☰ 目次宇宙一カンタンなスローDX・AXの教科書
第5章
仲間と進む

一人で始めない

アフリカのことわざが教えてくれること

借りるやり方が決まったら、次は「誰と進むか」です。

アフリカのことわざとして、広く知られている言葉があります。

「早く行きたければ、一人で行け。遠くへ行きたければ、みんなで行け」

DXも、AXも同じです。

「一気にやろう」とすると、ついていける人と、ついていけない人が出ます。結果、一部の人だけが使いこなし、他の人は置いていかれる。やがて「やっぱりうちには合わなかった」と元に戻ってしまう。

ゆっくり進めれば、ついてこられる人が増えます。
目指すのは、1人も取り残さないことです。

「遠くへ行く」ために、あえて「スロー」で行く。

それが、途中で元に戻らないための方法です。

全員を一度に動かそうとしない

前向きな2割から始め、数字で残りに広げる

新しい道具を入れるとき、最初から全員に使ってもらおうとすると、たいていうまくいきません。

どの職場にも、新しいものに前向きな人が、2割ほどいます。
「ちょっと面白そう」「やってみたい」と、最初に手を挙げてくれる人たちです。

新しいものが広がっていく様子を調べた研究(ロジャーズの普及学)でも、
最初に取り入れるのは、全体のごく一部の人たちだとされています。

01
① まず2割
前向きな人に、新しい道具を使ってもらう。無理に全員を集めない。
02
② 結果を数字で見せる
たとえば「記録にかかる時間が減った」「月末の残業が減った」。使った人の結果を、数字で共有する。
03
③ 6割・7割・8割へ
数字を見た人が「それなら私も」と使い始める。説得ではなく、隣の人の結果が背中を押す。
04
④ そして10割をめざす
最後まで迷っている人も、まわりが当たり前に使っていれば、手を伸ばしやすくなる。急がせず、待つ。

ここで大切なのは、②の「数字」です。

「便利ですよ」と100回言うより、
「〇〇さんは、記録が1日30分早く終わるようになりました」という1つの事実のほうが、人を動かします。

記録の道具は、使った分だけ跡が残ります。
使った人の変化を、あとから振り返りやすい。
だから、2割の人の成功を、そのまま残りの人への説明に使えるのです。

全員を説得しなくていい。
2割の人の結果が、残りの8割を動かします。

焦らなくて大丈夫です。
前向きな2割から、ゆっくり広げていきましょう。

今週やれること
・前向きな人の名前を、2割ぶん(職員10名なら2人)紙に書く
・その人に、第1章で決めた数字を一緒に測ってもらうよう頼む
・結果は月に1回、本人の了解をとって、名前と数字1つでみんなに伝える(直行直帰で顔を合わせにくい職場なら、月1回の会議や連絡のグループで)

がんばった人が報われる仕組み

「あの人だけズルい」をなくす

新しいことに積極的な人は、どんどん使いこなす。
でも、消極的な人は、いつまでも紙のまま。

これを解決するのは、「叱る」ことではありません。
「報われる仕組み」をつくること です。

新しいやり方で入れた記録が、月末の報告や集計に、そのまま使われる形にしておく。
つまり、新しいやり方で記録した人ほど、月末が楽になる。

誰も強制していません。
でも、使った人ほど月末が楽になる。
それを隣で見た人が、自分から手を伸ばします。

人を変えるのではなく、仕組みを変える。
これがDX・AX成功の鉄則です。

第5章のまとめ

1みんなで行く一気にやると、ついていけない人が出る。遠くへ行くなら、全員で
2まず2割から前向きな人から始め、その成果を見せて広げる
3仕組みで報われる叱るのではなく、やった人が楽になる形をつくる

この章で、問いはここまで絞られた

一緒に始める最初の仲間は、誰か。
その人が報われる仕組みはあるか。