「DX」と聞くと、一気に大きく変えるイメージがあるかもしれません。でも、介護現場のDXで最も大切なのは、その逆──「スローに、全員で進める」ことです。書籍『スローDX』から、その核心を抜粋してお届けします。
アフリカのことわざが教えてくれること
早く行きたければ、一人で行け。遠くへ行きたければ、みんなで行け。
DXも同じです。「一気にやろう」とすると、ついていける人と、ついていけない人が出ます。結果、一部の人だけが使いこなし、他の人は置いていかれる。やがて「やっぱりうちには合わなかった」と元に戻ってしまう。
でも、ゆっくり進めれば、全員がついてこられます。1人も取り残さず、施設全体が変わっていく。「遠くへ行く」ために、あえて「スロー」で行く。これがスローDXの根っこにある考え方です。
「うさぎとカメ」のもう一つの教訓
カメが勝った理由を「コツコツ続ければいつか勝てる」と解釈する人は多いでしょう。でも、もう一つ大切な教訓があります。
カメは、うさぎを見ていなかった。
カメはうさぎと自分を比較せず、ただ自分のペースで、ゴールだけを見つめて歩き続けた。「あそこはもうAIを使っている」「うちは遅れている」——そんな比較は意味がありません。大切なのは、自分たちのペースで一歩ずつ前に進むこと。それが、じわじわと確実に成功する方法です。
どれくらい「スロー」がいいのか
答えはシンプルで、「無理をしない程度」。「今日は1つだけ新しいことをやってみよう」。それで十分です。月曜に記録の入力方法を覚え、火曜にもう一度やってみる。水曜には迷わずできるようになっている。この「小さな成功体験」の積み重ねが、スローDXのすべてです。
1日1つ。たった1つだけ。それを続けるだけでいい。
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