夜勤帯の介護記録は、限られた人手のなかで、日中とは違う観察ポイントを押さえる必要があります。夜勤の記録の書き方を、例文と申し送りのコツとともに整理します。
夜勤の介護記録で押さえること
- 睡眠の状況(入眠・中途覚醒・起きている時間)
- 巡視時の様子、体位交換やおむつ交換
- トイレ誘導・排泄の状況
- 体調の変化や急変、その対応
書き方のポイント
- 時刻を必ず記す(巡視・対応の時間)
- 「異常なし」だけでなく、観察した事実を書く
- 日勤へ確実につなぐ申し送りを意識する
文例
22時消灯。0時巡視、入眠中。2時、覚醒しトイレ誘導、自力歩行で排尿あり。以降は良眠。5時巡視、変わりなし。日中はやや眠気が残る可能性あり、観察をお願いします。
申し送りのコツ
夜間に起きた変化と、日勤で気をつけてほしいことを、簡潔に絞って伝えます。記録と申し送りの内容がそろっていると、引き継ぎがスムーズです。
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夜勤の介護記録の記入例
夜勤の記録は、巡視の時刻と利用者の様子、対応を残します。申し送りにつながるよう具体的に書きます。
| 時刻 | 記入例 |
|---|---|
| 22:00 | 就寝を確認。入眠良好。 |
| 0:00 | 巡視。呼吸は落ち着き良眠。 |
| 2:00 | トイレ介助。ふらつきなく戻り再入眠。 |
| 4:00 | 巡視。異常なし。 |
| 6:00 | 起床。表情良く朝の挨拶あり。 |
夜勤記録に何を残すか
| 項目 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
| 巡視 | 時刻と、確認した内容 | 22:00 全室巡視。A様入眠中、呼吸安静。B様覚醒しており「眠れない」との訴え |
| 睡眠 | 入眠・覚醒の時刻、中途覚醒の回数 | C様 23:30入眠、2:10覚醒しトイレへ。3:00再入眠 |
| 排泄 | 時刻、方法、量、性状 | D様 1:20 トイレ誘導。少量。夜間の失禁なし |
| 体位変換 | 時刻と体位 | E様 0:00右側臥位、2:00仰臥位、4:00左側臥位 |
| 服薬 | 時刻と、確認したこと | F様 21:00 就寝前薬を服用。飲み込みを確認 |
| 体調の変化 | 時刻、症状、対応、報告 | G様 3:15 体温38.2℃。水分摂取を促し、3:45再検37.9℃。日勤へ申し送り |
| ヒヤリ・転倒 | 時刻、状況、対応 | H様 2:40 ベッド脇で座り込んでいるところを発見。外傷なし。看護師へ報告(2:45) |
夜勤帯の記録が薄くなる理由と対策
| 理由 | 対策 |
|---|---|
| 1人で全員を見ている | 記録の様式を絞る。チェック式にできる項目は選択式へ |
| 書く時間がない | 巡視のたびに1行書く。まとめて書くと抜けます |
| 何も起きなかった | 「異常なし」ではなく、確認した内容を書きます |
| 眠気 | 記録を書く時間を仮眠の前に固定する |
| 端末が1台しかない | 紙とシステムの併用が起きます。夜勤帯の入力方法を決めます |
日勤への申し送りで伝えること
- 夜間に起きた変化と、行った対応
- 眠れなかった方と、その様子
- 排泄の状況(失禁、下痢、便秘)
- 服薬の状況(拒否、飲み忘れ)
- 受診や連絡が必要と判断したこと
- 日中に確認してほしいこと
夜勤帯に起きやすいこと
| 場面 | 起きること | 備え |
|---|---|---|
| トイレへの移動 | 暗さと寝ぼけで転倒 | 足元灯、ポータブルトイレ、センサー |
| ベッドからの転落 | 柵の隙間、寝返り | 低床ベッド、床マット |
| 体調の急変 | 発熱、呼吸状態の変化 | 判断基準と連絡先を明示しておく |
| 不眠・不穏 | 昼夜逆転、不安 | 日中の活動量、環境の調整。制止を先にしない |
| 誤薬 | 就寝前薬の確認 | 声出し確認、ダブルチェックの手順 |
| 離設 | 出入口の管理 | センサー、施錠の方針(拘束にあたらない範囲で) |
夜勤者の判断を支える
- 連絡の基準を文書にする——「どうなったら誰に連絡するか」を数値と状態で示します
- オンコールの相手を明示する——迷う時間が最も危険です
- 救急要請の判断基準を持つ——迷ったら呼ぶ、を原則にします
- 翌朝に振り返る——判断が正しかったかを、責めずに確認します
よくある疑問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 巡視の記録は毎回必要か | 実施した記録として残します。時刻と確認した内容を書きます |
| 何も起きなかった日は | 確認した内容を書きます。「異常なし」だけでは何を見たか分かりません |
| まとめて書いてよいか | 時刻の整合が取れなくなります。巡視のたびに1行が原則です |
| 仮眠中の対応は | 仮眠時間の扱いと、対応した場合の記録の残し方を決めておきます |
| 夜勤専従の記録は違うか | 記録の内容は同じです。連続勤務による健康管理が別途必要になります |
夜勤の記録を短く、確実に
| 工夫 | 内容 |
|---|---|
| 選択式にする | 巡視、体位変換、排泄はチェック式で足ります |
| 時刻を自動で入れる | 入力した時刻が記録される仕組みにする |
| 特記だけ文章にする | いつもと違うことだけを書く形にします |
| 端末を巡視に持って歩く | 戻ってから書くと抜けます |
| 申し送り事項を分ける | 記録と申し送りを別欄にし、二重に書かない |
夜勤者を守るために
- 判断基準を文書で持たせる——迷う時間が最も危険です
- 連絡してよい相手を明示する——「こんなことで電話していいのか」と迷わせない
- 翌朝、判断を責めない——責めると次から連絡が来なくなります
- 仮眠を確保する——記録を仮眠前に終える運用にします
- 1人夜勤の負担を可視化する——巡視回数、対応件数を記録します
夜勤記録の例文(時系列)
| 時刻 | 記入例 |
|---|---|
| 21:00 | 就寝前の巡視。全室確認。A様は読書中、B様は入眠。C様「眠れない」との訴えあり、しばらく傾聴 |
| 22:00 | 消灯。C様、居間で過ごされていたため居室へ誘導。22:20入眠を確認 |
| 0:00 | 巡視。全室異常なし。D様の体位を右側臥位から仰臥位へ変更 |
| 1:20 | E様、ナースコールあり。トイレへ誘導。歩行時のふらつきなし。少量の排尿 |
| 3:15 | F様、体温38.2℃。水分200ml摂取を促す。オンコール看護師へ報告(3:20)。経過観察の指示 |
| 3:45 | F様 再検37.9℃。表情は穏やか。入眠 |
| 5:00 | 巡視。全室異常なし |
| 6:00 | 起床介助開始。F様 体温37.2℃。日勤へ申し送り |
夜勤帯の記録についてよくある疑問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 巡視の時刻は正確でなくてよいか | 正確に書きます。事故が起きたとき、直前の巡視時刻が問われます |
| 寝ている方の記録は何を書くか | 呼吸の様子、体位、掛け物の状態など、確認した内容を書きます |
| ナースコールに出られなかった | その事実と、いつ対応したかを残します |
| 1人で判断に迷ったら | 迷った時点で連絡します。連絡した記録も残します |
| 朝までに書き終わらない | 巡視のたびに1行書く運用へ変えます |
よくある質問(FAQ)
夜勤の記録で大切な点は?
異変時はどう書きますか?
申し送りにつなげるには?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
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巡回時刻別|夜勤の記録の文例
夜勤の記録は巡回の時刻ごとに、全員分の状態を残すのが基本です。「異常なし」ではなく、何を確認して異常がないと判断したかを書きます。
| 時刻・場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 20:00 消灯前 | 全室の施錠と窓を確認。ナースコールの位置を各室で確認。 |
| 21:00 消灯 | 消灯。◯◯様は読書を続けられ、21時30分に就寝。 |
| 22:00 巡回 | 全12室を巡回。◯◯様は仰臥位で閉眼、呼吸静か。他11名も入眠を確認。 |
| 23:30 訪室 | ◯◯様がナースコール。トイレ介助。車いすで誘導し、排尿あり。 |
| 0:00 巡回 | 全室巡回。◯◯様は側臥位。掛け物を整える。 |
| 1:20 起き出し | ◯◯様が居室から廊下へ。「トイレ」と話される。誘導後、居室へ戻られる。 |
| 2:00 巡回 | 全室巡回。◯◯様の体位を仰臥位から右側臥位へ変更。仙骨部に発赤なし。 |
| 2:40 体調の変化 | ◯◯様、体温38.2度。看護師(オンコール)へ電話。クーリングの指示を受け実施。 |
| 3:00 再検 | ◯◯様、体温37.8度。水分150mLを摂取。 |
| 4:00 巡回 | 全室巡回。◯◯様は閉眼、呼吸静か。 |
| 4:30 転落 | ◯◯様がベッド横の床に臥床。ベッド柵は装着されていた。外傷なし。オンコールへ報告。 |
| 5:00 早期覚醒 | ◯◯様が起床。「もう眠れない」と話される。居間で新聞を読まれる。 |
| 6:00 起床 | 起床の声かけ。◯◯様は自力で端座位となる。 |
| 6:30 バイタル | 全員のバイタルを測定。◯◯様は37.4度。日勤へ申し送る。 |
| 7:00 朝食 | 朝食の配膳。◯◯様は主食8割。 |
| 7:30 服薬 | 朝食後薬を配薬。全員の内服を確認。 |
| 8:30 申し送り | 日勤へ申し送り。◯◯様の発熱と、◯◯様の転落を伝える。 |
| 夜間の水分 | ◯◯様に0時と4時に各100mLを提供。 |
| おむつ交換 | ◯◯様、0時と4時に交換。皮膚に発赤なし。 |
| 体位変換 | ◯◯様、2時間ごとに実施(22時・0時・2時・4時・6時)。 |
| 見守り機器 | ◯◯様の離床センサーが1時20分に作動。訪室し対応。 |
| 緊急対応 | ◯◯様、3時に呼吸苦の訴え。経皮的動脈血酸素飽和度90%。オンコールへ報告し、救急要請。 |
| 記録の作成 | 各利用者の記録を、その場で端末に入力。 |
| 特記事項 | ◯◯様、いつもより覚醒が多い。日中の臥床時間を減らす提案を日勤へ。 |
夜勤で記録が抜けやすいところ
| 抜けやすいところ | どうするか |
|---|---|
| 巡回の時刻 | 巡回のたびに時刻を記録する |
| 体位変換の実施 | 実施した時刻と体位を書く |
| おむつ交換 | 時刻と、皮膚の観察の結果 |
| 水分の提供 | 提供した時刻と量 |
| 起き出しへの対応 | 時刻、理由、対応、その後 |
| オンコールへの報告 | 報告した時刻、内容、受けた指示 |
| 見守り機器の作動 | 作動した時刻と、訪室した結果 |
| 入眠の確認 | 「良眠」ではなく、確認した時刻と様子 |
| 翌朝のバイタル | 全員分を測定して記録 |
| 日勤への申し送り | 伝えた内容と、伝えた相手 |
夜間の出来事を「何について・どう対応し・どうなったか」で残すなら、フォーカスチャーティングの型が使えます。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
