マイクを押して話してみてください。例:「本日昼食8割摂取、体温36度8分、仙骨部に発赤あり、端座位で見守り」。介護・看護の専門用語に強いAIで認識し、2段階目でAIが清書(誤変換を補正)します。
「介護記録、何をどう書けばいいか毎回迷う」「書くのに時間がかかる」――介護の現場で必ず出てくる悩みです。本記事では、介護記録の書き方の基本から、すぐ使えるSOAP方式・場面別の例文、よくある質問まで、まとめて解説します。
介護記録は何のために書くのか
介護記録は、単なる作業の記録ではありません。職員間で利用者さまの状態を共有し、ケアの根拠を示し、家族や多職種への説明、そして事故やトラブル時の大切な証拠にもなります。「後から読んだ人が、状況を正しく理解できるか」を意識して書くことが基本です。
介護記録の書き方 5つの基本ルール
- 5W1Hを押さえる――いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように。
- 事実を客観的に書く――「元気そう」ではなく「自分から職員に話しかけ、笑顔がみられた」と、観察した事実で書きます。
- 数値を使う――「水分をよくとった」より「水分を300ml摂取」と具体的に。
- 誰が読んでも分かる言葉で――専門用語や略語を使いすぎない。
- できるだけその場で書く――時間が経つと記憶があいまいになり、正確さが落ちます。
SOAP方式で書く
記録を整理しやすい型として、SOAPがよく使われます。
- S(主観的情報)――本人の訴え。例:「足が重くて歩きにくい」
- O(客観的情報)――観察した事実。例:歩行時にふらつきあり、見守りで5メートル歩行
- A(評価)――S・Oからの判断。例:下肢筋力の低下により転倒リスクが高い
- P(計画)――今後の対応。例:歩行時は見守りを継続し、機能訓練の様子を観察する
【場面別】介護記録の例文集
そのまま参考にできる、場面別の例文です。利用者さまの状態に合わせて言葉を選び直してお使いください。
食事・水分
昼食を主食・副食ともに全量摂取。むせはなく、自力でスプーンを使用。水分は1日で1200ml摂取。「おいしかった」と笑顔あり。
排泄
声かけにてトイレ誘導。日中はトイレで排泄でき、失禁なし。排便は2日ぶりにあり、普通便。
入浴・清潔
一般浴に入浴。背部の洗身を介助し、その他は見守り。皮膚の発赤・傷なし。入浴後、水分を200ml摂取。
服薬
朝食後薬を職員見守りのもと自己にて服用。飲み忘れ・吐き出しなし。
移乗・移動
車いすからベッドへ、手すりを使い一部介助で移乗。立位は数秒保持可能。ふらつきあり、見守りを継続。
口腔ケア
食後、声かけにて歯みがきを実施。一部介助。義歯を洗浄し、口腔内に異常なし。
睡眠
22時消灯後、入眠。0時・2時の巡視時はいずれも良眠。5時に覚醒しトイレ誘導、その後再入眠。
レク・活動
午後の体操に参加。職員の声かけに合わせ、最後まで取り組まれた。塗り絵では集中して取り組み、完成を職員に見せてくれた。
認知症の方への対応
夕方に「家に帰る」と落ち着かない様子。なじみの話題で声かけし、お茶をすすめると落ち着かれた。無理な制止はせず、見守りで対応。
体調の変化・急変
午前10時、体温37.8度。顔面紅潮あり、本人「少しだるい」との訴え。看護師へ報告し、水分をすすめ経過観察。11時に再検し37.2度に下降。
看取り・終末期
呼吸は穏やか。表情に苦痛なく、声かけに対しうなずきあり。家族が面会され、手を握って過ごされた。1時間ごとに訪室し見守りを継続。
良い記録・避けたい記録
- ✕「いつもどおり」「特変なし」だけ → ◯ 何がどうだったかを具体的に書く
- ✕「わがままを言う」(決めつけ) → ◯ 事実と本人の言葉で書く
- ✕「たくさん食べた」 → ◯ 「主食全量、副食8割を摂取」
- ✕ 専門用語・略語の乱用 → ◯ 誰が読んでも分かる言葉で
介護記録の書き方 よくある質問(FAQ)
Q. 介護記録はどのくらいの長さで書けばいいですか?
長さより「必要なことが過不足なく伝わるか」が大切です。普段と違う様子があった日は詳しく、変化のない日は要点を簡潔に、とメリハリをつけます。
Q. 略語や専門用語は使ってもいいですか?
事業所内で共通理解のある略語は使えますが、家族や他職種も読むことを考え、基本は分かりやすい言葉で書きます。
Q. 記録を間違えたときの訂正方法は?
修正液で消さず、二重線で訂正し、訂正者と日付を残すのが基本です(電子記録は履歴が残る形で訂正)。改ざんを疑われないためです。
Q. 主観(気持ち)は書いてはいけませんか?
「楽しそう」などの印象だけで終わらせず、その根拠となった事実(自分から発言した、笑顔がみられた等)をセットで書きます。
Q. 介護記録の保存期間は?
サービスの種類により定めがあります(一般に完結の日から2年間など)。自治体や運営基準を確認し、適切に保管します。
記録を書く時間を、勤務のどこに置くか
記録が終わらない原因の多くは、書き方ではなく書く時間が勤務の中に確保されていないことにあります。
| 型 | やり方 | 注意 |
|---|---|---|
| その場入力 | 利用者のそばで、その場で終える | 端末の数と、目の前で入力することへの配慮 |
| 直後入力 | 対応が終わった直後、5分で | 細切れの時間が取れる体制が要ります |
| 時間帯を固定 | 1日2回、決まった時間にまとめる | その時間に他の業務を入れない合意が要ります |
| 勤務終了前 | 退勤前の15分を記録の時間にする | 残業になっていないか確認します |
⚠「空いたときに」は、いちばん続かない型です。
記録が読まれる3つの場面
| 場面 | 読む人 | 見られるところ |
|---|---|---|
| 運営指導・監査 | 行政の担当者 | 計画との整合、記載者、時刻、保存期間 |
| 事故・苦情のあと | 家族、保険者、場合によっては司法 | 事故前後の状況、報告した相手と時刻 |
| 引き継ぎ | 後任の職員、他職種 | 何をしてきたか、何が効いたか |
ふだん誰も読まない書類だからこそ、読まれるときは必ず「困っている状況」です。
記録の負担を音声入力で減らす
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」は、その場の音声から記録の下書きを自動で作成します。移動中やケアの合間に話すだけで、観察記録や経過記録の原案ができあがり、書く時間を大きく減らせます。お使いの介護ソフトへの転記にも対応し、記録にかかる時間を大きく減らせます。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
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場面別|そのまま使える記録の文例
記録は「見た・聞いた事実」と「行った援助」で書きます。「〜と思われる」「〜のようだ」は、判断の根拠を添えて書きます。
| 場面 | 避けたい書き方 | 記録の文例 |
|---|---|---|
| 起床の介助 | 「起床介助を行った」 | 6時40分、声かけにて開眼。「よく眠れた」と話される。ベッド柵につかまり、見守りにて端座位となる。ふらつきなく立ち上がり、車いすへ移乗。 |
| 食事の介助 | 「全量摂取」 | 朝食、主食10割・副食8割摂取。汁物でむせ込みが1回あり、とろみを追加して以降はむせなし。所要時間25分。 |
| 水分 | 「水分摂取促す」 | 午前中の水分摂取400mL。「あまり喉が渇かない」と話されるため、体操の後にコップ1杯を勧め、200mL摂取された。 |
| 入浴 | 「入浴介助実施」 | 個浴にて入浴。洗身は背中のみ介助、他は自立。湯温40度。入浴前 血圧128/72、脈拍72。入浴後 血圧118/70。ふらつきなし。 |
| 排泄 | 「トイレ誘導」 | 9時20分、「トイレに行きたい」と申し出あり。歩行器にて自立歩行、便座への移乗は手すり使用にて自立。普通便中等量。 |
| 更衣 | 「更衣介助」 | 上衣は自分で袖を通される。ボタンは第2ボタンまで自力、以降は介助。ズボンは立位保持が難しく、座位にて介助。 |
| 口腔ケア | 「口腔ケア実施」 | 昼食後、歯ブラシを手に渡すと自分で磨かれる。奥歯に磨き残しがあり、仕上げ磨きを介助。義歯は洗浄して装着。 |
| 服薬 | 「与薬」 | 朝食後薬、看護師と2名で確認のうえ手渡し。コップの水で内服され、口腔内に残薬がないことを確認。 |
| 移乗 | 「移乗介助」 | ベッドから車いすへ。手すりを持って立ち上がり、軽介助にて方向転換。臀部を深く座り直すよう声かけ。 |
| 歩行 | 「歩行練習」 | 廊下を歩行器にて往復20m。途中1回、右膝の痛みを訴えられ休憩。休憩後は自力で歩行を再開。 |
| レクリエーション | 「レク参加」 | 折り紙のレクに参加。「昔よくやった」と話され、鶴を2羽折られる。同席の利用者に折り方を教える場面あり。 |
| 入眠 | 「良眠」 | 21時消灯。22時の巡回時、仰臥位にて閉眼。呼吸静か。2時の巡回でも同様。 |
| 訴え | 「痛みの訴えあり」 | 14時、「腰が痛い」と話される。数字で聞くと10のうち4。左腰部に発赤・腫脹なし。臥床にて休まれ、15時には「楽になった」と話される。 |
| 転倒 | 「転倒あり」 | 10時05分、居室内で床に座り込んでいるところを発見。「立ち上がろうとしてふらついた」と話される。頭部打撲なし、外傷なし。バイタル測定後、看護師へ報告。 |
| 家族対応 | 「家族来訪」 | 長女が来訪。「最近元気がない」と心配される。日中の様子と食事量を伝え、次回の担当者会議の日程を案内。 |
| 拒否 | 「入浴拒否」 | 入浴を勧めると「今日はいい」と話される。理由を尋ねると「寒いから」とのこと。脱衣室を暖めてから再度声かけし、15時に入浴された。 |
| 体調の変化 | 「熱発」 | 15時、顔面紅潮あり。体温37.8度、脈拍96、血圧132/80、経皮的動脈血酸素飽和度96%。看護師へ報告し、経過観察の指示を受ける。 |
| 看取り期 | 「変化なし」 | 呼吸は下顎呼吸。「そばにいますよ」と声をかけると、わずかに開眼される。家族が手を握って話しかけられている。 |
| 認知症の行動 | 「徘徊あり」 | 16時ごろ、玄関付近を歩かれる。「家に帰る」と話される。「お茶を飲んでから一緒に考えましょう」と声をかけ、食堂へ誘導。10分後には落ち着かれる。 |
| 外出 | 「外出」 | 家族と近隣の公園へ外出。13時出発、14時30分帰所。「桜がきれいだった」と話される。疲労の訴えなし。 |
言い換えの一覧
| 避けたい語 | なぜ | 言い換え |
|---|---|---|
| 拒否 | 評価が入る | 「今日はいい」と話される |
| 徘徊 | 目的がないと決めつけている | 玄関付近を歩かれる/「家に帰る」と話される |
| 問題行動 | 評価が入る | (具体的な行動をそのまま書く) |
| 不穏 | 曖昧 | 落ち着かず、同じ質問を繰り返される |
| 暴言 | 評価が入る | 「うるさい」と大きな声で話される |
| わがまま | 評価が入る | 希望が通らないと繰り返し求められる |
| 無気力 | 評価が入る | 声かけへの返答が少ない |
| 全介助 | 程度が分からない | 立位が保てないため、2名で移乗介助 |
| 特変なし | 何を見たか分からない | 食事・排泄・睡眠に前日との違いなし |
| 良眠 | 根拠が分からない | 2時・4時の巡回時、閉眼し呼吸静か |
| 少し食べた | 量が分からない | 主食3割・副食2割 |
| 元気がない | 曖昧 | 発語が少なく、日中は臥床して過ごされる |
SOAPで書く場合はSOAPの書き方、訪問介護の実施記録は訪問介護の実施記録をご覧ください。
主観と客観の書き分け
主観を書いてはいけないのではなく、主観の根拠になった事実を並べて書くのが要点です。
| 書きたいこと | 主観だけの書き方 | 事実を添えた書き方 |
|---|---|---|
| 痛そうに見えた | 痛みが強そう | 歩行時に顔をしかめ、左足をかばう。数字で聞くと10のうち6 |
| 食欲がなさそう | 食欲低下 | 朝食を2割で終える。「においがだめ」と話される |
| 機嫌が悪そう | 不機嫌 | 声かけに「うるさい」と返される。前日は同じ声かけに応じられていた |
| 元気そう | 調子が良い | 自分から他の利用者に話しかけ、体操に最後まで参加 |
| 眠そう | 傾眠 | 食堂で10分ほど閉眼。声かけで開眼し、会話は成立 |
| しんどそう | 倦怠感 | 「体が重い」と話される。体温36.8度、血圧110/64 |
| 危なそう | 転倒リスク高い | 立ち上がり時に2回ふらつく。手すりまで1歩届かない |
多職種別|同じ利用者を、それぞれどう書くか
同じ1日でも、職種によって残すものが違います。重複を減らし、抜けをなくすには、誰が何を書くかを事業所で決めておくのが早道です。
| 職種 | その日の記録 |
|---|---|
| 介護職員(日勤) | 9時、車いすで居間へ。午前の体操に最後まで参加。昼食は主食8割・副食7割、むせなし。14時、トイレへ誘導し自立で排泄。 |
| 介護職員(夜勤) | 22時・0時・2時・4時に巡回。2時に体位を仰臥位から右側臥位へ。1時20分にトイレ介助1回。 |
| 看護師 | 体温36.4度、血圧128/76、脈拍70。仙骨部の発赤なし。降圧薬の内服を確認。労作後の息切れなし。 |
| 機能訓練指導員 | 歩行器で20m歩行。歩幅が狭く右へ傾く傾向。下肢の運動を10回×2セット実施し、疲労の訴えなし。 |
| 生活相談員 | 長女が15時に面会。「夜のトイレ介助がつらい」との相談あり。ケアマネジャーへ連絡した。 |
| 管理栄養士 | 摂取量は主食8割・副食7割。たんぱく質がやや不足。次回の献立で1品追加を提案。 |
| 介護支援専門員 | 7月18日、自宅を訪問しモニタリングを実施。歩行距離が10mから20mへ延びている。計画の変更は要さない。 |
| サービス提供責任者 | 訪問介護員より、移乗時にふらつきがあったとの報告。次回から2名対応とし、計画への位置づけを検討する。 |
| 訪問看護師 | 下腿に圧痕性浮腫あり。体重が前回から0.6kg増加。主治医へ電話で報告し、利尿剤の追加の指示を受けた。 |
| 福祉用具専門相談員 | 歩行器のブレーキの効きが弱い。調整を行い、次回のモニタリングで再確認する。 |
| 医師(往診) | 血圧は安定。次回の受診は1か月後。体重の管理を継続するよう本人・家族へ説明した。 |
| 薬剤師 | 残薬が3日分あり。一包化に変更し、服薬カレンダーの使い方を家族へ説明した。 |
書き終えたあとの最終チェック
| 確認 | よくある抜け |
|---|---|
| 日付と時刻が入っているか | 「午前中」で止まっている |
| 誰が書いたか分かるか | 署名・入力者が空欄 |
| 事実と判断が分かれているか | 推測だけで書かれている |
| 数字が入っているか | 「少し」「時々」のまま |
| 本人の言葉が「 」で入っているか | 要約されている |
| 評価語を使っていないか | 「拒否」「不穏」が残っている |
| 行った援助が書かれているか | 観察だけで終わっている |
| 結果まで書かれているか | 対応したあとどうなったかがない |
| 報告した相手が書かれているか | 「報告した」だけ |
| 計画と対応しているか | 計画にない内容だけになっている |
| 略語を使っていないか | 事業所内でしか通じない語 |
| 訂正の方法が正しいか | 修正液で消している |
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
