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訪問介護の特定事業所加算|区分Ⅰ〜Ⅴと算定要件をわかりやすく

訪問介護の特定事業所加算は、質の高い体制を整えた事業所を評価する加算です。「区分が多くて分かりにくい」「要件と単位数は?」という方に向けて、区分(Ⅰ〜Ⅴ)ごとの加算率と主な算定要件を、告示の定めと自事業所の状況を突き合わせられる対照表で整理します。

訪問介護の特定事業所加算(令和6年度)の図解カード。上段は区分別の加算率の一覧で、区分Ⅰが所定単位数の+20/100(20%)、区分Ⅱと区分Ⅲが+10/100(10%)、区分Ⅳと令和6年度新設の区分Ⅴが+3/100(3%)。加算率は身体介護30分以上1時間未満387単位、生活援助20分以上45分未満179単位などの所定単位数に乗じる旨を注記。下段は算定要件を「告示の定め」と「貴事業所の登録」の対照表で示し、体制要件、人材要件(介護福祉士100分の30以上または有資格者100分の50以上、勤続7年以上の者100分の30以上)、重度者等対応要件(要介護4・5等が利用者総数の100分の20以上)、サービス提供責任者要件の4区分を掲載し、各行に確認欄を設けている。令和6年度改定で従来の区分Ⅳを廃止し従来の区分Ⅴを区分Ⅳへ移行、区分Ⅴを新設した旨と、算定の可否は原典で確認する旨の注意書き、出典は厚生労働省。
図:訪問介護の特定事業所加算 区分Ⅰ〜Ⅴの加算率と、算定要件を「告示の定め」と自事業所の登録内容で突き合わせて確認するための対照(令和6年度・目安)。

訪問介護で算定できる加算は、訪問介護(ホームヘルプ)の加算一覧で28件の要件・単位数をまとめています。

特定事業所加算とは

特定事業所加算は、人材の確保・育成や、重度の利用者への対応など、サービスの質を高める体制を評価する加算です。要件の組み合わせによって複数の区分(Ⅰ〜Ⅴ)に分かれ、加算率(所定単位数に上乗せする割合)が異なります。令和6年度改定では区分の構成が見直され、区分Ⅴが設けられています。

区分ごとの加算率(令和6年度・目安)

加算率は、身体介護・生活援助などの所定単位数に対する上乗せ割合です。厚生労働省の「介護報酬の算定構造」では、次のとおり示されています。

区分 加算率(所定単位数に対して) 主に満たす要件の組み合わせ(概要)
+20%(100分の20) 体制要件+人材要件(介護福祉士等)+重度者対応要件
+10%(100分の10) 体制要件+人材要件(介護福祉士等)
+10%(100分の10) 体制要件+人材要件(勤続年数)+重度者対応要件
+3%(100分の3) 体制要件+人材要件(勤続年数)
+3%(100分の3) 体制要件を中心とする区分(令和6年度に新設)

区分ごとの要件の組み合わせは概要です。細目や選択要件は区分により異なるため、実際の判断は最新の告示・通知や保険者の案内でご確認ください。加算率・要件は介護報酬改定で変わることがあります。

算定要件(3つの柱)——告示の定めと貴事業所の記入欄

特定事業所加算の要件は、大きく体制要件・人材要件・重度者対応要件の3本柱で整理できます。左に告示の定め(目安)、右に貴事業所の状況を書き込む欄を並べました。突き合わせて、どの要件を満たしているかをご確認ください。

要件 告示の定め(令和6年度・目安) 貴事業所の記入欄
体制要件 ①訪問介護員等ごとの研修計画を作成し研修を実施 ②利用者情報を伝達する会議を定期開催 ③サービス提供責任者が訪問介護員等へ文書で指示・報告 ④健康診断等を定期実施 ⑤緊急時対応の体制を整備 (記入例)研修計画:策定済/会議:毎月__日開催/健康診断:__月実施/緊急時手順:整備__
人材要件(資格) 介護福祉士が30%以上、または介護福祉士・実務者研修修了者等の有資格者が50%以上 (記入例)介護福祉士__名/全体__名=__%
人材要件(勤続年数) 勤続7年以上の訪問介護員等が30%以上 (記入例)勤続7年以上__名/全体__名=__%
サービス提供責任者 実務経験3年以上の介護福祉士、または実務経験5年以上の実務者研修修了者等を配置 (記入例)サ責 A様:介護福祉士・実務__年
重度者対応要件 要介護4・5、認知症日常生活自立度Ⅲ以上、たんの吸引等を必要とする者が利用者総数の20%以上 (記入例)該当利用者__名/利用者総数__名=__%

割合の算定方法(前年度実績・直近3か月の常勤換算など)や要件の細目は区分ごとに定められています。上表は代表的な数値の目安であり、確定的な判定は最新の告示・通知でご確認ください。

※「貴事業所の記入欄」はサンプルです。実際に体制や利用者の情報を記録に残す際、またAIツール等へ情報を渡す際は、氏名を伏せる(A様 等)など個人情報の取り扱いに配慮し、事業所内のルールをあわせてご確認ください。

参考:訪問介護費の基本単位数(令和6年度・目安)

加算率は下記の所定単位数に上乗せされます。主なものを挙げます(1単位あたりの金額は地域区分により異なります)。

区分 単位数(目安)
身体介護 20分未満 163単位
身体介護 20分以上30分未満 244単位
身体介護 30分以上1時間未満 387単位
生活援助 20分以上45分未満 179単位
生活援助 45分以上 220単位

単位数は令和6年度時点の目安です。金額換算は地域区分(地域単価)により変わり、改定でも変動します。正確な単位数・金額は原典をご確認ください。

区分を選ぶときの考え方

区分Ⅰ〜Ⅴは、上の「体制・人材・重度者対応」のどの要件を満たすかの組み合わせで決まります。まずは自事業所が満たしている要件を洗い出し、無理なく継続できる区分から検討するのが現実的です。一度届け出たら、要件を満たし続けられるか(研修・会議・割合の維持)も重要な観点になります。要件の充足状況は、最終的に最新の告示・通知や保険者の案内でご確認ください。

記録と体制の整備

特定事業所加算は、研修・会議・情報共有などの記録の整備が前提になります。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の訪問介護向け機能(訪問介護マナ)は、日々の記録づくりを効率化し、加算の根拠となる記録の整備を後押しします。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。記録の要件を満たしているかの最終的な判断は、告示・通知や保険者にご確認ください。

運営指導で実際に公表されている指摘|出典つき

特定事業所加算は、体制が整っていても記録が無ければ説明できない加算です。公表資料では、どこが確認されているかが具体的に示されています。

公表されている指摘 公表元
特定事業所加算(訪問介護)について、計画的な研修の実施、会議の定期的開催、文書等による指示及びサービス提供後の報告、定期健康診断の実施がされていない 千葉県の令和7年度集団指導資料(報酬請求に係る指摘事項)
すべての訪問介護員等に係る個別具体的な研修の目標・内容・研修期間・実施時期等を定めた計画の内容が不十分な事例 長野県の令和6年度運営指導結果(訪問介護)
訪問介護員等の総数に占める一定の要件を満たす者の割合を、常勤換算方法で算出した前年度(3月を除く。)の平均を用いて算定要件を満たしていることを確認していない事例 同上
定期的な会議を毎月の研修時に行っているとのことであったが、その開催状況の記録は取っておらず、すべての訪問介護員等が会議に参加していることに関しても記録に残していない 仙台市の集団指導資料(文書指摘)
訪問介護員から利用者の体調の急変等について電話で報告を受けた際に、その電話でサービス提供責任者から指示を行っているが、その内容に関する文書等の記録を保存していなかった 同上
加算の算定要件になっている割合を毎月記録していない。所定の割合を満たしていることが明らかな場合も計算し、その記録を残すこと 福井市の集団指導資料/松山市「令和7年度第1回介護保険サービス事業者連絡会資料」
サービス提供責任者に常勤専従の者が配置されていない事例(「従業者の員数の不備」12件・7.0%) 長野県の令和6年度運営指導結果(訪問介護)
常勤のサービス提供責任者が他サービス事業所の管理者や有料老人ホームの管理者等を兼務していた事例/非常勤のサービス提供責任者の勤務時間が、常勤の訪問介護員等が勤務すべき時間数の2分の1以上に達していない事例 金沢市の資料
事業所ごとに勤務表が適切に作成されていない事例(「勤務体制の確保等の不備」32件・18.6%)。併設事業所等の職務を兼務している場合の取扱いにも言及 長野県の令和6年度運営指導結果
(隣接する加算)サービス提供体制強化加算について、職員の割合を把握せず算定していた。常勤換算方法により算出した前年度(3月を除く)の平均を把握すること 広島市の令和7年度運営指導の指摘事項/大阪市の居宅サービス編

要件・運用は保険者・都道府県により異なります。詳細は監査対策ナビと各自治体の公表資料をご確認ください。

体制要件の4点|何を、いつ、どう残すか

千葉県の資料が名指ししている4点です。どれも「やっている」だけでは足りず、記録が残っている必要があります。

要件 告示・通知の定め(要旨) 残す記録 公表資料で指摘されている点
① 計画的な研修 訪問介護員等ごとに、研修の目標・内容・研修期間・実施時期等を定めた個別の計画を策定し、研修を実施する。サービス提供責任者についても同様 個別研修計画(氏名ごと)/実施日時・参加者氏名・研修内容・使用した資料 計画の内容が個別具体的でない(長野県)。個別研修計画は年度当初に作成するのが望ましいとされる
② 会議の定期的開催 おおむね1月に1回以上、サービス提供責任者が主宰し、すべての訪問介護員等が参加する会議を開催して、利用者に関する情報等を伝達する 会議の開催記録(日時・議題・伝達内容)/参加者名簿(全員分) 開催状況の記録がない/全員参加の記録がない(仙台市)。登録ヘルパーも含む全員参加とされる(埼玉県Q&A)
③ 文書等による指示と、提供後の報告 サービス提供にあたり、サービス提供責任者が訪問介護員等に対し、利用者に関する情報や留意事項を文書等の確実な方法で伝達し、サービス提供後に報告を受ける 指示書・申し送り記録/提供後の報告記録。電話で指示した場合もその内容を記録 電話指示の内容を文書等で保存していなかった(仙台市)
④ 定期健康診断 すべての訪問介護員等に対し、健康診断等を事業所の負担により実施する 受診記録/費用を事業所が負担したことが分かる資料 実施されていない(千葉県)。労働安全衛生法上の「常時使用する労働者」に該当しない者も対象になる旨が示されている(埼玉県Q&A)

割合要件の数え方|「前年度の平均」と「毎月の記録」

人材要件・重度者対応要件でつまずくのは、数え方と、記録の頻度です。公表資料で両方が指摘されています。

数え方 記録の頻度
職員の割合(介護福祉士の割合など) 常勤換算方法により算出した前年度(3月を除く。)の平均 年度ごとに算出。要件を満たすことを確認したうえで算定する
利用者の割合(重度者の割合など) 算定日が属する月の状況で判断する運用が示されている 毎月記録する。明らかに満たしている場合も計算して記録を残す

公表資料は「所定の割合を満たしていることが明らかな場合も計算し、その記録を残すこと」としています(松山市)。数えていても記録が無ければ、確認のときに示せません。数え方・記録の頻度は保険者により異なる場合がありますので、必ず自事業所の保険者にご確認ください。

あわせて確認したい隣の論点

論点 公表資料で示されていること
サービス提供責任者の配置 常勤の訪問介護員等のうち、利用者の数が40又はその端数を増すごとに1人以上(宇都宮市)。他事業所の管理者等との兼務、非常勤サ責の勤務時間(常勤が勤務すべき時間数の2分の1以上)に注意(金沢市)
勤務表 事業所ごと・月ごとに作成。他事業所や他職種との兼務関係を明確にし、常勤・非常勤の別を正しく記載する。勤務実績との不整合が指摘されている(長野県・福井市)
「常勤」の意味 当該事業所における勤務時間が、事業所で定められた常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間)に達していることをいい、雇用の形態ではない(福井市)
サービス提供記録との関係 実施時間が一律で実態が反映されていない、サービス提供責任者による記録の点検が十分に行われていない(堺市)。書き方は訪問介護の実施記録の書き方で解説しています
運営規程・変更届 サービス提供責任者の変更は届け忘れが多い事項として挙げられている(福井市)。運営規程の記載と実態の整合もあわせて確認する

この対照表を、毎月お届けします

告示の定めと、貴事業所の登録内容・体制を毎月突き合わせてお届けする取り組みを準備しています。算定の可否を判定するものではなく、告示の定めと貴事業所の状況を並べてお示しし、ご確認いただくためのものです。届出や要件の当てはめについては、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

出典

  • 厚生労働省「介護報酬の算定構造」「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(告示)および留意事項通知
  • 千葉県「令和7年度集団指導資料」/長野県「令和6年度運営指導結果」/仙台市「集団指導資料」/福井市「令和7年度集団指導資料」/松山市「令和7年度第1回介護保険サービス事業者連絡会資料」/金沢市・宇都宮市・堺市・広島市・大阪市の各集団指導資料/埼玉県「Q&A」

出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/)/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。単位数・要件は改定により変わります。算定にあたっては最新の告示・通知および保険者の取り扱いをご確認ください。

訪問介護の特定事業所加算のポイント

訪問介護の特定事業所加算は、質の高いサービス提供体制を評価する加算です(区分Ⅰ〜Ⅴ)。要点を整理しました。

項目 ポイント
評価の観点 研修・会議、緊急時対応、重度者対応、有資格者・勤続年数の割合など
区分と加算率 Ⅰ=20%/Ⅱ・Ⅲ=10%/Ⅳ・Ⅴ=3%(令和6年度・目安)
重度者対応の目安 要介護4・5等が利用者総数の20%以上(区分による)
記録 研修・会議・対応の記録の整備

算定要件・単位数・様式は介護報酬改定や自治体により異なります。実際の運用にあたっては最新の告示・通知・条例等でご確認ください。

よくある質問(FAQ)

訪問介護の特定事業所加算とは?
研修や会議、緊急時対応、重度者対応、有資格者・勤続年数の割合などの体制を評価する加算です。要件の組み合わせで区分Ⅰ〜Ⅴに分かれます。
区分はいくつあり、加算率はどれくらいですか?
区分Ⅰ〜Ⅴの5区分です。厚生労働省の算定構造では、区分Ⅰが20%、Ⅱ・Ⅲが10%、Ⅳ・Ⅴが3%(いずれも所定単位数に対する割合・令和6年度)と示されています。改定や地域区分により変動するため、最新の告示でご確認ください。
重度者対応要件の「重度者」とは?
告示では、要介護4・5、認知症日常生活自立度Ⅲ以上、たんの吸引等を必要とする者が、利用者総数の20%以上(区分による)とされています。割合の算定方法の詳細は告示・通知でご確認ください。
小規模の事業所でも検討できますか?
区分によって要件の重さが異なります。人材要件や重度者対応のハードルが高い区分もあるため、体制要件を中心とする区分など、満たせる区分から段階的に検討する考え方があります。要件充足の判断は保険者・告示でご確認ください。
届け出た後に気をつけることは?
研修・会議・情報共有などの体制を継続し、その実施を記録に残すことが大切です。実地指導で確認されます。
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出典:厚生労働省ウェブサイト(介護報酬の算定構造(令和6年度)令和6年度介護報酬改定の主な事項)/公共データ利用規約(第1.0版)

本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。

この記事の執筆・編集

介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

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