特別養護老人ホームや老人保健施設で作成する施設サービス計画書。居宅のケアプランと考え方は同じですが、施設特有のポイントもあります。書き方を文例つきで整理します。
あわせて、特養の加算一覧(95件)で単位数と算定要件の対照表をまとめています。
施設サービス計画書とは
施設サービス計画書は、施設入所者一人ひとりの生活全般の課題に対し、施設としてどう支援するかを定める計画書です。多職種が連携してケアを行う土台になります。
施設ならではのポイント
- 多職種(介護・看護・栄養・機能訓練など)の役割を明確にする
- 24時間の生活全体を見て、日課やリスクに配慮する
- 本人の「その人らしさ」を大切にした目標にする
文例
ニーズ:他者と関わりながら、穏やかに毎日を過ごしたい。
長期目標:日中の活動に参加し、表情豊かに過ごせる。
短期目標:週3回、レクリエーションに参加できる。
サービス内容:機能訓練指導員による個別活動、介護職員による声かけと見守り。
作成を効率化する
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」は、アセスメントの内容から計画書の原案を自動で作成します。確認・修正するだけで仕上がり、実証では作成時間が平均125.5分から37.6分に短縮しました(約70%短縮)。※所要時間は利用者さまの状態・記載量・事業所の運用により異なります。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
施設サービス計画と居宅サービス計画の違い
| 施設サービス計画 | 居宅サービス計画 | |
|---|---|---|
| 作る人 | 施設の介護支援専門員 | 居宅介護支援事業所の介護支援専門員 |
| 対象 | 特養・老健・介護医療院の入所者 | 在宅の利用者 |
| サービス | 施設内で提供されるもの | 複数の事業所が提供するもの |
| 会議 | サービス担当者会議(施設内の多職種) | サービス担当者会議(各事業所) |
| 特徴 | 24時間の生活すべてが対象 | サービス利用の時間が対象 |
施設サービス計画は「1日24時間、365日の暮らし」が対象になります。そのため、サービスの組み合わせより、生活そのものをどう支えるかが中心になります。
よくある疑問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 居宅と様式は同じか | 施設サービス計画としての様式を用います。記載事項が異なります |
| 担当者会議は施設内だけでよいか | 施設内の多職種で行います。必要に応じて家族も参加します |
| モニタリングの頻度は | 定められた頻度があります。状態の変化があれば随時行います |
| 本人が意向を示せない場合 | 家族や、これまでの生活歴から推測した旨を明記します |
| 入所直後は情報が少ない | 分かる範囲で作成し、早めに見直します。空欄のままにしません |
モニタリングと見直し
- 定められた頻度で実施し、記録に残します
- 目標の達成状況を、目標ごとに確認します
- 状態が変わった場合は、頻度を待たずに見直します
- 見直した場合は、あらためて説明と同意を得ます
- 本人・家族の意向の変化も確認します
計画書の記載でつまずくところ
- 目標が抽象的——「安全に過ごす」では評価できません
- サービス内容が職種名だけ——何をするかまで書きます
- 期間が長すぎる——評価の機会を失います
- 本人の意向が反映されていない——施設側の都合だけの計画になります
- 他の入所者と同じ内容——個別性が示せません
- 同意の日付がない
運営指導で実際に公表されている指摘|出典つき
施設サービス計画は、公表資料で「作成等の不備」が指摘の最多項目になっています。居宅と違い、入所という前提のもとで確認される点も加わります。
| 公表されている指摘 | 公表元 |
|---|---|
| 「施設サービス計画の作成等の不備」が24件(38.1%)で最多。入所者又は家族への説明・同意をサービス提供開始後に得ていた事例、介護支援専門員がサービス担当者会議等により他の従業者の専門的な見地からの意見を聴いたことの記録が確認できない事例。介護老人福祉施設でも同趣旨の指摘 | 長野県の令和6年度運営指導結果(介護老人保健施設) |
| 個別サービス計画の同意署名が利用者家族のみとなっている事例、同意日がサービス提供後となっている事例。署名により同意を得る場合は代筆者が利用者及び代筆者の氏名を記入すること | 津山市の集団指導資料(令和5年度) |
| 「特例的な入所の管理が不適切」が12件(8.3%)。要介護度1又は2の入所申込者の特例入所を決定する場合、市町村への意見照会及び入所検討委員会の開催が必要とされているが、要介護度が3以上から2以下に変更になった場合において意見照会及び委員会の開催が確認できない事例 | 長野県の令和6年度運営指導結果(介護老人福祉施設) |
| 看取り介護加算について、利用者等への説明の際に利用者に関する記録を活用した説明資料を作成し、その写しを提供していることが確認できない/看取り介護の記録に必要な項目(療養や死別に関する利用者及び家族の精神的な状態の変化及びこれに対するケア/把握した利用者等の意向とそれに基づくアセスメント及び対応)が記載されていない/実施した看取り介護の検証や職員の精神的負担の把握等が行われていない | 久留米市「近年の運営指導における主な指摘事例」 |
| 指摘149件のうち「身体拘束等の適正化へ向けた取組が不十分」が35件(24.1%)で最多。指針を整備していない、対策を検討する委員会を開催していない、研修を実施していない、身体拘束等を行った場合の理由等の記録がない | 長野県の令和6年度有料老人ホーム一般検査結果 |
| 自立支援促進加算について「特別浴槽を使用している入所者がいるにも関わらず算定している」。原則として入所者全員が要件を満たす必要があり、1人でも特別浴槽を使用していれば算定できない(感染症や看取り期等に一時的に使用する場合は除く) | 神戸市の施設向け資料 |
| 従来型個室の入所者に対し、多床室単価を請求している事例。特別な理由(感染症、ターミナル、著しい精神症状等により個室への入所が必要であると医師が判断した場合)に該当する事例を除き、個室単価で請求すること | 愛知県の主な指示事項 |
| 「非常災害対策が不十分」10件(6.9%)。消火訓練及び避難訓練の実施回数が消防法施行規則で定める回数に不足していた事例、土砂災害防止法及び水防法により市町村地域防災計画に定められた要配慮者利用施設で避難確保計画に基づく避難訓練を実施していない事例 | 長野県の令和6年度運営指導結果 |
施設サービス計画書|第1表・第2表の通し文例
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の入所者ではありません。施設は多職種が同じ計画を見て動くため、サービス内容に担当職種を書きます。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容(担当職種) |
|---|---|---|---|
| 入所したばかりで、環境に慣れず落ち着かない | なじみの環境になり、穏やかに過ごせる(6か月) | 居室と食堂の場所が分かり、自分で移動できる(1か月) | 介護職員:担当を固定した関わり/生活相談員:面談(週1) |
| 家に帰りたい気持ちが強い | 施設での生活に自分なりの居場所を見つけられる(1年) | 日課のなかで、続けたい活動が1つ決まる(3か月) | 介護職員:本人の希望の聞き取り/生活相談員:家族との調整 |
| 食事の量が減り、体重が落ちてきた | 体重を維持し、必要な栄養がとれる(6か月) | 1日3食を8割以上食べられる(3か月) | 管理栄養士:栄養ケア計画/看護職員:体重測定(週1)/介護職員:摂取量の記録 |
| むせることが増え、肺炎が心配 | 誤嚥性肺炎を起こさず、口から食べ続けられる(1年) | とろみと姿勢の調整で、むせが週1回以下になる(3か月) | 言語聴覚士:嚥下評価/介護職員:食事介助と姿勢の調整/歯科:口腔管理 |
| 入浴を強く拒まれる | 清潔が保たれ、気持ちよく過ごせる(6か月) | 週2回、入浴または清拭ができる(3か月) | 介護職員:時間帯と担当の工夫/看護職員:皮膚の観察 |
| 夜間に起き上がり、転倒のおそれがある | 転倒せずに施設での生活を続けられる(1年) | 夜間の起き上がり時に、職員が気づける体制が整う(1か月) | 介護職員:夜間の見守り/福祉用具:離床センサー/機能訓練指導員:動作の練習 |
| 仙骨部に発赤があり、褥瘡になりそうだ | 褥瘡が生じない(1年) | 2時間ごとの体位変換が定着する(2か月) | 看護職員:皮膚の観察(毎日)/介護職員:体位変換/福祉用具:体圧分散マットレス |
| 日中の活動がなく、一日中臥床している | 日中の離床時間が増え、生活に張りが出る(1年) | 日中の離床時間が1日3時間以上になる(3か月) | 機能訓練指導員:離床の援助/介護職員:活動への誘い |
| 他の入所者とのトラブルが起きる | 落ち着いて他者と過ごせる(1年) | 席の配置を調整し、食事中のトラブルがなくなる(2か月) | 介護職員:席と動線の調整/生活相談員:状況の把握 |
| 薬の管理が難しく、飲み忘れがある | 服薬が確実に続けられる(1年) | 職員の確認のもとで、全量を服用できる(1か月) | 看護職員:服薬管理/介護職員:服薬時の見守り |
| 家族の面会が減り、寂しさを訴える | 家族とのつながりを保てる(1年) | 月1回、家族と話す機会がある(3か月) | 生活相談員:家族への連絡/介護職員:オンライン面会の支援 |
| 自分でできることまで職員がやってしまう | できることを続け、自信を保てる(1年) | 洗面と整容を自分で行える(3か月) | 介護職員:見守りに切り替える/機能訓練指導員:動作の確認 |
| 看取りの時期が近づいている | 本人と家族が望む形で、穏やかに過ごせる(3か月) | 痛みや苦痛が緩和された状態を保てる(1か月) | 看護職員:症状の緩和/介護職員:清潔ケア/生活相談員:家族への支援 |
| 退所して在宅に戻りたい希望がある | 在宅復帰に向けた準備が整う(6か月) | 自宅の環境で必要な動作が確認できる(3か月) | 支援相談員:家族・居宅との調整/機能訓練指導員:自宅を想定した訓練 |
領域別の長期目標・短期目標(施設版)
| 領域 | 長期目標の文例 | 短期目標の文例 |
|---|---|---|
| 移動 | 転倒せずに、施設内を安全に移動できる | 手すりを使って、居室から食堂まで歩ける |
| 食事 | 必要な栄養がとれ、体重を維持できる | 昼食の主食・副食を8割以上食べられる |
| 嚥下 | むせずに食事を続けられる | とろみを使い、水分でむせずに飲める |
| 排泄 | 自分のタイミングでトイレに行ける | 日中の排泄を、声かけのみで行える |
| 入浴 | 清潔が保たれ、気持ちよく過ごせる | 週2回の入浴を、拒否なく続けられる |
| 更衣・整容 | 身だしなみを自分で整えられる | 上着の着脱を見守りで行える |
| 口腔 | 口の中を清潔に保ち、おいしく食べられる | 毎食後の口腔ケアを自分で行える |
| 皮膚 | 皮膚のトラブルなく過ごせる | 2時間ごとの体位変換が定着する |
| 睡眠 | 夜間まとまって眠れる | 夜間の起き上がりが週2回以下になる |
| 認知機能 | なじみの環境で落ち着いて過ごせる | 職員の顔と名前が分かり、自分から話しかけられる |
| 意欲・活動 | 楽しみのある時間を持てる | 好きな活動に週2回参加できる |
| 対人関係 | 他の入所者と穏やかに過ごせる | 同じテーブルの方と会話ができる |
| 役割 | できることを続け、自信を保てる | 配膳の手伝いを週1回担える |
| 健康管理 | 持病が安定した状態を保てる | 毎日の血圧測定を受け入れられる |
| 服薬 | 服薬が確実に続けられる | 職員の確認のもとで全量を服用できる |
| 家族との関係 | 家族とのつながりを保てる | 月1回、家族と話す機会がある |
| 在宅復帰 | 在宅での生活に戻る準備が整う | 自宅を想定した動作が確認できる |
| 看取り期 | 望む形で、穏やかに過ごせる | 苦痛が緩和された状態を保てる |
施設のモニタリング記録|書き方と文例
施設のモニタリングは訪問ではなく日々の観察の積み上げから行います。多職種の意見を聴いた記録が確認されます。
| 欄 | 書き方 | 記入例 |
|---|---|---|
| 実施日 | 訪問ではなく、いつ評価したか | 令和◯年◯月◯日(担当:介護支援専門員 ◯◯) |
| 目標の達成状況 | 短期目標に対して、数値や事実で | 短期目標「食堂まで歩ける」は達成。手すり使用で毎食移動できている |
| サービスの実施状況 | 計画どおりに提供されているか | 体位変換は2時間ごとに実施。記録で確認済み |
| 本人の意向 | 本人の言葉で | 「もう少し歩けるようになりたい」との発言あり |
| 家族の意向 | 面会時や電話で聞き取った内容 | 長女より「食事量が心配」との訴え。栄養状態を説明した |
| 多職種からの意見 | 誰が何を言ったか | 管理栄養士より、補助食品の追加を提案。看護職員より皮膚状態は良好との報告 |
| 新たな課題 | 状態の変化から見えたこと | 夜間の起き上がりが増えており、転倒の危険が高まっている |
| 計画変更の要否 | 変更するか、しないか、その理由 | 夜間の見守り体制を追加するため、計画を変更する |
| 次回の評価 | いつ確認するか | 令和◯年◯月◯日に再評価 |
施設ならではの確認点|居宅との違い
| 項目 | 居宅サービス計画 | 施設サービス計画 |
|---|---|---|
| 作成者 | 居宅の介護支援専門員 | 施設の介護支援専門員(計画担当介護支援専門員) |
| サービスの担い手 | 複数の事業所 | 原則として施設内の多職種 |
| サービス内容の書き方 | 事業所名・サービス種別 | 担当する職種を書く |
| 担当者会議 | 各事業所の担当者を招集 | 施設内の多職種で開催。専門的な見地からの意見を聴いた記録が必要 |
| モニタリング | おおむね月1回の訪問 | 日々の観察の積み上げ。定期的に評価する |
| 同意 | 利用者・家族から | 入所者又は家族から。提供開始前に得る |
| 特有の論点 | — | 特例入所(要介護1・2)、身体拘束、看取り、栄養マネジメント、非常災害対策 |
| 加算との関係 | — | 看取り介護・自立支援促進・栄養マネジメント強化などの要件が計画と記録に直結する |
施設サービス計画|避けたい書き方と言い換え
| 避けたい書き方 | なぜ問題か | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| (目標欄に)週2回の入浴介助を行う | 目標欄に職員の行為を書いている | 週2回、入浴または清拭ができる |
| サービス内容が「介護職員」だけ | 何をするか分からない | 介護職員:2時間ごとの体位変換と、皮膚の観察 |
| 長期と短期が同じ表現 | 段階になっていない | 長期「転倒せずに施設内を移動できる」/短期「食堂まで歩ける」 |
| 全入所者で同じ文面 | 個別の計画にならない | 本人の言葉と、実際の数値を必ず入れる |
| 本人の意向が書かれていない | 入所者本人の視点が抜ける | 「家に帰りたい」など、本人の言葉をそのまま残す |
| 多職種の意見の記録がない | 公表資料で名指しされている | 誰が何を言ったかを、担当者会議の記録に残す |
| 同意日が提供開始日より後 | 公表資料で名指しされている | 提供開始前に説明し、同意を得る |
| 家族のみの署名で済ませている | 本人から得るのが原則 | 本人から得る。代筆時は代筆者の氏名も記入する |
第1表・第2表の書き方そのものはケアプラン第2表の書き方・文例、疾患別は疾患別ケアプランの文例、看取りはターミナルケアをご覧ください。要件・運用は保険者により異なります。詳細は監査対策ナビと各自治体の公表資料をご確認ください。
よくある質問(FAQ)
施設サービス計画書とは?
居宅のケアプランとの違いは?
作成を効率化するには?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
無料ではじめる
次の一歩を、どうぞ
介護のDXは、ゆっくりでいい。
まずは無料で、現場で試すところから。
アプリケーションを無料で使ってみる(iPhone / Android)
利用者さま3名まで・期限なく無料/クレジットカード登録不要
本ページは令和8年6月改定時点の制度に沿って整理しています。様式・要件・単位数は改定により変わります。最新の内容は、厚生労働省の告示・通知および所管の保険者(自治体)の案内でご確認ください。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
