AIが実行できる範囲は、材料で決まる
第2章で、AXの分かれ目は「誰が実行するか」だとお伝えしました。
神マナは、記録も、報告書も、カイポケへの転記も、実行できるようになりました。
では——こう聞かれたら、どうでしょう。
「今年の補助金、うちは何が使えますか」
「この加算、要件を満たしていますか」
同じAIなのに、こちらは答えられません。
理由は、AIが賢くないからではありません。
材料が、手元に無いからです。
記録は書けます。現場のデータが、目の前にあるからです。
でも制度の情報は、国や自治体のサイトに散らばっています。PDFで、告示で、更新のたびに差し替わる。
材料が無いままAIに聞くと、どうなるか。
それらしい文章が返ってきます。そして、それは間違っていることがあります。
現場で使う道具でそれをやると、事故になります。
だから私たちは、順番を逆にしました。
賢いAIを先に置くのではなく、先に材料を揃える。
国の一次情報を、引けるかたちのデータベースにする。
地味な作業です。誰も褒めてくれません。
でも、ここを飛ばして「AIが何でも答えます」と言う道具を、私たちは信用できませんでした。
もう、使えます
材料づくりは、構想ではありません。もう公開しています。
すべて無料・登録不要です。この本を読み終えたら、そのまま開けます。
補助金ナビ
使える補助金を、地域と条件から探せます。
lifeshift-inc.com/hojokin-navi
加算ナビ
加算ごとに、告示が定める要件を並べています。
lifeshift-inc.com/kasan-navi
帳票ナビ
国が定める標準様式を、サービス別に引けます。
lifeshift-inc.com/chohyo-navi
監査対策ナビ
運営指導で確認される項目を、あらかじめ知っておけます。
lifeshift-inc.com/kansa-navi
労務・税務ナビ
いつ・誰が・どこへ出すのか。届出の年間カレンダーです。
lifeshift-inc.com/roumu-navi
ひとつ、約束していること
これらのナビは、判定をしません。
「この加算は取れます」とは書きません。
書くのは、こうです。
貴事業所の登録:常勤1名
ご確認ください。
並べるところまでが、私たちの仕事です。
決めるのは、皆さんと、皆さんの顧問の先生方です。
もどかしく感じられるかもしれません。
でも制度の判断は、間違えたときに事業所が背負うものです。そこを機械が奪ってはいけない。
出典も、必ず添えています。元の資料まで、いつでも辿れます。
材料が増えると、できることが増える
ここまでの話を、1本の線につなげます。
AXは、ある日いきなり「何でもできるAI」が現れる話ではありません。
材料が広がったぶんだけ、AIが実行できる範囲が広がる。その積み重ねです。
そして、実行できることが増えるほど——
確かめる場所が要ります。
第5章でご紹介したマナドライブは、そのためのものでした。
AIが実行した結果を、大きな画面で、まとめて見直す。
読める言葉も要ります。
データベースは、そのままでは表の羅列です。
だから私たちは、そこに解釈を足して記事にし、公開しています。
制度の話を、現場の言葉に置き換えるところまでが、材料づくりだと思っています。
道具と、確かめる窓口と、読める言葉。
この3つが揃うたびに、皆さんが「やらなくていいこと」が増えていきます。
次の範囲は、経営の数字です
記録が楽になった施設から、こんな声をいただくことがあります。
「現場は本当に助かっている。……ただ、月末に見ている数字は、そんなに変わっていないんです」
そのとおりだと思います。
神マナが返してきたのは、現場の時間でした。
書類の山から解放する。転記をなくす。目の前の人に向き合う時間をつくる。
でも、経営者が夜に眺めているのは、別のものです。
来年、スタッフの給与を上げられるのか。加算は正しく算定できているのか。使える補助金を、見落としていないか。
そこには、まだ手が届いていませんでした。
だから、つくっています
マナ・アシスト
神マナが現場の時間を返す道具なら、マナ・アシストは経営の数字を守る側の道具です。
やることは、ナビと同じです。判定はしません。
貴事業所の登録はこうです。
締切が近いものが、今月はこれだけあります。
ご確認ください。
違うのは、聞かれる前に届くことです。
チャットは、開かなければゼロです。
経営のパートナーなら、こちらから毎月お伝えするべきだと考えました。
「今月は、特に何もありませんでした」——それでも意味があります。
見落としていない、と分かることに価値があるからです。
いつ、いくらで、というお話は、まだできません。
つくっている最中だからです。約束できないことを、本に書きたくありません。
ただ、向かっている方向だけは、ここに残しておきます。
範囲は広がっても、順番は変わりません
AIが実行できる範囲は、これからも広がります。
記録から、制度の対照へ。そして、経営の判断材料へ。
でも——最初に戻ります。
1日1つ。
範囲がどれだけ広がっても、始め方は変わりません。
明日、音声で記録を1件つくってみる。それだけで十分です。
私たちは、材料を揃え続けます。
皆さんは、1日1つ、触れ続けてください。
その2つが重なったとき、
気づけば、やらなくていいことだらけになっている。
それが、私たちの考えるスローDX・AXです。