えんがわに、通いはじめて、三ヶ月。私の中で、「介護」の、イメージが、すっかり、変わっていた。
最初は、ただ、お年寄りの、体の、お世話をすることだと、思っていた。でも、ちがった。食事や、入浴の、介助。膨大な、記録。ケアマネさんとの、連絡。看護師さんや、お医者さんとの、連携。ご家族の、不安に、寄り添うこと。役所への、書類。そして、それを、ぜんぶ、一人ひとり、ちがう人に、合わせて、やる。百人いれば、百通りの、暮らしがある。それを、ちゃんと、記録に残して、次の人に、つないでいく。
湊さんが、言っていた。「これからはね、パソコンも、当たり前。膨大な記録を、どう、楽に、正確に、残すか。それも、介護の、大事な力になる」。お世話の、やさしさだけじゃ、足りない。観察する目も、伝える言葉も、段取りも、いる。介護って、こんなにも、頭を使う、専門の仕事だったのか。
ある日、桐山主任が、私に、言った。「まなちゃん。そろそろ、利用者さんと、ちゃんと、向き合ってみようか」。私は、うなずいた。制度も、記録も、連携も。ぜんぶ、知った。でも、いちばん、大事なものは、まだ、知らない。それは、目の前の、その人、自身。
私の、本当の物語は、ここから、始まる。
「神マナ物語」は、小規模多機能ホーム「えんがわ」に通う、ボランティアの学生・神崎まなの物語です。 → 登場人物と舞台について(はじめに)
