一人で始めない
借りるやり方が決まったら、次は「誰と進むか」です。
アフリカのことわざとして、広く知られている言葉があります。
「早く行きたければ、一人で行け。遠くへ行きたければ、みんなで行け」
DXも、AXも同じです。
「一気にやろう」とすると、ついていける人と、ついていけない人が出ます。結果、一部の人だけが使いこなし、他の人は置いていかれる。やがて「やっぱりうちには合わなかった」と元に戻ってしまう。
ゆっくり進めれば、ついてこられる人が増えます。
目指すのは、1人も取り残さないことです。
「遠くへ行く」ために、あえて「スロー」で行く。
それが、途中で元に戻らないための方法です。
全員を一度に動かそうとしない
新しい道具を入れるとき、最初から全員に使ってもらおうとすると、たいていうまくいきません。
どの職場にも、新しいものに前向きな人が、2割ほどいます。
「ちょっと面白そう」「やってみたい」と、最初に手を挙げてくれる人たちです。
新しいものが広がっていく様子を調べた研究(ロジャーズの普及学)でも、
最初に取り入れるのは、全体のごく一部の人たちだとされています。
ここで大切なのは、②の「数字」です。
「便利ですよ」と100回言うより、
「〇〇さんは、記録が1日30分早く終わるようになりました」という1つの事実のほうが、人を動かします。
記録の道具は、使った分だけ跡が残ります。
使った人の変化を、あとから振り返りやすい。
だから、2割の人の成功を、そのまま残りの人への説明に使えるのです。
焦らなくて大丈夫です。
前向きな2割から、ゆっくり広げていきましょう。
・前向きな人の名前を、2割ぶん(職員10名なら2人)紙に書く
・その人に、第1章で決めた数字を一緒に測ってもらうよう頼む
・結果は月に1回、本人の了解をとって、名前と数字1つでみんなに伝える(直行直帰で顔を合わせにくい職場なら、月1回の会議や連絡のグループで)
がんばった人が報われる仕組み
新しいことに積極的な人は、どんどん使いこなす。
でも、消極的な人は、いつまでも紙のまま。
これを解決するのは、「叱る」ことではありません。
「報われる仕組み」をつくること です。
つまり、新しいやり方で記録した人ほど、月末が楽になる。
誰も強制していません。
でも、使った人ほど月末が楽になる。
それを隣で見た人が、自分から手を伸ばします。