介護記録AI「神マナ」無償提供のお知らせ

第三話 人生の、設計図を引く人

おばあちゃんの書類の中に、「居宅サービス計画書」という、紙が、あった。おばあちゃんの一週間が、表に、なっていた。月曜は、デイサービス。水曜は、お風呂。金曜は、リハビリ。──誰かが、おばあちゃんの毎日を、こんなに、細かく、考えてくれていた。

紙のすみに、名前が、あった。担当の、ケアマネジャー。私は、思いきって、その人に、会いに行った。五十くらいの、おだやかな女の人だった。おばあちゃんのことを、よく、覚えていてくれた。

「ケアマネっていうのはね」と、その人は言った。「その人が、どう暮らしたいか、何を大事にしているかを聞いて、それに合わせて、サービスを、組み立てる仕事なの。いわば、その人の、これからの暮らしの、設計図を、引くの」。「おばあちゃんはね」と、その人は、笑った。「『庭の花が見たい』って、おっしゃって。だから、お部屋を、庭の見える側に、変えてもらったのよ」。

私は、知らなかった。おばあちゃんが、最後まで、花を見ていられたのは、偶然じゃ、なかった。名前も知らなかった、この人が、おばあちゃんの「見たい」を、聞いて、かなえて、くれていた。

設計図を、引く人がいる。その人の、最後の毎日が、ちゃんと、その人らしく、あるように。

「神マナ物語」は、小規模多機能ホーム「えんがわ」に通う、ボランティアの学生・神崎まなの物語です。 → 登場人物と舞台について(はじめに)

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