介護記録は、作って終わりではなく「一定期間の保存」と「個人情報の適切な管理」が求められます。保存期間の目安と、個人情報の扱い・電子保存の注意点を整理します。
介護記録の保存期間
介護保険サービスの記録は、原則としてサービスを提供した記録の完結の日から2年間の保存が必要とされています。ただし、自治体の条例で5年間の保存を定めている場合があり、医療や契約に関わる書類は別の期間が定められていることもあります。自事業所の所在地のルールを必ず確認してください。
なぜ保存が必要か
- 介護報酬を請求した根拠になる
- 実地指導・監査での確認に使われる
- 事故やトラブルが起きたときの事実確認に必要
個人情報の取り扱い
- 利用目的を明確にし、本人に説明する。
- 第三者へ提供するときは、原則として本人の同意を得る。
- 漏えい・紛失を防ぐ安全管理措置を講じる。
電子保存のポイント
- 定期的なバックアップ
- 職員ごとのアクセス権限の管理
- 記録の改ざん防止(変更履歴が残るしくみ)
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介護記録の保存期間の考え方
介護記録には保存期間が定められています。基本的な考え方を整理しました(具体的な年数は自治体の条例等で異なります)。
| 項目 | 考え方 |
|---|---|
| 保存期間 | 介護保険の記録は、原則として一定期間の保存が必要(自治体の条例で年数が異なる) |
| 起算点 | サービス提供の完結の日などから数える |
| 個人情報の扱い | 利用目的の範囲で管理し、安全に保管・廃棄する |
算定要件・単位数・様式は介護報酬改定や自治体により異なります。実際の運用にあたっては最新の告示・通知・条例等でご確認ください。
記録の種類別・保存の考え方
介護保険の記録は、完結の日から2年間保存することとされているものが基本です(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準/平成11年厚生省令第37号)。ただし自治体の条例で5年としている場合があり、実務上は5年で運用する事業所もあります。
| 記録の種類 | 保存の考え方 |
|---|---|
| サービス提供の記録(実施記録等) | 完結の日から2年間。自治体により5年 |
| 計画書(居宅サービス計画・訪問介護計画等) | 同上。ケアプランとの整合が確認できる形で |
| サービス担当者会議の記録 | 同上 |
| 苦情の内容等の記録 | 同上 |
| 事故の状況・処置の記録 | 同上 |
| 契約書・重要事項説明書 | 契約終了後も一定期間保管する運用が一般的 |
電子データで保存するときに確認すること
- いつでも出せる状態か——運営指導で求められたときに、その場で表示・印刷できるか
- 改ざんできない仕組みか——誰がいつ書いたか、修正したかが分かる
- バックアップがあるか——1か所だけに保存していないか
- ソフトを乗り換えたときに引き継げるか——データを出力できる形式かを契約前に確認
- 個人情報の管理——保存先、アクセスできる人、保存期間を事業所として定める
紙と電子が混在している場合
移行の途中では、紙と電子が混ざることがあります。どちらに何があるかの一覧を作っておくと、確認を受けたときに探す時間を減らせます。
- 「◯年◯月以前は紙、それ以降は電子」と区切りを決める
- 紙の保管場所と、電子の保存先を一覧にする
- 両方に同じ記録があると混乱するため、正本をどちらにするか決める
記録の書き方全般は介護記録の書き方まとめ、運営指導で見られる点は監査対策ナビをご覧ください。
書類別の保存期間(早見)
| 書類 | 保存期間の考え方 |
|---|---|
| 介護保険の記録(サービス提供記録、計画書、実績記録票など) | 原則、完結の日から2年間。ただし都道府県・市区町村の条例で5年とされる場合があります |
| 事故に関する記録 | 2年より長く保存する事業所が多くあります。損害賠償の時効を踏まえた判断が要ります |
| 苦情に関する記録 | 完結の日から2年間が原則 |
| 医療保険の訪問看護の記録 | 完結の日から2年間 |
| 労働者名簿・賃金台帳など労務関係 | 労働基準法の定めによります |
| 契約書・重要事項説明書 | 契約終了後も一定期間保存する運用が一般的です |
⚠「2年」は全国一律ではありません。条例で5年としている自治体があるため、自事業所の所在地の定めを必ず確認してください。複数の市区町村の利用者を受けている場合は、長いほうに合わせるのが安全です。
紙で保管する場合
- 施錠できる場所に保管し、鍵の管理者を決める
- 年度・利用者ごとに分け、廃棄の年を箱に書いておく
- 持ち出しの記録を残す(誰が、いつ、何を)
- 水濡れ・火災を想定し、重要なものは分散させる
電子で保管する場合
- 保存期間中、閲覧・出力できる状態を保つ(サービス終了時にどうなるかを確認)
- バックアップの場所と頻度を決める
- いつ誰が編集したかの履歴が残る仕組みであること
- アクセスできる範囲を職種・拠点で分ける
- 退職者のアカウントを速やかに停止する
廃棄するとき
- 個人情報が復元できない方法で行う(シュレッダー、溶解、データの完全消去)
- 廃棄した日・対象・方法・担当者を記録に残す
- 委託する場合は、廃棄証明書を受け取る
- 保存期間が残っているものが混ざっていないか、廃棄前に確認する
保存期間について現場から多い質問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 「完結の日」はいつか | そのサービスの提供が終了した日が基本です。判断に迷う場合は保険者に確認します |
| 利用者が亡くなった場合 | 完結の日から起算します。ご遺族からの開示請求に備え、長めに保存する事業所もあります |
| スキャンして紙を捨ててよいか | 電子で保存する場合の要件(改ざん防止、検索性、出力可能性)を満たす必要があります |
| 事業所を閉じるとき | 保存期間が残っている記録の保管方法を、指定権者に確認します |
| 複数の市区町村の利用者がいる | 条例の定めが異なる場合は、長いほうに合わせるのが安全です |
保管の担当を決める
- 年度ごとの保管責任者を1人決める
- 廃棄の予定年を、箱またはフォルダ名に書いておく
- 年1回、保存期間が過ぎたものを確認する日を決める
- 担当者が退職するときの引き継ぎ項目に入れる
介護記録の保存|そのまま使える文例
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。状態・数値は実際の記録に置き換えてご使用ください。
| 書類 | 保存期間の考え方 | 起算日 | 注意 |
|---|---|---|---|
| サービス提供に関する記録 | 市町村の条例による(5年間としている自治体がある) | サービス提供の完結の日 | 「提供の日から2年」としていた例が指摘されている |
| 居宅サービス計画・個別サービス計画 | 同上 | 完結の日 | 変更のたびの版も含めて保存する |
| アセスメント・モニタリングの記録 | 同上 | 完結の日 | 計画とセットで保存する |
| サービス担当者会議の記録 | 同上 | 完結の日 | 照会の記録も含める |
| 支援経過記録 | 同上 | 完結の日 | 日付順に整理する |
| 事故・ヒヤリハットの記録 | 同上 | 完結の日 | 保険者への報告の控えも一緒に |
| 苦情の内容と対応の記録 | 同上 | 完結の日 | 対応の経過まで残す |
| 身体的拘束等を行った記録 | 同上 | 完結の日 | 態様・時間・理由をすべて含む |
| 契約書・重要事項説明書(同意欄つき) | 同上 | 契約終了の日 | 同意の署名がある版を残す |
| 請求・給付管理に関する記録 | 同上 | 完結の日 | 返戻・過誤の記録も含める |
| 研修の記録(虐待防止・身体拘束・感染症・業務継続計画) | 事業所の運営規程による | 実施の日 | 参加者名簿と資料もセットで |
| 勤務表・雇用に関する書類 | 労働関係法令による | — | 介護保険の保存期間とは別に定めがある |
介護記録の保存|運営指導で公表されている指摘
| 公表されている指摘 | 公表元 |
|---|---|
| 提供したサービスの内容だけでなく利用者の心身の状況(利用者の様子等)についても記録することとされ、「特変なし」等しか書かれていない記録が見受けられる | 松山市の運営指導での主な指摘事項に関する資料 |
| サービス実施時間が一律に記載されており実態が反映されていない/変更した際に変更した旨とその理由が記録されていない/特記・連絡事項欄に利用者の状況がほとんど記載されていない/サービス提供責任者による記録の点検が十分に行われていない | 堺市の集団指導資料「サービスの提供の記録」 |
| サービス提供に関する記録等の保存年限は市条例に則り5年間とすること。運営規程等に保存年限を記載している場合は誤りがないか確認すること | 金沢市の資料 |
| 記録の保存期間について、サービスの「完結」の日から「5年間」と記載すべきところ、「サービス提供の日」「2年間」となっている例 | 福井市の令和7年度集団指導資料 |
要件・運用は保険者により異なります。詳細は監査対策ナビと各自治体の公表資料をご確認ください。
介護記録の保存|避けたい書き方と言い換え
| 避けたい書き方 | 気をつけたい理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 保存期間を「2年」と書いている | 5年間としている自治体があり、指摘された例がある | 自治体の条例を確認し、運営規程の記載と一致させる |
| 起算日を「提供の日」としている | 「完結の日」とすべきところと指摘されている | 完結の日から起算する旨を運営規程に書く |
| 紙と電子が混在していて所在が分からない | 必要なときに出せない | どの書類をどこに置くかの一覧を作る |
| 電子データのバックアップがない | 消失に備えられていない | 保存先と復旧の手順を決めておく |
| 担当者が決まっていない | 抜けが起きる | 書類ごとに保管の担当を決める |
| 廃棄の記録がない | いつ何を捨てたか示せない | 廃棄した日・書類名・方法を記録する |
| 運営規程の記載と実態が違う | 公表資料で名指しされている | 規程を見直し、変更があれば10日以内に変更届を出す |
介護記録の保存|紙と電子で確認することの違い
| 項目 | 紙で保管する場合 | 電子で保管する場合 |
|---|---|---|
| 所在 | どの棚のどのファイルか一覧にする | どのフォルダ・どのシステムかを一覧にする |
| アクセス | 鍵のかかる場所に置く | 権限を設定し、誰が見られるかを決める |
| 検索 | 年度・利用者ごとに分ける | 命名規則を決めておく |
| バックアップ | — | 保存先を複数にし、復旧の手順を決める |
| 改ざん防止 | 記入は消えない筆記具で。訂正は二重線と押印 | 更新履歴が残る仕組みにする |
| 保存期間の管理 | 年度ごとに箱を分け、廃棄予定年を書く | 削除予定日を管理表で持つ |
| 廃棄 | 溶解・シュレッダーの記録を残す | 完全削除の記録を残す |
| 持ち出し | 持ち出し簿をつける | 端末の持ち出しと画面の取り扱いを決める |
業種別の書き方は介護記録の書き方まとめ、訪問介護は実施記録の書き方、訪問看護は記録書Ⅱの書き方をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
介護記録の保存期間は?
いつから数えますか?
個人情報の注意点は?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
出典:厚生労働省ウェブサイト/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。加算・単位数・要件は改定される場合があるため、最新の告示・通知でご確認ください。
書類別|保存の期間と、保存の方法
「完結の日」は、そのサービスの提供が終わった日を指すのが一般的です。保存期間は都道府県・市町村の条例で5年とする例があるため、必ず所管の保険者にご確認ください。
| 書類 | 保存の期間 | 注意 |
|---|---|---|
| サービス提供の記録 | 完結の日から2年間(条例により5年) | 所管の保険者の定めを確認する |
| 個別サービス計画 | 同上 | 同意・交付の記録もあわせて |
| アセスメント記録 | 同上 | — |
| モニタリング記録 | 同上 | — |
| サービス担当者会議の記録 | 同上 | 照会文と回答も |
| 契約書・重要事項説明書 | 契約終了後も一定期間 | 署名のある原本 |
| 個人情報使用同意書 | 同上 | — |
| 事故の記録 | 完結の日から5年とする自治体が多い | 保険者へ報告した控えも |
| 苦情の記録 | 同上 | 対応の経過まで |
| 身体的拘束の記録 | 完結の日から2年間(条例による) | 実施のつどの記録 |
| 従業者の勤務記録 | 労働関係の法令に基づく期間 | 賃金台帳は5年(当分の間3年) |
| 資格証の写し | 在職中および退職後の一定期間 | — |
| 請求関係の書類 | 完結の日から2年間(条例による) | 過誤・返戻の記録も |
| 体制届の控え | 受付印のあるもの | 変更のつど |
| 研修・委員会の記録 | 完結の日から2年間(条例による) | 日時・参加者・内容・資料 |
| 業務継続計画・訓練の記録 | 同上 | — |
| 会計に関する書類 | 法人税法・会社法による | 7年〜10年 |
| 医療関係(訪問看護) | 完結の日から2年間(条例による) | 指示書・計画書・報告書 |
電子で保存するときに決めること
| 項目 | 決めること |
|---|---|
| 保存の形式 | 原本を電子にするか、紙をスキャンするか |
| 改ざん防止 | いつ・誰が作成・修正したかが残る仕組み |
| 見読性 | 求められたときにすぐ表示・印刷できること |
| 検索性 | 利用者名・日付で探せること |
| バックアップ | 消失に備えた複製と、その保管場所 |
| アクセス権限 | 誰がどこまで見られるか |
| 退職者の扱い | アカウントの停止と、端末の返却 |
| 外部保管 | クラウドの場合、データの所在と契約終了時の扱い |
| 紙の廃棄 | 電子化後に紙を廃棄する場合の手順と記録 |
| 保存期間の経過後 | 復元できない方法での廃棄と、廃棄の記録 |
記録の書き方そのものは介護記録の書き方、看護記録の記法はフォーカスチャーティングをご覧ください。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
