介護記録AI「神マナ」無償提供のお知らせ

第七話 介護は、書く仕事だった

えんがわに通いはじめて、いちばん、驚いたこと。それは、職員さんたちが、一日じゅう、「書いて」いることだった。

利用者さんが、何時に来て、何を食べて、お通じは、どうで、どんな様子だったか。お風呂に入れば、記録。薬を飲めば、記録。転びそうになれば、記録。「こんなに、書くんですか」。私が聞くと、若い職員の、湊さんが、パソコンを打ちながら、言った。「書かないと、やってない、ことになるからね」。

介護保険という、国の仕組みで、動いている。だから、ちゃんと、サービスをした、という証拠を、記録に、残さないといけない。ケアマネさんは、ケアプランやモニタリング。事業所は、実施記録。書類は、現場を、支える、もう一つの、仕事なのだ、と。「正直、これが、いちばん、大変」。湊さんは、苦笑いした。「利用者さんと、向き合いたいのに。書いてる時間の方が、長い日も、あるくらい」。

それでも、と、湊さんは、続けた。「記録はね、お金のためだけじゃ、ないんだ。次にこの人を見る職員に、『この人は、こういう人だよ』って、申し送るための、手紙でもあるの」。

その日、私は、自分の日記に、書いた。介護は、お世話をする仕事だと、思っていた。ちがった。介護は──「書く」仕事でも、あったのだ。

「神マナ物語」は、小規模多機能ホーム「えんがわ」に通う、ボランティアの学生・神崎まなの物語です。 → 登場人物と舞台について(はじめに)

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