業所の連絡基準に照らした判断と、判断者・判断の時刻を記載する。 連絡した相手・時刻・伝えた内容・相手方の反応を記載する。 (記入欄)

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

サービス種別ごとに起きやすい場面と、確認の対象になる文書(11種別)

ヒヤリハットの記録は、運営指導の場では単独で見られるのではなく、事故発生時の対応の一部として確認されます。厚生労働省の運営指導マニュアル別添1では、多くのサービスで「事故発生時の対応」の確認文書として、事故対応マニュアル・市町村や家族等への報告記録・再発防止策の検討の記録とともに「ヒヤリハットの記録」が挙げられています。介護老人福祉施設・介護老人保健施設では、これに加えて「事故発生の防止のための指針」「事故発生の防止のための委員会議事録」「研修の記録」「担当者の設置」が確認の対象として示されています。

サービス種別 起きやすい場面(記録が薄くなりやすいもの) 別添1で示されている確認項目 確認文書として挙げられているもの
訪問介護 移乗・入浴・調理の火の元・住環境の段差・単独訪問での判断・鍵の取り扱い 事故が発生した場合の対応方法は定まっているか/市町村、家族、居宅介護支援事業者等に報告しているか/事故状況、対応経過が記録されているか/再発防止のための取組を行っているか 事故対応マニュアル/市町村、家族、居宅介護支援事業者等への報告記録/再発防止策の検討の記録/ヒヤリハットの記録
訪問入浴介護 浴槽の設置場所・湯温・移乗・住環境の狭さ・機器の搬入経路 事故が発生した場合の対応方法は定まっているか/市町村、家族、居宅介護支援事業者等に報告しているか/事故状況、対応経過が記録されているか/再発防止のための取組を行っているか 事故対応マニュアル/市町村、家族、居宅介護支援事業者等の報告記録/再発防止策の検討の記録/ヒヤリハットの記録
訪問看護 医療処置の手技・薬剤の取り扱い・単独での判断・連絡の遅れ・記録の転記 事故が発生した場合の対応方法は定まっているか/市町村、家族、居宅介護支援事業者等に報告しているか/事故状況、対応経過が記録されているか/再発防止のための取組を行っているか 事故対応マニュアル/市町村、家族、居宅介護支援事業者等への報告記録/再発防止策の検討の記録/ヒヤリハットの記録
通所介護 送迎の乗降・入浴・食事と誤嚥・フロアでの移動・利用者どうしの関わり・持参品 事故が発生した場合の対応方法は定まっているか/市町村、家族、居宅介護支援事業者等に報告しているか/事故状況、対応経過が記録されているか/再発防止のための取組を行っているか 事故対応マニュアル/市町村、家族、居宅介護支援事業者等への報告記録/再発防止策の検討の記録/ヒヤリハットの記録
通所リハビリテーション 訓練中の転倒・機器の操作・送迎・体調の変化・個別の負荷設定 事故が発生した場合の対応方法は定まっているか/市町村、家族、居宅介護支援事業者等に報告しているか/事故状況、対応経過が記録されているか/再発防止のための取組を行っているか 事故対応マニュアル/市町村、家族、居宅介護支援事業者等への報告記録/再発防止策の検討の記録/ヒヤリハットの記録
短期入所生活介護 初日の環境の違い・夜間の所在・持参薬の取り扱い・食形態の引き継ぎ 事故が発生した場合の対応方法は定まっているか/市町村、家族、居宅介護支援事業者等に報告しているか/事故状況、対応経過が記録されているか/再発防止のための取組を行っているか 事故対応マニュアル/市町村、家族、居宅介護支援事業者等への報告記録/再発防止策の検討の記録/ヒヤリハットの記録
介護老人福祉施設 夜間の転倒・転落・誤薬・誤嚥・皮膚の損傷・所在の確認・機器の不具合 上記に加えて、事故発生の防止のための委員会及び従業者に対する研修を定期的に行っているか/上記の措置を適切に実施するための担当者を設置しているか 事故発生の防止のための指針/事故対応マニュアル/市町村、家族等への報告記録/再発防止策の検討の記録/ヒヤリハットの記録/事故発生防止のための委員会議事録/研修の記録
介護老人保健施設 リハビリ中の転倒・医療処置・入退所時の引き継ぎ・薬剤の変更・夜間の離床 上記に加えて、事故発生の防止のための委員会及び従業者に対する研修を定期的に行っているか/上記の措置を適切に実施するための担当者を設置しているか 事故発生の防止のための指針/事故対応マニュアル/市町村、家族等への報告記録/再発防止策の検討の記録/ヒヤリハットの記録/事故発生の防止のための委員会議事録/研修記録
認知症対応型共同生活介護 所在の確認・利用者どうしの関わり・調理や家事の場面・夜間の単独勤務 事故が発生した場合の対応方法は定まっているか/市町村、家族、居宅介護支援事業者等に報告しているか/事故状況、対応経過が記録されているか/再発防止のための取組を行っているか 事故対応マニュアル/市町村、家族、居宅介護支援事業者等への報告記録/再発防止策の検討の記録/ヒヤリハットの記録
小規模多機能型居宅介護 通い・泊まり・訪問をまたぐ引き継ぎ・送迎・宿泊時の所在・薬の管理の切り替え 事故が発生した場合の対応方法は定まっているか/市町村、家族、居宅介護支援事業者等に報告しているか/事故状況、対応経過が記録されているか/再発防止のための取組を行っているか 事故対応マニュアル/市町村、家族、居宅介護支援事業者等への報告記録/再発防止策の検討の記録/ヒヤリハットの記録
福祉用具貸与・居宅介護支援 用具の不具合・搬入時の住環境・訪問時の情報の取り違え・書類の宛先 事故が発生した場合の対応方法は定まっているか/市町村、家族等に報告しているか/事故状況、対応経過が記録されているか/再発防止のための取組を行っているか 事故対応マニュアル/市町村、家族等への報告記録/再発防止策の検討の記録/(福祉用具貸与)ヒヤリハットの記録

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

自治体が公表している指摘と、報告書のどの欄で受け止めるか(10件)

ヒヤリハットに関する指摘は、単独で出るよりも「事故発生時の対応」の一部として出ています。以下は自治体が公表している資料に実際に記載されている内容と、それを報告書のどの欄で受け止めるかの対応です。

公表資料に記載されている内容 出典(資料名) 報告書のどの欄で受け止めるか 今日からできること
誤薬・転倒等、介護事故として記録すべきものを、ヒヤリ・ハット事例として記録している。事故・ヒヤリハット・苦情の記録は分けて保存・整備する。 神戸市「介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)」(令和7年3月) 「この記録の位置づけ」欄。どこで止まったか(接触・内服・受診の有無)を書き、分類の根拠を残す。 3種類の記録の綴りを分け、背表紙に種別を明記する。分類の基準を1枚の紙にして綴りの先頭へ入れる。
再発防止策の検討が不十分なため、同様の事故が繰り返し発生している(例:見守り強化のみを対策として挙げている)。 神戸市「介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)」(令和7年3月) 「再発防止策」欄。担当・期限・変えるものの3点を必ず書く形にする。 様式の再発防止欄を「誰が/いつまでに/何を変えるか」の3列に割る。
誤薬について事故報告書が提出されていない。事故報告書を提出すべき案件についてヒヤリハットで処理している。誤薬時は職員のみで判断せず処方した医師や薬剤師に相談する。 津山市環境福祉部高齢介護課「令和5年度 津山市 地域密着型サービス事業者 集団指導資料」 「その後の対応」欄と「報告先」欄。処方医・薬剤師への相談の有無と内容を書く欄を設ける。 与薬に関する様式へ「処方医・薬剤師への相談:有/無・相談内容」の欄を追加する。
事故発生の防止の観点から、ヒヤリハット事例の報告を増やすこと。運営指導では介護事故の件数よりヒヤリハット報告の件数の方が少ない事例が見受けられる。取組例として様式の簡素化・記載例の作成・研修等を通じた趣旨説明(懲罰目的ではないこと)が示されている。 名古屋市「運営指導に係る主な指摘事項(介護保険施設版)」(令和5年1月5日) 様式そのもの。欄を減らし、記載例を様式の裏面へ印刷する。 様式をA4片面に収め、裏面へ本記事の完成文を1例貼る。研修の資料へ「懲罰目的ではない」旨を明記する。
事故発生時に家族・介護支援専門員へ連絡した記録がない。再発防止の検討がされていない、検討内容が具体的に記録されていない。誤配薬の例では、利用者の間違いか薬の間違いかで改善内容が異なる。 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1 「報告先と報告時刻」欄と「要因(分析)」欄。連絡先ごとに時刻を書く行を設ける。 報告先の欄を「看護職員/管理者/ご家族/担当介護支援専門員/保険者」の行に分け、時刻を書く形にする。
過去約2年間で骨折等の事故が発生しているが市への報告をしていない。報告が必要となる事故の程度を把握していない。 仙台市介護事業支援課「令和6年度 運営指導方針・令和5年度 運営指導結果等【居宅サービス指導係 所管サービス】」(令和6年6月 集団指導) 「この記録の位置づけ」欄。保険者の基準を引用して、その場で判断できる形にする。 保険者が公表している事故報告の範囲を1枚に印刷し、報告様式の綴りの先頭へ入れる。
事故の状況及び事故に際して採った処置について記録されていない。原因の究明や再発防止策がとられていない。事故発生防止のための指針が整備されておらず、対応経過が不明確(介護保険施設)。 北海道(後志総合振興局)「実地指導における主な指摘事項について」(資料3-2) 「発生時の状況」欄と「その後の対応」欄。時刻を追って処置を書く形にする。 「その後の対応」欄を時刻の列つきの3行以上の表にする。指針の整備状況を年1回点検する。
事故発生の防止のための委員会や研修を行っていない・指針を整備していない事例が公表されている(有料老人ホーム一般検査結果)。 長野県健康福祉部地域福祉課福祉監査担当「令和6年度有料老人ホーム一般検査結果の概要(サービス付き高齢者向け住宅を含む。)」 「確認者・共有」欄。いつの検討の場にかけ、いつ周知したかを書く。 報告書の末尾へ「検討の場にかけた日/議事録の番号/周知した日」の3欄を追加する。
事故の状況や講じた処置を記録しておらず詳細・対応・再発防止策が不明確、保険者への事故報告を行っていない等の指摘がある。 東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) 「発生時の状況」「その後の対応」「再発防止策」の3欄。1つでも空欄があれば提出しない運用にする。 3欄が空欄の報告書は受理しない旨を、管理者の確認の手順として明記する。
身体的拘束等の記録(態様・時間・心身の状況・理由)が残されていない。 千葉県「指導監査の状況について」(令和7年度介護保険指定事業者集団指導資料) 拒否や強い言動の場面の報告で、身体に触れた対応があった場合の記載欄。 拒否の場面の報告様式に「身体に触れる対応の有無」の欄を設け、有の場合は別途の記録へつなぐ。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

月次の集計表と、そのまま使える共有・掲示の文(12軸)

報告書は集めた時点では材料にすぎません。名古屋市の資料には、事故発生防止委員会等で検討された結果を介護職員等に適切にフィードバックすることが示されています。「出しても何も変わらない」と受け止められた瞬間に報告は止まるので、月次で数えて、返すところまでを一つの工程にします。以下は月次の集計表の軸と、集計から何を読み取るかの対照です。

集計の軸 数える単位 読み取ること 今月の数(記入欄)
総件数 1か月に提出された報告書の枚数 前月からの増減。急に減った月は、出来事が減ったのではなく報告が止まっている可能性を先に疑う。 (  件/前月  件)
報告した人数 報告書を1枚以上出した職員の実人数 件数が同じでも、出す人が数人に偏っていれば、報告しにくい人がいることを示す。 (  人/職員数  人)
時間帯 2時間ごとの区分(6時台から順に) 特定の時間帯に集中していないか。人員配置の表と重ねて見る。 (最多の時間帯:  時台  件)
場所 居室・トイレ・浴室・廊下・食堂・玄関・屋外・車内 同じ場所で繰り返していないか。3件以上の場所は、設備の改修の候補にする。 (最多の場所:     件)
種類 転倒・転落/誤薬/誤嚥・窒息/異食/熱傷/皮膚/所在/対人/機器/情報 どの種類が多いか。研修の題材を決める根拠にする。 (最多の種類:     件)
対象者 報告に登場した利用者の実人数と、上位3名の件数 同じ方に集中していないか。集中している場合は、計画の見直しの対象にする。 (上位1名:  件)
職種 介護職員・看護職員・機能訓練指導員・運転手・事務職員 職種による報告のしやすさの差。差が大きい職種には様式の説明を行う。 (最多の職種:     件)
止まった理由 職員が支えた/本人が支えを取った/設備で止まった/気づいて中止した 何が働いて止まったか。有効だった仕組みを他の場面へ広げる材料にする。 (最多の理由:     件)
要因の分類 人/方法/環境/モノ/情報 「人」に偏っていれば、分析が個人に寄っている可能性を疑う。 (人 件/方法 件/環境 件/モノ 件/情報 件)
対策の実施状況 期限内に実施/実施中/未着手 決めた対策が実行されているか。未着手が続く対策は、実行できない設計になっている。 (実施 件/実施中 件/未着手 件)
事故の記録との比較 同月の事故の記録の件数と並べる ヒヤリハットの件数が事故の件数を下回っていないか。名古屋市の資料でも、下回る事例が見受けられると記載されている。 (ヒヤリ 件/事故 件)
周知と返し 検討の場にかけた件数/現場へ返した件数 報告が分析を経て現場へ戻っているか。戻っていない報告は、次の月の件数を減らす。 (検討 件/返し 件)

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

集計したあとに必要なのは、返す言葉です。以下は、そのまま使える共有・掲示・議事録の文です。数字だけを貼っても読まれないので、「何が分かったか」と「何を変えるか」を1行ずつ添えます。

場面 そのまま使える完成文
月次の掲示(フロア) 7月のヒヤリハット報告は18件で、6月より4件増えました。増えたのは報告しやすくなったためと考えています。いちばん多かったのは14時から16時の時間帯(7件)で、午睡後の離床が重なる時間でした。8月から離床の順序を変え、自力で立ち上がる動作が見られる方から先に回します。書いてくださった皆さん、ありがとうございました。
申し送りでの口頭の返し 先週の報告について、検討の場で分析しました。原因は個人の確認不足ではなく、配薬車がテーブルから離れていて、照合の場所と手渡す場所が分かれていたことでした。今週から配薬車をテーブルの横まで運びます。報告してくれたおかげで気づけました。
検討の場の議事録(冒頭) 令和8年8月1日(金)16時00分から16時40分、事務室にて、事故発生の防止に関する検討を行った。出席者は管理者・看護職員2名・介護主任・フロアリーダー2名・機能訓練指導員の計7名。7月に提出されたヒヤリハット報告18件と事故の記録2件を対象に、時間帯・場所・種類・要因の分類で集計し、上位の3件について要因の分析と対策の検討を行った。
検討の場の議事録(対策の決定) 対策1:午睡後の離床の順序を変更する(担当:フロアリーダー、開始:8月4日、確認:9月1日の検討の場)。対策2:ベッド柵を介助バーへ交換する(担当:福祉用具担当、期限:8月29日、確認:9月1日)。対策3:ナースコールの位置を毎日確認し、記録へ残す(担当:日勤者全員、開始:8月4日、確認:9月1日)。いずれも8月2日の全体申し送りで周知し、周知記録へ出席者名を記載する。
周知の記録 令和8年8月2日(土)17時00分、全体申し送りにて、8月1日の検討の場で決定した対策3件を説明した。出席者12名(別紙の署名のとおり)。欠席者4名へは、掲示・申し送りノート・端末の3か所へ記載し、8月5日までに全員の確認欄への記入を得た。
研修での趣旨の説明 ヒヤリハットの報告は、書いた人の失敗を記録するためのものではありません。同じことが次に起きないように、しくみのどこを変えればよいかを見つけるための材料です。報告の内容を人事の評価に用いることはありません。名前を書きたくない場合は、無記名の様式を使ってください。分析した結果は、翌週の申し送りで必ずお返しします。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

最後に、書き分けの原則を一つだけ繰り返します。ヒヤリハットの報告書に書くべきは「何が起きなかったか」ではなく、「どこで、何によって止まったか」です。止まった理由が書かれていれば、その仕組みを他の場面へ広げることができます。止まった理由が書かれていなければ、次に同じことが起きたときに何が違ったのかを説明できません。本記事の完成文は、いずれもこの一点を軸に組み立ててあります。

なお、記録や様式の整備は事業所の運営の一部ですが、介護保険法に基づく届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。加算や体制の届出に関わる判断は、告示の定めと自事業所の登録内容を対照したうえで、保険者(指定権者)にご確認ください。本記事は書き方の材料をお示しするものであり、個別の判断を示すものではありません。

よくある質問(FAQ)

ヒヤリハットとは?
事故には至らなかったものの、ヒヤリとした出来事のことです。
何のために書きますか?
要因を分析し、事故の再発を防ぐために記録・共有します。
書き方のコツは?
状況・要因・対応・再発防止を、責めるためでなく改善のために書きます。
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
カイポケをご利用中でなくても、神マナは単体で問題なくご利用いただけます。「マナドライブ」で帳票類の管理・網羅もでき、まず神マナを導入して後からカイポケを連携することも可能です。カイポケの導入をご希望の際は、当社からサポート担当へお繋ぎします。詳しくは「カイポケ導入相談・お見積り」の案内ページをご覧ください。
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場面別|ヒヤリハット報告の文例

ヒヤリハットは「至らなかった」ことを書くものです。事実と、なぜ至らなかったかを残します。

場面 報告の文例
転倒しかけた 10時15分、居室からトイレへ向かう際、廊下でふらつかれ、壁に手をついて止まる。介助者が0.5m後方におり、接触はなし。床に水滴あり。
ベッドからの転落 2時の巡回時、ベッド柵の外側に右足が出ている状態を発見。柵が1本外れていた。本人に外傷なし。
誤薬 朝食後薬を配薬時、同姓の利用者のケースを手に取る。手渡す前に名前を照合し、誤りに気づく。内服には至らず。
誤嚥 昼食のみそ汁でむせ込み。咳嗽で喀出され、経皮的動脈血酸素飽和度は97%を維持。とろみの追加で以後むせなし。
やけど 入浴前に湯温を確認したところ43度。本人は未入浴。湯温計の設置場所を変更。
離設 15時、玄関の自動ドア付近に立たれているところを職員が発見。外には出ていない。開錠の時間帯であった。
無断外出のおそれ 面会者の退出時に一緒に出ようとされる。職員が声をかけ、居室へ戻られる。
薬の飲み忘れ 夕食後、テーブルに薬包が残っているのを発見。本人は「飲んだ」と話されるが未内服。看護師へ報告。
移乗時のひやり 車いすへの移乗時、ブレーキが片側かかっておらず車いすが動く。介助者が支え、転倒には至らず。
送迎車での事故 送迎車の乗降時、ステップに足がかかりバランスを崩す。運転手が支える。
食札の間違い 配膳時、きざみ食の方に常食が配られていることに、食事開始前に気づく。
入浴中の体調変化 入浴中に「気分が悪い」と訴えあり。すぐに退浴介助。血圧98/60。臥床にて休まれ、20分後に改善。
個人情報 FAXの送信先を誤り、送信直前に気づいて中止。宛先の登録名が類似していた。
機器の不具合 エアマットの送気が停止しているのを発見。電源プラグが抜けていた。皮膚に発赤なし。
感染対策 嘔吐物の処理時、手袋の交換を忘れかけたが、他職員の声かけで気づく。
身体拘束のおそれ 車いすのベルトを、本人の同意なく装着しようとしたが、装着前に気づいて中止。

要因別|ヒヤリハットの分析と対策の文例

ヒヤリハットは「至らなかった理由」を書くのが要点です。何が働いて事故にならなかったのかが分かると、その仕組みを他の場面にも広げられます。

要因 なぜ起きたか 変えたこと
人(確認不足) 配薬時に氏名を照合していなかった 手渡す直前に、本人と一緒に名前を読み上げる手順にした
人(思い込み) いつも自立している方だと思い込み、見守りをしなかった その日の状態で判断するよう、朝の申し送りで共有
人(経験不足) 新人が移乗の手順を知らなかった 移乗の手順を写真つきで掲示し、初回は同行する
人(急いでいた) 送迎の時間に追われ、ブレーキを確認しなかった 出発前の確認項目を声に出す運用にした
物(設備) 浴室の床が濡れて滑りやすかった 入浴のたびに床を拭き、滑り止めマットを追加
物(用具) 歩行器のブレーキの効きが弱かった 月1回の点検表を作り、事業者へ調整を依頼
物(配置) ベッドとポータブルトイレの距離が遠かった 距離を30cm縮め、動線に物を置かない
物(照明) 夜間の廊下が暗かった センサーライトを2か所設置
手順(決まっていない) おむつ交換後の体位が人によって違った 体位変換の順番を表にして掲示
手順(守られていない) 2人介助の対象者を1人で介助した 対象者の一覧を作り、居室に印を貼った
手順(伝わっていない) 食形態の変更が全員に伝わっていなかった 変更は申し送りノートと端末の両方に記載する
環境(時間帯) 夕方に事故が集中していた 16時台の職員配置を1名増やした
環境(場所) 同じ場所で3回起きていた その場所の動線を見直し、手すりを追加
環境(音) ナースコールが聞こえにくかった 音量を上げ、通知先を増やした
本人(体調) 薬の変更後にふらつきが増えた 主治医へ報告し、変更後1週間は見守りを強化
本人(意欲) 自分でやりたい気持ちが強く、無理をされた できる範囲を本人と一緒に確認し、声かけの言い方を統一
本人(認知) ナースコールの使い方を忘れてしまう 見える位置に置き、押し方を毎回一緒に確認
連携(家族) 自宅での状況が伝わっていなかった 連絡帳に「ご家庭でのご様子」欄を追加
連携(他事業所) 通所での変化が訪問側に伝わっていなかった ケアマネジャー経由で月1回、情報を共有
連携(医療) 服薬の変更を把握していなかった 受診後にお薬手帳を確認する手順にした

集計して見えること

集計の切り口 見えること
時間帯別 人手が薄い時間帯が分かる
場所別 同じ場所で繰り返していないか
利用者別 特定の方に集中していないか
職員の経験年数別 教育でカバーできる部分か
要因別(人・物・手順・環境) どこに手を打つと効くか
曜日別 特定の曜日の体制に偏りがないか
内容別(転倒・誤薬・誤嚥等) 優先して対策する種類
報告した職員別 報告しやすい雰囲気があるか
事故に至った割合 ヒヤリハットと事故の比率
対策後の再発 打った手が効いているか

「起きたこと・した対応・その結果」を1件ずつ追う書き方は、フォーカスチャーティングの考え方と同じです。

事故に至った場合の記録と報告は訪問介護の緊急時・事故対応をご覧ください。

この記事の執筆・編集

介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

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