付録
用語集
※1DX(ディーエックス)
Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略。デジタル技術を活用して、ビジネスモデルや業務プロセスを根本的に変革すること。
本書では「難しいIT改革」ではなく、「日々の仕事をちょっとだけ楽にする工夫の積み重ね」という意味で使っています。大げさに考える必要はありません。
※2ライフシフト(らいふしふと)
株式会社ライフシフト。本書の著者・嶺井政哉が2020年に設立した、介護のDX・AX支援を行うテクノロジー企業。神マナの開発・運営元。
「誰もが幸せに生きた証が残せる社会へ」をビジョンに掲げ、1社でも多く進化・成長する介護施設を増やすために、スローDX・AXの考え方とツールを提供しています。
※3テクノロジー(てくのろじー)
英語の "Technology"。科学的な知識や技術を実用的に応用したもの。IT・AI・クラウド・スマートフォンなど、デジタル技術全般を指すことが多い。
テクノロジーは「目的」ではなく「手段」です。介護の質を上げるため、スタッフの負担を減らすため、経営を安定させるため。目の前の課題を解決する道具として、テクノロジーを使いこなす。それがスローDX・AXの考え方です。
※4サステナブル(さすてなぶる)
英語の "Sustainable"。「持続可能な」という意味。環境・社会・経済のバランスを保ちながら、長期的に継続できる状態のこと。
介護事業は「続けること」に価値がある。利用者さんの生活を支える以上、事業が途絶えてはいけない。だからこそ、無理のない方法で経営を維持し続けることが大切です。
※5スローDX(すろーでぃーえっくす)
本書の造語。「ゆっくり・少しずつ・無理なく」進めるDXのアプローチ。第2版からは、AIが実行まで引き受けるAXも同じやり方で進められることから、まとめて「スローDX・AX」と呼んでいる。
一気に変えようとすると失敗する。1日1つ、全員がついてこられるペースで進める。これが最も確実で、最も遠くまで行ける方法だと確信しています。DXでもAXでも、この進め方はまったく変わりません。変わるのは、届く場所だけです。
※6アプリ(あぷり)
Application(アプリケーション)の略。スマートフォンやタブレットで動作するソフトウェアのこと。
本書で「アプリ」と言えば、主にスマホアプリのこと。パソコンを開かなくても、ポケットから取り出してタップするだけ。この手軽さが、DX・AXを続けられる秘訣です。
※7全替え(ぜんがえ)
既存のシステムやソフトウェアを丸ごと別のものに入れ替えること。リプレース(Replace)とも呼ばれる。導入コスト・学習コスト・移行リスクが非常に高い。
全替えは最もリスクが高い選択肢です。特に、連携性の低いシステムや、オンプレミス型の重たい独立システムを導入してしまうと、後から身動きが取れなくなります。「全替えしたくなくても、もうそれしか選択肢がない」という状況に陥りかねません。だからこそ、連携性の高いカイポケのようなクラウド型システムを基盤にし、足りない部分だけをアドオンで補う。これがスローDX・AXの鉄則です。
※8カイポケ(かいぽけ)
株式会社エス・エム・エスが提供する介護業務支援ソフト。請求業務、利用者管理、計画書作成などの機能を持つ、介護事業所向けの基幹システム。
多くの介護施設が使っている「インフラ」的な存在。本書では、カイポケを「やめる」のではなく「活かす」ことを前提にしています。今あるものを捨てずに、足りない部分を補う。それがスローDX・AXです。
※9AI(エーアイ)
Artificial Intelligence(人工知能)の略。コンピュータが人間の知的な作業(文章作成、データ分析、パターン認識など)を自動で行う技術の総称。
AIは「道具」です。包丁と同じ。料理人が包丁を使いこなすように、介護のプロがAIを使いこなす。AIに使われるのではなく、AIを使う側に立つことが大切です。
※10使い方ガイド(つかいかたがいど)
神マナに内蔵されている操作説明機能。画面上で実際の操作手順をステップバイステップで案内してくれる。「手取り足取りサポート」とも呼ばれる。
人に聞かなくても、アプリ自身が先生になってくれます。「これ、どうやるんでしたっけ?」がなくなる。何度見ても嫌な顔をされない、24時間対応の最高の先生です。
※30単純接触効果(たんじゅんせっしょくこうか)
心理学の用語(英語では mere exposure effect)。特別に良い経験をしなくても、くり返し接するだけで、その対象への好意が高まる現象。1968年に心理学者ロバート・ザイアンスが報告して以来、多くの追試が重ねられている。
「触れた回数だけ、人は変わる」の正体です。ITが苦手な方が使えるようになるのは、根性や才能ではなく、単に触った回数の差。だから毎日ちょっとだけ触る——それだけで十分なのです。
※31自己決定理論(じこけっていりろん)
心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱した動機づけの理論(英語では Self-Determination Theory)。人の意欲は「自律性(自分で決められる)」「有能感(できるようになる手ごたえ)」「関係性(誰かとつながっている)」の3つが満たされるほど高まるとされ、教育・医療・職場で広く検証されている。
「1日1つ、自分で選んで、できるようになる」という進め方が効くのは、この3条件をそのまま満たしているからです。ご褒美で釣るのではなく、仕組みのほうを整える。それが長続きの条件です。
※32エラーマネジメント(えらーまねじめんと)
産業・組織心理学の考え方(英語では error management)。エラーの発生そのものをゼロにしようとするのではなく、「エラーは起きるもの」という前提に立ち、早く気づいて立て直す力を高めるという発想。この考え方を取り入れた研修(エラーマネジメント訓練)は、従来型の研修より学習効果が高いと報告されている。
本書で「トラブル」ではなく「エラー」と呼ぶことをおすすめしているのは、この考え方に沿っています。「トラブル」は気持ちを止め、「エラー」は手を動かす。呼び方ひとつで、次の一歩が変わります。
※11UI(ユーアイ)
User Interface(ユーザーインターフェース)の略。ソフトウェアやアプリの「画面の見た目」と「操作のしやすさ」のこと。
「UIが9割」と書きました。どんなに優れた機能があっても、使いにくければ誰も使いません。逆に、画面が直感的で気持ちよければ、自然と毎日使いたくなる。良いUIは良い経営に通じます。
※12サジェスト(さじぇすと)
英語の "Suggest"(提案する)から。アプリやシステムが「次にやるべきこと」を自動的に提案してくれる機能のこと。
DX・AXが進まない最大の原因は「何をすればいいかわからない」こと。アプリが次の行動を教えてくれれば、迷わず続けられる。考える負担をゼロにすることが大切です。
※13アラート(あらーと)
英語の "Alert"(警告・通知)から。未完了のタスクや期限切れなどを自動で知らせてくれる機能のこと。
人間は忘れる生き物です。だから機械に任せる。「忘れる恐怖」から解放されることで、本来のケアに集中できるようになります。
※14ナビ(なび)
ナビゲーション(案内)の略。神マナに搭載されている「ナビモード」のこと。画面上でタップすべき場所や次の操作を自動的に案内してくれる機能。
「何をすればいいかわからない」をゼロにする機能です。画面上に矢印や吹き出しが表示され、迷わず操作できます。初めてでも、何度でも、安心して使えます。
※15加算(かさん)
介護保険制度において、基本報酬に上乗せして算定できる追加の介護報酬。特定の条件(人員配置、サービスの質、記録の整備など)を満たした場合に算定できる。
適切な記録が残っていれば取れるはずの加算を、多くの施設が取りこぼしています。DX・AXで記録の質と量を安定させれば、売上に直結します。「投資」としてのDX・AXの最もわかりやすい効果です。
※16クラウド(くらうど)
英語の "Cloud"(雲)から。インターネット上のサーバーにデータを保存・処理する仕組み。手元のパソコンにデータを置く必要がなく、どこからでもアクセスできる。
「どこからでも使える」「データが失われない」「共有が一瞬」。クラウドがあるからこそ、スマホ1台でDX・AXが始められる時代になりました。10年前には不可能だったことです。
※17神マナ(かみまな)
株式会社ライフシフトが開発・提供する、カイポケ連携AI搭載の介護業務支援アプリ。正式名称は「神マナ」。
「神マナ」は、カイポケを置き換えるのではなく、カイポケの横に持つ「もう1つの武器」です。記録・計画書・報告書・勤怠まで、介護のすべてを1つのスマホアプリに集約しました。
※18オールインワン(おーるいんわん)
英語の "All-in-One"。必要な機能がすべて1つにまとまっていること。複数のツールを使い分ける必要がない状態。
記録も、計画書も、報告書も、1つのアプリの中にある。必要な時に、必要な機能だけ使えばいい。「あの書類はどこだっけ?」がなくなることが、現場の安心につながります。
※19情報リテラシー(じょうほうりてらしー)
情報を適切に読み取り、活用する能力のこと。ICT(情報通信技術)ツールを使いこなす力も含む。
デジタルツールを1つ使いこなすと、次のツールも自然と使えるようになります。排泄記録から始めて、気づけば20以上の記録をデジタル化できた事例もあります。小さな一歩が、大きな力になるのです。
※20アドオン(あどおん)
英語の "Add-on"。既存のシステムやソフトウェアに「追加」する形で機能を拡張すること。全面入替(リプレース)の対義語。
「全替え」は危険。今のやり方を壊さず、足りない部分だけを補う。合わなければすぐに元に戻せる。リスクゼロで始められる。これがスローDX・AXの基本姿勢です。
※21App Store(アップストア)
Apple社が運営する、iPhone・iPad向けアプリの公式配信プラットフォーム。アプリの検索・ダウンロード・アップデートができる。
iPhoneをお使いの方は、App Storeで「神マナ」と検索してください。無料でダウンロードできます。
※22Google Play(グーグルプレイ)
Google社が運営する、Android端末向けアプリの公式配信プラットフォーム。アプリの検索・ダウンロード・アップデートができる。
Androidスマートフォンをお使いの方は、Google Playで「神マナ」と検索してください。無料でダウンロードできます。
※23インストール(いんすとーる)
英語の "Install"。アプリやソフトウェアをスマートフォンやパソコンに導入(ダウンロードして使える状態にする)すること。
スローDX・AXの第一歩は、まずインストールすること。たった30秒で完了します。この小さなアクションが、施設の未来を変える出発点になります。
※24同期(どうき)
英語の "Sync"(Synchronize)から。2つ以上のシステム間でデータを自動的に揃える(一致させる)こと。
神マナとカイポケを「同期」すると、カイポケの利用者情報が自動で神マナに取り込まれます。手入力は不要。約10分で完了します。二重入力の苦労から解放される瞬間です。
※25制限版(せいげんばん)
神マナの無料プラン。3名の利用者さんまで、すべての機能を期限なく利用できる。
まず3名で試してみて、良かったら全員に広げる。これがスローDX・AXの正しい始め方です。リスクはゼロ。合わなければ、やめればいいだけ。
※26通常版(つうじょうばん)
神マナの有料プラン。利用者数の制限が解除され、すべての利用者さんに対してすべての機能を利用できる。
1日あたり約367円〜。スタッフ1人の残業1時間分よりも安い。「コスト」ではなく、施設の成長への「投資」です。
※29AX(エーエックス)
AI Transformation(AIトランスフォーメーション)の略。DXでつくったデジタル基盤の上で、AIが「判断」と「実行」まで担う段階。記録・計画・報告といったアウトプットそのものをAIが下書き・実行し、人は確認と判断に集中する業務体制を指す。
本書では、DXとAXの分かれ目を「誰が実行するか」に置いています。DXは紙をデジタルに置き換えるところまで——入力・確認・転記の実行は人に残ります。AXはその実行をAIが引き受けます。判断まで手放すという意味ではありません。決めるのは、最後まで現場の人です。